あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの「海を行く」

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 どうやら梅雨が明けたようです。

 関東甲信が6月に梅雨明けするのは観測史上初めてとのこと、確かにまだ暑い夏への心の準備ができていない感じがします。

 それにしても、以前は「梅雨明け」が宣言されていたのに、いつの頃からか「明けたとみられる」という、ものすごく控えめな公表になっちゃいました。

 おそらくですけど、「梅雨上げ宣言」の直後に雨が降ったりしたことへのクレームに悩まされた結果なんでしょうね。でも、横浜の、今日の青空などをみていると、「梅雨上げ宣言」をしてもらったほうが、気分が上がるだろうにとは思います。

 

 それはさておき、夏到来、と聞いて頭に浮かぶのは?

 そう、生ビール!  …じゃなくて、ここは「海」と言ってください(≧∀≦)

 海上自衛隊の白い制服も眩しく映える季節がやってきました。

 

 この時期は、各自衛隊とも訓練の季節です。海上自衛隊でも各部隊ごとに計画的な訓練が行われていると思います。艦艇部隊では、個艦訓練から隊訓練、そして群訓練へと段階を経て練度を仕上げて行くことになりますが、その合間を縫って、全国各地の港に入港し、広報活動への協力も積極的に行っています。ですから、夏場は全国的に艦艇広報の機会が多いと言えます。

 そういう意味では、海上自衛隊には白い制服というイメージをお持ちの方が多いのかもしれませんね。

 さて、そんな海上自衛隊の隊歌に「海を行く」という曲があります。もう、そのまんまのわかりやすいタイトルです。

 この曲は、新規採用となった隊員たちが、教育隊等で繰り返し歌わされますので、海上自衛官なら誰でも知っているどころか、骨身に染み込んでいる曲でもあります。

 ただ、私が入隊した頃の歌詞は「男と生まれ海を行く…」から始まるものでした。女性自衛官がまだおらず、将来的にも女子が「軍服」を着ることなど誰も想定していなかった頃に書かれたからでしょう。

 でも、海上自衛官に占める女性隊員の数は年を追うごとに増え、また、長く女性には閉ざされていた戦闘職域が、逐次「解放」されるに及び、国防の現場は男だけが担っている時代ではなくなりました。

 パイロットや機上のオペレーター、護衛艦を始め各種艦艇への乗組員にも女性隊員が増え、2016年2月29日には、女性としては初の護衛艦艦長も誕生しました。

 「やまぎり」艦長として着任式に臨み、整列した全乗員による「頭中(かしらなか)」の敬礼に答礼する大谷三穂・2等海佐です。

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 「2等海佐・大谷三穂、ただ今から本艦の指揮を執る」

 着任訓示は、この一言から始まります。自分が指揮官であることを全乗員に知らしめ、その命に服する義務を課す儀式でもあります。

 基準排水量3,500トン、ヘリコプター搭載型の汎用護衛艦「やまぎり」です。

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 ちなみに、現在の「やまぎり」艦長も、女性です。今年4月に着任した小野小百合2佐が「指揮を執って」います。

 このように、女性自衛官の活躍の場が広がっているという背景もあったからでしょう、2002年、海上自衛隊創設50周年記念事業の一つとして、「海を行く」の新たな歌詞が公募されました。下は記念事業のロゴです。

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 そんな新たな「海を行く」ですが、もっぱら海上自衛隊の式典など、部内で歌われる曲ですから、演奏会などで演奏されることもないと思います。

 2013年9月25日(水)、原宿のルアール東郷で開催された恒例の「東郷の杜音楽祭」で、三宅由佳莉さんが、川上良司さんとともに披露された「海を行く」を単曲の動画に仕立てましたので、お聴きになってください。

www.youtube.com

 隊歌や軍歌を歌うときの三宅さんは、キリッとして凛々しいですね。

 歌詞が改まった時には、何と無く違和感を感じていましたが、今改めて聴くと、一皮二皮剥けて、しっかり成長した海上自衛隊に相応しい曲に仕上がっている感じがします。

 女性自衛官の活躍という意味では、三宅由佳莉さんほど名の知れ渡った自衛官はいないのですが、三宅さんの場合は、大谷2佐や小野2佐などの活躍とは、全く類の異なる活躍ぶりと言いますが、一体どう位置付ければいいのかなかなか戸惑いますね。

 三宅由佳莉さんが登場した意味について、今、あれこれ書き連ねていますので、仕上がったら、記事として投稿する予定です。

 まだ時間がかかります(≧∀≦)