物凄い風でした。
台風19号は、大変な豪雨を極めて広い地域に注ぎながら、関東地方を北上中ですが、ここ横浜では、急に風がおさまりました。台風はCPAを通過したということでしょう。
CPAとは"Closest Point of Approach"のアブリベーションで、「最近接点」のことです。海上自衛隊のオペレーション会報の動態報告などでよく使われます。
ハギビスとは、台風19号につけられた英語名ですが、タガログ語で「迅速な通過」を意味するのだそうです。決して「迅速」な台風ではありませんが、祈りを込めた命名なのかもしれませんね。
この台風が降らせている雨の量は尋常ではありません。これから多くの河川で広範囲な氾濫が起きることが予想されますし、大規模な土砂災害が発生する可能性も非常に高まっています。
この台風の影響で、本日予定されていた観艦式の予行は中止となりました。当然ですね。では、明後日の観艦式は執行できるのでしょうか? 非常に難しいと思います。
まず、今次台風の被害に対処するための官邸対策室が立ち上げられ、自衛隊の最高指揮官である安倍晋三総理は陣頭指揮を執られています。そのような時に観艦式に臨むことはできないでしょう。
また、高い確率で大規模災害が予想される中、海自部隊は災害救援に備え、すでに準備を進めているはずです。観艦式を行うような状況ではないでしょう。
昨年の航空観閲式も、激しい荒天のため中止されました。自衛隊記念日行事が中止となったのは初めてのことだと思います。今回観艦式が中止となれば2年続けて、しかも気象状況に起因しての中止となります。
自然災害の多い我が国ですが、ここ数年の状況を見ると、以前とは随分違う印象があります。そもそも、「数十年に一度」の災害の発生を警告する「特別警報」が年に何度も発表されているのはどう言うことなのでしょう。「数十年に一度」の災害が、日常化しているとしか考えられません。
以前、「自然保護という欺瞞」という記事を書きました。
この記事では、「自然保護」など人間の奢りだ、とした上で、「人間が何をしようが、しまいが、大自然は全く意に介することなく、只々自らのルールにしたがって振る舞うだけです。より安定した状態、より調和のとれた状態を追求するというルールです。」と書きました。
我が国に止まらず、世界中で「気候変動」が言われていますが、まさに、大自然が「より安定した状態」「より調和のとれた状態」を追求しているのだと思います。
そんな大自然の、「ストレッチ」のような振る舞いに右往左往しなければならないのが我々人間なのです。大自然への「畏れ」を忘れてはいけない、改めて思います。