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海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

日本海の怪(続編)

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 一昨日(2019年1月4日)、「日本海の怪」という記事を書きました。昨年12月20日に起きた韓国海駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への射撃管制レーダー照射事件についての私見を述べたものですが、ちょうどその日、韓国国防部が日本政府への反論動画をYouTubeにアップして全世界に向けて公開しました。

 12月28日に防衛省が、レーダー照射を受ける前後の機内で撮影された映像をホームページ上からYouTubeにアップしたことへの対抗措置のようです。

 すでにご覧になった方もいらっしゃるかも知れませんが、一国の政府が「反論」のために公表した動画とはとても思えません。そのお粗末さに大変驚きました。

 動画のサムネイルとして使われている画像は、韓国艦の直上にP-1哨戒機が写っていますが、この明らかな合成画像が「危険な低空飛行」の証拠だとでも言うのでしょうか。この画像が合成でないなら、この「反論」動画の中でVTRが公開されているはずですよね。そんなものは一切ありません。かなり遠くを飛行している豆粒ほどの哨戒機の動画が10秒ほど使われているだけで、残りは全て日本側が公表した動画に字幕を付け直したものです。一体この動画で何を反論しようとしているのでしょう。

 そもそも、自分たちが主張している最も重要な点について「合成画像」を使うことの意味がわかっているのでしょうか。

 おまけに、必要もないBGMと効果音で、何か意味のあることを公表しているかのような印象を与えようとしていますが、伝えるべき中身がなければ、素人がお遊びで作る動画と変わりありません。

 

【韓国語版】

www.youtube.com

【英語版】

www.youtube.com

 韓国側の主張で唖然とするのが、「日本は高度150m、艦船からの水平距離500mというICAO(国際民間航空機関)の基準を守ったと主張しているが、ICAO憲章には、軍用機には適用しないと明文で記載されており、日本側の主張は失当」というものです。

 韓国の言うとおり、軍用機にはそんな制限はありません。状況確認のために必要ならもっと近接したって構わないのです。でも、海上自衛隊では無用の懸念を生じさせないために敢えて民間規範に準拠して行動しているのです。韓国は何を主張したいのでしょうか。

 今回の騒動で、私が不思議に思うのは、当事者が海軍艦艇であるにも関わらず、韓国海軍の顔が一切見えないことです。現場で何が起きたのか、そして射撃管制用レーダーを照射する意味、照射した以上日本側が決定的な証拠を握っているであろうこと、世界中の海軍関係者がこの事件をどう見ているかなど、この件について申し開きができないことは、韓国海軍は十分すぎるほどわかっているはずです。

 私の想像ではありますが、事件が起きた当初、韓国海軍は事の重大性に鑑み、「ヒューマンエラーで迷惑をかけた、再発防止に務める」と謝罪するしかないと進言したに違いないと思います。

 それに対し、「日本に謝罪するとは何事か、逆に日本に謝罪を求める理由を考えろ」と厳命され、無理やり捻り出したのが「危険な低空飛行」だったのでしょう。韓国側の主張が二転三転、四転五転してきたのは、そんな事情もあるのかも知れません。ところが、日本政府が「証拠映像」を公表したものですから、韓国国防部は逆ギレ状態に陥っているというのが現状ではないでしょうか。

 韓国海軍は「だから言っただろ。もういい加減に恥の上塗りはやめてくれ」と思っているに違いありません。彼らが気の毒です。

 

 あるいは・・・

 こんな、小学生にも嘘だと判るようなお粗末な主張を、近代国家である韓国があえて続けている背景には、「あそこで何をやっていたんだ?」という、絶対に触れられたくない話題から論点をそらす目的があるのかも知れません。

 でも、米国を中心とする各国間では、あの海域で行われていたであろうことに関する詳細な評価と認識の共有が既に行われているはずです。

 韓国政府は自らをどこまで追い詰めるつもりなのでしょう。日本海の怪は深まるばかりです。