本日午前、日本国練習艦隊(遠洋練習航海部隊)は横須賀港を出港し、約5ヶ月にわたる訓練航海の旅に出ます。
海上自衛隊横須賀地方総監部地区の逸見岸壁において、本日1000(ひとまるまるまる)から1045(ひとまるよんごー)の間、出港行事が執り行われる予定です。私は水交会の一員としてこの行事に参加することになっています。大雨が予想されますが、我が国を代表して環太平洋諸国を歴訪する艦隊の鹿島立ちを見届けて参ります。
いえ、今回出港行事に参加するのは、三宅さんが旅立たれるかも?ということとは関係なく、昨年入会した水交会から初めていただいた練習艦隊出港行事へのお誘いに応じたものです。図らずも、三宅さんのお見送りを兼ねることになるのかも知れません。
今回の編成は、練習艦「かしま」(旗艦、基準排水量4,050トン)と護衛艦「いなづま」(随伴艦、基準排水量4,550トン)です。
練習艦「かしま」艦番号3508
護衛艦「いなづま」艦番号105
さて、先ほどから、「練習艦隊」とか「遠洋練習航海部隊」と称していますが、何となくモヤモヤとした感じがするかも知れませんね。「どっちなの、はっきりしてよ!」と思われる方もおられるでしょう。ということで、ちょっと解説させていただきます。
「練習艦隊」というのは法律(自衛隊法)で定められた防衛大臣直轄の編成部隊であり、常設の部隊です。その指揮官は練習艦隊司令官であり、現在は梶本大介・海将補がその任に就いています。練習艦隊は、練習艦隊司令部のほか、司令官直轄艦である練習艦「かしま」と第一練習隊(練習艦「しまゆき」「せとゆき」「やまゆき」)で編成されています。
そして、今回随伴艦として参加する護衛艦「いなづま」は、海上自衛隊の中核をなす自衛艦隊(もちろん法律で定められた大臣直轄部隊です)隷下の護衛艦隊、第4護衛隊群、第4護衛隊に所属する第一線の戦闘艦です。
こうしてみると、ともに法律で定められた組織に所属する練習艦「かしま」と護衛艦「いなづま」が一つの部隊を編成して練習艦隊司令官の指揮下に入るというのは法律に抵触することになりそうですよね。
ところが、自衛隊法第22条には「特別の部隊」の編成に関する定めが置かれており、防衛出動などの自衛隊の「出動」、その他必要な場合には、防衛大臣は特別の部隊を編成することができることになっているのです。
そして、本日出港する部隊は、防衛大臣がその条項に基づき特別に編成した「遠洋練習航海部隊(Overseas training Force / OF)という任務部隊(タスクフォース)なのです。そして、その指揮官(遠洋練習航海部隊指揮官)に、練習艦隊司令官が指定されているという仕組みになります。
一昨日の記事で紹介した海自のプレスリリースに記載された指揮官の欄をご覧になると、その辺がお分りいただけるかと思います。
「〇〇司令官」や「〇〇司令」「〇〇隊長」というのは通常編成部隊の指揮官の称号ですが、任務部隊を編成した場合、その指揮官の呼称は「〇〇(任務)部隊指揮官」となります。もちろん、任務部隊指揮官に指定されたからといって、通常編成部隊指揮官としての職責が消えるわけではなく、二つの顔を持った指揮官として任務を遂行することになります。ですから、出港する部隊は遠洋練習航海部隊という特別に編成された任務部隊なのですが、その指揮官や司令部は練習艦隊司令官や練習艦隊司令部の職責を担ったままですので、遠洋航海にまつわる記事や話題には両方の部隊名称が混交するわけです。
うまく説明できたかどうか心許ないところでありますが、何となくわかっていただけたなら幸いです。
任務部隊については、また改めて記事を書きたいと思います。
では、遠洋練習航海部隊の出港を見届けて参ります。