あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

おめでとうございます

 今回は東京音楽隊の活動について見てみたいと思います。

 私が家を空けている間に、東京音楽隊のホームページには新たな変化がたくさんありました。本来であれば、一つづつ個別の記事でご紹介したいところなのですが、このところ精力的な活動を展開している東京音楽隊です、ゆっくり構えていると、すぐにでも次のアクティビティーが投入されそうな勢いですので、ここは「まとめた運動」で一括り記事にさせていただきます(╹◡╹)

 まず、コラムに二つのインタビュー記事が新たに掲載されました。

 一つは「吹奏楽部員必見!私のセッテイング」。前回のサックス編に続くシリーズ第二弾は、「打楽器:ドラム編」です。先の記事でもご紹介した「うちで踊ろう」の動画で、迷彩マスク姿でドラムセットを叩いておられた小野寺3曹へのインタビューです。

 ドラムを始めた切っ掛けや、こだわりなど、興味深い内容になっています。よく目にするドラムセットですから、身近に感じるものの、実際にはあの複雑な構成がどうなっているのかとか、よく分かりませんよね。「スティックと皮の組み合わせを試す日々」など、へぇ、と思わされる内容が沢山盛り込まれています。インタビュアーは、ハープ奏者にして洗練されたMCでもある、我らが荒木美佳さんです。

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 そしてもう一つは「音楽隊の幹部に直撃!」。前回の館山3尉に続くシリーズ第二弾は、江田島幹部候補生学校を卒業し、3等海尉への任官を待ちつつ部隊実習中の尾上曹長(候補生)です。尾上候補生へのインタビュアーは大学の同級生である、パーカッションの中島良太3曹と荒木美佳3曹のお二人です。楽しい座談会のようなインタビュー記事で、皆さんのお人柄がよく現れています(╹◡╹)

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 因みに、コラム内の写真をご覧になるとわかると思いますが、尾上曹長は、海曹長ではありますが、幹部と同じように肩章型の階級章を装着しています。一般幹部候補生と部内幹部候補生は、3等海尉よりも幅の狭い一本線の階級章です。准海尉と同じ幅なのですが、違いは、桜の代わりに錨のマークが付いていることです。

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 なかなか、見分けるのが難しいですよね(≧∀≦)

 来たる7月1日付をもって、尾上候補生は、晴れて3等海尉に任官されることになります。幹部自衛官としての新たな活躍に期待したいですね。 

 そして、YouTube動画ですが、こちらは、私が留守にしている間に5本もの投稿がありました。また、「コロナに負けるな!」シリーズ(くどいようですが、私の勝手な命名です(≧∀≦))の動画を「おうち時間を有意義に 動画コーナー」としてまとめてくれてもいました。これはシャラポワさんからの情報提供で知りました。下の写真をクリックすると、このコーナーに飛べますので訪ねてみてください。

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 たくさんの動画がアップされていますが、まずは在日米陸軍軍楽隊との合同演奏による「海を超える握手」には正直驚きました。下の写真をご覧ください。この人数でのリモート合奏ですが、まるで同じスタジオで同時に合奏しているような完成度です。両音楽隊のレベルの高さがよく分かりますね。

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 そして、動画の最後に、日米双方から互いへのエールが交換されます。

 まさに、「海を越える握手」だなぁと思いました。

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 個人的には、これまで姿の見えなかった東京音楽隊の皆さんのお姿をたくさん拝見することができたことが嬉しかったです。フルートの大川好さん、トロンボーンの沢田勝俊さん、クラリネットの河口侑也さん、ファゴットの松本理沙さんなど、このブログでもこれまで取り上げさせていただいた方々を含め、総勢16名のプレイヤーが勢揃いで壮観なのですが、なかでも樋口好男隊長と、岩田有可里さんのお姿を本当に久しぶりに拝見できたことが何より嬉しいことでした。

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 そしてそして昨年2月10日にサントリーホールで開催された第58回定期演奏会で演奏された、C.Tスミスの「華麗なる舞曲」の動画がアップされました。これは感動です。あの日の演奏曲目の中でも最難曲とされるこの曲を、「別に」という感じで難なく演奏した東京音楽隊のレベルの高さを再び味わうことができるのです。しかも、これから何度でも(╹◡╹)もちろん、定期演奏会の報告記事にも埋め込み動画として貼らせていただきました。興味のある方は、報告記事をお読みください、相当長いですけど(≧∀≦)

素晴らしい演奏会でした。

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 そして次にアップされたのが、メンデルスゾーンの「歌の翼に」です。

 トランペットの本田勲平さんと、ハープの荒木美佳さんによるデュオですが、お二人とも私が注目しているプレイヤーであることもあり、夢のような動画です。

 よく耳にするこの曲ですが、お二人の流麗な演奏に聴き入ってしまいました。

 そして、演奏後には、再び荒木美佳さんのPRトークがありました。

 えーと、前回の荒木さんのPRトークの時から気になっていることがあります。というか、皆さんも既にお気付きですよね。ただ、ブログで言及すべきことなのかどうかずっと迷いがありました。ただ、もう2回目ですし、はっきりと見せておられるのですから、これは一つの「公表」として捉えさせていただくことにしましょう。

 喪中の私が言うのも何ですが、荒木美佳さん、ご結婚おめでとうございます(╹◡╹)

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 きっと、皆さまも「おめでとう!」を言いたかったに違いありません。

 幸せな家庭を築きつつ、これまで同様、多くの方々を楽しませ感動させる名ハープ奏者にして名MCとしてご活躍されることを祈念いたします(╹◡╹)

横須賀音楽隊の久々のコンサート

 今日、横須賀音楽隊のコンサートが行われました。

 と言っても、通常のコンサートではありません。

 報道によりますと、医療従事者の皆さんへの敬意と感謝の気持ちを伝えるため、横須賀市内の保健所と病院の敷地で野外コンサートを開催したとのことです。

 下のバナーから記事に飛べますので、ご覧になってください。

news.yahoo.co.jp

 記事の写真を見ると、演奏する側も聴く側も、十分な間隔を開けて、感染拡大防止対策を講じているのがわかります。

 こういう形で、演奏活動が始められたということなのでしょうか。これからも、このような小編成バンドでの演奏会がしばらくの間続けられるのかも知れません。

 遠景で、半分は後ろ向きですので、どなたが出演されたのかは識別できませんが、右から二人目は、赤嵜尚子さんに違いありません。

 今回の情報は、「いかづち」さんから提供いただいたものです。

 「いかづち」さんはいつも、今回のような最新情報や、びっくりするような過去の情報を見つけ出しては報告してくださっています。このところ、なかなか記事に仕上げる時間が取れないのですが、このホットな情報は、是非とも皆さんと共有したいと思いました。この記事以外に関連情報がないので、簡単な報告にならざるを得ませんが、横音の活動再開の狼煙となるかも知れないと思ったからです。

 後ろ姿ではありますが、久々に、元気に演奏する赤嵜さんのお姿を拝見できたことも大きいです。

 横須賀音楽隊が、このコンサートの様子をアップしてくれるといいですね(╹◡╹)

大湊音楽隊の動画が公開されました

 しばらく投稿を中断している間に、海上自衛隊の音楽隊から、いくつかの新たな動画がアップされています。

 まず、大湊音楽隊が3月にアップした途端に非公開になってしまった「パプリカ」が、再び公開されています。この件については、「ぎわ」さんが「今年の遠洋練習航海(2)」へのコメントで知らせて下さったのですが、ちょうど「その日」だったものですから、チェックすることもできず、もちろん記事にはなりませんでした。

 もうすでに多くの方が、あの心温まる動画をご覧になっていることでしょう。

 この動画のことを紹介した記事があります。とても素敵な動画を発見したことを皆さんにお知らせしたくて、動画を埋め込んだ状態で記事を書いていたいのですが、なんと、記事を書いているわずかな時間の間に、動画が非公開になってしまったのでした。

 でも、復活を信じてリンクは貼ったママにしておいたのですが、先ほど記事を確認しましたら、ちゃんと埋め込み再生ができましたので、ちょっとだけ修文と追記をしておきました。よろしければ読んでみてください。

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 この動画の再公開に合わせて、動画製作中の様子などを収めたメイキングビデオも公開されました。撮影の合間の皆さんの動きを見ていると、凍えそうな寒さの中にいることがよくわかります。大変だったと思いますけど、いい動画が残りましたね。

 そして今日、大湊音楽隊による最新動画がアップされました。

 今年の2月9日に盛岡で行われた定期演奏会において、アンコールに応えて演奏された「あすという日が」です。私たちが聴き慣れている、三宅由佳莉さんの独唱とは異なり、3人の隊員によるハーモニーでこの曲の魅力を引き出しています。

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 歌われたのは、増田光頼さん、大石あやさん、そして薮田百合花さんです。大石さんは「パプリカ」でその魅力を遺憾無く発揮されていましたね。また薮田さんは、昨年の練習艦隊音楽隊に配属されていましたし、先日の「海上自衛隊第一体操」にも出演されていましたので、ご存知の方も多いと思います。

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 今この時期に相応しい曲だと認識されているからこそ、この動画が選定されたのだと思います。そして、「パプリカ」で感じさせてくれた、大湊ならではの魅力というものが、この演奏でも伝わってきます。まだ、どう表現したらいいのかわからないのですが、とにかく東京や横須賀の有無を言わせぬ迫力とはちょっと異なる、安心感のようなものを伝えようとされているのではないかという気がします。

 まだまだ、駆け出しではありますが、そんな大湊音楽隊の魅力が、少しづつわかってきた気がします。

 今後、他の音楽隊の動画についても記事を書いて行こうと思っています。

横浜に戻りました

 前回の記事で、長らく闘病生活を続けていた父が苦しみから解放され、安らかな世界に旅立ったことを報告させていただきました。

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 その後、当面やれるだけの手続きや公的資料等の請求、四十九日法要の段取りなどを済ませ、昨日、久しぶりに横浜の自宅に戻ってまいりました。10日以上家を空けていましたし、部屋が蒸し風呂状態にならないよう、ベランダの戸を5cmほど開けたまま出かけましたので、家の中が大変なことになっているんじゃなかろうかと、ちょっと心配だったのですが、全く無事でした。

 日頃の行いが良いからに違いありません(╹◡╹)

 今回は、郷里から帰宅する道すがらのことを書いてみたいと思います。いくつか報告することがあるんです。

 まず、羽田空港に向かう飛行機なのですが、主翼の後縁部分に当たる席を選んで離陸時、飛行中、着陸時のスマホ動画を撮影し、YouTubeにアップしてみました。とは言え、いつも動画を投稿している「1501RetCapt」のチャンネルでは違和感がありますので、この種の動画が撮りたくなった時のために開設しておいた別チャンネルを使うことにしました。音楽隊の演奏会が開催されないので、この3月に遊び心で製作した新幹線の動画をアップしてはみたものの、あのチャンネルでは完全に浮いてるな、と思ったのが新チャンネル開設の動機でした。このブログでも、三宅さんや音楽隊以外の記事が結構ありますので、そんな記事への埋め込み動画供給用チャンネルとして運用していく予定です。

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 窓側の席を選ぶ方の多くが主翼付近を嫌います。下の景色が見え辛いからだと思います。でも私は主翼後縁の席が大好きなんです。高揚力装置(フラップ)や補助翼(エルロン)の動きがよく見えるので、そんな席に座れた時には窓の外ばかり見ています。YouTubeを始める前には、それを撮影しようなどとは考えもしませんでしたが、私と同じように主翼の機構部の動きに興味のある方も少なくないと思いますので、機会を捉えて撮影し、アップしていこうと思ったのでした。

 今回のフライトでは、途中、びっしりと張り詰めた雲海の上を飛行することになったため、そんな様子も撮影してみました。綺麗な雲海でした。

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 そして、雲海の上から濃密な雲の層を通って降下し、羽田空港に着陸するまでの様子も、もちろん撮影しました。高度が下がり、速度が徐々に落ちていくに連れて少しづつ後方に張り出されていくフラップ(高揚力装置)の作動を見ていると、なんだか気持ちが上がっていきますし、タッチダウンと同時にエアブレーキが立ち上がり、速度を抑えると同時に機体を地面に圧着して安定させる様など、この席でしか味わえない醍醐味があります。

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 因みに、この動画は、当初16分弱の長さがあったため公開できませんでした。新しいチャンネルは、登録者数が1000人に達しないと15分を超える動画をアップすることができないんです。まだチャンネル登録者が1人(1501RetCaptさん)だけだと言うことを忘れていました。私は、今までチャンネル登録や読者登録をお願いしたことは一度もないのですが、表現の幅が制約される1000人の壁だけは何とかクリアできればと思ってしまいます。差し支えなければ、チャンネル登録をしていただけると幸いです。

 さて、羽田空港に降り立った私は、19日に移動が全面解禁になったこともあり、空港も随分賑わっているのではないかと思っていたのですが、豈図らんや、出発した時とさほど変わってはいませんでした。

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 そして、気づいたのですが、行き交う人々の歩く速度が以前よりゆっくりとしたペースに感じられました。人混みの中ではないからゆったりしているのかもしれませんが、歩速そのものが遅いのです。コロナに起因する社会の変化の兆しなのかもしれないなぁと思いました。

 京浜急行に乗って横浜に辿り着き、北側通路を通って東横線に乗り換えようとしたところ、見慣れない風景が目に入りました。

 「JR YOKOHAMA TOWER」…

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 ずっと工事中だった横浜駅ビルの名前が「JR YOKOHAMA TOWER」だったんですね。7月1日にオープンするらしく、地下の部分では一部の店舗が営業を初めているようでした。コロナ禍のなか、多難なオープンとはなりますが、ポストコロナ社会の先駆けとなるような「ゆったりとした賑わい」というものが、そこに出現してくれればいいな、と願わずにはいられませんでした。

 最寄りの駅で下車し、家までの道すがら、季節感を感じさせてくれる紫陽花の花が綺麗に咲き誇っていました。

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 私たちの社会では、日々、多くの人が生まれ、病を得、また鬼籍に入りますし、今回の惨禍に限らず、常に何らかの大きな変化のうねりに身を任せていくしかないのかもしれません。確かなものなど何もありませんし、常に移り変わっていくのだと思います。

 それを仏教では「無常」と言うのでしょう。でも、「だから何をやっても無駄だ」と言ってしまえば、元も子もない「虚無」の罠に嵌ってしまいます。

 確かなものなど何もない限られた人生だからこそ、愛おしく、大切に磨き上げて行ければと、何があってもひたすら自らの「務め」を果たそうとする紫陽花の姿を見て、そんな思いを強くした次第です。

ご無沙汰です

 1週間ほど記事を書いていません。ちょっと父が亡くなったものですから、時間が取れませんでした。この週末に告別式を終え、一段落着きましたが、高齢の母に代わって諸手続き等を行うため、もう暫くかかりそうです。

 丁度2年前、父が敗血症で緊急入院し生死が危ぶまれた際、これが最後であろうとの思いで、父に伝えたことを書きました。

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 そして、昨年1月、両下肢の自由を失いながらも一命を取り止め、リハビリ病院に転院した父が、自律歩行を目指して訓練に励む姿を目にして感じたことを書きました。

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 今年の初めにも父を見舞ってきたのですが、リハビリの現場を見る限り効果が少しずつ現れているような気がしました。とは言え、高齢ですから全体の能力は衰退していきます。相変わらず自由の争奪をしながら現状を維持しているような感じでした。父は、高齢ではありますが、新し物好きで、病室にもタブレットを持ち込んでいましたので、父がまだ元気なうちに、是非、三宅由佳莉さんの歌を聴かせてやりたいと思い、YouTubeにアクセスして聴いてみて欲しいと持ちかけてみました。従来の父であれば、「なんだ、どうやるんだ?」と身を乗り出すはずなのですが、この時は「いや、もう新しいことは疲れるから、いい」と言ったのです。

 私は、父の変化を感じました。見た目は元気そうですし、リハビリも頑張っていましたが、心の真ん中にあるべきものが揺らいでいるように感じられたのです。

 その父が10日に亡くなりました。91歳ですから大往生でしょう。

 実はその前日に、父を見舞うことができました。首都圏からの来訪者となりますので、写真のような物々しい姿となりましたが、最後の面会を許してくださった病院側のご配慮には感謝の言葉もございません。

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 トンボ返りで横浜に戻り、翌日出勤して程なく、父が息を引き取ったとの連絡があり、再び駆けつけたという次第です。

 最後の数年間は入院生活となりましたが、病院のスタッフの皆さんとも良い関係を築いているようでしたので、幸せな最期であったろうと思います。

 私事にお付き合いいただき、ありがとうございました🙏

 

 

今年の遠洋練習航海(2)

 4月に「今年の遠洋練習航海」という記事を書きました。

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 昨年の5月は、三宅由佳莉さんの横須賀音楽隊への異動や、遠洋練習航海への参加などが次々に判明し、てんやわんやだったことを懐かしく思い出しながら、コロナ禍が吹き荒れる現状において、今年の遠洋練習航海は、おそらく外国への寄港は断念し、太平洋上での長期耐洋訓練となるのではないかと書きました。

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 6月5日(金)の海幕プレスリリースによりますと、遠洋練習航海部隊は、明日(6月9日(火))に日本を発ち、7月22日(水)までの44日間、洋上訓練等を行うとのことです。途中、シンガポールチャンギ港に寄港しますが、補給のみで、交歓行事や上陸等は行われないようです。

 昨年の遠洋連取航海が5ヶ月だったことを思うと、44日間って短過ぎないか?と思いますよね。ええ、今回公表されたスケジュールは、「前期」となっています。おそらく、以後の予定については、困難な状況の中、可能な限り訓練効果を上げつつ、海外の寄港地への訪問も可能になるような調整をギリギリまで行っているのではないかと思います。それが「後期」になるのか「中期」になるのかはわかりませんが、分割実施せざるを得ないのはやむを得ないことでしょう。

https://www.mod.go.jp/msdf/release/202006/20200605.pdf

 補給のための寄港地がシンガポールであることを考えれば、前期遠洋練習航海部隊の行動範囲は南シナ海からインド洋にかけての海域なのではないでしょうか。

 このように、実質的に寄港地がないような航海日程であっても、練習艦隊音楽隊は編成されているはずです。練習艦隊音楽隊には、寄港地での演奏だけでなく、洋上慰霊祭など式典での演奏や、長期にわたり洋上での厳しい訓練を続ける実習幹部や乗員の士気高揚・慰労のための演奏などの任務もあるからです。また、音楽隊としても、自隊の隊員の慣海性を維持することや、洋上バンドとしての継続的な経験の蓄積というものも大切です。さて、今年はどなたが配属されているのでしょうね。きになるところですが、今後少しずつわかってくると思います。

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 海自のリリース内容からは、遠洋連取航海部隊がどこから出航するのかについては全く触れられていませんが、普通に考えれば横須賀でしょう。前回のプレスリリースで、近海練習航海の予定が一部変更となり、本来であれば出国に備えて横須賀へ寄港するはずが呉への帰港となっていました。

 その呉への在泊予定が5月22日(金)まででしたから、おそらく、22日に呉を出港し現在横須賀に停泊中なのでしょう。

 出国行事について、水交会からも何ら連絡はありませんし、三密を避けつつ、少数の関係者と、乗員家族らのみによる内々の行事として執り行われるのだと思います。

 昨年の観艦式が台風被害のため中止となり、今年の遠洋練習航海はコロナ禍のため超変則実施となったわけですから、海上自衛隊は踏んだり蹴ったりだな、と思われるかも知れません。

 でも、これがまさに「現実」に「対応する」ということですし、「今に対処し、将来に備える」ということでもあります。その意味で、今年の実習幹部は、却って良い機会を与えられたと言うこともできるのではないかと思います。

 遠洋練習航海部隊の行動が、実り多きものとなることを祈念いたします。

水無月の風情

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 緊急事態宣言を受け、私が務める会社では4月、5月を1/4態勢としたことは、別記事で書きましたが、6月1日からはフル稼働に復帰しました。週休6日制からのいきなりのシフトですから、先週は生活リズムを元に戻すのに苦労しました。暑い日が続きましたし(≧∀≦)

 そう、6月といえばもう夏ですよね。日本では梅雨の季節でもあります。また、西洋の風習から、この月に結婚を考える方も少なくないかも知れません。それと関係あるのかどうかわかりませんが、6月の第1日曜(つまり今日ですね)は「プロポーズの日」なんだそうです(日本だけ)。そんなの、誰も知らんじゃろ(≧∀≦)

 

 そんな6月ですが、我が友邦台湾では卒業の季節なのだそうです。

 日本統治時代には3月に卒業、4月に入学という日本式の学制が採られていたはずですが、共産党軍に追い落とされた国民党軍が台湾に落ち延び、現地を掌握していく過程で、大陸式の学制に変えられたのではないかと思います。

 さて、卒業式で歌われる定番曲は? と問われれば「旅立ちの日に」が間違いなく筆頭に上がるでしょう。三宅由佳莉さんも色々な場面で歌ってこれらましたよね。

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 この曲はもともと、埼玉県のある公立中学校の先生方が卒業生に贈るために作られたものです。

 荒れすさんだ中学校を、合唱を通じて立て直そうとされた校長先生と音楽教諭の3年にわたる地道な努力により、歌声が響き渡る明るい校風が蘇ったのだそうです。音楽教諭の発案で、3年前に入学した生徒たちの卒業式に歌をプレゼントしようと、校長先生が書かれた歌詞に、音楽教諭が曲をつけ、教員合唱団による1回限りの演奏が行われました。ところがこの曲に感動した生徒さんたちが、翌年から自分たちの卒業式で歌うようになり、それが何年もの時を経て全国に伝わり、今では日本中で愛される曲となりました。

 そのような背景を踏まえて聴くと、また新たな感慨が胸に迫ります。生徒を思う先生方の深い愛情が込められていることがよくわかるからです。つまりこの曲は、旅立つ生徒たちを教師の視点で捉え、その旅立ちを賀ぐ歌となっています。

 でも、私よりも上の世代の方々にとっては、卒業式の定番曲と言えば「仰げば尊し」ではないでしょうか。卒業を迎えるにあたり、厳しくも愛情を持って指導してくださった指導教諭に対する感謝の気持ちを込めたこの歌は、名曲でもありますし、今でも卒業式でこの歌を歌う学校は少なくありません。

 それでも、この曲が卒業式における圧倒的な定番曲ではなくなったのは、その歌詞に使用される古語が児童生徒には解りづらいということもありますが、何と言っても「仰げば尊し、我が師の恩」という、教師を賛美するような歌詞が気に入らないという方が父兄の間に増えたからではないかと思います。

 確かに、盲目的な教師礼賛は如何なものかとは思いますが、社会には建前の規範というものが必要だとも思います。その基礎を作る学校において、自分を指導してくれる教師への恩を示すという作法を学ぶことの意味は小さくないのではないでしょうか。

 近頃は高学歴社会で、生徒の親が高等教育を受けている場合が非常に多いものですから、教師に向かって「先生の出身大学はどこですか?」などと質問することにより恫喝する親も少なくないそうです。そのような親の態度がそのまま子に移りますから、学校教育が大変不安定な状態になるのも頷けます。

 私が子供の頃、教師は絶対的な存在でした。たとえ理不尽な理由で教師から叱られた場合でも、そのことを親に話せば「お前が悪い」と、拳骨を食らわされるのが落ちでした。親も、それが理不尽なことは分かっていますが、「理屈じゃねぇんだ」という世界があることを教えてくれたんだと思います。また、そういう風潮があるからこそ、教師自身も自らを省みて、より良い教師たろうと努力していたような気がします。

 考えてみれば、今よりはよほど生産的な関係だったような気もしますが、もうそのような環境に戻ることはないでしょう。

 実は今日、何の気なしにYouTubeを流している時に、そんな、恩師への感謝の心を歌った「仰げば尊し」が、今でも台湾で歌い継がれていることを知り、何か書かずにはいられない気持ちになりました。まずは動画をご覧ください。

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 どうでしょう、もちろん歌詞は日本語の直訳ではありませんが、自分を教導してくれた教師への感謝と、学んだ成果を活かして社会に貢献していく決意が歌われています。日本統治時代からの、非常に健全な心構えが歌われており、こうした教育現場のありようが現在の台湾の高度な発展を支えてきたのだと思います。そしてまた、このような「日本精神」というものが、我が国よりも台湾において継承されていることに、一面では喜びつつ、一面では恥ずかしい思いを抱きます。

 国民党独裁政権による反日政策が長らく続いたにも関わらず、「日本精神」が失われていない台湾。それに対し、戦後、その大部分を保守と言われる自民党が政権を担ってきたにも関わらず、「日本精神」が廃れつつある日本。

 その違いはどこから来るのでしょう。それは、我が国においては、日本人本来の精神を嘲り、貶め、排除しようとする輩が蔓延っているのに対し、台湾では、確固たる精神を欠いた繁栄など、亡国への一里塚に過ぎない、そして備えるべき精神は「日本精神」であるという強い認識が、代を継いで伝わっているからではないでしょうか。

 そんな風に考えながら、台湾の「仰げば尊し」を聴き、梅雨が兆しつつある水無月に格別の風情を感じたような気がしました。