あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの威力(2)

 昨日、夕刊フジの公式サイト「ZAKZAK」に東京音楽隊を取材した記事が掲載されました。「garicha」さんからの報告です。

www.zakzak.co.jp

 最近はこの手の記事が少なくなりましたね。テレビで取り上げられるのも年に1〜2回程度でしょうか。全盛期の狂乱ぶりを体験されているファンの皆様の中には「なんとなく物足りない」と思われる方もおられるかも知れません。

 全盛期に、同じ海上自衛隊の制服を着ていたにも関わらず、全く関心のなかった私には当時の熱感を知る術もありませんが、ネット上に溢れる情報を頼りに振り返って見るだけで、その凄まじさを窺い知ることができます。

 さて、冒頭の記事ですが、「おや?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。記事タイトルだけを見ると「あ、昔の記事だな」と思えますよね。「女性ボーカルを採用して話題」になったのは随分前のことですから。しかも、東京音楽隊を取材しながら、三宅由佳莉さんのことを書いてるの?

 実はちょっと違います。

 お読みになればわかると思いますが、この記事は海上自衛隊音楽隊、中でも東京音楽隊にフォーカスした紹介記事です。その中で、ボーカル専門職も置かれていることを書くにあたり、大変なセンセーションに結びついた三宅由佳莉さんの採用のことに触れているというわけです。

 今でこそ、陸海空合わせて5人の歌姫がいらっしゃるわけですが、抜刀隊よろしく、未知の世界にたった一人で斬り込んで行かれた三宅由佳莉さんが、海上自衛隊の顔を通り越して、「防衛省の顔」とまで評され、それが定着しているのは驚くべきことです。

 冒頭、最近この手の記事が少なくなったと書きましたが、評価が広く定着し、いわゆる「安定期」に入っているから、頻繁に取り沙汰されることがなくなったんだと思います。ステータスが確立したということではないでしょうか。

 そこに至る過程で、思い悩むこともたくさんあったと、色々な取材記事などに書かれてはいますが、実際にはそんな生易しいものではなかったでしょう。外に向かっては言えないようなご苦労を重ねて来られたんだと思います。

 以前、ある取材記事の中で、新規に採用された陸海3人の歌姫(中川麻梨子さん、松永美智子さん、鶫真衣さん)との懇談の場で、先輩としてアドバイスした内容などが語られていたのですが、最後に「自分自身を大切にしてあげてね。自分が壊れたら何にもならないから」と伝えたと書かれているのを見て「はっ」としました。さらっと書かれていますが、この短い言葉の裏には、ご自身が身を以て体験された重圧がいかに凄まじいものであったかが込められているような気がしたからです。

 でも、困難を乗り越えて行ったから今のポジションが得られたのかと言うと、決してそうではないと思います。以前にも何かの記事で書いたような気がするのですが、入隊の経緯も、音楽隊での才能溢れる多くの人々との出逢いも、「祈り」が世に出た背景も、ご自分の努力では作り出せない不思議な力が働いているように感じられます。

 そして何より、類稀なキャラクターでしょう。歌声とダンスと笑顔、そして人柄。その全てにおいて調和の取れたキャラクターがあったればこそ、大きな運命の流れをご自分のものにすることができたんだと思います。

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 チャンスは、準備ができている者にしか巡って来ない。

 そんな、当たり前のことを改めて感じさせてくれるのが、三宅由佳莉さんの足跡であると思います。

 そして、まさにクリエイターとして三宅由佳莉さんが創り上げられた、音楽隊の活動の中で、そして防衛省自衛隊の広報活動の中で歌姫が輝く仕組みというものが、後に続いた歌姫の皆さんに確固たる足場を提供しているのではないでしょうか。皆さん、三宅由佳莉さんに憧れて入隊して来られたというのもよく分かります。そして、「みんなで輝く」ことこそが、三宅由佳莉さんが目指して来られたことなのだと思います。

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2018年の音楽まつりフィナーレ みんな輝いていますね(╹◡╹)

   2018年音楽まつりのフィナーレ

 目を海自の中に転ずれば、三宅由佳莉さんと中川麻梨子さんのお二人が活躍されていますが、それぞれが独自のスタイルで演奏活動を続けておられます。

 下の写真は、昨年の12月に座間で米陸軍軍楽隊とのジョイントで行われたクリスマスコンサートでのショットです。中川さんのファンの方からいただいたものですが、ステージの上でも下でも、まさに輝いていますよね。

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 三宅由佳莉さんと中川麻梨子さん。それぞれ持ち味の異なるお二人は、互いにリスペクトし合い、その持ち味を伸ばし合いながら共に成長されているような気がします。

 下の写真は、いずれも2018年の音楽まつりでのショットです。三宅由佳莉さんのファンの方から頂いたものですが、楽屋入りする前のツーショットからはお二人の仲の良さが滲み出ていますよね。この時、音楽まつり初出演だった中川さんをファンの皆さんに紹介されつつ「彼女をよろしくお願いします」と仰っていたので、「まるで引き継ぎしているみたいな感じだね」との話も出たそうです。実際にそうだったわけですけど。

 そして、本番ステージでの海自ドリルでは、「この星のどこかで」で、お二人の華麗なパフォーマンスも披露されました。私も会場で拝見しましたが、それは素敵なステージでした。振り付けは三宅由佳莉さんのオリジナルだと思います。

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 こうして、今では当たり前となった自衛隊音楽隊での歌姫の活躍と輝きですが、先にも述べたとおり、三宅由佳莉さんという方がパイオニアとして存在しなければ、このような時代を迎えることはなかったに違いないと思います。

 今回、「ZAKZAK」の記事を読んで、三宅由佳莉さんの計り知れない「威力」を改めて思い起こした次第です。