昨年度末に、東京音楽隊の新しい楽器運搬車へのグラフィックペイントが完成したことはすでに報告した通りです。
さらに遡ること一年、平成30年度末に、車両自体は更新されたのですが、あのシックなグラフィックペイントを施したカーゴボックスは姿を消し、スッキリしたと言えば聞こえはいいですが、何とも味気ない豆腐のような運搬車になってしまいました。
以前の記事でも書きましたが、車両を更新するための予算と、グラフィックペイントを施す予算では費目が異なるため、別々の調達となってしまうからです。
車両の購入に使われるのは「武器車両等購入費(通称「武車購」)」ですが、一般の部隊で執行できる予算科目ではありません。専門機関で一括調達された上で、部隊へは現物支給となります。
他方、グラフィックペイントは、物品購入ではなく役務調達ですので、役務調達費支弁となりますが、おそらく「通信維持費(通称「通維」)」が充当されたのではないかと思います。
グラフィックペイントがなぜ「通信?」と思われるかも知れませんね。
「通信維持費」は使途が非常に多岐にわたります。通信設備の修理などの維持整備にももちろん使用されますが、構内LANの敷設工事や、郵便切手の購入などにも使われています。切手の場合、「購入」という形ではありますが、郵便役務の調達費用として支払われることになります。
グラフィックペイントは、単にデザインとして施しているわけではなく、広報の目的で行われています。つまり、海上自衛隊から国民への情報発信を行なっているわけですから、立派な通信であり、そのプラットフォームであるカーゴボックスを所要の状態に維持するための役務として、「通信維持費」が充当されたのではないかと、私は考えているわけです。予算規模が最も大きい役務費でもありますし。
いきなり脱線してしまいました(≧∀≦)
楽器運搬車リニューアルのニュースは、この3月に、東京音楽隊のホームページで公開されました(下のリンク)。そのことを「国旗国歌演奏会」の報告記事の最後にご紹介しましたので、覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。
いくつかの案の中から、樋口隊長が決定されたようなのですが、まさに樋口さんらしい、勢いがあって「目立つ」デザインです。目立ってなんぼの世界ですから、いいんじゃないでしょうか。どこを走っても絶対人目を引きますよね。
でも、演奏会が行われないので、せっかくのリニューアルカーゴが活躍する場がないんじゃないかと思っていました。
ところがこのほど、海上自衛隊公式Twitterにこの新しい楽器運搬車の写真が公開されました。本日、「いかづち」さんと「スペリアFUJI」さんから相次いで情報提供がありました。
海上自衛隊東京音楽隊は、機材運搬車のデザインをリニューアルしました。街中でこのトラックを見かけた時は、手を振るなど応援お願いします。新型コロナウイルス感染防止のため、皆様の前での演奏を控えていますが、ぜひYouTubeで海上自衛隊音楽隊の演奏をお楽しみください。https://t.co/aNGKorO0Qm pic.twitter.com/yjZfcRLH3k
— 防衛省 海上自衛隊 (@JMSDF_PAO) 2020年7月1日
駐車している場所は、防衛省のA棟、D棟、E1棟に面した広場です。広場でもあり、大きなイベントがある時には各地の部隊等から集まった多数の車両の駐車場にもなるスペースで、E1棟に部隊を構える陸上自衛隊第302保安警務中隊の皆さんが毎日訓練に励んでいる訓練場でもあります。302って、もちろん、あの特別儀仗隊のことです。
さて、東京音楽隊がこの時期防衛省に出向いた目的はわかりませんが、何らかの儀式が行われたのだと思います。海上幕僚長が他国の海軍司令官等の訪問を受けられる際には海上自衛隊の儀仗隊が栄誉礼を行いますので、そのための演奏だったのかも知れませんね。
演奏会はなくても、「何しろ目立つ」この運搬車が、ちゃんと活躍していることを知り、嬉しくなりましたし、何となく誇らしい気持ちにもなりました。
横浜も走って欲しいな(╹◡╹)