あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

練習艦隊、エクアドル寄港の総括

 2019年7月14日(日)〜17日(水)、我が練習艦隊は、南米エクアドルグアヤキル港に寄港しました。エクアドルは赤道直下の国で、国名自体が赤道(Ecuador)です。

 さて、入港したのが日曜日ということもあるのでしょうか、早速その日の夕刻、市内を流れるグアヤス川のほとりにあるマレコン2000という公園(兼遊園地?)で武道展示や祥瑞太鼓の演技、そして練習艦隊音楽隊の演奏会等が行われました。 

 

 観客席には、詰め掛けた大勢の方々が文字通り鈴なりで、エクアドルの皆様の期待の高さが伺えます。でも、暑いんんだろうなぁ。

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 椅子が用意されたVIPエリアには海軍司令官らの姿もありました。楽しそうですね。

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 この演奏会で、音楽隊が演奏する「君の瞳に恋してる」の動画です。de todo un pocoさんがアップして下さった動画を、「すぎ」さんが掘り当てて報告して下さったものです。よく見つかったものです。

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 de todo un pocoさんのチャンネルにお邪魔し、三宅さんが歌っている動画をもし持ってたらアップして欲しいと、ダメもとで無茶なお願いをしたところ、数日もしないうちに、「涙そうそう」を歌われる三宅由佳莉さんの動画を投稿してくださいました。その誠意には大変感動いたしました。de todo un pocoさんのおかげて、着実に進化した三宅さんの「涙そうそう」をみんなで共有できましたね。本当にありがとうございます。

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 この時の様子をステージ裏から撮った写真です。なんか、すごい人数ですね。結構な長丁場だったと思いますが、皆さん演奏を十分堪能されたことでしょう。音楽隊の皆さんも暑い中ご苦労様でした。

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  翌15日(月)夕刻、「かしま」での艦上レセプションが行われました。開始にあたっては、三宅由佳莉さんによるエクアドル国歌と君が代の独唱が行われた筈ですが、動画はおろか静止画も見つかりませんでした。残念ですが、仕方ないですね。そのうちポロっという感じで見つかるかもしれません。

 ここで、ちょっと目を引く写真がありましたのでご紹介します。装飾用の赤い鎧兜を挟んで握手を交わしているのは、エクアドル海軍の司令官と思われる海軍中将と3等海尉に任官したての実習幹部です。階級は雲泥の差がありますが、この実習幹部が位負けすることなく、実に堂々と胸を張り、提督の目をしっかり見据えて握手している姿に感心しました。「国を代表して来ております」という言外の心意気が感じられますね。いい写真だと思います。

 

  下の写真は、練習艦隊司令官による献花の様子を伝える写真なのですが、エクアドル海軍司令部の一角なのか、市内にある軍人墓地なのか、解説がなかったものですから、わかりません。どの国を訪問しても、戦死者を慰霊する儀式というものは実に立派に清々と行われています。それこそが、人間であれば自然に湧き上がる感情の様式化に他ならないと思います。

 

 停泊中、練習艦隊は、出港後に予定されている「PASSEX」に向けた、エクアドル海軍との事前研究会を行いました。説明されているのは陣形運動の要領と、その際各艦が意思疎通を図るための信号旗の意味、上げ下げするタイミングなどのようです。

 

 7月17日(水)朝、練習艦隊はグアヤキルに別れを告げます。岸壁で見送るエクアドル海軍の提督(海軍中将)と笑顔で握手を交わす、我が練習艦隊司令官です。わずかな日程でも、海軍士官同士が打ち解け、信頼を寄せ合うには十分です。

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  出港準備作業中、「かしま」艦上では音楽隊による演奏が行われました。音源がないので、どんな曲かはわかりませんが、グアテマラのプエルトケツァル出港時のような心に染みる曲なのではないでしょうか。三宅さんも頑張ってますね。

 

  音楽隊が演奏を続けている間、前後部の甲板上では慌ただしい「もやい作業」が続きます。岸壁から放たれた、この太いロープ(もやい)を素早く引き込み、手際よく清々と折並べていきます。艦上での索類はちょっとテンションがかかっただけで、いつでも凶器になり得るため、迅速な整頓が常に求められます。

 最後のもやいが放たれたところで「出港よーい!」がかかり、音楽隊の演奏も終了します。

 

  舷側に整列した実習幹部が「右、帽振れ」の号令で帽子を大きく振り、岸壁で見送るエクアドル海軍に別れを告げます。

 実習幹部の後方には、先ほど取り込んだ「もやい」が綺麗に整頓されているのがわかると思います。

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 出港後、グアヤス川を下り、太平洋に出たところで、エクアドル海軍のコルベットとのPASSEXが行われました。事前研究会で意思疎通を図った訓練内容を実際に行います。これは後方から優速で「かしま」を追い抜くエクアドル艦です、見え辛いのですが、左舷マストに「G」旗が揚がっているようですので、陣形の基準艦となり、隊列を率いるのだと思います。

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 大海原で、様々な陣形形成、信号訓練などが行われました。

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  エクアドル艦に搭載されたヘリコプターの「いなづま」への着艦訓練も行われました。ヘリコプター搭載護衛艦は、一つの飛行場ですので、管制塔や着艦誘導灯などの設備が整っています。ヘリコプターの着艦訓練は、単に着艦するのではなく、航空管制員との管制交話や着艦支援機能等の活用を訓練することになります。

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 エクアドル海軍とのPASSEX中、音楽隊の皆さんは、おそらく艦橋上のデッキでしょうか、 訓練支援演奏を行われていたようです。演奏の合間の1ショット。

 

 エクアドル艦とのPASSEXも間も無く終わりです。エクアドル艦の向こうを併走する「いなづま」のマストに掲げられた旗りゅう信号を上から順に見ると「A」「D」「I」「O」「S」つまり「ADIOS(さようなら)」

 

 短い時間でしたが、志を同じくする者同士が共有した時間は貴重なものです。顔が見える訳ではありませんし、声を掛け合ったわけでもありません。お互いに冷たい鋼鉄製の相手艦を見ながらの共同訓練です。それでも、不思議と共鳴するものがあり、心は熱いもので満たされていきます。「帽振れ!」の号令で皆精一杯帽子を振ります。

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 エクアドルといえば、ガラパゴス諸島です。艦隊は、グアヤキル出港後、ガラパゴス沖合を航行したようです。「かしま」のデッキ上で、ガラパゴスを背景に写真に収まる音楽隊の皆さんです。リラックスタイムですね。

 私も30数年前に見た景色ですが、こんなだったかな、記憶にないな(≧∀≦)

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 いかがでしょうか、今回は、練習艦隊公式ページの写真が充実していたのでそちらから拝借して、組み立てて見ました。