あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

Mariko Nakagawa singing at the rehearsal of the Marching Festival 2018

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    This time, I would like to introduce Mariko Nakagawa, another singer of the Maritime Self Defense Force, other than Yukari Miyake. She is a talented singer who graduated from the Aichi Prefectural University of the Arts Vocal Music course as chief.

After completing the graduate school of the university, she joined the Maritime Self - Defense Force in April 2014 and was assigned to the Yokosuka Band in August the same year. Her singing skills made her acquire many fans through her 4-year career in the Band. She has a reputation for rich voice volume and certain pitches.

    She first appeared in the Self Defense Force Marching Festival held at the Budokan in Tokyo this November and showed a wonderful singing voice with other singers.

    What I want you to listen to is the song she sang as a special program during the rehearsal of Marching Festival. Please listen to it and be surprised(╹◡╹)

(Unfortunately the channel seems to have been closed!! I should have downloaded the video!! True, it's no use crying over spilt milk(≧∀≦))

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    Yukari Miyake and Mariko Nakagawa are a contrasting existence in a sense. Yukari Miyake is a brilliant entertainer, while Mariko Nakagawa is a full-fledged singer who fascinates the audience with singing skills.

    Because there are two singers of different types, I think that the Maritime Self Defense Force Bands have been able to broaden the range of performance. The video below shows how they two co-starred in the Marching Festival. Click and enjoy it.

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今日は何の日?(12月8日)/2018年版

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 このところ、本当に記事を書く時間が取れず、飛び飛びになっています。書きたいことはたくさんあるのに、書く時間がない! 厳しい現実です(≧∀≦)

 さて、昨年のこの日にも同じタイトルの記事を書きました。

 と言いますか、このシリーズの1本目でした。

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 日本人として忘れてはならない日だからこそ書いたのです。ですから、今年も当然書くつもりでおりましたが、冒頭申し上げたとおりの状況で、当日の夜になってようやく書き始めることができました。ちょっと雑になるかも知れませんがご容赦ください。

 さて、今回は、私が防衛大学校の第2学年の時の思い出話を書かせて頂きます。

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 防衛大学校は、将来、陸海空自衛隊の幹部となるべき人材を育成する防衛省教育機関であり、3軍種に人材を供給するという特色があります。

 従いまして、多くの国が採用している軍種ごとの士官学校とは異なり、その規則や習慣などを、いずれかの軍種のものに合わせるわけにはいきません。とはいえ、「士官学校」である以上、自衛隊の行動様式に従った生活の基盤が必要ですので、各自衛隊の習慣を持ち寄った形になっています。もう随分と前のことなので、細かいことは覚えていませんが、思い返してみれば、基本的には陸上自衛隊風の生活だったような気がします。特に、信号ラッパは、おそらく陸上自衛隊のものをそのまま使っていたと思います。

 防衛大学校の学生は、全員が寮(学生舎といいます)で起居を共にしますが、学生舎内に響く信号ラッパのうち、誰もが「聞きたくない」と思うのが「非常呼集ラッパ」です。音源を探したのですが、YouTubeにもありませんでした(帝国陸軍のはありました)。真夜中にこのラッパが流れると、皆目を覚ましますが、そこで動いてはいけません。なぜなら、ラッパが鳴り終わると、何をなすべきかの指示が放送されるからです。

「第2大隊訓練非常呼集、服装、乙武装、ライナー、執銃、集合場所舎前、以上」(記憶に基づく再現ですので、正確ではないかも知れません)。

 乙武装とは、戦闘服に半長靴(はんちょうか/戦闘用ブーツ)と弾帯を着用する服装です。因みに甲武装は制服に白弾帯、白手袋を装着する服装で、観閲式で防大生が着用している服装です(上の写真)。また、ライナーとはプラスチック製のヘルメットで、鉄帽(鉄製のヘルメット)の下に被るため「ライナー」と呼ばれています。執銃は、読んで字のごとく小銃を携行せよということです。訓練非常呼集は、舎前(学生舎の前)に集合し、点呼をとった後、中隊ごとに控え銃(ひかえつつ/両手で銃を胸の前で斜めに保持する)の姿勢で、掛け声をかけながら数キロ走るのが通常でした。今も、おそらく同じようにやっているんじゃないでしょうか。

 このように、夜中(通常は早朝)に叩き起こされ、重たい銃を抱えながら走るのが通常でしたので、非常呼集ラッパが響くと、明るい気持ちになる者は少なかったと思います。

 私が第2学年の1年間を過ごしたのは、第5大隊でした。おや?と思われる方もおられるかも知れませんね。現在、防衛大学校の学生隊は4個大隊編成ですが、1979年の3月までは5個大隊編成でした。私は第5大隊の最後の1年をそこで過ごしたのです。

 1978年の12月8日未明、私が居住していた第5大隊の学生舎に、非常呼集ラッパが鳴り響きました。ラッパの後「第5大隊訓練非常呼集、服装、礼装、集合場所屋上、以上」

 皆驚きました。非常呼集で「礼装」など、聞いたこともありませんでしたから。

 礼装とは、夏も冬も詰襟の長袖制服に白手袋をはめた服装で、儀式や畏まった行事の際に着用する服装です。

 ネイビーブルーの詰襟に、制帽を被り白手袋をはめた集団が、戸惑いのざわめきの中、階段を駆け上り屋上に集合します。

 各中隊ごと点呼を終え、第1中隊から第4中隊までの各中隊学生長から、大隊学生長への人員報告が行われた後、大隊学生長から、次のような言葉がありました(記憶に基づく再現です)

 「本日は、開戦記念日である。先の戦争に対する個々人の捉え方は様々あろうと思うが、我が日本が、止むに止まれぬ事情から、米英蘭に対し宣戦を布告したこの日を、国防の任に就こうとする我々は忘れてはならない。また、4年近くにわたる激戦の中、故国を遠く離れた太平洋の洋上や島々で、また大陸において、無念にも散華された多くの英霊に対する感謝と慰霊の心を忘れてはならない。この国が謳歌しつつある繁栄は、この国の未来を信じ、その礎となられた多くの英霊の尊い犠牲の上に成り立っていることを忘れてはならない。開戦記念日にあたり、そのことを皆とともに確認し、感謝と慰霊の心を捧げたいと思う。右向け、右!大東亜戦争において散華された全ての御霊に対し、敬礼!」

 まだ暗いなか、輝く星と、うっすらと茜色を帯び始めた雲が重なる空を見ながら敬礼している私は、言葉にはできない感動のなかにいました。こうして、祖国日本の歴史は繋がって行くんだ。こうして、外地で散華された御霊は、その意味を獲得して行くんだ。それは、今を生きる我々の仕事なんだ。そんなことを考えました。

 今も鮮烈に記憶に残る、「嬉しい」非常呼集でした。

急転! トリフォニーホール

 

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隅田トリフォニーホール

 皆さんおはようございます。昨日に引き続きトリフォニーのネタです。

 金曜日に発送されたチケットですから、遅くとも月曜日までには届くだろうとの予想から、昨日「外れました」と報告する記事を書きました。

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 ところが、それに対する反応は、「私も落選」「俺も落選」というものばかりで、「当たった」という人が誰一人としていないという異常な状況になっていました。なんかおかしいな、ひょっとして、まだ届いてないんじゃないの? 昨日仕事しながらそんなことを考えていました。

 そして昨夜、残業を終えて帰宅してみると、果たせるかな、我が家の郵便受けの中に、昨年来夢見ていた、トリフォニーホールでの演奏会のチケットが入った東京音楽隊からの白い角封筒が収まっていました。

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夢にまでみたトリフォニー演奏会のチケット

 でも、不思議です。東京音楽隊からの発送は金曜日でしたから、我が家に届くまでに4日も要したということになります。用賀から横浜まで、歩いても半日で着きます。何ゆえ4日もかかるのか。郵便番号という制度が導入される前でさえ、日本全国どこへでも、通常3日もあれば手紙は届きました。そう考えると、こんな近くなのにこれほどの時間がかかったことが本当に不思議でなりません。きっと部外者にはわからない郵政内部の事情があったのでしょう。

 そう考えると、今日届くチケットがあってもおかしくないなと思えて来ます。未だ届いていない方も、今一度期待してみましょう(保証の限りではありませんが)。

 今回の演奏会のことについて、以前書いた記事をここに貼っておきます。

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 東京音楽隊のファンの皆様と、また演奏会場でお会いできることを楽しみにしております。

トリフォニーホールへの遠い道のり

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 皆さん、おはようございます。

 前回の記事の最後に、東京音楽隊第59回定例演奏会のチケットが発送されたようだと書きましたが、応募された方、白い角封筒は届きましたか?

 残念ながら、今年も、私には縁がなかったようです。

 昨年は、11月の初旬に応募ハガキを出すところから、「クリスマスコンサートへの道」というシリーズ記事を書きました。当然当選してクリスマスコンサートの報告記事で締めるという構想でした。コンセプトは良かったのですが、肝心のチケットが落選してしまいまい、目的は果たせませんでした(≧∀≦)

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 でも、思わぬハプニングがあり、心温まる結末となりました。

 とても嬉しかったです。

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 肝心の演奏会の内容については、「なるほど編」でまとめてみました。

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 今年は、7月の合同コンサート以来、たくさんの演奏会に足を運ぶ機会をいただきましたし、奇跡的とも言える自衛隊音楽まつりの一般券まで当選したのですから、そろそろ幸運が底をついても仕方ないでしょう。

 こうして、落選してみると、トリフォニーホールへの道のりは遠く険しいなぁと、改めて感じます。とても素敵なホールですし、一度はこのホールでの東京音楽隊の演奏を生で聞いて見たいものです。来年こそは白い角封筒を手に入れたいと思います。

 今年は、三宅由佳莉さんのファンの方々にとっては特別な意味のあるクリスマスコンサートなのではないでしょうか。何しろ、三宅さんの誕生日に開催されるのですから。

 また、今年東京音楽隊から呉音楽隊に復帰したトロンボーン奏者の道本さんが出演されることも、間違いなく大きな話題でしょう。

 そういったことが、今回のクリスマスコンサートのチケットをプレミア化させたかも知れません。例年より倍率が高かった可能性は十分あります。

 そんな状況下で当選した皆様、話題性の多い今回の定例演奏会をどうか楽しんできてくださいね。

2018年自衛隊音楽まつり…スピンオフ③ 華やかなスリーショット

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左から、鶫真衣さん、森田早貴さん、松永美智子さん

 今回の自衛隊音楽まつりでは、陸海空5人の歌姫全員が初めて同じステージに上がるという大きな話題がありましたね。フィナーレで、とても楽しく華やかで素晴らしいそのステージを実際に拝見することができたことは幸運だったと思います。

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 さて、昨夜投稿した記事でも書きましたが、終演後に会場を出て帰ろうとしたのですが、出演者出入り口付近で、防大儀仗隊の学生さんの周りに人が集まっていたので、ちょっと立ち寄り、学生さんからドリル演技の話などを伺いました。

 また、スピンオフ①で報告したとおり、東京音楽隊のベーシスト岩田有可里さんにもご挨拶することができました。

 辺りを見回すと、白い制服に身を包んだシンガポール軍楽隊の隊員さん達もたくさん出ていて、日本の出演者の方々と談笑しています。この写真は、そんなシンガポール軍軍楽隊の皆さんなのですが、よく見てください。真ん中の方は左手にサーベルを、そして左の方は右手にスティックを握っていますね。サーベルを吊っているのが今回の演奏で指揮をされた恐らく大尉です。会場のナレーションでは名前は聞き取れませんでしたが、階級は「上尉」と聞こえました。また、左の方はすごいパフォーマンスを見せてくれたドラムメジャーですね。皆さん、いい表情です。

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シンガポール軍軍楽隊のスリーショット 中央は指揮者、左はドラムメジャー

 よく見ると、彼らと談笑しているのは、陸自中部方面音楽隊の鶫真衣さんでした。シンガポールでも日本の歌姫の皆さんは人気があるようです。

 さらに見回すと、友人と思しき多くの人に囲まれた陸自中央音楽隊の松永美智子さんもおられました。すごいなぁと思って目を転じると、空自航空中央音楽隊の森田早貴さんもファンの方々に応対されています。豪華な顔ぶれです。

 皆さん、それぞれ家族や友人との面会のために外に出て来られたのだと思いますが、たまたまその様子を目にしたファンの方々や、シンガポール軍楽隊の皆さんがコンタクトしたのではないでしょうか。

 とても和やかで、ゆったりとした雰囲気の中、とてもいい感じて交流が行われていました。3人の歌姫は、ただ普通に接しているだけなのですが、不思議と、そこにスポットライトが当たっているかのように感じられます。立場が人を造ると言いますが、本当にそうなんだなと思いました。日々、多くの人たちに注目されながらの生活は、とても窮屈な面もあるかも知れませんが、絶え間なく磨かれ続けているのも確かです。

 それぞれの個性を伸ばし、更に飛躍されるであろう皆さんのこれからがとても楽しみだなと思いました。

 ファンの皆さんの求めに応じているうちに、自然と3人が集まる形になり、思いがけず、華やかなスリーショットを収めることができました。

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華やかなスリーショット!

 さて、東京音楽隊の第59回定例演奏会「ハートウォーミングコンサート」のチケットが発送されたようですね。応募された皆様に白い封筒が届くことをお祈り致します。

2018年自衛隊音楽まつり…スピンオフ② 防大儀仗隊のこと

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演技中の防大儀仗隊。右奥、空中を飛んでいる銃の角度まで揃っています。

 1週間のご無沙汰になりました。このところ慌ただしく、ブログの面倒をみる時間が全く取れなかったものですから、なんだかすでに時期を失してしまいましたが、自衛隊音楽まつりスピンオフの残りを投稿しておきたいと思います。

 今回の音楽まつりでは、11月22日(木)の第3回公演のチケットが当選したため、幸運にも会場で、素晴らしいイベントを体感することができました。

 このイベントを影で支えておられる陸海空各部隊からの支援隊の皆様が、出口通路に並んでお見送りしてくれています。皆様に「ご苦労様でした。ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えながら、退場したのですが、出演者入り口の付近に人が集まっているので、「なんだろう」と思い近づいて見ますと、防衛大学校儀仗隊の学生さんたちが何人かいて、その周りに人が群がっていました。

 儀仗隊OBとして、聞きたいこともありましたので、そちらへ向かいます。どうやら、友人知人の方々との面会が行われているようなのですが、詳しくはわかりません。私が学生だった頃には、このような機会はなかったように思います。

 第4学年の学生さんを捕まえることができたので、話を聞いて見ました。ちなみに、防衛大学校の学生は自衛隊員ではありますが、自衛官ではないので階級はありません。ただ、下級生は上級生に敬礼する義務がありますので、学年を識別するために制服には「学年識別章」というものが装着されています。詰襟の制服(夏は白、冬はネイビーブルー)の場合、袖に縫い付けられた蛇腹のちょっと上に金色の桜の徽章が付いています。

 袖に何もないのが第1学年(1年生ですね)、桜1個は第2学年、2個が第3学年、そして3個が第4学年(最上級生)となりますので、袖を見れば一目で学年がわかります。3月末に、第2学年への進級を控え、初めて学年識別章をつけるために、千枚通しで袖に穴を開けた時の嬉しさを今でも覚えています。校内で着用する名札も、第1学年の時は真っ白ですが、第2学年になると、学年を示す色と陸海空の要員区分を示す色の2色が入り、カラフルになります。

 第二学年は緑色、第3学年は黄色、第4学年は赤、信号と同じで、学年が上がるにつれ、「要注意」の警戒色となっていきます。第1学年にとってはわかりやすい配色ですね。

 また陸上要員は茶色、海上要員は紫色、航空要員は青色となっています。イメージはこんな感じです。

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 上の例ですと、第213小隊所属の第4学年で、海上要員、教務班(専攻学科)は8班ということがわかります。ところで第213小隊と言っても、小隊が200個もあるわけではありません、これは第2大隊第1中隊の第3小隊ということです。軍隊の部隊番号はだいたいこんな形でつけられています。

 ですから、名札に施された二つの色や数字を見ただけで、学年と要員区分、所属や専攻学科までが一目でわかり、とても便利です。

 もっとも、これは私が学生だった時の話です。多分、今も基本は変わってないと思いますが、教務班などはカリキュラム自体が全く変わってしまったのでどうなっているのかわかりません。どうなんでしょう。

 ちょっと脱線しましたか? だいぶ脱線しましたね(≧∀≦)

 私が話しかけた第4学年の学生さん。名前を聞くのを忘れましたが、私が儀仗隊OB

だと言うと、少し驚いた顔をされていましたが、終始笑顔で対応してくれました。好青年です。

 私が予々感じていたことを伝えました。「今のドリルを見て思うのは、リズムが早いということと、技の難度が半端ないということです。」と伝えると、「諸先輩方の努力の積み重ねが今に繋がっています」と、素晴らしい回答が返ってきました。こんな受け応えが咄嗟にできる後輩を持って、ちょっと誇らしく感じました。

 そこで、本編でも書いた捧げ銃の技の名称を聞いて見たのです、「回せ捧げ銃というんですか?」と。そこでの回答が「いえ、あれは夢に幻という字を当てて「夢幻(むげん)捧げ銃」と呼んでいます。いつの頃か、この技ができた時に誰かが名付けたんだと思います」とのことでした。すでに結構歴史のある技だということを知りました。

 他方、私の2期先輩である青木さんが考案した「青木担え銃(あおきになえつつ)」は未だにその名称が残っているということで、伝統は守ってくれていることがわかり安心もしました。もっとも、私の時代には難易度の高かったこの技が、今では基本技になっていることに40年という時の流れを感じた次第です。

平成30年度「自衛隊音楽まつり」を観てきました!

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 一昨日(2018年11月22日木曜日)、14時開演の第3回公演を観覧して参りました。

今回は、自分で録画した動画を記事に埋め込むための処理に思いの外時間を要したため、すっかり遅くなってしまいましたが、報告させていただきます。

 開演前の会場の様子です。今から始まる公演への期待感が静かに満ちていく、そんな雰囲気が漂っています。

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 前日の公演を御覧になった「カキンTV」さんのフル動画を事前に拝見し、「自衛隊音楽まつり、とりあえずの印象」という記事を書きました。ですから、全般の流れについての予備知識はありましたが、やはり会場でのライブは、緊張感と期待感が格段に違います。

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 会場入りしてから、YouTubeを確認したところ、「ikoan01」さんも、初回公演のフル動画をアップして下さっていましたので、ここにリンクを貼らせていただきます。座席はおそらく、私が座ったのと同じ1階席中央の最前列なのではないでしょうか。

 三脚使用禁止の中で、フル動画を撮るのって大変だと思います。「ikoan01」さん、いつも素敵な動画をありがとうございます。

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 まず、今年の音楽まつりのテーマ「挑戦 CHALLENGE」のサブテーマである各章の構成を見てみましょう。各軍種合同での演奏となる序章、第3章、最終章のカテゴリー各軍種ごとの第1章(陸)、第2章(海)、第4章(空)のカテゴリーに明確に区分されています。やはり、各軍種ごとの「挑戦」の中身を際立たせる意図があるものと思われます。

序章:挑戦、始まる。

第1章:陸の挑戦〜芽生える、大地からの鼓動〜

第2章:海の挑戦〜繋がる、希望の海〜

第3章:飛翔、昇りゆく挑戦。

第4章:空の挑戦〜広がる、明日の空へ〜

最終章:終わらぬ挑戦

 

 各章ごとに、私が撮影した拙い動画も交えながら感じたところを記していきます。詳しくは上に紹介した二つの動画をご覧ください。

 序章の初っ端を飾るのは、例年どおり3自衛隊音楽隊による合同演奏ですなのですが、開演前からステージ中央に太鼓が置かれているのが目を引きます。

 恒例になった、カウントダウンで場内が暗転、演奏が始まります。「シン・ゴジラ」から「Who will know」です。中央正面から陸自中央音楽隊の松永美智子さん、左袖から海自東京音楽隊三宅由佳莉さん、そして右袖からは、空自中央航空音楽隊の森田早貴さんが登場してこの、恐怖とも絶望ともつかない心の淵からの哀しみの調べを美しく歌い上げます。

 因みに、英語で歌われるこの曲の日本語訳詞付き動画がありましたので貼っておきます。胸に染みるとか、そういう次元ではない歌詞の深い意味を味わってください。

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 この、身の置きどころもないような孤独感を起点として、今年の音楽まつりのテーマ「挑戦 CHALLENGE」が展開されるというわけです。

 昨年の音楽まつりでも、「ゴジラマーチ」が合同演奏で披露されましたよね。自衛隊ゴジラは昔から宿敵同士ですから、因縁が深いということなのかも知れません。

 合同演奏の最期に、「消灯ラッパ」が奏でられました。これは陸海空自衛隊共通のラッパで、各部隊ごと、消灯時間になると隊内に一斉放送されます。もっとも、殆どが録音された音源の放送ですけど。一昨年の音楽まつり(音の力)では、冒頭いきなり、東音トランペット奏者である西村麻美子さんによる「起床ラッパ」の吹奏から始まって驚かされましたが、自衛隊のラッパをモチーフにするという流れがあるのかも知れませんね。それにしても、吹奏楽で消灯ラッパの調べを膨らませていくと、こんな風になるんだと大変驚きました。音楽というものは奥深いものです。

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 合同演奏が終わり、第302保安警務中隊によるオープニングセレモニーです。新制服での斉一な動作で、国旗への着剣捧げ銃が行われ、このイベントのオープニングを締めます。そして、退場となるのですが、例年ですとドラムの響きにあわせて行進していくのですが、今年は3自セントラルバンドによる「君が代行進曲」に乗っての退場です。

 私も大好きな行進曲ですが、3自の合同演奏でこの曲が演奏されることに大きな意味があると思います。素晴らしい演奏でした。

 

 第1章(陸の挑戦)では、まず今年断行された陸上自衛隊の非常に大きな組織改編についてナレーションで説明が行われました。島嶼部への迅速な機動展開により実効的な抑止を実現するため、機動師団・旅団への改編、日本版海兵隊とも言われる水陸機動団の新編、そして防衛大臣の下に並列していた5個方面隊を一元指揮可能な陸上総隊の新篇についての説明です。この大改編は、まさに画期的であり、陸上自衛隊が挑戦すべき方向性を明確に示していると思います。

 この章では、まず5個方面隊にそれぞれ置かれる5個の方面音楽隊のうち、東北方面音楽隊と西部方面音楽隊が出演しました。両方面とも、近年大規模な震災等による被害を受け、未だ復興への道半ばという環境にあります。陸自は、毎年2個方面音楽隊を順次出演させていますが、ナレーションによると、東北方面音楽隊と西部方面音楽隊が共演するのは今回が初めてということのようでした。意外ですね。

 

 続いて出演したのが米海兵隊第3海兵機動展開部隊音楽隊です。随分長い名前ですね。3MEF(Ⅲ Marine Expeditionary Force/スリーメフ)とも呼ばれる、第3海兵機動展開部隊は、巷間「第3海兵遠征軍」などとも訳されていますが、防衛省では「機動展開部隊」と呼称しています。米海兵隊が持つ3つの機動展開部隊のうち唯一海外に司令部を置き、中東からアジア太平洋にかけての広大な作戦エリアに責任を持つ重要な部隊です。

 その音楽隊が、陸自の章に出演したことが注目点です。米海兵隊は、陸海空軍と並び米4軍の一角を占めますが、組織上は海軍に所属します。したがって、軍種のカウンターパートとしては建前上は海自ということになります。ところが、今年3月に日本版海兵隊・水陸機動団が新篇され、実質上のカウンターパートは当然陸自です。そのことを象徴的に示したのが、今回の出演区分ですし、そのために章編成を陸海空に分けたのではないかと推察します。大変意義深いことだと思いました。

 そして、陸上自衛隊中央音楽隊のドリル演奏ですが、ナレーションでも紹介されていましたが、「ミリタリズムス」を追求した内容になっています。今、陸自が置かれている環境を、ドリル演奏で表現しようとすれば、当然こうなるのでしょう。スマホ撮影の動画で恐縮ですがご覧ください。

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 第2章(海の挑戦)では、まずフランス海軍から、バガット・ド・ラン・ビウエ軍楽隊の登場です。同軍楽隊については、先日、記事でご紹介した通りです。

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 曲目は「AZERTY」そして「海の声」。拙動画をご覧ください。「海の声」では東京音楽隊の太田紗和子さんがピアノセッションで参加しています。本当に素晴らしいピアニストですね。

 バグパイプと聞けばスコットランドが思い浮かびますが、実はヨーロッパ各地にそれぞれ独自のバグパイプが伝わっているのだそうです。思い込みは禁物ですね。とても美しい音色と、哀調を帯びつつも聴く者の心を静かに鼓舞して止まない「AZERTY」の伝統の旋律、そして私たちに馴染みの深い「海の声」の素晴らしい演奏をお聴き下さい。

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 そして、シンガポール軍軍楽隊の演奏です。静的なフランス海軍とは対照的に、華やかで動的な、シンガポール軍のドリル演奏をどうぞお楽しみ下さい。ドラムメジャーのスティック投げ技が凄いです。

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  この音楽隊は、1994年に陸海空の音楽隊を統合して発足した、シンガポール軍内でトップステータスの音楽隊です。言うなれば、陸自中音、海自東音、空自空中音を一つにしたような音楽隊で、制服も統一されています。軍の規模と国土面積を考えると、この方が効率的だと言うことなのでしょう。

 防衛省内でも、音楽隊の統合を主張する声があるに違いありませんが、私が思うに、そのような統合は、自衛隊ほどの部隊規模と国土面積を考えた場合、逆に非効率だと思います。また、統合運用が主流になりつつあるとはいえ、統合運用は陸海空の各軍種がしっかりとその特色を極めた能力を研ぎ澄ましているからこそ成り立つものです。軍種の特色を無くして均一化してしまったのでは、相乗効果が得られないばかりか、力が相殺し合うばかりです。また、士気高揚という観点からも、音楽隊の統合など問題外であると思っています。陸海空の各自衛隊が、それぞれの軍種に誇りを持っていることこそ士気と能力の淵源なのです。

 また、脱線しましたね、すいません。

 第2章ドリル演奏の最後は、海上自衛隊東京音楽隊です。どんなチャレンジに焦点が当たったかと言うと、二人の歌姫の初めての共演を前面に押し出してきました。陸とは全くディメンジョンの違う挑戦を持ってきたわけですが、三宅ファン、中川ファンにとっては嬉しい構成になりましたね。事前にTwitterで情報が流れていたこともあり、このお二人の共演への注目度は相当高かったのではないかと思います。

 中川麻梨子さんは、今回が音楽まつり初出演ですが、実に堂々とされてましたし、見事な歌声を披露してくださいました。三宅由佳莉さんとのデュエットで披露されたのは「この星のどこかで」。聴き応えのある歌唱と、お二人での踊るような滑らかな身のこなし。振り付けは三宅さんだと思いますが、お二人で何十回となく練習を重ねて来られたのでしょうね、短時間ではありますが、歌劇の一場面を見ているかのような、優雅で気品溢れる素晴らしい内容でした。

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 そして、バンドの演奏です。海自オリジナル「海峡の護り」の力強くテンポの早い演奏に、ドリル展開も目まぐるしく、ある種の緊張感を感じさせる見事な演技でした。これも挑戦ということなのでしょうか。そして、ドラムが響くなか体制を変換して、最後の演奏は、行進曲「軍艦」です。昨年のように歌唱は入れず、演奏のみの伝統的なパフォーマンスでした。でも、全体的に、イメージが一新されたような印象を受けるのは何故なのでしょうか。とても印象に残る海自のドリル演奏でした。

 第2章の締めくくりは、合同演奏です。曲目は大ヒットアニメ「君の名は」から、RADWIMPSが手がけたエンディング曲「なんでもないや」とテーマ曲「前前前世」でした。

    「君の名は」が劇場大ヒットしていた頃、私はこの作品を舐めていたのですが、後日、テレビで放映されたのをたまたま観て、完全にやられてしまいました。素晴らしい作品だと思います(╹◡╹)

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 当初、海自東音、ラン=ビウエとシンガポールの3部隊合同演奏で始まりますが、やがて左右の袖から逐次出演全音楽隊が集まって、感動の合同演奏となりました。指揮は我らが樋口好雄隊長なのですが、途中で指揮台を離れ、演奏部隊と一緒に踊ったりして、本当に楽しい演奏でした。素晴らしい。

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 第3章(飛翔、昇りゆく挑戦)では、防衛大学校儀仗隊のファンシードリルと自衛太鼓が登場です。

 防衛大学校儀仗隊の演技では、これまでにない新しいフォーメーションがいくつも披露されました。最後の捧げ銃。これまで私は「回せ捧げ銃」と呼んでいると思うと書いてきましたが、今回、終演後に防大儀仗隊の4年生と話をする機会があり、聞いたところ「夢幻捧げ銃(むげんささげつつ)」と言う技だと言うことが判明しました。技の命名方法も、時代とともに変わるということですね。

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 そして太鼓です。こればかりは、私には語る言葉がありません。ただただ、会場で体感して!としか言いようがないんです。いくら動画で見ても、なんとなく迫力があるのはわかりますが、あの体を揺さぶるような音圧は、言葉では伝えようがありません。

 体が終始震え続けているのはもちろんのこと、座っているシートが振動し続けるものですから、お尻が痒くなるほどの勢いなんです。

 この太鼓は、各自衛隊の基地・駐屯地で、課業時間外に有志により自主的な活動として行われている、クラブ活動のようなものです。陸上自衛隊から12チーム、航空自衛隊から1チームの合計13チームが一堂に会して練習する機会など、本番前のほんの数回だけだと思いますが、これだけ息の合った演奏ができるのは、北部方面隊の高橋直保・陸曹長の指導の賜物だと思います。また、部隊は異なっても自衛官としての思いを共有する集団だからこそそのようなことができるんだと思います。

 音楽まつりのチケットは高倍率とはいえ、所詮確率の問題です。家族同士、友人同士で協力し合えば、実質倍率は下がります。是非、一度は会場で体感していただきたい演目の一つです。

 ところで、お気付きのように、海自からの太鼓チームの参加はありません。というか、海自には太鼓チームを持っている部隊がないんじゃないでしょうか。定かではありませんが、私の記憶にはありません。この辺り、軍種ごとの文化の違いが出ていて面白いなと思います。

 

 第4章(空の挑戦)では、初っ端、空自航空中央音楽隊と自衛太鼓との共演で「タタリ神」の力強い演奏が披露され、その後にナレーションでこの章の解説が行われると言う、異色の展開でした。これも一つの挑戦なのかもしれませんね。

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 そして、空自航空中央音楽隊の単独ドリル演奏が始まります。曲は「天空の城ラピュタ」。この曲も、自衛隊音楽隊が何度となく演奏してきた名曲ですが、アニメのテーマ自体、日本人の心の琴線を大きく揺さぶるものだからこそ、これらの劇中曲が年代を超え、時代を超えて広く愛されているのではないかと思います。みんなが幸せであって欲しいと願い、大いなるものへの献身を尊ぶという、長い歴史の中で日本人のDNAに組み込まれてきた思想を呼び覚ますような作品であり、テーマ曲であると思いますし、自衛隊の音楽隊が演奏することに大きな意義があるとも思います。

 第4章の締めくくりは「空の精鋭」。海自の「軍艦」と並ぶ、航空自衛隊のテーマ曲であり、瑞々しく心踊る行進曲ですよね。いいエンディングでした。

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 さて、今年の空自のドリル演技では、これまで定番だった、戦闘機の絵が描かれた特大のシートがステージ全体を覆いながら前から後ろに流れると言う演出がなくなりました。これは、空自のドリル演奏にも大きな変革がもたらされようとしている予兆なのかもしれません。来年以降の音楽まつりでの空自のドリル演奏には注目です。

 この章では、ゲストバンドとの共演はありませんでした。陸自、海自がそれぞれ2つづつのゲストバンドをアテンドした形での合同演奏を行ったのとは対照的です。構成上の事情があるのかもしれませんが、ちょっとバランスを欠いた感もありました。

 そして、陸自中音同様、自隊の歌姫の出演がなかったことも、「おや?」と思ったところです。陸自については「ミリタリズム」の追求ということで、雄々しいドリルを目指したという事情があるにせよ、空自については森田早貴さんの出番があってもよかったのかな、とは思います。

 限られた時間の中で各演目の持ち時間が細かく指定されていきますから、なかなか難しいのかも知れませんね。

 

 そして最終章です。

 事前情報もあり、自衛隊音楽隊の5人の歌姫が初めて同じステージに立つという画期的な場面に多くの方の期待が寄せられていましたね。目の前のステージで繰り広げられる5人の歌唱と身のこなしは、華やかで楽しく、どうして今まで実現しなかったかな、と思えるほど自然だし、5人の息もよく合っていました。きっと、歌姫サイドとしては宿願だったに違いありません。初めて三宅さん以外の歌姫が登場した頃、三宅さん自身が皆んなで共演したいという希望を言い続けたいと仰っていましたね。自衛隊音楽隊の一つの時代を画するステージだったと思います。入場する時の歌姫5人の歩調がバラバラだというのもまた、味があっていいんじゃないでしょうか。歩調が合ってしまうと、画的に面白みがなくなり、一人一人の個性が光る彼女たちの持ち味が死んでしまうからです。その辺をわかった上で、敢えて合わせてないんだと思います。自衛官って、放っておくと自然に歩調が合ってしまうものですから。

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 エンディングの最後に登場したのは、陸海空各一名のトランペット奏者。オープニングでも演奏された「消灯ラッパ」がここでも再び演奏されます。なぜ、今年は「消灯ラッパなのか」。なんとも謎めいた演出です。でも、オープニングは吹奏楽での華やかな展開、そしてエンディングでは3人での輪奏という静かな余韻を醸し出す演出が、印象に残ります。これもまた、新しい試みという位置付けなのかな?

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 あっという間の2時間です。「今年はいつもより短いの?」と思うくらい、時間が経つのが早く感じられ、「最終章」とのナレーションにとても驚きました。

 やはり、ライブで体感するというのは動画で楽しむのとは全く違います。カメラは会場の雰囲気全部を捉えることはできないんです。音もです。

 今回、プライベートで何の気兼ねもせずに初めて音楽まつりを観覧して思うことは、管弦楽では表現できないであろう吹奏楽ならではのパフォーマンスの魅力です。技術を研ぎ澄ました吹奏楽オーケストラのアグレッシブな祭典を直接この目で見ることができたことは本当に幸せなことでした。

 今回会場入りする機会を逃した皆様も是非、諦めることなく会場に足を運ばれることをお勧めします。もちろんそのためには、頑張って応募することが必要ですが(╹◡╹)