あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

なんでもないこと

f:id:RetCapt1501:20180710055026j:plain

 先日の、陸海空合同コンサートでは、各自衛隊を代表するセントラルバンドの素晴らしい演奏や、3人の歌姫のそれぞれ個性が光る歌唱とパフォーマンス、そして、太田紗和子さんの驚愕のピアノ独奏を心ゆくまで味わうことができました。

 合同コンサートではありますが、やはり、ファンとして、時を経るに従い一人一人の顔と個性が見え始めている海上自衛隊東京音楽隊への親和度が、当然ながら私には圧倒的です。

 本公演前にロビーを歩いてみても、あれだけたくさんの人がいるのに、荒木美佳さんの姿だけが、まるで周囲から浮き出るように目に飛び込んできます。

 荒木さんの立ち居振る舞いを拝見していると、一つ一つの身のこなしが優雅ですし、話しかけてくるファンの方々への応対も、とても丁寧で、いつも笑顔を絶やしません。

 なんか、凄いなと思うのですが、一体何が凄いんだろうと考えてみました。

 背筋をピンと伸ばした美しい立ち姿、明るい笑顔、丁寧な応対・・・さて・・・素晴らしいことではありますが、荒木さんでなければできないような、特別なことは何もないようです。やろうと思えば、誰にでもできる「なんでもないこと」ばかりではないでしょうか。

 でも、一つ一つのことを「きちんとやる」、「全部やる」、「いつもやる」、「やり続ける」となるとどうでしょう。「なんでもないこと」が「とんでもないこと」になりませんか?

 そして、その「とんでもないこと」が「なんでもないこと」のように自然にできているからこそ、「なんか、凄いな」と感じさせるのだと思います。

 これは、ひとり荒木美佳さんだけではなく、男女を問わず、東京音楽隊の隊員の皆さんに言えることだと、kaiten91さんは常々仰っていますが、今回、はじめて間近に荒木さんのお姿を拝見して、きっとそうに違いないと確信しました。

 もちろん、入隊時からそんな振る舞いができたはずはありません。でも、東京音楽隊に配属され、その隊風に感化されて、みんな成長するんだと思います。

 そして、自分たちに求められているものが何であるかという認識を共有し、それを実現するための弛まぬ努力を続けているのだと思います。そうでなければ、あれほど粒ぞろいの部隊が作れるはずがないからです。

 大袈裟なこと、派手なことをパフォーマンスとしてひけらかすのではなく、「なんでもないこと」を、「きちんと」やり続ける。

 海上自衛隊東京音楽隊の「凄み」は、隊員一人一人の、そういった「なんでもないこと」の積み重ねの上に成り立っているのではないでしょうか。