あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

東京音楽隊の第61回定例演奏会

 昨日の記事の最後で、私のところにも、来る1月15日に昭和女子大人見記念講堂で開催予定の東京音楽隊第61回定例演奏会の当選ハガキが届いたことを報告しました。

www.capitandiaryblog.com

 記事をアップした後、このブログの「海自音楽隊のコンサート情報」という固定ページにも記事へのリンクを貼ったのですが、その際、東京音楽隊のホームページを久しぶりに訪ねてみました。

 すると…

 第61回定例演奏会についての「お詫び文」がトップに掲載されていました。一瞬、せっかく当選したのに中止になったのかΣ(-᷅_-᷄๑) と思いましたが、そうではありませんでした(^ ^)

第61回定例演奏会の曲目変更に関するお詫び

 先日、当ホームページに詳細を掲載致しました第61回定例演奏会について、予定していたプログラムを大幅に変更することとなりました。
 現在、海上自衛隊は募集を強化する必要があり、本公演は海上自衛隊の説明を交えた企画内容とさせていただきます。
 ご応募いただいた皆様にお知らせすることなく変更することとなったことについて、深くお詫び申し上げます。
 海上自衛隊の募集強化のため、対象者向けの曲目を積極的に取り入れることについて、ご理解いただけますと幸いです。

www.mod.go.jp

 なるほどなるほど、そういうことなんですね。

 このブログでもこれまで何度か書いてきましたが、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにないほど緊張の度合いを深めるなか、海上自衛隊は深刻な募集難に直面しているようなのです。広報演奏の目的はいろいろありますが、今は募集広報に注力すべき時であるとの判断なのでしょう。私が海上自衛隊OBであることを差し引いても、至極もっともなことだと思います。

 私たち一般の聴衆をいくら満足させてくれても、この緊要な時期に隊員募集に結びつかないなら、広報活動における音楽隊の存在意義が問われかねません。音楽隊の演奏は、到達すべきゴールではなく、本来の目的を達成するための手段なのですから。

 おそらく、海上自衛隊の本音を言えば、募集対象である学生さん達に、より多くの席を割きたいところでしょう。そのような情勢にもかかわらず、また、思い叶わず当選ハガキが届かなかった方も多いなかで、会場に足を運び、演奏を聴くことができるだけでも幸いなことだと思っています。

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 それに、年の瀬も推し迫ったこの時期、年始早々の演奏会の演目がガラリと変わると言うことは、東京音楽隊の演奏者の皆さんにとっては、どれほどのプレッシャーなのか計り知れません。

 そんな隊員の皆さんが創り上げるステージが、平素の定例演奏会とは全く違ったものであろうと、そんなことは些細なことです。海上自衛隊の広報活動の尖兵として活躍される姿をこそ、私たちファンは応援しているのですから。

 そしてまた、今回のような急遽かつ大幅な内容変更を余儀なくされるほど、海自の募集難が深刻であるということを、深く認識する必要があると思います。これは、単に演奏会の話ではなく、我が国の防衛・安全保障上の大問題だからです。

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海自最大の護衛艦「いずも」

 この国を護っているのは誰でしょう? 自衛隊? そうではありません。私たち国民です。国民の「国を護る」という意思を具現化しているのが自衛隊であるに過ぎないのです。海上自衛隊が募集難に陥っているということは、海上自衛隊の問題ではなく、私たち国民の意思の問題ではないでしょうか。

 そんなことを思いながら、来る定例演奏会を拝聴させて頂きたいと思っています。