昨日(2023年2月24日)、「すみだトリフォニーホール」で開催された、海上自衛隊東京音楽隊の第62回定期演奏会を聴きに行ってまいりました。
昨年2月20日、「サントリーホール」での第61回定期に引き続き、2年連続の開催となります……と、わざわざ言わねばならないほど、演奏会の開催が難しい時期が長く続きましたよね。
定期演奏会に限ってみても、2019年2月10日に「サントリーホール」で第58回定期が開催された後は、2020年の第59回定期、2021年の第60回定期が、いずれも「サントリーホール」での開催が予定されていながら中止され、「欠番」となってしまいました。
そして、ようやく開催された昨年の第61回定期演奏会は、私は当選しませんでしたし、開催当日は遠出することになってしまったため、たとえチケットが届いても会場に足を運ぶことができませんでした。
というわけで、私にとっては4年ぶり、オリンピック的位置付けの今回の定期演奏会です。昨年の12月には、早々に休暇を取得していたほど楽しみにしていました。
「すみだトリフォニーホール」は、JR錦糸町駅のすぐ近くにあります。
この会場を訪れるのは、2018年12月14日に開催された、東京音楽隊の第59回定例演奏会(ハートウォーミングコンサート)以来です。
この時は、錦糸町駅に着いた頃には辺りはすっかり暗くなっていたので気づかなかったことがあるんです。
トリフォニーホールへ行くには、錦糸町駅の北口から出ます。
そして、北口を出ると…
ちょっと慌ただしい動画ですが、真正面の奥に東京スカイツリーが聳え立っているのが分かると思います。
そして、このショート動画をアップするため、駅前の隅の方で入力作業をしている時に、すぐ近くで、二人の女性よる「大湊」が云々という会話が聞こえたものですから、「おや?」とスマホから視線を上げると、ほぼほぼ目の前に、海上自衛隊の冬制服を着用された岩田有可里さんが立っていらっしゃるではありませんか! 会話のお相手は、私服ではありますが、会話の内容から判断して海上自衛官だと思われます。何と言う偶然にして千載一遇の機会ではありますが、お二人の会話が大変盛り上がっていましたので、そこは遠慮して、岩田さんに目礼だけさせていただきました。岩田さんも気づいてくださったのではないかと思います(希望に基づく勝手な解釈(╹◡╹))。程なく、お二人は駅前のビルの中に吸い込まれて行かれました。
この後、会場で「いかつち」さんとお会いした時に、「道を歩いてたら目の前を岩田さんと思しき方が、私服の女性と連れ立って歩いておられたけど、気づいたら消えてた」との話がありました。うん、それ間違いなく岩田さんでしょう(╹◡╹)
ちょっと早めに会場前に辿り着きましたが、jubijubizhyさんはすでに到着されていました。海上自衛隊音楽隊の、これ以上ないくらい熱心なファンのお一人ですが、今回はトレードマークである海自迷彩柄のジャンパーと護衛艦「きりしま」の部隊識別帽という出立です。
時間があるので、エントランス付近の様子をちょっと撮影してみました。
そうこうするうちに、エトランス前のスペースには演奏会を聴きにこられたと思われる方々がどんどん増えていき、「いかづち」さん、「斉藤さん」、「シャラポワ」さんと合流しました。少し遅れて「スペリアFUJI」さん、「潜水士さん」とも挨拶を交わすことができました。
また、海自の先輩OBであり、私の現在の職場の先輩OBでもあるO先輩からお声掛けをいただき、その直後に「Johsan」さんとも久々にお会いすることができました。また、会場内に入ってからは、海自の1期先輩であるMさん(以前、水交会湘南支部の東京音楽隊研修の際にご一緒させていただいた方です)にもお目にかかることができました。
やはり、現場ならではのダイナミズムというものがあるなと感じた次第です。
会場に入り、ステージ上を見ますと、左端にグランドピアノが奥に向かって置かれ、その右隣では、荒木美佳さんがハープのチューニングをされていました。今日も海幕から応援に来られているようです。MCも荒木さんなんでしょうか。
今回の演奏会では、聴衆が入場を続ける中、本公演に先立つプレコンサートが行われました。演奏が始まった時、私はロビーで知人と話をしていたものですから、どのようにスタートしたのかは見ていませんが、私が観始めてからも新たなメンバーが加わっていく様子から、フラッシュモブ的に始まったんじゃないかと思います。
とても楽しいプチ演奏会でした。
さて、いよいよ本公演の始まりですが、今回の演奏会のセットリストを見て見ましょう。
なんとなく、あっさりした感じですね。でも、第1部には橋本晃作さん、三宅由佳莉さんの歌が入り、なんと!太田沙和子さんの「ラプソディ・イン・ブルー」が・・・
2018年7月7日に川越で行われた3自衛隊合同演奏会での衝撃を思い出します。
開演時間となり、盛んな拍手の中、両袖から隊員の皆さんが次々に登場され、それぞれのポジションに着いていかれます。近藤悟史さんリードによるチューニングが終わると左袖から植田隊長が登場され、拍手に応えたのち指揮台に上がります。
第1部
演奏が終わったところで、左袖から荒木美佳さんの登場で、会場にはまた拍手が湧き上がります。「皆さんこんばんは〜」と挨拶されますが、なんとマイクのスイッチがオフになっており、スイッチを入れ直して再び「皆さんこんばんは〜!」と、懐かしい元気な声! 最近MCの機会も減ったので、ちょっと緊張されているのかもしれません。
荒木さんによると、オペラの序曲は、そのオペラのテーマを反映するもので、「絹のはしご」は、現代風に言うとラブコメディのような作品であるため、序曲も楽しく明るい雰囲気であるとのことでした。
2曲目:女心の歌〜リゴレット・ファンタジー/G.ヴェルディ、編曲:伊藤康秀
女心の歌は、オペラ「リゴレット」の第3幕で歌われるアリアで、女は移り気で、思わせぶりで、涙の裏では笑っている、といった男のぼやきのような歌です。
もちろん、橋本晃作さんが歌われ、楽器の音量に負けない迫力あるテノールを存分に聴かせてくださいました。なんだか会場がピシッと締まる感じがしました。客席にも満足感が広がっていくようでした。
私の後ろの席の方々が、橋本さんのファンらしく、次に聴ける機会はいつであるとかそのような会話を仕切りにされていましたが、これからもどんどん人気の輪が広がっていくことでしょう。
橋本さんの歌が終わると、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こり、橋本さんも、満面の笑顔でこれに応えておられました。左袖に履けた後も、鳴り止まないカーテンコールの拍手に、橋本さんは再び登場され、これに応えておられました。いい感じです。
演奏会で披露された伊藤康秀さん編曲のリゴレット・ファンタジーの動画を埋めますが、この動画では、歌唱部分も演奏のみです。
そこで、橋本晃作さんが歌われた歌唱部分はパバロッティの動画を別途埋め込むことにします。
3曲目:早春譜/吉丸一昌
橋本さんのテノールで、テンションが上がり気味の会場は、引き続き予定されている三宅由佳莉さんの登場を待ちます。
荒木さんから、オペラにも素晴らしい作品がたくさんあるけれども、日本にも歌い継いでいきたい美しい歌が多い、早春譜もそんな歌の一つだと紹介がありました。
多くの人に愛されているこの曲、メロディももちろん素晴らしいのですが、その歌詞がまた、非常に美しいなと思います。
演奏が始まると、左袖から三宅由佳莉さんが静々と登場して来られました。曲の雰囲気に合わせた登場の仕方なのでしょうね。最近私が拝聴した三宅さんの歌唱は、長野公演の際の、デーモン風「地上の星」でしたから、このような、三宅さんらしいしっとりとした歌は本当に久しぶりです。なんというか、遠目に見ても、纏っている雰囲気が円やかですし、年を経るにつれ、あらゆる意味で大きく成長されていることがよく伝わってきます。素晴らしい歌声でした。
三宅さんの歌が終わるや、大喝采が湧き上がったことは言うまでもありません。三宅さんの歌が聴きたくて来られている方も多いことでしょうし。
歌が終わったところで、荒木さんから「歌は、三宅由佳莉2等海曹でした」と紹介があり、会場からは再び大きな拍手が送られると、三宅さんも満面の笑顔です。
三宅さんは会場に深々とお辞儀をされ、ステージの近くに顔見知りの方がいらっしゃったのか、そちらへ手を振ったり、会場全体にも手を振りながら左袖へはけていかれました。ここでもやはり鳴り止まないカーテンコールに三宅さんが再び登場して、笑顔で応えておられました。
荒木さんが言われたとおり、オペラもいいけど日本の唱歌はやっぱり日本人の心を打つなぁと、しみじみ感じた次第です。
三宅由佳莉さんは、演奏会や番組出演など、多くの場面でこの歌を歌ってこられましたが、動画として残されているものはないようで、見つけることができませんでした。
ですから、楽しめるように歌詞を確認できる動画を埋めておきます。
4曲目:ラプソディ・イン・ブルー/G.ガーシュウィン
これはもう、ガーシュインといえば、と言っても良いほど有名ですし、人気もありますし、何より魅力的な曲だと思います。
荒木さんの解説では、シンフォニックジャズを代表する作品であり、ジャズとクラシックの要素を併せ持つ曲なのだとのことでした。
この曲の解説は、ちょっと長くなったのですが、それには訳があります。当初ステージ左脇に奥に向かって設置されていたグランドピアノをステージ中央まで移動する必要があったからです。ステージ上の大きなピアノを移動する様子を見る機会はなかなかありませんので、とても興味深く拝見させていただきました。
ピアノのセットが終わり、荒木さんから、「ピアノは、1等海曹・太田沙和子です」と紹介があり、太田さんが左袖から登場されると、会場からは期待を込めた大きな拍手が送られました。
正直言って、太田さんがこの曲を弾かれるのを再び聴くことができるとは、思っていなかったものですから、会場入り口でパンフレットを手にした時、「嘘だろ」と思ったほどでした。
前回は、最前列の中央に座っていたため、太田さんの演奏の迫力を支えきれずに疲労困憊してしまいましたが、今回はかなり離れた後方からの鑑賞ですので、余裕を持って楽しめました。なんにせよ、バンドも、ピアノも素晴らしい演奏で、前回にも増して感動を覚えました。やっぱりすごいな(╹◡╹)
演奏が、終わると、歌手のお二人に送られた拍手とはまた意味合いの違う大喝采が巻き起こりました。太田さんはいつものように、ちょっとはにかむようにこれに応え、退場されましたが、やはりカーテンコールを求める拍手は鳴り止まず、再び登場されて大喝采に応えておられました。
INTER MISSION
休憩に入りましたが、現状では、まだステージ上の隊員の皆さんに直接声掛けするのは憚られますので、パーカッションの赤嵜尚子さん、コントラバスの岩田有可里さんなどへのご挨拶は控えることにしました。
今回の演奏会では、ちょっとステージが遠かったのでよく見えていないところもあるのですが、赤嵜さんは、ステージ奥のパーカッションエリアには行かれず、ずっとマレットゾーンにおられたと思います、ちょっと珍しいなと思いました。
岩田さんは、今回エレキベースはなしで、コントラバス一本槍でした、遠かったですけど、ベースの音が心地よく響いてました。
第2部
1曲目:白鯨と旅路をともに/R.ガランテ
荒木さんの曲紹介では、まるで映画音楽のように、情景が色鮮やかに目に浮かぶような華やかな曲調というような表現だったと思いますが、まさにその通りで、私は聴きながら、時々、西部劇の映画のようなイメージが浮かびました。とても素敵な曲だと思います。
荒木さんはまた、海上自衛隊には「はくげい」という潜水艦があり、この3月に就役予定であることから、自分たちにとっては身近に感じる曲でもあると、ちゃっかり宣伝もされてました。さすがは海幕広報室員。
2曲目:詩的間奏曲/J.バーンズ
現代の吹奏楽界において、最も有名でまた人気の高い作曲家であるジェームズ・バーンズ氏の数多くの作品の中でも、しっとりとした抒情的な曲である詩的間奏曲という紹介だったと思います。バーンズ氏は、前東京音楽隊長の樋口好雄さんとの交流も深く、東京音楽隊を訪ねられた時の様子が、東音のホームページにも掲載されていましたね。
曲紹介が終わると、荒木さんはそのままハープに就かれ、演奏も披露してくださいました。
3曲目:エスカペイド/J.スパニョーラ
荒木さんの曲紹介によると、この曲は、スパニョーラが米空軍軍楽隊に在籍していた時に作曲されたもので、曲を作るにあたっては、何かに縛られることなく、最初に得た着想から次々と浮かんでくる思いやアイディアを自由に展開して行こうと考えていたのだそうです。そして、空軍のバンドのメンバーなら、難なくそれをこなしてくれると信じていたのだとか。エスカペイドには冒険という意味があり、まさにこの曲の冒険的性格を表しているのではないか、とのことでした。
因みに、米軍の軍楽隊の中では、空軍が最もレベルが高いのだという評価を何かで読んで記憶があります、確かではありません(^^)
そんな風に作られた曲なので、実験的な要素も多く含まれているのでしょう。ちょっとびっくりするような曲かもしれません。
4曲目:ダンソン第2番/A.マルケス
「時間が経つのは早いもので、この演奏会も最後の曲となってしまいました」との語り口で荒木さんの曲紹介が始まりました。本当に早いですね。
今回は、「今こうしている時にも、皆様の目の届きにくい海の彼方で、暗い海の中で、そして空の彼方で任務に就いている多くの海上自衛官がいることを知っていただければ幸いです」との口上は、このタイミングではなく、結構早めにされていました。どのタイミングだったかは失念しましたが、いつもとは違うなぁと感じた次第です。
それはともかく、最後の曲ですが、荒木さんの紹介では、ダンソンとはキューバのダンス音楽で、「ダンソン第2番」は、確かメキシコの高校?からの委嘱で作曲され、初演されるや大好評となり、現在ではメキシコの第2の国歌とまで言われていること、現在、世界的にも人気と知名度が上がりつつある曲であることなどが紹介されました。
交響楽団の音ですけどお聴きください。
全ての演奏が終わり、植田隊長は喝采に応えつつ退場されますが、もちろん、会場からは「アンコール」を求める拍手が鳴り止みません。三宅由佳莉さんや橋本晃作さんの歌が聴けるかもしれないという期待が籠っていたと思います。
鳴り止まない拍手の中、隊長と共に三宅由佳莉さんと橋本晃作さんが登場したため、会場は大盛り上がりとなりました。二人で歌ってくれるんですね。さて何を?
先日亡くなられた松本零士さんへのオマージュという意味も込めて、宇宙戦艦ヤマトというのもありなのかも知れませんが、演奏会の曲目は相当前から決められているでしょうし、定期演奏会ということもありますから、ここは堅いところで決めてこれらました。
アンコール①:歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」/G.ヴェルディ
先日の宇都宮での横音のコンサートでも演奏された、歌劇「椿姫」から、「乾杯の歌」が、声楽家のお二人によって披露されました。
橋本さんのオペラ歌唱は、これまで何度かお聴きする機会がありましたが、三宅由佳莉さんによる、生のオペラ歌唱は、私は初めてです。
橋本さんの安定感のあるテノールが口火を切って歌われて行きます。そして三宅由佳莉さんの歌い出し、小気味のいい巻き舌から始まるイタリア語の歌詞が美しいソプラノで紡ぎ出されるのです。
東京音楽隊は、橋本さんを採用した時から、これがやりたかったに違いないと思えるほど、形になっている、はまっている、そんなステージです。これまで、披露する機会が奪われ続けてきましたから、満を持しての東音オペラの開幕ということではないのでしょうか。これから、どんな展開があるのか楽しみで仕方ありません(╹◡╹)
会場もなんだか浮き足だっています。
お二人が歌い終えるや、大喝采に加え「ブラボー!」が何本もかかりました。
本当に素晴らしかったです。お二人は興奮覚めやらぬ会場に何度もお辞儀をして、手を振りながら退場されましたが、もちろん、本日4度目のカーテンコールを求める拍手はさらに高まります。
お二人が揃って再び登場され、声援に応えておられました。
うん、よかった。
お二人と植田隊長が退場されても拍手は鳴り止みません、もちろんんアンコールですよね。植田隊長が登場され、指揮台に上ります。
アンコール②:行進曲「軍艦」/瀬戸口藤吉
盛り上がっている会場は、最初から手拍子で演奏に参加します。気持ち良いです。
演奏が終わり、隊長が退場されても、拍手は全く鳴り止みません。「軍艦」演った後にもう一曲はないことは皆さん分かっているのですけど、拍手し続けたい、そんな感じではなかったかと思います。
今回は、昨年に引き続き開催できたとはいえ、この1年間も状況は不安定であり続けたこと、それとは裏腹に正常化の道筋も見えてきたこと、そして太田沙和子さんの驚愕のピアノ演奏、そして三宅由佳莉さん、橋本晃作さんによるオペラが披露されたこと、それらが会場の皆さんの心を掴んだからこそ、「やめたくない」拍手が続いたんだと思います。
私にとって、4年ぶり、2回目の東京音楽隊定期演奏会。心の底から堪能させていただきました。音楽隊の皆様、お疲れ様でした、そして素晴らしい演奏をありがとうございました。