2月8日に新潟県は長岡市で開催された横須賀音楽隊の演奏会について、会場入りしたブログチーム・スペリアからの報告に基づき、「とりあえずの報告」と「リアル・レポート」の二本立てで報告させていただきましたが、同じ2月8日、我らが東京音楽隊は栃木県宇都宮市の「宇都宮市文化会館」においてスプリングコンサートを開催しました。
東京音楽隊のホームページにこの演奏会の情報が掲載されたのは、1月の中旬頃ではなかったかと思いますが、申し込みはすでに昨年の12月に締め切られていたことがわかり、流石のチーム・スペリアも為すすべかありませんでした。
そんなこともあり、このブログをお読みの方でこの演奏会に足を運ばれる方があればレポートをいただけると嬉しいな、と固定ページ(掲示板のようなもの?)には書いていたのですが、本日に至るも情報は皆無です。
で、twitterを検索してみたところ、いらっしゃいました!この演奏会をリハーサルから聴くことができたという「九曜」さんです。
土曜日に海上自衛隊東京音楽隊のスプリングコンサートに行ってきました✨
— 九曜 (@kuyou_katakura) 2020年2月10日
歌も演奏も最高でした♫
スターウォーズは鳥肌ものでしたよ☆彡☆彡☆彡
かっけかったなぁ〰(๑´>᎑<)~♡
また是非聴きに行きたいです( •̀ω •́ゞ)✧✨ pic.twitter.com/3vXC6rVfEU
早速、「もし差し支えなければ演奏会のプログラムを教えていただけませんか」と送ったところ、快く応じてくださいました。九曜さん、ありがとうございますm(_ _)m
さぁ、九曜さんが提供してくださったプログラムに沿って、いつものようにこの演奏会を再現してみましょう。
第1部
① ベルリンの風(Paul Lincke)
この曲は、第二次世界大戦前に活躍したドイツ人作曲家パウル・リンケの作曲になるものですが、ベルリン市の非公式の市歌なのだそうです。ご存知のとおり、ベルリンは第二次世界大戦後東西に分割され、西ベルリンは共産主義国となった東ドイツのど真ん中に取り残された民主主義の橋頭堡のような位置付けになりました。そんな時代が長く続きましたが、東西ベルリン市民にとって共通のアイデンティティーの象徴がこの曲だったのではないかと思います。吹奏楽による演奏動画も多数ありましたが、今回敢なぜ敢えて小澤征爾さん指揮の下ベルリンフィルの動画を貼ったかというと、そんなベルリン市民の心の故郷のような曲を演奏することで、ベルリン市民がどんな反応を示すのかを、そして「静かに聴いてるだけが演奏会のマナーじゃないぞ」ということを見せつけられた気がしたからです。そしてもう一つ、小沢さんの指揮ぶりをみていて、我らが樋口隊長はどんな風にタクトを振ったのかな、って、そんなことを強く想起させてくれる動画だったからです。ちょっと心に残る動画です。
更に言うと(まだあるんかい!)、やっぱりいかにもドイツっていう曲を剪定していますよね、昨年来、横須賀音楽隊も含め、ベートーベンが大流行りですし、何かあるんじゃないかなと思ったりもします。
② アパラチアの春(Aaron Copland)
作曲者のアーロン・コープランドは、20世紀のアメリカで活躍した作曲家ですが、20代の頃、すでに現代音楽と民衆の乖離を感じ始め、民衆の生活に根ざした民謡などを研究し、これらの要素を取り込んだ楽曲に取り組み始めたと言います。それは、時代の流れに身を任せるのではなく、音楽とは本来何なのかと言う本質を追求する態度だったのではないかと思います。そんなコープランドの代表曲とも言える「アパラチアの春」は、使命を帯びたエンタメ集団として常に音楽の本質を求め続けている東京音楽隊に相応しい楽曲ではないかと思います。
③ 早春賦(中田 章)
この曲は、大正時代に書かれたもので、黒部第四ダムへの長野県側の入り口とも言える大町市から安曇野にかけての早春の情景を歌ったものと言われています。
戦前のものが忌避される風潮にある我が国においても、長く愛され続けているのは、理屈抜きに日本人の感性に響く歌だからではないでしょうか。
この曲では、中川麻梨子さんの歌唱が披露されたに違いないと思います。
昨年9月に61歳の若さで他界されたソプラノ歌手、故・佐藤しのぶさんの、在りし日の姿を偲ぶ動画が投稿されていましたので、それを貼らせていただきます。合掌。
④ さくらのうた(福田洋介)
この曲は、2012年度の全国合唱コンクール課題曲の一つです。やはり、地方公演では必ず一つは入れてきますね。音楽隊の皆さんにとっても、会場にたくさんいおられたであろう中高吹奏楽部員、その保護者の方々にとっても、心を集わせ易いということがあるのでしょう。それに、おそらくこの演奏会の目的と思われる入隊予定者への応援という意味でも、静かに、でも同時に大いなる志を持って、開花の日を待つさくらになぞらえて彼らを応援する趣旨での演奏ではなかったのでしょうか。
華やかな楽曲が多いコンクール課題曲の中では、日本人的感性に強く沿った楽曲のような気がします。
⑤ スターウォーズ(John Towner Williams)
そしてそして、このプログラムを提供してくださった九曜さんが「鳥肌ものでしたよ」と報告してくださった「スターウォーズ」です。何の説明も要らないこの曲ですが、九曜さんのツイートを見た瞬間思いました、「東京音楽隊に言いたい、そんなんズルいわ、俺にもきかせてくれ!!」だって、ねぇ…これは聴きたいでしょう?
鳥肌が元に戻らなくてもいいから聴きたいです(≧∀≦)
ここで(おそらく15分間の)休憩です。
第2部
第2部の構成を見ると、やはり入隊予定者に対する壮行会なんだなと思えてくる楽曲が並んでいます。
① セレブレイション(E.B.ロバート、他)
当初、ここには、同じタイトルの別の曲の動画が埋めてありました。というのも、プログラムに記載されている「E.B.ロバートなる作曲家に辿り着けなかったため、違うよなぁと思いつつとりあえず貼っておいたのです。
そうしましたら、「横須賀あたりの住人」さんから、この曲ではないかとのご教示がありました(下の動画です)。動画は2016年8月に開催されたサマーフェスタでの横須賀音楽隊の演奏会で、AMANO Jun-ichiさんがアップしてくださったものです。当時の横須賀音楽隊長は、現東京音楽隊長の樋口さんだったとのことです。そして、この曲の作曲者の一人としてRobert Earl Bellの名があるそうです。もう間違い無いのではないでしょうか。
「横須賀あたりの住人」さん、いつも貴重かつ適切なご指摘やご教示をありがとうございます(╹◡╹)
②奉祝曲「Ray of Water」より"Journey to Harmony"(菅野よう子)
昨年11月に開催された、今上陛下の御即位をお祝いする国民祭典で初演され、アイドルグループとして認識されていた「嵐」がl見事に歌い上げて、その実力を見せつけた曲です。1月25日に東京音楽隊が静岡で演奏した動画を「海上自衛隊横須賀地方総監部Gallery」さんがアップしてくださっていましたので、ここに貼らせていただきます。
③ ギョ!ギョ!ギョ!ギョーザ(DON-9)
さて、宇都宮と言えば…餃子ですよね。その応援ソングである「ギョ!ギョ!ギョ!ギョーザ」が演奏されました。ご当地ソングとしての演奏ですが、何とも楽しい曲です。
実はこの曲には「ギョーザダンス」がセットで付いてきます。ということで、ひょっとしたら、チーム中川によるギョーザダンスが披露されたのではないでしょうか。
④ ジョイ・スプリング(Clifford Brown)
天才ジャズトランペッターとして注目されながら、交通事故に巻き込まれ25歳の若さでこの世を去ったクリフォード・ブラウンの作品です。一昨年の9月に開催された東京音楽隊のランチタイムコンサートで、トランペッターの類家心平さんとのコラボで演奏された時の動画をGalleryさんがアップしてくれていましたので、貼っておきます。
⑤ 青春の輝き(Richard Carpenter)
私の世代が、ちょうど青春の入り口付近にいた頃に何度となく聞いた曲です。あれからどれほどの年月が過ぎ去ったことか…でも、今でも色褪せることなく、多くの人に愛されているこの曲、昨年2月に横須賀市で行われた「ふれあいフェスタ2019」に東京音楽隊が出演した際、地元横須賀出身のサックス奏者・在川詩織さんがソロ演奏を披露され多くの人を魅了しました。私も、本当に目の前で拝見しましたが、ちょっと緊張されつつも、見事に演奏されている姿に感銘を覚えたことが忘れられません。
その時の動画を貼っておきます。今回の演奏会でも、在川さんのソロがあったのかもしれません。
⑥ オン・ジ・アザー・ハンド(Michel Camilo)
ドミニカ共和国出身のジャズピアニスト、ミッシェル・カミロの初期の代表作とも言えるこの曲、1月18日の大阪泉佐野市での避難訓練演奏会、1月25日の静岡音楽祭でも演奏されました。
静岡での演奏の様子を収めた動画を、Galleryさんが上げてくれていますので、その動画を貼っておきますね。太田さんのピアノが光ります。
アンコール曲はわかりませんが、最後はもちろん、行進曲「軍艦」だったのでしょう。歌唱があったのかどうかも情報なしです。
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いかがだったでしょうか? いかがも何も、ほとんど情報がないものですから、プログラムに沿って、ただ曲を並べるしかできませんでした。それでも、東京音楽隊のスプリングコンサートがどんな感じだったかの片鱗だけはお判りいただけたのではないかと思いますし、今回の特殊事情に鑑み、それでよしとします(╹◡╹)