ここにきて、新型コロナウイルスへの感染者数が大きく増加の傾向を示し始めました。これまで、何とか瀬戸際で踏みとどまっているかに見えた感染防止対策が、もはや支える力を失ったのか、現時点では何とも言えませんが、感染経路不明というケースが急増していることから、これまでとは全く異なるステージに突入したということだと思います。
感染の拡大からこの社会を守るためには、自分が感染者であるとの前提に立ち、周囲への感染を抑えるような行動が最も大切だと思います。最悪の場合死に至る病ですから、不安になるのは当然ですが、現時点で有効な治療法は確立していませんので、病院へ行ってもどうすることもできません。現在入院治療を行なっているのは、肺炎を発症した重篤患者に対し、呼吸を助ける処置であり、病気の治療ではありません。
有効な治療法が確立するまでの間、私たちは自己免疫力でこの病気と戦うほかないのです。そして、感染を可能な限り抑制して、治療法が確立するまでの時間をどれだけ稼げるかが目下の課題だと思います。
さて、先行きが見えないコロナ感染ですが、先日、再開のめどが立たない演奏会の代わりに、海上自衛隊の各音楽隊が動画による演奏配信により、国民を元気付けようという作戦を展開しているようだという記事を書きました。大湊音楽l隊に引き続き、横須賀音楽隊も動画をアップしたことを紹介したものです。
その後、舞鶴音楽隊の動画がアップされ、また横須賀音楽隊による「南風が吹いたら」の収録の様子がテレビ放映されるなどの動きもありました。
そして、昨日、佐世保音楽隊の定期演奏会の動画がアップされました。これは、先月の14日にアルカスSASSEBOの大ホールで開催された同隊の第48回定期演奏会の模様を収録したものです。そうです、佐世保音楽隊は、定期演奏会を開催したのです。尤も、観客なしの演奏会です。
本来、満員となるはずのこの大ホールに一人の観客もいない状態で、演奏をされた佐世保音楽隊の皆さんの胸中は如何ばかりか。きっと悔しい気持ちはあったでしょう。でもそれよりは、ここに居るはずだった多くの皆さんへ、また、ここに居たかった、より多くの皆さんへ届けとの熱い思いがあったに違いありません。
この動画では、初演から30年を迎える佐世保音楽隊委嘱作品「吹奏楽のための交響詩〜ぐるりよざ」が、作曲者である伊藤康英さん指揮のもと、美しくも力強く演奏されます。すでにご覧になった方もおられるかもしれませんが、ここに埋め込みますので是非お聴きになってください。
コロナ感染により、各音楽隊と国民の紐帯は遮られてしまいましたが、音楽隊のこのような努力により、私たちは、普段なかなか聴くことのできない演奏を楽しむ機会が得られています。もちろん、ライブに優るものはありませんが、普段馴染みのない他の地域の音楽隊の演奏にも親しむ良い機会になっているとも言えますね。
以前、別記事でも書きましたが、感染防止のために自分にできることをやったら、あとは心穏やかに過ごす他ありません。音楽を楽しむ余裕も忘れず、この長い戦いを乗り切って行きましょう。