埼玉県所沢市にある防衛医科大学校で先日行われた並木祭(学園祭)で、海上自衛隊東京音楽隊のコンサートが行われました。防衛医科大学校は、医師たる幹部自衛官や看護師たる隊員を養成する防衛省の教育機関です。
You Tubeにアップされた動画をみたのですが、音楽隊のみなさんは全員戦闘服(迷彩服)姿で演奏されていました。三宅由佳莉さんの戦闘服姿は、楽屋裏で撮影された写真などが時々アップされていましたが、戦闘服姿でステージに立つのを見たのは、私は初めてです。階級章が二つ付けられていますが、どれだかわかりますか?
そうですね、両襟にロービジ(Low Visibility:見えにくい)タイプのグレーの階級章が縫い付けられています。
階級章についての詳細は下の記事をご覧ください。
陸上自衛隊や航空自衛隊の音楽隊は、以前から戦闘服での演奏をよく行っていたようですが、海上自衛隊の音楽隊は専ら制服姿での演奏だったように思います。
この写真で三宅さんが着用されている迷彩服は、私の退役後、ここ2年ほどで各部隊への支給が行われたものと思われます。私自身は着たことがありません。
左肩の旭日旗は、帝国海軍では「軍艦旗」と呼ばれたもので、海上自衛隊では「自衛艦旗」と呼称します。艦艇の艦尾に掲揚されるもので、国旗と同じ扱いです。陸上自衛官や航空自衛官の戦闘服の場合には「日の丸」を着用します。
せっかくの迷彩服なのに、赤白の旭日旗では目立って仕方ないですよね。ですから、音楽隊の演奏のような晴れの舞台の場合には「赤白バージョン」、戦闘訓練などの場合には「モノトーンのロービジバージョン」と、状況により付け替えをするようです。マジックテープで簡単に着脱できるようになっています。
それにしても、三宅さん、戦闘服がよくお似合いですね。戦闘服でのこの笑顔と、昨年の音楽まつりにおける演奏服での眼光の鋭さを比較してみましょう。
この落差がまた、彼女の魅力の一つでもあると思います。
ボルビックチャンネルさんがアップして下さった動画を紹介しますね。
防衛医科大でのコンサート後の見送りの場面だと思いますが、なにしろ子供から年配の方まで、女性に大人気な様子がよくわかります。
ところで、普段武器を扱うことのない音楽隊員がなぜ戦闘服を着るのでしょうか。決して伊達に着ている訳ではありません。それは、彼らも自衛官である以上、国家の戦闘員だからです。
入隊時には、一般の隊員と同様「自衛官の服務の宣誓」を行っていますし、入隊後の新兵教育で、戦闘員としての基礎を叩き込まれています。自衛官である以上、毎年、射撃訓練も行っているはずです。ですから、たとえ危険な場所や状況であったとしても、音楽隊の演奏を必要とする任務があるならば、必要に応じて武装したうえで、彼らはそこに赴くというわけです。
自衛官の服務の宣誓については、以前紹介した記事がありますので、興味のある方は覗いてみてください。
さて、個々の音楽隊員が戦闘員でもあるということは分かっていただけたと思いますが、音楽隊の演奏活動自体が強力な戦力であるという点について、次回ご紹介したいと思います。