あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

残念だけど、本当に記念だ(╹◡╹)

 昨年の3月24日にサントリーホールで開催が予定されていた、東京音楽隊の第59回定期演奏会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止されました……などとわざわざ言うまでもなく、ここ1年半以上、東京音楽隊のホールでの演奏会は全く行われていませんが、あえて言及しているのには、もちろん理由があります。

 このコンサートは、参加者を募集した後、当選者が決定する前に中止が決定されたこともあり、応募者全員に「中止」となったことを連絡する必要がありました。海上自衛隊東京音楽隊のホームページにもその旨は掲載されましたし、当時の情勢に鑑みれば、誰もが中止はやむを得ないだろうと思わざるを得ない状況でしたが、驚いたのは、応募者全員宛に、中止となったことを丁寧に伝える葉書が届けられたことでした。そしてその葉書が樋口好雄隊長の記名入りで出されていたので、コンサートの中止は残念ではあるけれど、このはがきを受け取ったこと自体はとても記念になるなぁと思い、「残念だけお、記念だ(╹◡╹)」と言う記事を書きました。

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 応募総数がどれ程だったかは知る由もありませんが、過去の様々なデータから、1万件はあったのではなかろうかとの推計に基づき、そこに注がれた東京音楽隊の皆さんの心血に驚嘆と感謝の気持ちを記した次第です。

 そして今年の1月15日に昭和女子大人見記念講堂で開催が予定されていた、同隊の第61回定例演奏会も、当選葉書が届いた後に、首都圏などに二度目の緊急事態宣言が出されたため、開催の一週間前に中止が決定されました。

 この時は、なんと、当選者一人一人に電話による中止のお知らせがあり、またまた驚かされたのは記憶に新しいところです。私も、仕事中に携帯電話に着信があり、音楽科長の本田2尉から中止のお知らせとお詫びをいただき、却って恐縮したものですから、「心遣い」という記事を書きました。

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 こうして見てくると、東京音楽隊は、前コロナの平時においては、フルスペックの演奏会で、毎回サプライズと感動を与え続けてくれていましたし、コロナ有事の現在では、やはり、前記のようなフルスペックの対応で、私たちを驚かせ、感動させてくれているような気がします。

 いつのものことですが、前置きが長くなりました。

 こんなことを書き連ねているのには、冒頭でも申し上げたとおり理由があります。

 先般、6月11日に、すみだトリフォニーホール東京音楽隊の第62回定例演奏会が、久々のレギュラーコンサートとして開催予定であることを記事にしました。

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 久々のレギュラーコンサートですから、期待は膨らむものの、コロナ情勢がどうなるのかは常に未知数ですから、無事開催されることを祈るばかりでした。

 残念ながらと言いますか、案の定と言えば良いのか、新型コロナウイルス感染拡大防止のための首都圏などを対象とした緊急事態宣言が6月20日まで延長されることとなり、当然のことながら東京音楽隊の第62回定例演奏会も「中止」となり、第61回に続き、第62回の定例演奏会も「欠番」となってしまいました。それはもう残念でなりません。

 ただ、今回もやはり、サプライズと感動があったのです。

 当選者が決定する前の中止決定ですし、そもそも、緊急事態宣言が延長されたという不可抗力によるものなのですから、ホームページ等でその旨を公表するだけで、東京音楽隊には何ら瑕疵はないと思うのですが、今回も、応募者一人ひとりに樋口好雄隊長名で、中止決定のお知らせが届きました。しかも、今回は樋口隊長の「署名」入りの葉書です。 f:id:RetCapt1501:20210529094444j:image

 郵便受けに入れられた多くのチラシ広告の中からこの葉書を見つけた時、情勢から見て、内容を読まなくても「中止」は分かっていましたが、そんなことよりも「樋口好雄 拝」とのサインを見て驚きましたし、感動しました。

 前回の推計を踏襲するならば、1万通はあったであろう応募に対し、一枚一枚、樋口隊長が署名されたのかと思うと、大変驚きますし、恐縮してしまいます。

 でも、1年半以上、ホールでの演奏会が開催できないことを、私たち以上に残念に思い、ファンとの繋がりが希薄になっていくのを大変懸念されているのではないかと思います。

 今回、応募した全員に対して、署名を通じて樋口隊長が込められた思いというものはどんなものだったのだろう。そんなことを考えながらこの葉書を見ると、樋口隊長の、あの人柄に対する理解も深まるような気がしますし、演奏会を通じての交流はなくとも、東京音楽隊に対する親近感と敬意が改めて感じられる気がします。

 今回の中止は、本当に残念でなりませんが、樋口隊長の熱い思いというものが届けられる機会ともなりました。本当に記念に残る「中止」の通知だと思います。私たちファンも、あの平常が戻ってくることを信じ、それぞれの方法で、応援を続けていきましょう。