あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

公用使

 海上自衛隊用語解説の続きです。

 今回のタイトルは「こうようし」と読んでください。そのままですね(^ ^)

 さて、「公用使」とはなんぞや。読んで字の如し、公用の使いです。護衛艦などが停泊中、公用で部外の郵便局や関係機関などへの公文書等の発送・提出や受取りその他、艦の公務に必要な用務を行う隊員のことです。通常海士が指定されています。

 上陸が許可されて基地の外に所在する隊員とは異なり、公務に従事中であることを示す必要があることから、制服の左袖に「公用使」と書かれた腕章をはめ、「公用使」と表示のある公用自転車で行動します。

 下の写真は、「ひゅうが」の公用使用自転車です。

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 公用使の任務については、「自衛艦乗員服務規則」の第 479 条に規定があり、

 公用使は、当直士官の命を受け、当直警衛海曹の監督のもと、文書類の発送、受取り、艦 外との連絡その他公用に従事する。

 とされています。つまり、公用使は艦艇に特有の機能であると言えます。

 何故、艦艇には公用使が必要なのかと言えば、各艦はビークル(乗物)であると同時に、独立した部隊だからです。もちろん、母港であれば、多くの機能を総監部や基地隊が担ってくれますが、それでも、個艦の要務で部外とのやり取りをしなければならない場合があるため、このような機能が必要なのです。特に海上自衛隊の基地以外に停泊しているときはなおさらですよね。

 という公用使ですが、実は、陸上部隊でも、よく耳にします。

 「ちょっと、公用使で行ってきてくれ」

 などと、先輩隊員が後輩に言ったりしますが、これはいわゆる「お使い」を頼んでいるのであって、多くの場合「私用」です。

 でも、言う方も、言われる方も、特に抵抗感なく使っていますので、本来の意味とは違いますが、慣用的に部内で定着している言葉と言えるでしょう。