遠洋練習航海部隊が横須賀を出港してから1ヶ月が経ちました。この間、ハワイのパールハーバー、そして米西海岸のサンディエゴに入港し、それぞれ多彩な親善行事等が行われた筈ですが、練習艦隊音楽隊の写真が数枚確認されたのみで、詳しい情報はなかなか入ってきませんね。もちろん演奏会の動画もまだ確認されていません。
遠洋練習航海の日程だけが進んでいきますが、国内にいる私たちは、ずっと「お預け」状態ですので、なんんとなく物足りなさを感じている方も多いのではないでしょうか。
どうしたものか、そうだ、過去の遠洋航海で、練習艦隊音楽隊はどんな演奏をしてきたのかを見てみよう! ということで、動画を検索したところ、3年前(2016年)の遠洋航海で、練習艦隊が米国東海岸、メリーランド州のボルチモアに入港した際の、埠頭での演奏風景を納めた動画が見つかりました。現地の方がアップして下さったものです。「宇宙戦艦ヤマト」と行進曲「軍艦」の2本が上がっています。コメント欄への「他の曲はなかったの?」との質問に、「星条旗よ永遠なれ」のジャズバージョンと「星に願いを」が演奏されたので、アップするね、とは書いてありますが、その動画は見つかりませんでした。また、撮影者がこの演奏会に気づいて撮影を始める前に何曲か演奏されていたと思うとのことでした。
観客席との間に太鼓が設えられていますので、練習艦隊の「祥瑞太鼓」も披露されたのだと思います。
宇宙戦艦ヤマトの演奏終了後には、聴衆のみなさんがスタンディングオベーションで音楽隊を讃えている様子が見られます。凄いですね(╹◡╹)
「軍艦」です。20名足らずの小編成ですから、音の厚みが十分に得られないのは止むを得ません。それでも、いやそれだからこそ、海上自衛隊の象徴であるこの曲を力強く演奏しようという心意気が伝わってきます。
そしてもう一本。昨年(2018年)、平成最後の遠洋航海で、練習艦隊がフィンランドの首都ヘルシンキに入港した際の、親善行事の模様をフルで撮影した動画です。動画の編集の仕方などから、動画をアップして下さった
イベントは空手の演舞で始まります。空手部出身の実習幹部が展示しているようです。展示者紹介の際、名前の前に「エンスン」と言っているのが聞こえますが、これは英語で綴ると「ensign」です。元来、艦首旗を意味し、その意味では「エンザイン」と発音するのですが、この単語を米海軍では「海軍少尉」の階級呼称とし、この場合は「エンスン」と発音します。海上自衛隊は、階級の英語呼称を同盟軍である米海軍に合わせていますので、実習幹部である3等海尉は「エンスン」というわけです。
そして、「祥瑞太鼓」の力強い演奏がこれに続きます。和太鼓は、低く響く轟きが魅力ですが、演奏途中で何度も入るキメのポーズも格好良いですよね。
そしてイベントの最後を締めるのは練習艦隊音楽隊です。
「八木節」からのスタートです。東京音楽隊から派出された田中英暢さんのピッコロが、ジャパンテイストを際立たせてくれます。
そして、MCは、やはり東京音楽隊派出のパーカッショニスト、中島佳奈恵さんです。英語での司会進行も堂に入ったものですね。
2曲目は、ボーカロイド初音ミクの「千本桜」です。軽快なメロディながら、しっかり和のテイストを纏うこの曲は、海外での演奏にはもってこいですね。
3曲目、4曲目は、東日本大震災の際に世界各国から寄せられた御厚意への感謝の気持ちを込めて、「故郷」「花は咲く」が演奏され、「故郷」では田中英暢さんの歌声が披露されました。「花は咲く」は吹奏のみでしたが、この慈しみに満ちたメロディは、フィンランドの皆さんの心にもきっと響いたに違いないと思います。
中島さんは、「日本にどんなイメージをお持ちですか?」と聴衆に問いかけます。そして「アニメは日本の文化の一つになっています」と受けて、ジブリ作品で多くの楽曲を手がけた久石譲さんの作品をメドレーで3曲演奏することを紹介します。
5曲目、ジブリアニメ「隣のトトロ」から「散歩」、6曲目、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」から「Stand Alone」、そして7曲目、ジブリの「魔女の宅急便」から「海の見える街」がそれぞれ紹介され、「散歩」と「海の見える街」では聴衆から歓声も上がりました。「Stand Alone」はまだ知名度がそれほどないのかな?
海の見える街でサックス・ソロを披露されたのは、東音の越水泰史さんでした。
中島さんが、遠洋練習航海の概要を説明したあと、ディズニーアニメ「ベイマックス」の日本公開版オリジナルエンディングテーマ「Story」を8曲目として紹介します。
そして、この曲を英語で素敵に歌い上げたのは、なんと舞鶴音楽隊の「子泣きじじい」こと、中田久(字はあってるかな?)さんでした。聴衆は大喝采です。「ゲゲゲの鬼太郎」の「濃過ぎる」パフォーマンスを昨日紹介したばかりですが、聴かせる時は聴かせてくれる。ますます中田1曹のことが気になり出しました。
そして、中島さんが「時間が経つのは早いもので、次が最後の曲となります」と紹介したのは「さくら・さくら」をモダンジャズ・アレンジメントで仕上げた「cherry cherry」。これは、昨年の昭和女子大での東京音楽隊定例演奏会でも演奏され、大変盛り上がった曲です。途中のドラム・ソロも格好良く、聴衆の喝采を浴びています。
鳴り止まない拍手に応え、アンコール曲として「ソーラン節」が紹介されます。なんとなく「?」な感じになりますが、隊長と田中2曹が法被を纏い、曲が始まると、田中2曹の節回しに、会場も次第に盛り上がっていきます。やはり大喝采を浴びて、重ねてのアンコールに対しては、もちろん行進曲「軍艦」です、聴衆の皆さんも手拍子で参加し、大盛り上がりで演奏会が終了しました。
いいですね。国内の演奏会とはまた違った魅力が溢れています。今年の練習艦隊音楽隊も、きっと、このような演奏会を各寄港地で披露しているんだと思います。きっと、どなたかが動画をアップしてくれるに違いないと信じているのですが、まだ見つかりません。地道に探して行こうと思います。