あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの美しい座り方

  海上自衛隊東京音楽隊の歌手である三宅由佳莉さんは、テレビや雑誌などの取材を受ける機会も多いのですが、その際の映像などを拝見すると、とても美しい座り方をされているので感心しています。

 この写真は、平成27年にDHCシアター(当時。現在はDHCテレビ)の「天職」という番組が三宅さんを取り上げた際、東京音楽隊の施設内で行われたインタビューの場面です。動画をご覧になりたい方は、記事の末尾から訪ねてみてください。

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 背筋をピンと伸ばしたまま椅子に浅く腰掛け、両脚をきちんと揃えて、両手を膝の上に重ねて置く。この姿勢を最後まで崩すことなく、しかも、とても自然で、ぎこちなさが感じられないのですから、撮影用の付け焼刃ではないでしょう。

 実際、演奏会でも、舞台袖で待機されている時などには、同じようにきちんと座ってらっしゃいますよね。

 この座り方、自分でやってみると判りますが、姿勢を保持するのは決して楽ではありません。おそらく、子供の頃からそのように躾けられてきたのでしょうし、体幹を鍛え上げている三宅さんだからこそ、無理なくできるのだと思います。

 三宅さんの座り方を見て、思い出したことがあります。私が江田島にある海上自衛隊幹部候補生学校に入校していた時のことです。私の所属する分隊が校長・副校長と会食する機会があったのですが、私はたまたまお二人と向かい合う席(ロの字型に並べられた食卓)だったので、その足元がよく見えました。

 学校長は、海軍兵学校卒の海将、副校長は商船大卒の海将補でした(当時。現在は候校長は海将補、副校長は1海佐)が、私が驚いたのは、会食の間中、お二人の両脚は三宅さんと同じように、きちんとそろえたまま、全く動くことがなかったことです。

 お二人と並んで座っていた第一学生隊長(防衛大学校卒)が、大股を広げたままだったのが対照的だったこともあり、この光景は未だによく覚えています。

 その時私が感じたのは、軍民の別ない、戦前教育の凄さでした。でも、今改めて考えてみると、これは戦前の教育を受けた方々と、戦後教育を受けた我々の間に、単なる違いではなく、明らかな断絶があることの象徴であったようにも思えます。

 その意味で、三宅由佳莉さんの美しい座り方は、戦前の日本との断絶感あるいは喪失感のようなものを感じ、現在の日本を諦めかけていた多くの方々にとって、一筋の希望であるに違いないと思います。

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 番組の最後に流れる、みーぽんさんのナレーションには、ちょっとグッときます。