先日の金曜日(2019年5月24日)、東京音楽隊を見学し、その報告記事を書いたのですが、そこで見せていただいた愛知公演の総合リハーサルの内容は、本公演をご覧に鳴る方への「ネタバレ」になるため触れませんでした。
昨日、蒲郡での公演が終了し、本日の名古屋公演が先ほど開演となりましたので、スピンオフ記事として報告させていただきます。本公演の様子は、私にはわかりませんので、あくまでも総合リハーサルの内容をお伝えします。ただ、本記事でも書いたとおり、動画はありませんし、私は前列に座っていたこともあり、演奏中のメモ取りも憚られたので、衰えた頭で記憶できた範囲しか再現できませんし、演奏順などは間違っているかもしれません。場合によっては曲そのものを取り違えている可能性もありますので、そこはご容赦ください。愛知公演をご覧になった方からの、「そこは違うよ」というご指摘を期待、かつ歓迎いたします。
第1部
第1部は、クラシックやオペラなど、カチッとした曲目が並びます。
①「エイプリル・リーフ」(2019年度吹奏楽コンクール課題曲)
出だしで勢いをつけるコンサートマーチは、今年度の吹奏楽コンクール課題曲の一つ「エイプリル・リーフ」でした。先日下田で行われた黒船祭サンセットコンサートに出演した横須賀音楽隊も、この曲をコンサートマーチとして演奏していました。やはり、コンクール課題曲は、吹奏楽界では注目曲ですから、会場にも多くいらっしゃっているであろう吹奏楽関係者の皆さんにとっては心踊るスタートですよね。
曲自体もとても爽やかで、4月の柔らかい陽光を浴びた新緑が、力一杯成長しようとする、そんな力強さを感じさせます。奏楽堂の中、目と鼻の先で演奏する東京音楽隊の皆さんを一人一人見据えながら、この軽快な曲を楽しませていただきました。
ここで、MCの荒木美佳さんが登場、おなじみの口上「改めまして、皆さまこんにちはー!」を元気いっぱいに投げかけます。いや、本当に気持ちいいですね。荒木さんの戦闘服姿を見るのはおそらく初めてだと思いますが、背も高く姿勢の良い荒木さんにはとてもよく似合っています。荒木さんによる曲紹介が行われる中、ステージ上に動きがありました。左袖からコントラバスを抱えた岩田有可里さんが登場したのです。
②セルゲイ・クーセヴィツキー コントラバス協奏曲
2曲目は、私の敬愛する岩田有可里さんのコントラバス・ソロでした。実は、先日の木曜コンサートの終演後、ばったり遭遇した岩田さんとの会話の中で、24日に東音見学に行くことをお伝えしたところ、その日愛知公演の総合リハーサルが行われること、そして「私のソロもあるんです」と教えて下さったのです。でも、愛知県一宮市出身で、県立芸術大学卒の岩田さんのソロは、当然地元の皆さんへのサービス・サプライズに違いないと思い、伏せていました。さて、コントラバスを抱えた岩田さんが定位置に着かれましたが、それが何と私の目の前だったのです(正確には私の右隣に座っているM先輩の正面)。
ソロがあるとは聞いていたものの、聴く機会などほぼゼロに近い岩田さんのコントラバス・ソロを、手が届きそうな距離で堪能できるとは、これほどの幸運があるでしょうか。改めてM先輩には感謝です。
荒木さんの曲紹介で、「コントラバス協奏曲」は非常に珍しいと聞いたものですから、ネットで調べればすぐ特定できると高を括り、コントラバス・コンチェエルととだけ記憶していました。ところが、帰宅して調べてみると結構数があるんです。結局片端から聴いて、聴いて、「あ、これだ」と納得したのがセルゲイ・クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲でした。こんなに集中してコントラバス曲を聴き続けたのは初めてですが、お陰様で、コントラバスの魅力について、改めて気づかされることもたくさんありました。何が幸いするかわからないものですね。
岩田さんが奏でるエレキベースの音は、終始ずっしりと曲を支えて響き渡りますが、コントラバスの音色はより繊細ですから、金管楽器の中で聴き取るのは難しい場合もあります。でも、今回はメインです。コントラバスの演奏で最も優雅さを感じるのは、左手の動きです。頭の上から膝頭くらいまである長い弦の上を自在に動き回り、要所要所でビブラートを入れる左手の動きを目で楽しみながら、筐体から伝わる音を感じる。目の前で、その優雅な演奏を十分に味わわせていただきました。
③ネッラ・ファンタジア(映画『ミッション』より)
続いては、歌姫の登場です。今年3月に横須賀音楽隊から配属されたばかりの中川麻梨子さんがステージ左中央、つまり私の目の前に立ちます。またもや目の前で聴くことができるのです。前列であれば良いと、M先輩と適当に座った席でしたが、最高の席であったことがわかりました。ネッラ・ファンタジアは、先日の木曜コンサートで私が初めて中川さんの生歌を聴かせていただいた曲です。環境に恵まれない野外コンサートとは違い、風もなく音響もしっかりした中で、この曲を改めて聴かせていただきました。
何と言いますか、もう言葉が出ないです。情感溢れる歌声もさることながら、その表情と、目に宿る情念に魅了されます。間奏に入るとちょっと居心地の悪そうな、はにかんでいるような様子が見えるのは、まだ東京音楽隊のステージに馴染み切れていないのかなとは思いましたが、素人なりに途轍もないポテンシャルを感じましたし、今後、どれだけ成長されるのか、本当に楽しみです。
④「呪文と踊り」(ジョン・バーンズ・チャンス)
次に演奏されたのは、米国の作曲家ジョン・バーンズ・チャンスが60年ほど前に書いた「呪文と踊り」という曲です。曲紹介で、荒木さんも「不思議な感じがする曲」とおっしゃっていましたが、本当に「何だこれ」という立ち上がりでした。まるで呪いをかけられていくような気がしてきますが、後半、一気に盛り上がり、最後はスカッと終わります。何だか、だまし絵のような「やられたな」という印象が残る一曲でした。
ここで15分間の休憩に入ります。休憩中のことについては本記事で報告したとおりです。
第2部
第2部は、多くの人に馴染みの深い、気軽に聴ける曲が並びます。
①ミラクル・ショット
この曲は、テレビ朝日・報道ステーションのスポーツコーナーのテーマ曲として使われています。荒木さんの曲紹介が、私にはちょっと解りづらかったのですが、愛知県のテレ朝系列局では、もうちょっと特別な意味があるのかな?と思いました。きっと地元の方が喜んでくださるような仕組みになっているんだと思います。
②飛べ!ガンダム
これはもう、言わずと知れた超有名テレビアニメ「機動戦士ガンダム」のオープニングテーマですね。東京音楽隊によるステージ上での演奏は、過去にも実績があるんだと思いますが、私が聴くのは初めてでした。動画として残っているのは、2016年2月28日、東京マラソンの応援のため、防衛省前で演奏されたものだけのようです。
曲紹介の最後に、荒木さんが「アムロ、いきまーす!!」と叫ぶのですが、この辺の思い切りの良さが、荒木さんの魅力ですね。
③海の見える街(「魔女の宅急便」より)
この曲は、東京音楽隊だけでなく海上自衛隊の音楽隊が十八番としている曲の一つではないでしょうか。ボサノバテイストにアレンジされた、とてもお洒落な曲に仕上がっていますよね。サックス、ピアノ、フルートそしてトロンボーンのソロがとても自然に際立つところも、このアレンジの秀逸なところだと思います。今回のソロですが、サックス奏者の方は、お見かけした記憶がないので3月に転入された方かもしれません、ピアノはもちろん太田紗和子さん、フルートは大川好さん、トロンボーンは沼田紘之さんでした。
あ、思い出しました。どの曲だったかは覚えてないのですが、その曲が始まる前に、太田さんがピアノからマラカス席に移動したのです。樋口隊長がこちらを振り向いて「いやー、本当に人が足りなくて、彼女のようなピアノの名プレイヤーにマラカスを振らせなきゃならないんです」とおっしゃってました。総合リハーサルですから、リハだけ本人の代わりに太田さんが振ったのではなく、本番でも太田さんのマラカスが見られたのではないでしょうか。
④残酷な天使のテーゼ(「新世紀エヴァンゲリオン」より)
これまた、言わずと知れた超人気テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲ですね。アニメソングはエッジの立った声質の方が歌われていることが多いような気がします。この曲のオリジナルを歌われている高橋洋子さんもそうですよね。発声法も全然違うでしょうから、ソプラノ歌手がすんなり歌える歌ではないはずだと思います。三宅由佳莉さんもそうでしたし、陸空の歌姫の皆さんも、その辺には大変苦労されていることでしょう。でも、逃げずに正面突破するという三宅流が浸透しているのではないでしょうか、中川さんもきちんとご自分のものにされていました。
⑤パプリカ
これは、ちょっと驚きの展開でした。恋ダンスのチーム三宅に続き、チーム中川の誕生です。中川麻梨子さんを中心に、向かって左側にトランペットの谷口愛奈さん、右側にパーカッションの八木理恵さんが並び、それぞれその外側に男性隊員の方が並びます。男性隊員の方の名札がどうしても読めず、氏名を特定できませんでしたが、向かって一番左側の抜群にキレのいいダンスを披露して下さったクラリネット奏者の方は、恋ダンスのチームにも入ってました。
谷口愛奈さんは、丁度私の目の前で、終始満面の笑顔ではつらつと踊っているのが、とても爽やかで、この上なく可愛らしかったです。
中川さんは専ら歌を担当されていたので、激しい動きはありませんでしたが、今後、このチームは進化しながら、各地でダンスを披露していくのかもしれません。とても楽しいサプライズ企画でした。
残酷な天使のテーゼあたりから、実は曲順の記憶が曖昧で、本当にこんな順序だったかは確信が持てないのですが、とりあえず、自分の勘を信じて続けます。
⑥プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」
中川さんが前曲を歌い終え、左袖に下がったところで、荒木美佳さんが「歌姫、中川3曹は大忙しですね。色々なジャンルの曲でその透き通る歌声を聞かせてくれましたが、実は彼女オペラも歌えるんです。ということで、プログラムにはありませんが、ここでオペラを1曲披露してもらいましょう。大変人気のある曲で、皆さんもきっとお聴きになったことがあると思います。プッチーニの歌劇、ジャンニ・スキッキより、『私のお父さん』!」とサプライズ曲を紹介します。これがあったものですから、東音見学の記事では第2部の曲数も含めて完全秘匿したわけです。
流石にご自分のテリトリーですね、伸び伸びと、力強くこの曲を歌い上げます。中川さんは大阪府出身ですが、岩田さんと同じ愛知県立芸術大学・同大学院卒ですので、この一曲は、地元の皆さん、そしておそらく会場に来られているであろう恩師への成長の報告という意味合いもあるのではないでしょうか。私たちも、素晴らしいものを聴かせていただき、感動しました。
この曲について、中川さんが歌われている動画を探し回ったのですが、ありませんでした。松井菜穂子さんの動画を貼っておきます。
⑥愛は花、君はその種子
この曲は、ひょっとしたらプログラムのもう少し前で歌われた可能性もないではないのですが、確かアンコール曲だったと思います。心を込めて歌われているのがよーく伝わりましたし、たくさんのファンの気持ちを捉えて離さないのも当然だな、と思いました。東京音楽隊は、三宅由佳莉さんに続き、この魅力溢れるヴォーカリストを迎え、新たな幅を広げていくに違いないと思います。
東京音楽隊と中川麻梨子さんが織りなす世界の展開を、私たちはこれから目にしていくことになるのですね。楽しみです。
この曲も、中川さんが歌われている動画を探し回りましたが、残念ながら見つかりませんでしたので、都はるみさんのオリジナルを貼っておきます。
⑦行進曲「軍艦」
そして、最後はもちろん行進曲「軍艦」です。
いつ聞いても素晴らしい演奏です。今回の見学メンバーは帝国海軍・海上自衛隊のOBが過半ですし、その他も皆熱心な支援者ですから、心から感動しました。
本公演でも盛り上がったことでしょう。
リハーサルでは、地元出身隊員のソロ演奏などがたくさん取り入れられていたのですが、とても記憶しきれませんでした。ちょっと雑な報告となりましたが、なんとなく雰囲気が伝わればと思います。
ところで、蒲郡公演、名古屋公演、どうだったのでしょう。会場に足を運ばれた方がいらっしゃいましたら、感想などコメントいただけると大変嬉しいです。
あ、そうそう、リハーサルでは、エキストラ曲を2曲演奏してくださいました。一つは、「A列車で行こう」、超有名なジャズナンバーですね。で、もう一曲がどうしても甘い出せません(≧∀≦)
この二曲が、今日の名古屋公演で演奏されているんだと思います(^ ^)