あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの遠洋練習航海(第6レグ)

 先週はちょっと多忙で、なかなか記事が書けなかったのですが、私がボケボケしているうちに、練習艦隊はエクアドルでの日程を終え、7月17日(木)にグアヤキル港を出港して、次の寄港地であるメキシコのマサトランに向かう第6レグを航行中です。

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 前回のレグと違って、かなりの距離を進出しなければなりません。SOAを12ノットで切ると、8日後の入港は結構ギリギリです。ちなみにSOAとはSpeed of Advance、進出速力のことです。艦の速力計に表示される速力は、あくまで「対水速力」ですから、12ノットで航行していても、海流や風の影響で対地速力は10ノットになったり15ノットになったりします。これでは航海計画が成り立ちませんので、海図上で発航地から目的地までの航程を、単位時間(例えば1日)あたりに進出すべき距離で刻みます。その作業を、設定した進出速力が12ノットであれば「SOA12ノットで切る」と表現しています。そして、航行中は常に艦位(現在位置)を把握し、進出計画との遅れ進み(つまり海流や風など外力ベクトル)を計算して対水速力を増減しながら進出することになります。

 ところで、グアテマラでの豊富な情報に比べると、ペルーでは、入港当日の動画配信がとても早かったものの、その後の情報発信は限られたものになってしまいました。それでも、書き手心を刺激する動画や静止画がいくつかありましたので、今総括記事を書いているところです。

 エクアドルでは…一切の情報が見つかりませんでした。大使館のホームページには練習艦隊公式サイトのリンクが貼ってあり「このサイトで逐次画像などが提供されます」と、完全丸投げwです。

 確かに逐次アップされていますが、エクアドルでの写真は、「いなづま」乗員の皆さんによる活動だけが公開されており、音楽隊の写真は皆無です。

 でも、そんな「いなづま」乗員の皆さんの写真を一枚一枚見ていくと、どれも皆素敵な写真ばかりです。中でも、私の目を釘付けにした一枚をご紹介します。現地の子供達に折り紙の折り方を教えながら親善交流を図るボランティア活動中のシーンだと思われます。小学生でしょうか、愛らしい笑顔の女の子たちの間に座る乗員の、それこそこぼれおちそうな満面の笑顔に、見ている私まで笑顔になってしまいました。いい表情ですよね。おそらく、言葉は全く通じないんだと思いますが、心は完全に通じ合っている、そんな風に感じられ、見る者 の心を幸せで満たしてくれる一枚ではないでしょうか。

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 ただでさえ長期行動が増え、超多忙な護衛艦隊ですが、それでも遠洋練習航海への参加を希望する者が少なくないのは、こういうところに理由があるのかも知れません。子供達はその国の未来です。練習艦隊の滞在が極めて限られた日数であることは確かですが、そのインパクトは大きく、毎年寄港地ごとに行われるこうした活動が、将来の二国間関係に良い影響を及ぼさないはずはありませんよね。

 今回は、タイトルにも関わらず三宅由佳莉さんは登場しませんでしたが、練習艦隊の活動の一端をご紹介することができてよかったな、と思います。