あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの2010年レビュー

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 先回、「三宅由佳莉さんの2009年レビュー」という記事を書き、今後、三宅由佳莉さんの入隊以来の全てを、年ごとのアニュアル・レビューとして、順次記事にしていくと書きました。

 2010年〜2016年をアット・ランダムに並行して作成しながら、既にアップした2009年と2017年分についても、逐次追記していますので、時々覗いてみてください。

 

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 さて、2010年です。

 まだ、入隊後2年目で、東京音楽隊も、三宅由佳莉さん自身も、試行錯誤の連続といった時期だったでしょうし、海上自衛隊の音楽隊に「歌手」が誕生したということも、それほど世間に知れ渡っていなかった頃です。

 たくさんのファンを抱えた今とは違い、三宅さん目当てで東京音楽隊の演奏会に足を運ぶ人は、殆どいなかったのではないでしょうか。

 また、twitterfacebookが日本で本格的に普及し始めるのがちょうどこの年ですし、instagramが日本に上陸するのは翌2011年です。

 海上自衛隊facebookも2013年8月スタートです。

 このような時代背景を考えれば、当然のことなのかもしれませんが、三宅由佳莉さんの動画や、様々なブログを追っても、2010年の記録は、ほとんど見当たりません。

 ないものを探し続けて時間を空費するのも如何なものかと思いますので、とりあえず、把握できた事実と蓋然性の高い推論だけで、2010年レビューをまとめてみたいと思います。

 新たに発見、発掘した動画や試料等については、その都度追記していきます。また読者の方々からコメント欄に寄せられる情報等につきましても、逐次記事の中に追記していきます。そんな風に、みんなで作り上げていければな、と思っています。

 

02月21日(日)、第49回定期演奏会東京オペラシティ・コンサートホール)

 熊崎隊長の指揮による、最後の演奏会でした。多くのファンを持つ熊崎隊長です、最後のタクト見たさに足を運んだ聴衆も多かったのではないでしょうか。

 三宅由佳莉さんが歌う動画は見つかっていませんが、前年、着任直後の定例演奏会でも歌われたのですから、定期演奏会で歌われなかった筈はないと思います。曲目だけでも情報があればいいのですが・・・

 演奏会の様子を動画でご覧ください。埋め込みができないようですので下のリンクから飛んでください。

https://www.youtube.com/watch?v=ge4K1TyKeoU

 

03月01日(月)、河邊一彦さんが東京音楽隊長に就任

 第15代隊長、熊崎博幸さんが退官準備のため東京音楽隊付となり、第16代東京音楽隊長として、横須賀音楽隊長から河邊一彦さんが就任されました。この後、歴史的な躍進を遂げる東京音楽隊に役者が揃ったというところでしょうか。この日から、ちょうど4年間に渡り、河邉隊長が東京音楽隊を良導されていきます。

 以前、「三宅由佳莉さんの出会い・・・作曲家の河邊一彦さん」という記事を書きました。もちろん、入隊以来、三宅さんは河邉さんと何度も顔を合わせてはいたでしょうけれど、河邉さんが隊長として着任した、まさにこの日が本当の意味での「出会い」となりました。

retcapt1501.hatenablog.com

 

 

 

04月01日(木)、1等海士から海士長に昇任

 三宅由佳莉さんは、一般海曹候補生として入隊されましたので、この日に海士長に昇任されている筈です。自衛隊の定期昇任は、1月1日と7月1日なのですが、一般海曹候補生の海士長への昇任は例外です。

 1等海士の期間が半年しかありませんので、この階級章をつけた三宅さんの画像はとてもレアです。滅多にお目にかかることはありません。

 下の左の写真が1等海士、右の写真が海士長の階級章をつけた三宅さんです。左上腕部の金色の線が階級章で、二本線が1等海士、三本線が海士長です。

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 海上自衛隊東京音楽隊にとって、年度の前半は地方公演の季節です。全国の各地区を何年かに一度訪れる形で回っています。これは、陸上自衛隊中央音楽隊航空自衛隊航空中央音楽隊も同じです。

 これら3自衛隊のセントラルバンドは、いずれも防衛大臣直轄部隊で、特定の担当地域を持ちませんから、全国どこにでも出向いて演奏活動を行います。

 更に、これら3つのセントラルバンドが、地方で合同演奏会を行うこともあります。ありますと言いますか、毎年何処かで必ず行っており、毎回好評を博しています。

 ところで、東京音楽隊が地方公演を行う場合には、楽器車という大型のトラックに楽器その他の器材を積み、隊員は自隊の大型バスに乗って移動します。運転するのも音楽隊員です。九州公演とかになると、体力勝負ですね。

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 左の写真がこの当時の楽器車です。味気ない感じですが、今は、コンテナ部分にとても格好良い塗装が施され、走る広告塔のようになっています。

 因みに、フロントガラスを拭いているのは1等海士の三宅由佳莉さんです。

 

 

 

 

06月04日(金)地方公演(佐賀市文化会館

 佐賀市文化会館での演奏会です。地方公演ですので佐賀だけでなく、何箇所かで公演を行なっている筈ですが、今のところ詳細は不明です。

 三宅由佳莉さんも、当然歌われた筈ですが、動画や関連情報は見つかっていません。

  ところで、下の動画は、ボーカリストとしても人気の高い河上良司さんをはじめ、4人のホルン奏者がメインの演奏です。この動画は、海外でも注目されたようで、英語とロシア語による賞賛のメッセージが寄せられています。

 英語のメッセージは「この曲を吹奏楽団が演奏しているので少し驚いたけど、素晴らしい演奏だ!」、ロシア語のメッセージは「ホルン奏者たちが素晴らしい!オーケストラもいいね!」

 確かに素晴らしい演奏ですので、ぜひ聞いてみてください。

 この動画も埋め込みができませんので、下のリンクから訪ねてください。 

https://www.youtube.com/watch?v=D9LXZ0LRgU4

 

 

6月27日(日)米第7艦隊軍楽隊との合同演奏

 お台場・船の科学館前で東京音楽隊と、米第7艦隊軍楽隊による合同演奏が行われました。何のイベントなのかについて、情報がないためわかりません。

 niconico 動画から、両国の国歌吹奏、と「君が代行進曲」の合奏動画をリンクしておきます。動画の中に三宅由佳莉さんの姿は見えませんが、この場にはおられた筈ですし、歌も披露されたのかもしれません。「君が代行進曲」は素晴らしい曲です。ぜひ聞いてみてください。

www.nicovideo.jp

www.nicovideo.jp

 

 

 

 

09月03日(金)定例演奏会(パルテノン多摩

 東京都多摩市にあるパルテノン多摩で、東京音楽隊の定例演奏会が行われました。この演奏会でも、三宅由佳莉さんが歌う動画は見つかっていません。定例演奏会や定期演奏会では、場内での撮影が禁止されていますから、一般聴衆からの動画投稿がないのは仕方ないのですが、海自側も、まだ三宅由佳莉さんの歌唱動画の価値に気づいていない頃だったということなのでしょうね。

 この演奏会の前段(クラシック等の正統派中心)は、ピアニストの太田紗和子さんメインのプログラムだったようです。下の動画で太田さんのピアノをお楽しみください。

 

https://www.youtube.com/watch?v=sPaLk3cDplA

 

 

 09月29日(水)水曜コンサート(赤坂新国際ビル)

 東京音楽隊が誇るビッグバンド「シーレッグス」が、ジャズの名ナンバーの数々を響かせるランチタイムコンサートです。ここでようやく三宅由佳莉さんの動画が見つかりました。

 でも、歌はなしです。この日の三宅由佳莉さんは、MCとしてシーレッグスの演奏を盛り上げます。この頃のシーレッグスのコンサートは、ジャズ演奏だけだったのでしょうか、三宅さんはMCに徹していたみたいです。

 下の動画をご覧になってください。これは、3本の動画から、三宅由佳莉さんのMCシーンのみピックアップしたもので、演奏シーンがないのでちょっと違和感を感じるかもしれませんが、ご容赦ください。

 三宅由佳莉さんは、まだ、表情や喋り方に硬さが残っていて、初々しい感じです。

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 11月18日(木)〜19日(金)、自衛隊音楽まつりに出演

 入隊以来、2度目の音楽まつりです。2009年の東京音楽隊のドリル演奏の際には、河上良司さんと、海上自衛隊の隊歌である「海を行く」を歌いましたが、今回は、バンド演奏によるドビュッシーの「海」から、カリブの海賊のテーマに続き、映画タイタニックのテーマ曲「My Heart will go on」を三宅由佳莉さんが熱唱されました。

 今の三宅さんに通じるものがあり、東京音楽隊の中での試行錯誤が一つの方向性を見出した頃なのかなとも思います。

 ドリル演奏の最後は、定番の「軍艦」で締めました。

www.youtube.com

 まだ、三宅さんの知名度は高くありませんので、公演を観に行かれた方のブログを読んでも、「歌われた隊員の方」との表現になっており、三宅由佳莉さんの名前は出てきません。

【プログラム】平成22年度自衛隊音楽まつり (プログラム)::こんなの聴いてきましたよ?

 

 そして、私が大好きな「朧月夜〜祈り」のトリオアンサンブル演奏が行われたのも、この年の音楽まつりでした。18日の動画と19日の動画がありましたので、両方埋めておきます。まずは18日のものです。

www.youtube.com

 

 そして、こちらが19日の公演です。

www.youtube.com

 三宅由佳莉さんがメジャーデビューするのはまだ先のことです。独唱後のナレーションが「海上自衛隊東京音楽隊による独唱でした」となっているのも、今聴くと違和感を感じつつも、なんとなく新鮮な感じがします。

 なお、この独唱については、「三宅由佳莉さんの独唱……自衛隊音楽まつり(1)」という記事に、その素晴らしさを綴ってありますので、是非読んでみてください。

retcapt1501.hatenablog.com

 

 

12月某日 定例演奏会

 毎年恒例のクリスマスコンサートが行われた筈なのですが、関連情報がないため、日にちも場所も特定できていません。とても大きなミッシングピースです。

 

 

 以上、長々と字数をかけてまとめてはみましたが、肝心要の三宅由佳莉さんの歌唱シーンに乏しく、内容の薄い記事になってしまいました。

 現段階では、これが精一杯ですので、とりあえず一区切りつけたいと思います。

 情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、コメントをお願いします。

 

 

三宅由佳莉さんの人となり(2)分析編

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 以前、「三宅由佳莉さんの人となり」という記事を書きました。

retcapt1501.hatenablog.com

 この記事は、何の手玉もないまま、とにかく三宅さんがどういう人なのかを書きたいという思いだけで書いてみた記事でした。

 今回は、その第二段として「分析編」をまとめてみることにしました。

 分析ツールは「占い」です・・・どこが分析? と思われる向きもあるかも知れませんが、占いというものは統計的・帰納的アプローチで当たらずとも遠からずな、その人のありようを示してくれるものですし、「人となり」を大くくりで把握するにはもってこいのツールだと思います。

 

 さて、三宅由佳莉さんは1986年(昭和61年)12月14日生まれですので、この生年月日をキーに見て行きましょう。

 

◯太陽星座占いでは「射手座(Sagittarius」になります。

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 太陽星座が射手座の女性は、自由であることを誰よりも望みます。少しでも束縛されると、途端に現状を放り出し新しい場所へと旅立ってしまいます。精神的なものに価値を置くので、物品にはそれほど執着しません。

 どうですか?当たっている気がしませんか?

 だから、入隊直後の教育隊での生活が本当に嫌だったんですね、2週間で辞めようと思ったのも、キツいからというよりは自由を束縛されたことへの反動だったのでしょう。また、精神的なものに価値を置くという点は、まさに心を大切にする三宅由佳莉さんの姿そのものですよね。三宅由佳莉さんは、典型的な射手座の女性と言って良いのではないでしょうか。ただ、「少しでも束縛されると・・・旅立ってしまう」という点がやや心配ではあります。

 

 

◯月星座占いでは「双子座(Gemini)」になります。

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 月星座が双子座の女性は、とても器用な人です。一度に複数のことを考えることができ、そのどちらもおろそかになることはありません。

 何だか、そのままですよね。異議なし!

 

◯干支占いでは「壬辰(みずのえ たつ)」になります

 壬辰生まれの人は、非凡な才能の持ち主である場合が多いのですが、世に認められることなく終わりがちです。人の上に立つことを好まないために、才能を発揮しきれないことが多いようです。

 前段の、非凡な才能の持ち主であることは、まさにその通りですね。後段については、海上自衛隊の音楽隊にいることで、逆に作用したということでしょう。

 

◯九星占いでは「五黄土星」になります。

 五黄土星の年に生まれた女性は、気が強くさっぱりとしています。愛情深いのですが、人から泣き言を言われるのは好みません。異性には自分よりもさらにしっかりとした態度を求めることでしょう。一見強気なようですが、かわいらしい性格を内に潜めています。

 先日、「三宅由佳莉さんの、意外な一面(2)」という記事で、三宅さんの大学時代の同期の方々の「ヤンチャで元気でロックな感じ」とか「チャキチャキ」といった評価を紹介しましたが、まさに九星占いのとおりなのでしょう。以前、憧れの男性として北島康介さんの名を挙げておられたのも、頷ける感じがしますね。retcapt1501.hatenablog.com

 

◯曜日占いでは「日曜日生まれ」になります。生まれた日が日曜日です。

 日曜日生まれの女性には、とても世話好きな人が多いのが特徴です。面倒見が良く情に厚い人柄のため、つねにたくさんの人に慕われていることでしょう。ただし、度がすぎると相手にうっとうしがられてしまうことも。ほどほどの善意が幸運につながります。

 ここまで書いてきて、全部三宅さんのことをズバリと言っているようにしか思えないと感じていましたが、曜日占いまで・・・占い恐るべし(≧∀≦)

 

◯お月さま占いでは「満ちていく月」になります。

 生まれた日のお月さまはだいぶ満ちていました。ほぼ満ちた月の下に生まれた女性は、無意識のうちに人に癒しを与えるような存在です。何においても一歩下がって周囲のフォローに回るような縁の下の存在になりがちです。しかし、その聡明さは裏方で終わるようなレベルではありません。気が付けばすべてを取り仕切っているマネージャー的地位になることも多いでしょう。

 またですね。もうコメントのしようがありません。そのまんまです。

 

◯数秘占いでの運命数は「」になります。

 運命数が5の女性はアクティブに行動します。いくつになってもその行動力は衰えるところを知りません。実年齢よりもずっと若々しい雰囲気を発していくことでしょう。自由が大好きで、変化を厭わないのですが、ひとところに落ち着けないという欠点もあります。

 実にあってます。参りましたm(_ _)m  気になるのは、先ほど「射手座」のところでも出てきた、「自由が大好きで」「ひとところに落ち着けない」というところですね。

 

 どうでしょう、すごいと思いませんか?

 前から「そうに違いない」と思っていたこと、最近「そうだったのね」と気づいたことなどの全てが描き出されている気がします。これだけの種類の占いが、とてもよく整合しているということは、精度の高さが期待できるということではないかと思います。

 それだけに、一点だけ気になるのが、「ひとところに落ち着けない」「少しでも束縛されると、どこかに旅立ってしまう」というところです。

 

 なんと言いましょうか、このようなアプローチで書いてみても、結局、昨年来私たちが気にかけていることに繋がるような懸念をちゃんと残す形になるところが、やっぱり只者じゃないんだと思います。 

 因みに、三宅由佳莉さんが生まれたその日は「大安」でした。やっぱりね

 

出船優先

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 海上自衛隊用語の続きです。

 今回は、素直に「でふねゆうせん」です。

 これはそもそも、海自用語というよりは海事用語です。港湾を出入りする船が、港口でお見合いする形となる場合、出航する船を優先し、入港船は待機するという約束事です。

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 船乗りにとっては常識ですし、港則法などで法定もされています。理由はお分かりと思いますが、入り船優先にした場合、港内が輻輳する恐れがあるからです。

 

 このように、「出船優先」は海上での一般ルールですが、海上自衛隊では、例によって艦艇以外の部隊でも、結構頻繁に耳にする言葉です。例えば、部屋の入口を出入りする隊員同士が鉢合わせしたような場合、入室しようとしていた人が、「出船優先」と言いながら道を開けたりします。階級の上下ではなく、「出船」を優先します。

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 一般の社会でこのルールが適用されているのが、電車の乗り降りですよね。もちろん、都会の電車であれば、いつも混んでますから、降りる人(出船)を降ろさなければ乗る人(入り船)のスペースが確保できないという事情もありますけど。

 それでも、出船が終わらないうちに乗車しようとする入り船が結構いますよね。これは「乗り降り」という言い方も影響しているかもしれません。乗る方が優先されているようにも取れますから。

 だからなのかわかりませんが、鉄道会社によっては、「乗り降り」ではなく「降り乗り」と言っているところがあると聞いたことがあります。なるほどと思いました。言葉に言霊が宿っているかどうかはわかりませんが、耳から入る言葉、目から入る言葉が、私たちの心理活動に何らかの影響を与えないわけがないですもんね。

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 電車の乗り降りでは、「降りる方が済んでからご乗車ください」がルールになっていますが、その他の出入り口では、一般的と言えるルールは確立していません。

 私は、コンビニなどの出入り口で、他人と鉢合わせした場合にはには、習い性で「出船優先」を常としています。もちろん、自分が「入舟」の時だけです。出船の時に同じことをすると、大抵トラブルの元になるはずです。

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 歩行者は右側通行、という一般原則もすっかり崩れ去っているように思えますが、それでも、そういう原則があるということをみんなが知っていることが重要です。

 私は、同じように「出船優先」の原則が一般ルールとして定着すれば、ほんの少しですけど、世の中がスムーズに回るような気がします。

 

三宅由佳莉さんの、スペクトラム

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 海上自衛隊東京音楽隊の歌手である三宅由佳莉さんは、バンドの皆さんとともに、年間120回以上の演奏会を全国各地で行っています。

 演奏会といっても、いろいろな種類があります。コンサートホールで行う本格的なコンサートもあれば、先日ご紹介したような小規模施設でのアンサンブル演奏、自衛隊の基地祭などでの野外コンサートなどもあります。珍しいところでは、大相撲千秋楽後の表彰式での君が代演奏や中央競馬会GⅠレースのファンファーレ演奏などへの協力も行っています。下の動画は、2016 年5月のオークスでファンファーレを奏でる東京音楽隊です。旗持ちは、手前が荒木美佳さん、そして向こう側が三宅由佳莉さんです。

www.youtube.com

 このように、国内で文字通り様々な演奏活動を続ける東京音楽隊三宅由佳莉さんですが、海外での活動についても触れてみたいと思います。

 

 実は、海上自衛隊の音楽隊は、その昔から遠洋練習航海部隊の臨時音楽隊として、世界各地での演奏活動を続けて来ました。とは言っても、これは艦隊の行動の一部であって、音楽隊独自の活動ではありません。

 

 でも近年、海外での軍楽祭などに自衛隊の音楽隊が招かれる機会が増えています。海上自衛隊でそのようなイベントに参加するのはセントラルバンドである東京音楽隊ですが、2014年には、ノルウェイの首都オスロの「スペクトラム」という大ホールで開催されたミリタリー・タトゥーに参加し、「君が代行進曲」「天地人」「行進曲軍艦」の勇壮な演奏で、ノルウェイの皆さんを魅了しました。また、振袖姿の三宅由佳莉さんが歌う「故郷」に聴き入っていた聴衆の終曲後の喝采もすごかったです。興味のある方は下の動画をご覧ください。

www.youtube.com

 

 そして、2016年には、スイスのバーゼルで開催されたミリタリー・タトゥーに、東京音楽隊は、英国海兵隊軍楽隊とともにメインゲストとして招かれました。7月17日(日)〜30日(土)の2週間に渡る一大イベントでしたが、メイン会場での東京音楽隊のプログラムの中で、三宅由佳莉さんは、やはり振袖姿で「故郷」を美しく歌い上げました。下の動画が撮影された日は、丁度東京音楽隊の出演時間が土砂降りの雨となり、振袖の三宅さんだけが傘を差しながらの演奏となりましたが、よく見ると、傘も上手に使って演出されているのがわかります。

 市内のコンサートホールで開かれた両音楽隊の合同演奏会には多くの聴衆が詰め掛けました。また、メイン会場でも両バンドの合同演奏プログラムが設けられ、その中で、三宅さんは、「祈り」と「アメイジング・グレイス」を披露しました。

 大きな会場の中で、大観衆の注目を一身に浴びながら、優雅に伸び伸びと、そして力強く歌い上げる三宅さんの姿は、日本人としてとても誇らしく思えます。

www.youtube.com

 国際的な大舞台での、実に堂々たる歌い方や、しなやかな身のこなしなどを見るにつけ、三宅由佳莉さんは、歌手というよりはエンターテイナーなんだなぁとつくづく思うのでした。

 東京音楽隊の活動の幅ももちろん広いのですが、個人として注目を浴びる存在である三宅由佳莉さんの、オークスでの旗持ちから、こんな大舞台でのソロ歌唱までという、そのスペクトラムの広さに今更ながら驚きます

ひっぱる

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 海上自衛隊用語解説の続きです

 今回のは、何なんでしょう

 「勝手に引っ張っとけ!」って感じでしょうか

 

 以前、「ウイスキー🥃オンザロック」という記事で、無線交話や電話での確実な意思伝達のため、「イロハ...」や「ABC...」を確実に伝える呼称法があることをご紹介しました。

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 特に、「ABC...」については、NATOコードの全てを掲示しました。最後の方にあるWがキーワードでしたから。

 「イロハ...」については、アルファベットの倍もありますので、和文通話表へのリンクを貼るに留めておきます。興味のある方はどうぞ。

www.benricho.org

 その、和文通話表ですが、イロハだけでなく、いくつかの記号についても、呼称法が記載されています。

 その一つが「ー」で、「長音(ちょうおん)」と呼びます。

 そのままだし、何の抵抗もなく納得できますよね。

 ところが、海上自衛隊では、この記号のことを「ひっぱる」と呼んでいます。そうなんです、この「ひっぱる」は動詞じゃなくて、固有名詞だったのです。

 具体的な使用例としては、「058A-12M」であれば、

「まる ごー はち アルファ ひっぱる ひと ふた マイク」

となります。

 なぜ、こんなへんてこりんな呼称をするのでしょうか?

 これも、洋上での戦闘など苛烈な環境下での聞き取りやすさが考慮されたものだと思います。「ちょうおん」には破裂音が含まれないため、音に締まりがありません。「ひっぱる」だと促音と破裂音が組み合わさるため、聞き取りやすくなります。

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 これも、帝国海軍の遺産の一つではないかと思いますが、実戦での教訓の積み重ねが、こうした細部に宿っているのだなと感じますし、その影には先人達の少なからぬ犠牲があったであろうことにも思いを致している次第です。

 さて、長年海上自衛官をやっていると、この「ひっぱる」を頻繁に使うものですから、「ー」を見ると瞬発的に「ひっぱる」が口を突いて出てしまいます。

 私も、今の会社に入リたての頃は、電話口でつい「ひっぱる」と言ってしまい、微妙な空気が流れることがありました。流石に今は大丈夫ですが、同じ職場の海自の大先輩で、未だに堂々と使っている方もおられるので、多分伝わることは伝わるのでしょう。

 この大先輩とは対照的に、会社で「ひっぱる」を聞くと違和感を感じ始めた自分に、なんとなく大切なものを失ってしまったような寂しさを覚えるのも事実です。

 

三宅由佳莉さんの、「旅立ちの日に」

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 ついこの間、新年の挨拶を交わしたばかりなのに、もう3月のスケジュールが視野に入ってきました。この時期は日が経つのが早く感じますね。すぐに卒業シーズンがやってきます。

 今日ご紹介するのは、今や卒業式の定番楽曲となっている「旅立ちの日に」です。

 この曲は、もともと、埼玉県のある公立中学校の先生方が卒業生を送るために作られたものです。

 荒れすさんだ中学校を、合唱を通じて立て直そうとされた校長先生と音楽教諭の3年にわたる地道な努力により、歌声が響き渡る明るい校風が蘇ったのだそうです。音楽教諭の発案で、3年前に入学した生徒たちの卒業式に歌をプレゼントしようと、校長先生が書かれた歌詞に音楽教諭が曲をつけ、教員合唱団による1回限りの演奏が行われました。ところが、この曲に感動した生徒さん達が、翌年から自分たちの卒業式に歌うようになり、それが何年もの時を経て日本中で愛される曲となりました。

 

 以前、「三宅由佳莉さんの…の原点」という記事で、2015年3月4日に西東京市立碧山小学校で行われたライブの動画をご紹介しました。三宅由佳莉さんが、卒業を控えた6年生の皆さんと、この日リリースされたアルバム「希望」の収録曲でもある「旅立ちの日に」を合唱する様子も収録されていましたね。

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 碧山小学校でのライブ動画は、全体がとても優しくて温かみのある、三宅由佳莉さんらしい雰囲気に包まれていますし、「旅立ちの日に」の合唱も、とても印象的です。

 ただ、編集されたショートバージョンなので、曲全体を楽しむことができないのが残念です。フルバージョンの動画が是非見たいところですよね。

 そこで、碧山小学校でのライブの翌月、2015年4月16日(木)に、テレビ東京「木曜8時のコンサート」に海上自衛隊東京音楽隊が出演した際の動画をご覧ください。

www.youtube.com ステージ上での東京音楽隊は、いつもながら厚みのある素晴らしい演奏ですが、40人全員が立位というのは、見た目にもとてもスマートですね。

 そして、三宅由佳莉さんは、この曲の素晴らしいメロディーに、自らの想いを美しくのせて歌われています。何というか、溢れる想いをグッと抑えた歌い出しから、感動的で伸びやかな高音のラストまで、その想いに導かれるようにとても自然に舞うさまが優雅です。決して大きな動きではありませんが、曲の進行とともに昂まる想いが、滑らかな身のこなしを通じて伝わってきます。

 要所要所で見せる豊かな表情もまた、この素敵な曲をさらに盛り上げ、観る者に、深い感動と暫しの余韻を与えてくれます。この動画を見ていると、三宅由佳莉さんは本当に本当の歌姫なんだなと、今更ながら思います。

 

「よろしい!」

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 海上自衛隊用語解説の続きです。

 今回は、どこが用語なの?という感じですよね? でもまあ、読んでみて下さい。

 

 自衛隊では、陸・海・空を問わず、隊員が集合した場合には人員報告を行います。

 防衛大学校での人員報告要領は、陸・空方式です。つまり、小隊なり中隊なりの指揮官が、上級指揮官に対し

 「〇〇中隊、総員○名、事故○名、現在員○名!。事故の内訳・・・!」と非常に細かく報告します。

 ところが、海上自衛隊護衛艦に実習で乗艦した際に驚いたのは、朝の課業整列で各分隊が集合した際、各分隊は「1分隊」「2分隊」・・・と分隊名しか報告しないことでした。こんな報告で人員をどうやって把握するのか、気になったので「分隊名だけの報告でいいんですか?」と聞くと、「いや、本当は『〇〇分隊よろしい!』と言うところだが、ちょっと省略している」とのこと。

 は?いやいや、それでも人員の掌握はできないだろう。

 結局、細かい人員掌握は分隊長が責任をもってやる。分隊としては、艦の全力発揮に必要な「機能」を提供するのが使命、ということだと最終的に理解しました。

 陸上自衛隊は、個々の隊員がまさに戦力ですから、一人一人の状態をきちんと掌握する必要がありますし、一つの戦闘が終わるたびに、兵力の損耗をきちんと把握しなければならないので、人員報告要領が精緻にできているのだと思います。

 この違いが面白く現れるのが、海上自衛官陸上自衛隊の学校に入校した時です。

 なぜ、海上自衛官陸上自衛隊の学校に?と思われるかもしれませんが、少人数の職種の場合、わざわざ教育課程を作るよりも、陸上自衛隊の学校に教育を委託した方が効率的です。ですから、陸上自衛隊に余力がある範囲で海自・空自からの委託学生を受け入れているというわけです。

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 さて、そんな陸上自衛隊の学校に海上自衛官が入校すると、郷に入っては郷に従えの教えのとおり、なるべく陸上自衛隊式に合わせるのですが、長年身についたものはそう簡単には変えられないものです。

 特に、授業が始まる際の教官への敬礼と申告では、陸上自衛官が教務当直の時には、教官が入室すると「気を付け!」「教官に対し敬礼!」「直れ!」、「〇〇過程、○○名集合終わり!」そして「着席!」となります。

 ところが、海上自衛隊では、そもそも幹部学生の場合、「幹部に号令はかけない」ことになっていますので、教官が入室すると、各自が自発的に起立し、教官が教壇に立つと、阿吽の呼吸で皆一斉に無言で敬礼し、教官の答礼を受けて、無言で着席するのです。流石に、これは陸自の方々には理解されませんので、海上自衛官も号令をかけます。でも、やり方が違うんです。「気を付け!」「敬礼!」「直れ!」までは一緒ですが、次は「よろしい!」と報告、そして「着け!」となります。

 教務当直学生から「よろしい!」と言われた教官は面食らいます。「よろしい」は通常上級者から下級者に何かを許可する場合の物言いだからです。喧嘩を売ってるのかと思われても仕方ないですよね。でも、これは習い性なので口をついて出てしまいます。

 それから「着席」ではなく「着け」というのも、海自独自の言い回しです。

 でも、完全に陸自方式でやってしまうと、海自のことを理解してもらう機会を失うことにもなりますので、笑い話で終わる程度の摩擦があった方がいいなと、私は思います。