あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの、スペクトラム

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 海上自衛隊東京音楽隊の歌手である三宅由佳莉さんは、バンドの皆さんとともに、年間120回以上の演奏会を全国各地で行っています。

 演奏会といっても、いろいろな種類があります。コンサートホールで行う本格的なコンサートもあれば、先日ご紹介したような小規模施設でのアンサンブル演奏、自衛隊の基地祭などでの野外コンサートなどもあります。珍しいところでは、大相撲千秋楽後の表彰式での君が代演奏や中央競馬会GⅠレースのファンファーレ演奏などへの協力も行っています。下の動画は、2016 年5月のオークスでファンファーレを奏でる東京音楽隊です。旗持ちは、手前が荒木美佳さん、そして向こう側が三宅由佳莉さんです。

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 このように、国内で文字通り様々な演奏活動を続ける東京音楽隊三宅由佳莉さんですが、海外での活動についても触れてみたいと思います。

 

 実は、海上自衛隊の音楽隊は、その昔から遠洋練習航海部隊の臨時音楽隊として、世界各地での演奏活動を続けて来ました。とは言っても、これは艦隊の行動の一部であって、音楽隊独自の活動ではありません。

 

 でも近年、海外での軍楽祭などに自衛隊の音楽隊が招かれる機会が増えています。海上自衛隊でそのようなイベントに参加するのはセントラルバンドである東京音楽隊ですが、2014年には、ノルウェイの首都オスロの「スペクトラム」という大ホールで開催されたミリタリー・タトゥーに参加し、「君が代行進曲」「天地人」「行進曲軍艦」の勇壮な演奏で、ノルウェイの皆さんを魅了しました。また、振袖姿の三宅由佳莉さんが歌う「故郷」に聴き入っていた聴衆の終曲後の喝采もすごかったです。興味のある方は下の動画をご覧ください。

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 そして、2016年には、スイスのバーゼルで開催されたミリタリー・タトゥーに、東京音楽隊は、英国海兵隊軍楽隊とともにメインゲストとして招かれました。7月17日(日)〜30日(土)の2週間に渡る一大イベントでしたが、メイン会場での東京音楽隊のプログラムの中で、三宅由佳莉さんは、やはり振袖姿で「故郷」を美しく歌い上げました。下の動画が撮影された日は、丁度東京音楽隊の出演時間が土砂降りの雨となり、振袖の三宅さんだけが傘を差しながらの演奏となりましたが、よく見ると、傘も上手に使って演出されているのがわかります。

 市内のコンサートホールで開かれた両音楽隊の合同演奏会には多くの聴衆が詰め掛けました。また、メイン会場でも両バンドの合同演奏プログラムが設けられ、その中で、三宅さんは、「祈り」と「アメイジング・グレイス」を披露しました。

 大きな会場の中で、大観衆の注目を一身に浴びながら、優雅に伸び伸びと、そして力強く歌い上げる三宅さんの姿は、日本人としてとても誇らしく思えます。

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 国際的な大舞台での、実に堂々たる歌い方や、しなやかな身のこなしなどを見るにつけ、三宅由佳莉さんは、歌手というよりはエンターテイナーなんだなぁとつくづく思うのでした。

 東京音楽隊の活動の幅ももちろん広いのですが、個人として注目を浴びる存在である三宅由佳莉さんの、オークスでの旗持ちから、こんな大舞台でのソロ歌唱までという、そのスペクトラムの広さに今更ながら驚きます