あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの、演奏服あれこれ(2/2)

 前回の続きです。

 前回は、通常の制服で演奏する場合と、通常の制服にワンポイントのアクセントをつけた「演奏略服装」の場合を見てみました。

retcapt1501.hatenablog.com

 今回は、もともと「演奏服装」として作られ、音楽隊員だけが着用することを許されている制服についてみてみたいと思います。

 海上自衛隊音楽隊の現在の演奏服装は、先の東京オリンピックでの演奏支援に先立ち、東京音楽隊第2代隊長である片山正見氏がデザインされたものです。片山氏は、帝国海軍軍楽隊のご出身で、まさに海軍軍楽隊と海上自衛隊東京音楽隊の架け橋となられた方です。

 海上自衛隊の通常の制服と比較して見ましょう。

 まず、黒い冬服から、左が通常の制服、右が演奏服です。

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 一目でわかる大きな違いは、演奏服の場合、上着の袖口から肘の近まで金糸であしらわれた刺繍、それからズボンの外側に、縦にあしらわれた金色のストライプがありますね。そして、両肩に飾り肩章を装着し、両襟には音楽科の徽章(バッジ)をつけているところも異なります。あと、演奏服では、防衛記念賞やネームプレートをつけていませんね。

 もう一つ、大きな違いがあるのですが、お分かりでしょうか。

 そうなんです、通常の制服は6つボタンのダブルですが、演奏服装では8つボタンになっています。8つボタンの方が軍服らしくなりますね。また、後で出てきますが、黒い演奏服は、袈裟懸けの白いベルトを装着する場合があるため、そのバランスも考えられているのだと思います。

 実は帽子も違うんです。通常の正帽には金モールはなく、至ってシンプルです。

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 演奏服の着こなし方についても、いろいろバリエーションがあります。上の写真のように上下の演奏服のみを着用し、白手袋を装着して、礼装仕立てにする場合もありますし、下の写真のように、白い弾帯等を巻くこともあります。左右の違いがわかりますか?左の眼光鋭い写真で巻いているのは、まさに白弾帯だと思います。バックルがシルバーで錨のマーク入りです。

 右の写真は、白い弾帯(かな?)と袈裟懸けの白いベルトが組み合わされて、より軍服らしさ、軍楽隊らしさが際立ちますね。弾帯のバックルはゴールドです。

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 このように、冬服の演奏服一つをとっても、多くのバリエーションがあり、任務の場が演奏会なのか、式典なのか、パレードなのか、そしてそれぞれ、どのような性格のイベントなのかによって、服装の選定が細かく考えられているのだと思います。

 

 さて、白い夏服はどうでしょう。

 通常の第一種夏制服(長袖ジャケット、ネクタイ着用)の適当な写真がなかなかないため、左肩にモールをつけた演奏略服装の写真を2枚(+α)下に掲載します。この服装から肩のモールを外せば、通常の第一種夏制服になります。真ん中の小さい写真は、横須賀教育隊で訓練を受けていた頃の三宅さんです。白手袋をはめた礼装姿ですね。第一種夏制服は、基本的に「礼装」として着用するものなので、儀式や式典、離着任挨拶などの他には着る機会がありません。だから写真も限られるのです。

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 この第一種夏制服に対応する夏の演奏服が、下の写真です。第一種夏制服との違いは、やはり袖の金糸刺繍とズボンのサイドの金糸のストライプ、両肩の飾り肩章ですが、両胸と両脇のポケットも相違点ですね。よく見ると、ネクタイの色も演奏服では金色がかっています。それでも、あまり派手過ぎず、上品な感じだと思います。

 この写真は、2017年6月3日、横浜開港祭ライブ2日目で、寛仁親王妃信子殿下の臨席を賜った際の画像です。殿下のお出ましということで、演奏略服装ではなく、正装での演奏になったものと思われます。

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 三宅さんがいつも着用される演奏服は、白いメスドレス(夜会服)タイプのもので、この服装ですっかりイメージ付いてしまっているので、テレビ出演の際など、真冬でも白のメスドレスを着ていますね。このタイプを演奏服(乙)と呼ぶらしいです。

 メスドレスタイプの演奏服は女性隊員用だけが制定されてます。

 ちなみに、一般の自衛官用にも、男女とも、メスドレスタイプの制服はあるんです。あるにはあるんですが、通常使うことはありませんので支給もされていません。

 主として、在外の日本大使館で勤務する防衛駐在官駐在武官)や領事館で勤務する警備官が、現地での正餐やパーティーなどに出席する際着用します。

 話を戻します。

 三宅由佳莉さんといえば、やはりメスドレスですよね。

 下の写真を見ると、ああ、三宅さんだなと思い、何となく安心しませんか?

 三宅さんには、本当にこの服装がよく似合います。背も高く、姿勢が素晴らしいからなのでしょうね。

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 ここで、東京音楽隊だけが着用している演奏服についてもご紹介したいと思います。

 下の写真をご覧ください、これは昨年2月の定期演奏会での様子です。三宅さんも後方の男性隊員も、タキシードタイプの演奏服を着ていますよね。これらは、海上自衛隊の音楽隊用に試作された演奏服で、東京音楽隊により実用性やアピール度などの検証作業が行われているものです。定期演奏会のような、フォーマルなものについては、軍服然とした従来の演奏服よりも、シンプルでより洗練された服装が望まれるということなのでしょう。

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 さて、2回にわたり、三宅さんの、演奏時の服装について書いてきました。細かいことを言い出せば、もっといろいろあるのですが、キリがないので、この辺で閉めたいと思います。今後、いろいろな記事の中で、制服や装着品のことなどについて、改めて触れていきます。

 お付き合いありがとうございました。