あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

海保音楽隊とのジョイントコンサート…なんて素敵な(╹◡╹)

 日比谷公園野外大音楽堂で開催された、海上保安庁音楽隊東京音楽隊のジョイントコンサートを聴きに行ってまいりました。先週に引き続きの東京音楽隊の演奏会ですし、今回は、海上保安庁音楽隊とのジョイントという大変珍しい顔合わせですので興味も膨らみます。

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 霞ヶ関駅で降り、地上に出るとこんな飾り付けがされ、道路脇には機動隊の装甲車が何両か停められていました。先日取り上げたばかりですから、どこの国の国旗かもうお分かりですよね。ニュージーランドです。調べてみましたら、同国のジャシンダ・アーデーン首相が18日から昨日までの予定で、実務訪問賓客として訪日されていたようです。実務訪問賓客とは、国賓・公賓に準ずる賓客です。

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 早速、野外音楽堂に向かいます。野外大音楽堂の裏手には東京音楽隊の大型バスと楽器運搬車が停められていました。下の写真は、先に到着していた「いかづち」さんが撮影して予め送ってくださったものです。

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 バスのウインドウ越しに見える楽器運搬車のカーゴボックスには、あの格好良いグラフィックペイントがありません。実は、今年の3月に車両更新があり、新車が納入されたのですが、ペイントは、武器車両等購入費(略して「武車購」)とは別の予算科目が充てられているのだと思います。今年度の実行予算で年度末までに執行されるのか、あるいは来年度予算に計上されているのか、何れにしてもちょっと時間がかかりそうです。場合によっては、このままでいいや、となるかも知れませんが、それではちょっと寂しいですよね(≧∀≦)

 ここから右の方に150メートルほど歩くと大音楽堂のエントランスがあります。「いかづち」さんはほぼ、先頭付近に並んでらっしゃいましたが、私も20番目くらいに並ぶことができました。意外と出足が遅い感じがします。3連休の初日ですし、もともと雨の予報でしたから、この演奏会を予定に入れなかった方も多いのかも知れません。

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 エントランス前には、このような表示がなされていました。また、あたりを見回しても制服姿や私服に「海上保安庁」と書かれた腕章を巻いた方ばかりで、「海上自衛隊」の表示や海自の広報官の姿は全く見えません。リーフレットを見ればわかるのですが、この演奏会は海上保安庁の主催で行われ、東京音楽隊は言わばゲストの位置付けになります。ですから、土俵は海上保安庁のイベントということです。

 到着するとすぐに「モンスター」さんも姿を見せ、一緒に列に並びました。まだ、開場まで2時間ありますが、音楽堂の中からはリハーサルの音が小気味よく聞こえてきます。手持ち無沙汰の私は、エントランス周りの花壇に咲いている花の写真などを撮影してみました。そのような趣味はないのですが、たまにはいいかな(柄じゃねー(≧∀≦))。でも花の名前とかはわかりません(╹◡╹)

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 私たちに少し遅れて「潜水士」さんが顔を見せてくれました。挨拶を交わして列の最後尾に回られましたが、まだそれほど列が伸びていない段階でした。

 「モンスター」さんと、あーでもない、こーでもないとお話をしているうちに、海上保安官の方から、「間もなく会場内にご案内します。現在入場待ちの皆さんの人数は300名ほどですが、会場は3,000席あります、十分に余裕がありますので、安心してゆっくりお進みください」とのアナウンスがありました。いや、そっちは心配してないけど、「え、そんなに少ないの?」という別の心配が頭をもたげてきます。昨年の人見記念講堂での「驚きの演奏会」が脳裏をよぎります。なんか心配だ(≧∀≦)

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 受付で、プログラムを受け取り会場に入ります。確かに全然余裕です。先に入った「いかづち」さんの周囲もまるっきり空席ですので、「モンスター」さんと一緒に同じベンチ(ベンチなのか?)に腰掛けました。程なく「潜水士」さんも私たちの後ろの席に到着し、ブログチーム「よろしい!」

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 ステージを見ますと、大きな横断幕が掲げられています。あーなるほど、これは来年に迫った東京オリンピック2020大会の気運醸成の一環として企画されたイベントだったんですね。納得です。

 そして、ステージの一番手前には、小洒落たビストロのメニュー看板のようなものが置かれています。

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 近寄ってよく見ると、全部手描きです∑(゚Д゚) はぁー、どなたが描かれたのかはわかりませんが、大したもんですね。

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 そして、ステージの右端には、隊旗が。

 今回はジョイントコンサートですから、東京音楽隊の隊旗と、海上保安庁音楽隊の隊旗が仲良く並んで置かれています。レアですね(╹◡╹)

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 ステージ下の左端の方に、音楽科長の本田2尉の姿を見かけたので、ご挨拶に伺いました。5月に行われた水交会湘南支部東京音楽隊見学で、大変お世話になったお礼を申し上げたかったのです。

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 ご挨拶ついでに、東音見学の際に教えていただいた年度内スケジュールの中にこの演奏会が含まれていなかった点についてお聞きしたところ、「あの時点ではまだお話が来ていなかったんです。この演奏会自体は、海保のスケジュールとしてもともとあったのですが、その後、海保側から一緒にやらないかとのお誘いがあり、隊長同士で話し合った結果、私たちが合流するという形で実施することになったんです」とのことでした。年度のスケジュールをこなすだけでなく、このような新規案件がどんどん入ってくるんでしょうね。そりゃ、年間120〜130回にもなるはずだ。

 さて、この段階になっても、会場の入りはあまり進んでいないような気がします。ちょっと、そんな状況を記録しておこうと、観客席最背面に移動し撮影しました。こんな感じです。少ないなぁ。

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  この撮影を終えて、席に戻ろうと通路を降りていくと、途中で「キャプテン!」と言いながら私の方を見る方に出会いました「え?私のこと?」と一瞬戸惑いましたが、私に向かって話をしておられました。確かに「かぴたん」は英語のキャプテンのことですし、この方はそのように理解して下さっているのだなと思いました。「ありがとうございました」とその方はおっしゃいました。内心(え?なんのことだろう?)と、合点が行かない私に「今朝のブログ記事のおかげです」…あぁなるほど、ジョイントコンサート当日であることを忘れておられたんですね。朝投稿した記事がリマインダーの役割を果たしたということのようです。お役に立てて光栄です(╹◡╹)

 

 え? 今回は、いつにも増して能書きが長い? いつになったら演奏会の中身に入るんだ? バレましたか。実は、会場で録画を試みたのですが、機材の不具合(録画スイッチに触れたらしく、止まってた(≧∀≦)、またか…)や夕刻ということもあり、光量不足のため、スマホではロクな動画にならないことがわかりましたので、動画は歴戦の撮影部隊の皆様に期待することにしたのです。

 やはり、撮影が許されている演奏会の様子は、動画でご覧になるのが一番だと思うんです。そして、動画では伝わらない部分を、言葉で補強していくというのが、今回の記事の編集方針です。

 当初、「MuchiMuchiTaicho」さんの第3部動画しかアップされていなかったものですから、第1部、第2部は動画なしで、とりあえずこの記事を投稿しました。その後、逐次動画がアップされましたので、全てを記事に埋め込むことができました。

「 MuchiMuchiTaicho」さん、「h1way2012」さん、ありがとうございます(╹◡╹)

 

 

 ところで、ステージ左端には時鐘(じしょう/英語ではShip's Bell)と呼ばれる鐘が置かれています。これは船に装備され、時刻を告げる鐘なのですが、海上保安庁の演奏会では、伝統的にこの鐘が使われて来たのではないでしょうか。海上自衛隊護衛艦にも艦橋周りのデッキに装備されています。

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 開演5分前にその時鐘が打ち鳴らされました。なんだか、船の雰囲気が醸し出されますね。

 第一部、海上保安庁音楽隊のステージが始まります。プログラムは次のとおり。

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 定刻になり、両袖の鉄扉が開くと、海上保安庁音楽隊のみなさんが入場してこられました。海上保安庁の夏制服は、純白ではなく淡いクリーム色です。その中に2名だけ、純白の制服に身を包んだ隊員が混じっていました。そう、東京音楽隊の隊員です。左袖から登場した男性クラリネット奏者の方のお名前は存じ上げないのですが、右袖から現れたのは、サックス奏者の在川詩織さんでした。もちろん制服の色が違うこともありますけど、在川さんはステージ上でよく目立つなぁと感心しました。どうしてかな、と思いながら拝見していると、その表情であることに気づきました。演奏の合間には顔をあげて観客席を見据え「どう?みんな楽しんでる?」と言わんばかりのドヤ顔をされるのですが、それが「なんちゃって」っぽい雰囲気に溢れているものですから、見ている方も思わず笑みがこぼれます。スター性のある方だなと思います。

「モンスター」さんが送ってくださったスナップショットを貼っておきます。

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 それはさておき、海上保安庁音楽隊の演奏です。冒頭の「錨をあげて」は海自がよくやるスペシャルバージョンではもちろんなく、ストレートな演奏でしたが、コンサートマーチとしては盛り上がりますよね。

 そして、海上保安庁音楽隊のMC担当の方です。ちょっと緊張気味でしたけど、頑張ってるのがよく伝わりました。第3部では荒木美佳さんとのMCデュオです。

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 演奏会の内容は「MuchiMuchiTaicho」さんの動画をご覧ください。

www.youtube.com

 

 ここで10分間の休憩に入りました。第二部は我が東京音楽隊の演奏会です。休憩中にステージのセットが変更されていきます。我が敬愛する岩田有可里さんもステージ右側のコントラバス席やステージ中央のエレキベースの席のあたりで、準備に余念がありません。何となくですが、いつもより表情が険しいとまではいきませんが、緊張感が感じられます。気合が入っているのかも知れません。

 そんな時、気まぐれな風が東京音楽隊の隊旗を煽り、旗がちょっと横向きになってしまいました。それに気付いた岩田さんが隊旗に近づき元に戻そうとされている時、若い(私から見て(^ ^))男性が近づき写真撮影をしようとされていました。岩田さんは、隊旗の撮影をされると思ったようで、旗の後ろに隠れようとされましたが、男性からの声掛けで撮影対象がご自分であると気づいたようです。笑顔で撮影に応じていました。気づくと男女を問わず何人もの人が岩田さんの撮影をするために集まっていました。こうした人気ぶりを見るととても嬉しい気持ちになります。まだ明るいし、撮影するなら今しかないので私も行こうかなと一瞬思いましたが、演奏前に年寄りに声をかけられても気分は上がらないでしょう(^ ^)、大切なのは、いい演奏をしていただくことです。そこは、若い方々の勢いにお任せすることにしました。

 さあ、第二部の始まりです。プログラムは次のとおり。

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内容は、h1way2012さんの動画をご覧ください。

www.youtube.com

「MuchiMuchiTaicho」さんも第2部をあげてくださいました。併せて埋めさせていただきます。やはり、動画は撮影者によって焦点が異なりますから、たくさんあった方がいいですね(╹◡╹)

www.youtube.com

 

 動画は動画として、「モンスター」さんが送ってくださったスナップショットを掲載します。スマホでは絶対に撮れない写真ですし、ショットのタイミングが上手いですね。

 ベースギターを奏でる岩田有可里さん、クールです。「モンスター」さんにはベストショット賞を差し上げたいところです。あげませんけど。

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 こちらはコントラバス奏者の岩田有可里さん。

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 今回も、プロフェッショナルなMCで会場を盛り上げた荒木美佳さん。荒木さんのMC目当てで来られている方もおられるのではないでしょうか。本当に聞いていて心地よいですよね。

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 円熟のソロ演奏を披露されたコンサートマスター・横野和寿さん。終演後、多くのファンに囲まれていました。わかる気がします。

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 沼田紘之さんのトロンボーンソロ。今回は2回ありました。演奏会でのソロ演奏の機会が多いですよね。

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 ファゴットチームは、横山響子さんと松本理沙さんです。あれ、髪型まで揃えているのでしょうか。お二人とも姿勢がいいですね。

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 ここで再び10分間の休憩に入ります。

 第3部は両隊の合同演奏ですから、人数も増えます。ステージ上には次々と椅子が運び込まれ、ちょっとひしめき合った雰囲気になります。先日の記事でご紹介した海保のツイッター動画の雰囲気ですね。

 ここで後ろを振り返ってみると、後ろの方まで観客で埋まり、後方には立ち見の方も結構おられました。なるほど、海自と海保の合同ステージが目当てで遅れて来られた方が多いのかもしれません。いずれにしても、大入りで安心しました(╹◡╹)

 もうあたりはすっかり暗くなっています。夜の野外音楽堂は、何とも言えない雰囲気が漂いますね。さて、いよいよジョイントコンサートの肝である両隊合同演奏会の始まりです。プログラムは以下のとおり。

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 そして内容は「MuchiMuchiTaicho」さんの動画をご覧ください。

www.youtube.com

 いかがでしたでしょうか、海上自衛隊東京音楽隊海上保安庁音楽隊の合同演奏会は、今回が初めてとのことでしたが、やはり海を守るという共通点があるからなのか、とても初めてとは思えないこなれかただったように思います。

 現場での連携は昔からよくなされており、ソマリア沖の海賊対処などでは多くの海上保安官護衛艦に乗艦しての共同対処を経験しておられますので、人的交流も相当深まっているはずです。両音楽隊の合同演奏会が初めてであることが不思議なくらいです。これを機に、両隊の交流がますます深まるといいなと思いました。

 「モンスター」さんが送ってくださったスナップショットを貼っておきます。

 「情熱大陸」の冒頭を飾る海保と海自のジョイント・サックスチームです。

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 そして、アンコールに応えての1曲めは、海保と海自のヴォーカルによるデュエットです。藤沼直樹さんは、この日、この曲の他、第2部では「前前前世」を美しく歌われました。

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 ところで、この演奏会を通じ、ステージの外でたった一人で奮闘している東京音楽隊員がいました。バスクラリネット奏者の清水恭子さんです。ステージ左の枠外に設けられた音響席に座り、ステージ進行をしっかり支えておられました。こうして、何から何まで自分たちでこなしているんですね。時折曲に合わせてリズムを取っておられる姿を拝見して、清水さんも本当はステージ上で演奏したかったんだろうなと思うと、頭が下がりました。

 昨年の9月に行われた赤坂のランチタイムコンサートで、清水さんにはご挨拶する機会があり、それに先立つ小田原でのチャリティコンサートで披露されたバスクラリネットソロが素晴らしかった話などをさせていただきました。地上に張り巡らされた電源コードなどを一生懸命回収されている作業中に声掛けしたものですから、作業の妨げになったはずですが、満面の笑顔で対応していただいたのを思い出します。今年は川上良司さんと一緒にパシフィック・パートナーシップにも参加され、国際業務でも活躍されていました。これからも、益々のご活躍に注目していきたいと思います。

 ところで、演奏会が終わったところで、ベーシストの岩田有可里さんにご挨拶するため、ステージ下に向かいました。撤収作業中でしたから、ほんの短い時間でしたが、今日もベースやコントラバスの音が体に伝わってきたことだけはお伝えすることができました。そして、いつもの爽やかな笑顔をいただき、会場を後にしました。