久しぶりに、海上自衛隊用語解説です。
今回のタイトルは「だいいちさぎょうたいせいれつ」と読んでください。というかそのまんまですね(≧∀≦)
パールハーバーに停泊中の遠洋練習航海部隊のことを考えている時に、ふと頭に浮かんだので、書いてみることにしました。
護衛艦にせよ、商船にせよ、長期航海に不可欠なのは燃料と水と食料です。そのどれが欠けても長期航海を続けることはできません。ですから、長期行動中の艦艇が入港する際には、これらを搭載する必要があります。と言いますか、そもそも補給のために入港するという側面があるわけです。
もちろん遠洋練習航海部隊も、寄港地ごとに補給を行います。
各艦が調達する食糧には、「生糧品(せいりょうひん)」と「貯料品(ちょりょうひん)」があります。字面でだいたいお分かりだとは思いますが、「生糧品」とは、長期保存が効かない生鮮食料品のことで、「貯料品」とは缶詰やレトルト、ドライフーズや冷凍食品など長期保存が可能な食料品のことを指します。
今回の横須賀からハワイまでのように2週間も要する航海では、前半は生糧品中心の食事となりますが、後半は貯料品主体とならざるを得ません。乗員の士気を保つ意味でも、また健康管理の面でも、生糧品は大変重要な補給品です。
停泊中の岸壁には、納入業者が大量の生糧品を運んで来ますが、これを艦内に運び込むのは乗員の仕事です。補給科員による納入物の検品が終わると、艦内マイクが入ります。
「生糧品搭載を行う、第一作業隊整列、後甲板」
整列場所は、艦の構造やその時々の状況で異なりますが、例えば艦の後部から搭載する場合には上のようなマイクとなります。
あ、「マイク?何それ」と思われた方は、だいぶまえに書いた下の記事をお読みください。
で、「第一作業隊」による生糧品搭載が行われるというわけです。
入港するたび、あるいは何か作業の所用が生じた際、お呼びがかかるのはほとんどが「第一作業隊」で、時々「第二(だいふた)作業隊整列」がかかります。
防衛大学校の学生の頃、初めての乗艦実習で乗った艦が停泊中、何度も「第一作業隊整列」のマイクがかかるものですから、「第一作業隊の人は大変だなぁ、何となく不公平な気がする」と思ったものでした(≧∀≦)
実はこの「第一作業隊」、特定のチームを指したものではないのです。そうではなくて、共有されたある概念を表しています。
「第一作業隊整列」を、普通に言うと「各分隊は、それぞれ1名の作業員を差し出せ」と言うことです。
そして、作業量が多いことが予想される場合には「第二(だいふた)作業隊整列」となり、意味は「2名づつ作業員を差し出せ」というわけです。
どうでしょう、「各分隊は云々」と言うより、はるかにスマートかつ明瞭だと思いませんか? やることは一緒でも、「第一作業隊整列」の方が勢いがありますし、艦内に流れるマイクとして相応しいと思います。
私が遠洋練習航海に参加した際乗艦していたのは、旗艦の練習艦ではなく、随伴艦である護衛艦でしたので、練習艦のしきたりはわかりませんが、多数の司令部要員を載せている「かしま」では、司令部からも「第一作業隊」への派出があるのではないでしょうか。この停泊中に、三宅由佳莉さんら音楽隊員の皆さんも生糧品搭載に携わったかもしれませんね。
さて、遠洋練習航海部隊のパールハーバー滞在も、間もなく最終日の朝を迎えます。皆さん十分に英気を養うことができたでしょうか。
おそらく旗揚げ後、多くの方々に見送られながら、練習艦隊は次の寄港地であるサンディエゴに向け、1週間の航程に入ります。