ずいぶん時間がかかりましたが、ペルーの総括記事がようやく仕上がりました。かなり早い段階で手がけ始めたのに、何故かこの記事は筆が進みませんでした。どうしても記事にまとまりが出ないのです。理由らしい理由もないので不思議なことですが、ごくたまにそういうことがあります。
さて、本題です。
我が練習艦隊は、2019年7月5日(金)から9日(火)まで、南米ペルーのカヤオ港に寄港し、両国間の親善に資する様々な活動を行いました。
入港に先立ち、「カヤオ」という記事で、行事予定のほか、かつて私が実習幹部として同港を訪問した際の思い出などを綴った記事の紹介もさせていただきました。
入港当日、岸壁係留を終えた練習艦「かしま」後部の飛行甲板上では、ペルー海軍水上艦隊司令官(海軍少将)を艦上にお迎えして、栄誉礼が行われました。ペルー海軍士官の制服は、階級章も含め、海上自衛隊とほぼほぼ共通です。つまり米海軍の服制を基礎としているということです。
ちょっと脱線します。上の写真でペルー海軍の司令官は左手の指を伸ばしたまま体側に添わせていますが、我が練習艦隊司令官・梶本海将補は左手を握っていますよね。気を付けの姿勢を取った時に手指を伸ばすのか握るのかは、国によってマチマチです。自衛隊は、陸海空とも「ぐー」です。ですから行進する時も両手は握ったままです。
この栄誉礼の動画もありますのでご覧ください。
栄誉礼でお迎えしたペルー海軍水上艦隊司令官をご案内して、「かしま」の艦内を見ていただいている時の写真と思われます。艦橋の右ウイングでしょうか。
そして、岸壁では、入港歓迎式典が執り行われました。実習幹部総員が整列し、歓迎式典に詰め掛けたペルーの皆さんと向き合います。
ペルー海軍軍楽隊による君が代吹奏では、整列した実習幹部が大きな声で斉唱しましたし、ペルー国歌の吹奏では、詰め掛けたペルーの皆様がやはり大きな声で斉唱されていました。そんな様子を見ていると、誠に清々しい気分になります。互いに自分の国を誇りに思う者同士であって、始めて相手の国とその国民に敬意を払うことができるのだと思います。そんな歓迎式典の様子を収めた動画がfacebookにアップされています。
入港時の様子などについては、「練習艦隊のカヤオ入港」という記事で紹介させていただきました。
練習艦隊司令官・梶本海将補は、ペルー海軍太平洋作戦司令官・ジェームズ・ソーンベリー・スキアンタレッリ中将を表敬訪問され、また、カヤオ出港後に予定されているメキシコ海軍とのPASSEX(Passing Excersise)に関する事前研究会では、日本艦隊の両艦長、メキシコ海軍の「プエルト・デル・カヤオ」「フランシスコ・キロスマトゥク」両艦長他、各艦関係者による事前の綿密な調整が行われました。因みにPASSEXとは、両国海軍間の相互運用性を確認し、いざという時に円滑な連携を図れるよう、様々な機会を利用して行われる短期間の演習です。今回のように、相手国を訪問した時などは絶好の機会ですし、互いに長距離機動中の両国海軍艦艇同士が、洋上で近傍を通過するような機会が活用されることもあります。
また、実習幹部によるペルー海軍士官学校訪問時には、同校に建立されているペルーの英雄、ミゲル・グラウ提督の銅像に対する梶本司令官からの献花が行われました。
この様子はペルー国内でも報道されたらしく、「日本の艦隊司令官が我々の英雄に献花してくれた」と、多くのペルー国民から喜ばれたようです。ペルーの報道機関は、このような機会に何を報道すべきかをよく弁えているなと思いました。
さて、練習艦隊はどの訪問先でも熱烈な歓迎を受けています。歓迎式典などに集われる方々はもちろん、元々練習艦隊に、そして日本に対する愛着の強い方々でしょうから、それらのイベントが熱烈な歓迎ムードになるのは当然のことです。
では、それ以外のペルー人はどのような感想をお持ちだったのでしょう。
一般のペルーの方々の声を集めたサイトがありますので紹介させていただきます。
kaigainohannoublog.blog55.fc2.com
親日国と言われるペルーではありますが、このような一般大衆の反応を見る限り、練習艦隊の寄港が、2国間関係の更なる推進に少なからぬ貢献をしていることがよく判りますね。特に、日本の艦隊がペルーに寄港したことを「誇り」に思ってくださる声には、正直とても嬉しい気持ちにさせられます。
それから、練習艦隊のペルー訪問を報じた「ペルー新報」の記事をご紹介します。日系人コミュニティ向けの新聞と思われますが、全部スペイン語なのでちょっと辛いところです。記事の内容は、専ら音楽隊による演奏会に関するものです。
本物の記事をお読みになりたい方は、下のリンクからどうぞ。
記事によれば、この演奏会は行進曲「軍艦」で幕を開け、滝廉太郎の「荒城の月」、「君の瞳に恋してる」、「海の見える街〜ボサノバ・バージョン」などが演奏され、三宅由佳莉さんの「さくらさくら」「Time to Say Goodbye」が披露されたそうです。他の寄港地と同じように、2部構成であったと思われますが、詳細は不明です。ただ、演奏会のステージの様子を伝える写真が何枚か提供されていましたので掲載します。
また、地元の日系人コミュニティー向けの局と思われる「絆TV」が、この演奏会を取材した報道ビデオを投稿してくれましたので、その中から三宅由佳莉さんが「さくらさくら」を歌われるシーンを抽出してみました。曲の途中しか写っていませんでしたので30秒あまりと、とても短いのですが、ペルー演奏会の動画としては、現在のところ唯一のものですので貴重です。ぜひご覧下さい。なお「絆TV」による元動画は、その下のリンクから訪ねてみてください。元気な日系のお嬢さんによるリポートです。もちろんスペイン語ですけど(≧∀≦)
この写真は、何を歌っておられるところなのでしょう。表情から見て、おそらく「さくらさくら」ではないかと…
そして終演後の写真です。やや小さめの劇場のようですが、客席は総立ちでのスタンディングオベーションです。練習艦隊音楽隊の演奏が、ペルーの皆さんの心に響いたということですね。素晴らしい成果だと思います。
さて、ようやくこの記事が仕上がりましたが、本日夜にも練習艦隊は長い航海のすえ仏領ポリネシア、タヒチ島のぱペーテに入港する予定です。あっという間でしたね。関連記事は現在作成中ですので、追って投稿します。