あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

横須賀音楽隊スプリングコンサート@宇都宮

 建国記念日の昨日(2023年2月11日)、宇都宮市文化会館で開催された、横須賀音楽隊のスプリングコンサートを聴きに行ってきました。

 「いかづち」さんが当選されて、その同伴者として招待してくださったのです。

 実は、1月28日に甲府で開催された同隊の演奏会も、「jubijubizhy」さんが当選され、やはり同伴者として誘ってくださったのですが、折り悪しく風邪を拗らせていたものですから断念せざるを得ませんでした。ですから、今回の演奏会には、2回分の期待感を込めて行って参りました。

 宇都宮に全く馴染みがない私には「餃子」くらいしか頭に浮かばないのですが、未知の土地に足を踏み入れること自体がとても楽しみです。

 そもそも、宇都宮までどうやって行けばいいのかな、と思い調べてみると、何と、最近私のホームとなっている新宿から、湘南新宿ラインで直行できることがわかりました。新宿駅の6番ホームから乗り込みましたが、休日なのに結構混んでます。

 ところが、停車するたびにだんだん乗客が少なくなって、ついにはスカスカになってしまいました。休日はこんなもんなんですね。

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 前日は、関東一円でかなりの降雪がありましたし、北関東の冬は空っ風が厳しいところと聞きますので、しっかり厚着をして出かけたのですが、正午前に宇都宮駅に着き、外に出てみると、抜けるような青空と降り注ぐ陽光、そして風が全く吹いていないので厚着の私には暑いほどでした。まぁ寒いよりいいか(^^)

 会場の宇都宮市文化会館までは4kmほどですので、街並みを楽しみながら徒歩で向かいます。駅から少し離れると、天気が良いにも拘らず、歩行者がほとんどいません。皆さん移動は車なんでしょうね。

 開演は1400ですが、1300開場で「いかづち」さんは1230頃には会場入りするとのことでしたので、コンビニでおにぎりを購入、食べながら向かいます。あまり行儀は良くありませんが、他に歩行者もいないし良いこととします。

 歩くと、色々と発見があるので、私は徒歩での移動が大好きです。

 この歩道橋もそんな一つ、見た瞬間「おや?」と思い撮影しました。


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 「桜馬場愛の歩道橋」…なんだか素敵なネーミングですが、調べてみても、なぜこの名が冠されているのかが分かりません。桜馬場という地名もないようですし…謎です

 ともあれ、小一時間で会場に辿りきました。立派な建物です。


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 横須賀音楽隊の皆さんが乗ってこられたバスや楽器運搬車はちょうどこの建物の裏に停めてあり、先に到着していた「いかづち」さんがそれらを撮影してLINEで送ってくれていました。

 さて、「いかづち」さんと合流して入場、指定された席へ向かいます。今回の私たちの席は2階の一番後ろのブロックの最前列です。ステージは遥か彼方ですが、全体がよく見えます。

 会場には、「スペリアFUJI」さんと「ギャラリー」さんもいらっしゃったので、ご挨拶と情報交換(私はもらうだけですけど(≧∀≦))ができました。

 私たちが入場した時には、まだまだ人の入りが少なかったので、会場内の様子を撮影してみました(因みに、演奏中の撮影や録画・録音は禁止されていましたが、それ以外は、特段の制限はありませんでした)。

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 そうこうするうちに、開演時間が迫ってきます。入場者はどんどん増えて、会場を埋めていきます。こんなにたくさんの人が入った会場を見るのも久しぶりです。隊員の皆さんも演奏するのが楽しみなんじゃないでしょうか。

 さて、今回の演奏会のプログラムです。

 ご覧のとおり、2部構成となっており、第1部はクラシックを中心に、第2部はカジュアルな楽曲で構成されています。第1部の指揮は、横須賀音楽隊音楽科長の岩田知明さん、第2部の指揮は、以前、東京音楽隊の副長もされていた、横須賀音楽隊長の北村善弘さんです。

 第1部も第2部も、中川麻梨子さんのボーカルが入ってます。中川さんの歌を生で聴くのも久しぶりなので楽しみです。

 1400となりましたが、開演に先立ち、この演奏会の主催者である栃木県防衛協会の青木勲会長からご挨拶がありました。防衛協会の役割や周辺情勢などを述べられるなか、災害派遣で活動した部隊が撤収する際、子供達が小さな日の丸の旗を一生懸命振りながら見送りをしている姿などを見ると、熱い思いが込み上げてくるといったお話や、海上自衛隊音楽隊の前身である帝国海軍軍楽隊のことにも触れられ、連合艦隊司令部での昼奏楽や市中パレードなどの華やかな面のみならず、戦時には砲弾の運搬などにもあたっていたことなどを紹介され、音楽隊の演奏会は、そのような歴史を振り返る良い機会でもあると仰っていました。

 青木会長のご挨拶が終わり、いよいよ演奏会が始まります。

 隊員の皆さんが、左右の袖から次々と入場されてきますが、当初会場はシーンと静まり返っています。拍手はしたいんだけど、何となく躊躇っているという感じがしました。おそらく、長いことコンサートから遠ざかっていたからなのではないでしょうか。でも、2階席から拍手が始まると、あっという間に会場全体に広がりました。何だか一瞬でコロナ以前に戻ったような感じです。

 そして、左袖から、モーニングタイプの演奏服に身を包んだ岩田1尉が登場すると、さらに拍手は盛り上がります。

 客席に向かって挨拶をされた後、指揮台に上りタクトの一振りで演奏が開始されました。

第1部

1曲目:理想の海へ(平成22年横須賀音楽隊委嘱作品)/作曲:清水大輔

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 私は初めて聴いたのですが、まるでスターウォーズのテーマのような、軽快かつ勇壮な曲だなと思いました。

 演奏が終わったところで、左袖から女性隊員が登場し、「皆さん、こんにちは!」と挨拶されました。第1部のMCを担当される方です。自己紹介で、「海士長・谷端むつみです」と仰いました、谷端さんよろしくおねがいします。

 滑舌も良く、とても心地よく聞きやすい声質です。だからMCに抜擢されているのではないでしょうか。

 

2曲目:歌劇「椿姫」セレクション/作曲:G.ヴェルディ

 MCの谷端さんから2曲目が紹介され、ヴェルディの歌劇「椿姫」から、「乾杯の歌」や「花から花へ」など数曲を選んで編曲されたものということです。

 編曲されたのは横須賀音楽隊の小村英生さんなのですが、この作品はYouTube上では見つけることができませんでした。そこで、雰囲気だけでもと、「乾杯の歌」の動画を埋めておきます。なお、演奏会では吹奏のみで歌唱はありませんでしたが、歌唱なしの動画はおそらくないと思います。

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3曲目:歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」/作曲:G.プッチーニ

 長崎が舞台の歌劇「蝶々夫人」、アメリカ海軍のピンカートン中佐との結婚が、彼が長崎に滞在している間だけのものであるとは知らず、中佐の帰国後も、二人の間に生まれた子とともに、再来を信じて待ち続ける。そんな切ない心情を表現する「ある晴れた日に」…中川麻梨子さんの出番です。

 曲lの紹介が行われている最中、ステージ上からはかなりの隊員の方々が楽器を置いて両袖に履けて行かれました。曲調からしても少人数での演奏となるのでしょう。

 左袖から中川さんが現れると、会場内には拍手が湧き上がります。遠いので表情は分かりませんが、会場を埋め尽くす聴衆を目の前にして、気合も入ったんじゃないでしょうか。伸びやかな声で、この曲を歌い上げられました。

 いい声ですね。いつ拝聴しても安定感がありますし、重層的な厚みが感じられる心地の良い歌声だと思います。

 YouTubeに、中川さんご自身が歌われる動画があったのですが、何故か音声が消えているため(≧∀≦)、山口水蛍さんの動画を埋めておきます。

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4曲目吹奏楽のための第1組曲 /作曲:G.ホルスト

 ホルストと言えば、組曲の「惑星」が何といっても有名ですが、吹奏楽のための組曲も手掛けていたんですね。

 MCの谷端さんによると、この曲は吹奏楽関係者に愛され、日本でも多くの吹奏楽団が演奏しているそうです。また、日本の吹奏楽lの淵源は、約150年前に英国陸軍軍楽隊のジョン・ウィリアム・フェントンが薩摩藩の若い藩士たちに吹奏楽を教えたことにあるとのことで、英国人作曲家であるホルストの曲が選ばれたということでしょう。

 谷端さんによると、この曲は、3拍子のシャコンヌ、軽快で疾走感のあるインテルメッツォ、そして勇壮なマーチの3つの楽章から成りますが、「この3曲を、間を空けずに一気に演奏します」とのことでした。でも、シャコンヌからインテルメッツォに移行するところで、一部から拍手が起きました。おそらく、音楽に造詣の深い方々なのではないでしょうか。シャコンヌが終わったところで、反射的に拍手してしまったのではないかと思います。

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 演奏が終わり、岩田1尉が観客席に深々とお辞儀をして左袖に履けて行かれますが、拍手は鳴り止みません。が、会場の照明が点灯され、「これにて第1部の演奏は終了となります」とのアナウンスが流れたので、拍手も鳴り止みました。いや、第1部の終了時にアンコールはないでしょう、とは思いつつ、皆さんもっと聴きたいという気持ちが強かったんでしょうね。

 ここで、休憩に入ります。

 

INTER MISSION

 

第2部

 第2部が始まりますが、隊員の皆さんの入場の仕方が面白かったです。第1部は、ちょっとかしこまった風だったのですが、第2部は、会場に向かって手を振りながら入られる方、5人くらいで駆け足で入場される方々など、それぞれにちょっとした趣向を凝らしてステージに散って行かれます。第1部と違って、カジュアルに行くよーというメッセージなのでしょう。会場は最初から拍手で迎えます。

 そして、横須賀音楽隊長の登場で、拍手はさらに盛り上がります。そして左袖からは中川麻梨子さんが登場し、第2部のMCを担当すると仰ると、また大きな拍手が湧き上がりました。

 

1曲目:ディズニー・クラシックス・レビュー /作曲:山里佐和子

 みんな大好きディズニーワールドからの選曲です。

 トランペットチームによる「グァグァグァ」というアヒルの鳴き声や、パートが目まぐるしく変わる演奏など、とても楽しい構成になっています。

 動画を見て楽しんでいただければと思います。

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2曲目スーパーマリオブラザーズ /作曲:近藤正治

 日本が世界に誇るゲームの一つですよね。私がまだ20代半ばの頃に任天堂から、「ファミコン」のソフトとして発売され、まさに社会現象とまで言われるほどの大ブームが起きた代物です。私も夢中になった時期がありました。本当によくできたゲームだったと思います。中川さんによると、40年を経た今でも新しいバージョンが登場し、映画化も勧められているとのこと、いやはや、当時の日本は本当に凄まじいパワーを持っていたんだなぁと、つくづく感じさせられます。

 それはともかく、演奏です。出だしから、ワクワクさせられますし、曲調が変わるたびにゲームのシーンが目に浮かびます。曲だけでも本当に楽しめますよね。この曲の演奏にあたっては、パーカッションの皆さんの活躍が目覚ましかったと思います。

 ゲームの中でマリオがジャンプして金貨を手にいれる際の「チャリン・チャリン」という音や、マリオが巨大化する時の遷移音、など、実に細かいところを、パーカッションチームが見事に演奏されてました。見事という他ないでしょう👏

 横須賀音楽隊が野外で演奏している5年前の動画がありましたので埋めます。

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3曲目:日本の四季

 MCの中川麻梨子さんが、周囲を海で囲まれ、寒流と暖流の影響を受けるが故に四季の違いがはっきりする日本には、四季折々の風情を表現した美しい歌が多いと紹介され、そのままステージ中央のスタンドマイクの前へ。そうです、本日2回目の歌唱となります。

 21世紀に歌い継ぎたい日本のメドレー、というコピーがつけられたこの曲の構成は、記憶に違いがなければ次のとおりです。

 朧月夜〜我は海の子〜夏は来ぬ〜里の秋〜故郷

 聴き慣れた唱歌も、中川さんが歌うと何だか別のものに聴こえてきますね。素晴らしい歌声でした。

 

4曲目:マンボ・イン

 この曲の演奏に先立ち、中川さんから、「この曲では、会場の皆様にも演奏に参加していただきます。」と突然の通告です。「演奏の経験がない、演奏したくても楽器を持って来ていない、でも大丈夫、皆さんには手拍子で参加して頂きます。」とのことで一安心。中川さんによると、「今から演奏するマンボには、クラーベという独特のリズムが非常に大切です。それをちょっと練習してみましょう。」ということで、パーカッションのお二人がステージの前の方へコンガなどの打楽器を運び、そこでリズムを刻み、それに合わせて会場が手拍子の練習をするのですが、打楽器の音からリズムを拾うのも大変です。他の隊員の皆さんがステージ上で手本を示してくださるので、みんな何とかついていけた感じです。そして、曲の途中で音楽隊長が客席の方に向き直り、合図をするのでその時にみんなで手拍子参加という段取りとなりました。

 これが実に楽しかったです。会場とステージが一体となってこの曲で盛り上がったという感じでしょうか。

 舞鶴音楽隊の演奏会での「マンボ・イン」の動画がありましたので埋めておきます。

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 この動画で、ステージ奥のパーカッショントリオの真ん中で演奏しているのが山崎2曹という方なのですが、実に楽しい人柄が伝わって来ますよね。

 実は、今回の宇都宮演奏会で、この山崎2曹の演奏を直に観ることができました。

 先ほどのクラーベの練習の際、ステージ前方でコンガと叩いていたのが山崎さんです。この時も本当に楽しい雰囲気が会場全体に伝わりました。ものすごいパワーを持った方だなぁと改めて思いましたし、楽しみがまた一つ増えました。

 

5曲目:スウィングしなきゃ意味がない

 演奏会最終曲です。

 「この曲を楽しくしているのは、メロディでも音でもない、リズムだ!」中川さんの曲紹介で印象に残った言葉です。なんかわかる気がする。スウィングしなきゃ意味がない。横須賀音楽隊の9年前の野外動画がありましたので、埋めておきます。

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 この曲の演奏では、びっくりするような演出がありました。いや〜、やられたと言いますか、マジびっくりです∑(゚Д゚)

 曲の途中で、ステージ左奥に据えられたドラムセットに女性隊員の方が座って演奏されている音に気づきました。なんだか、迫力のある音で、叩く姿も格好良いし、ドラムのソロでもあればいいのになぁと思っていました。

 ところがやがて、ドラムにスポットライトが当たり、ステージの照明が暗転していきます。お、マジでソロ演奏? なんだかワクワクします。

 そこから、他の楽器は音を潜め、ドラムの音だけが会場内に響き渡ります。会場の皆さんは皆固唾を飲んでステージの一点を見つめている、そんな緊迫感が会場を包んでいます。延々と叩き続けられる中、フェイドアウトするのかと思いきやズドンと音が帰ってくるといった、多彩な表現が繰り出され、私たちを惹きつけます。

 演奏途中でも、素晴らしいテクニックが披露されると会場からは拍手と指笛が鳴り響きます。ソロ演奏が何分続いたのかはわかりませんが、相当長かったと思います。相当しんどいはずですが、最後までパワーは衰えず、迫力ある演奏を聴かせてくださいました。演奏が終わるや、割れんばかりの大喝采と指笛の嵐が彼女を祝福します。そしてステージにライトが灯ると、なんと、他の隊員の皆さんは楽器を置いたまま履けていました。大胆な演出によるソロ演奏、いやいや、これは「オンステージ」ですね。

 素晴らしいドラム演奏を聴かせてくださった女性隊員ですが、お名前を存じ上げておりませんので、ひょっとしたらご存知かと「ギャラリー」さんにお聞きしたところ、「サコダ」さんと仰るそうなのですが「迫田」なのか「佐古田」なのか、あるいは他の漢字なのかはわからないとのことでした。

 カタカナで失礼しますが、サコダさん、本当に素晴らしい演奏を披露してくださってありがとうございました!

 ドラムソロが終わり、隊員の皆さんが席に戻られ、隊長も再び登場され、会場からの拍手喝采に応えられました。

 

 ここで防衛協会から第1部、第2部それぞれの指揮者への花束贈呈が行われました。大きな花束でした。

 両指揮者が大きな拍手の中左そでへ履けても、喝采は鳴り止まず、やがて手拍子に変わっていきます。

 隊長と中川さんの登場です。そうなんです、軍艦の前に、もう一度中川さんの歌唱を聴くことができたのです。そしてそれは素晴らしい歌声でした。そうなんですが、曲名が思い出せないんです。よく聴く、とても馴染みのある曲なのですが、「日本の四季」で歌われた唱歌の類の歌だったことはわかるのですが、何が歌われたのか、どうしても思い出すことができません。残念です(≧∀≦)

 

 そして、本当の最後、これはもう言わずもがなの行進曲「軍艦」ですね。

 会場の皆さんの本当に本当に楽しみにしておられたようで、曲が始まると同時に手拍子が追いかけて行きました。私は、今回はじっくりこの曲を楽しみたかったので、手拍子はやめにして聴き入っていましたが、私の席から3列ほど前の左の方に、小学校3〜4年生くらいの女の子が座っていたのですが、軍艦が始まると、立ち上がって大きな手拍子を送っていました。その姿がまた、とても可愛かったです。

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 うん、宇都宮まで行ってよかった。「いかづち」さん、お声がけ頂きありがとうございました。本当にいい演奏会でした。会場もほぼ満席でしたし、隊員の皆さんも演奏し甲斐があったのではないかと思います。

「ギャラリー」さんによると、やはり、「今日の横須賀音楽隊は演奏に気合が入ってたような気がする」、サコダさんについても、「今日の演奏が一番よかったと思う」と仰っていました。やっぱりそうですよね、感染防止のためだとしても、空席の目立つ会場では士気が上がりません。ぎゅうぎゅう詰めの会場で精一杯演奏し、精一杯声援を送る、そんな日常はやがて戻ってきます。きっと戻ります。戻しましょう。

 横須賀音楽隊の皆さん、素敵な演奏をありがとうございました(╹◡╹)