あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

友の不幸に想う

 前回、軍艦行進曲にまつわる、米海軍の心意気が感じられるエピソードを紹介しましたが、平静23年3月11日に起きた東日本大震災に際しても、米韓合同演習のため西太平洋を西進中だったロナルド・レーガン空母打撃群(空母ロナルド・レーガン以下艦艇10隻)は、命令を待つことなく三陸沖に直行することで、心意気を示しました。

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  米軍が、陸海空軍および海兵隊の部隊をもって統合任務部隊を編成し、長期にわたる「トモダチ作戦」を展開して、真摯に災害対応にあたってくれたことは、記憶に新しいところです。

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 さて、本年6月19日、米第7艦隊所属のイージス艦フィッツジェラルド」が、静岡沖でコンテナ船と衝突し、7人の乗員が亡くなりました。また、8月21日には、同所属のイージス艦「ジョン・S・マケイン」が、シンガポール沖でタンカーと衝突し、10人の乗員が亡くなりました。

 日本のマスコミは、「どちらに否があるのか」「米軍は捜査に応ずるのか」等ばかりを話題にしていましたが、フィッツジェラルドは13年前から、ジョン・S・マケインは20年も前から横須賀を母港とし、東日本大震災でも、「トモダチ作戦」への参加部隊として仙台沖で被災者支援にあたり、当時の乗員は所持金を仙台にカンパしてくれてもいます。

 また、北朝鮮による大陸間弾道弾および核兵器の開発が進む昨今の情勢下において、BMD対処では海上自衛隊イージス艦と協力しながら、我が国の防空にも寄与してくれています。

 このように、我が国との縁の深い両艦です。責任問題云々を取り沙汰する前に、まずは、任務とは言え異国で亡くなった若きセーラーたちに感謝と哀悼の気持ちを捧げるべきではなかったのでしょうか。

 海上自衛隊の艦艇が事故に遭遇した場合、マスコミは頭から自衛隊側が悪いと決め込んで事実関係など無視して自衛隊叩きを嬉々として行って来ました。おそらく、自衛隊側が悪いわけではないと気づいていたとしても、「悪玉自衛隊」を叩き続ける方が気分がいいのでしょう。自衛官は、そのようなマスコミの報道姿勢には十分慣れていますから構わないのですが、我が国にとって客分とも言える米軍に対する、あまりの配慮のなさを残念に思います。

 

 ↓この動画には、海上自衛隊東京音楽隊による、米海軍の公式行進曲「錨を上げて」や、「海を越えた握手」などの演奏が含まれています。また、三宅由佳莉さんの、普段はあまり聞くことのできない歌も収録されています。

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