あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

東京音楽隊 @ 祝賀御列の儀

 本日、今上陛下御即位に伴う政府主催行事の最後を飾る「祝賀御列の儀」が滞りなく執り行われました。本来、「即位礼正殿の儀」の当日に行われる予定であったところ、被災者のこと、被災者救援のことを慮られた両陛下のご意向をも斟酌した上で、延期とされていただけに、なんとなくホッとした感じがします。

 これでもか、と言うほどの好天にも恵まれましたので、沿道に繰り出された方もおられるかもしれませんね。

 私は、パレード全体が見たかったのでテレビの中継で拝見しました。両陛下とも終始柔らかい笑顔を湛えながら、沿道で歓声をあげる多くの国民に手を振り続けておられましたね。

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 御列が赤坂御所の正門に向け、権田原交差点を右折するあたりでしたか、皇后陛下が目頭を拭われるシーンもありました。決して順調とは言い難かった皇太子妃殿下時代の様々な事どもがあったにせよ、今こうして、国民統合の象徴として即位された今上陛下とともに、多くの国民から寄せられる絶大なる敬愛の念を強く感じ取られ、思わず感極まられたのではないかと思います。

 両陛下をお乗せしたオープンカーに随伴する皇宮警察の、決して派手すぎることはないけれども煌びやかな護衛車列の済々とした動きもまた、祝賀御列の感動を印象深くしてくれました。

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 さて、その皇宮警察ですが、警視庁の組織ではありません。正式には「皇宮警察本部」という警察庁に付置された機関であり、隊員も警察官ではなく皇宮護衛官と呼称します。階級や職務権限は警察官のそれを準用していますが、警察官ではない司法警察職員なのです。自衛隊の警務官と同じような立場になります。階級構成は警察官と同じなのですが、「皇宮〜」が前置され、例えば「皇宮警部補」となります。

 興味深いのは、皇宮警察本部の英語名称です。「Imperial Guard Headquarters」とされており、普通に訳すと「近衛司令部」になります。おそらくですが、戦後帝国陸軍が廃止されるに伴い、皇居の警備・皇族の警護に当たっていた近衛師団も当然廃止されたわけですから、その役割を担う組織を内務省(現警察庁)に置いたということではないかと思います。つまり、皇宮警察近衛師団なのです。1000人足らずの規模ですから、より正確には近衛連隊でしょうか。

 ですから、本日の御列の儀でも、両陛下が皇居を発たれる際と、赤坂御所に到着された際の君が代吹奏は、近衛連隊である皇宮警察本部音楽隊が行いました。

 自衛隊の部隊はどうかというと、御列が宮城前広場に出たところで、陸上自衛隊中央音楽隊の吹奏と、302保安警務中隊による着剣捧げ銃の敬礼を行いました。

 また、沿道では自衛隊を初めとする国や東京都に所属する音楽隊が、計6箇所で、新祝典行進曲の吹奏を行いました。

 そして、赤坂御所正門前で、そのトリを務めたのが我が海上自衛隊東京音楽隊の皆さんでした。

 テレビ中継では、東京音楽隊のみなさんが演奏しているのはわかりましたが、カメラが追うのは当然両陛下のオープンカーですので、みなさんの様子などは全くわかりませんでした。

  でも、海上自衛隊公式ツイッターが写真をアップしてくれましたので、あぁこんな感じだったのかと納得した次第です。もちろん、演奏しているシーンはありませんけど。

  下は、権田原交差点方面から赤坂御所正門前まで行進する東京音楽隊です。

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 こちらは、待機中の様子ですが、やはりいつもより緊張されている感じがしますね。

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 様々な任務をこなす音楽隊ですが、皇室関係の行事で演奏する機会は、そう多くはないと思います。天候にも恵まれましたし、感動的で思い出深い任務となったのではないでしょうか。

 ちなみに、防衛記念賞には「国家的行事に関する業務従事者」というものがあり、今回の祝賀御列の儀はこれに該当するのではないでしょうか。部隊が申請し、承認されれば、この行事に任務として参加した隊員には装着資格が与えられることになると思います。

 こんなやつです。

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 今度、東京音楽隊の皆さんの常装姿を見る機会があった際には、その辺にも注目されてみてはいかがでしょうか。

 東京音楽隊のみなさん、そして、全ての参加者のみなさん。皆さんの済々とした演奏や動作が、この歴史的な儀式に素晴らしい花を添えたことは間違いありません。ご苦労様でした、そしてありがとうございました。

 次の大イベントは自衛隊音楽まつりですね、楽しみにしています。落選組なので行けないですけど(≧∀≦)

第7艦隊音楽隊の歌姫キャスリン・ウィトベックさん

 

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第7艦隊のエンブレム

 第7艦隊をご存知でしょうか。横須賀を事実上の母港とする、米海軍のナンバー・フリートの一つです。横須賀の土産物売り場などではこんなバッジも売ってて、人気あるようです。

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 上に掲げた意匠は第7艦隊のエンブレムですが上の方に3つの星が見えますよね。軍のエンブレムには、その部隊の指揮官の階級を示す印がつけられることが多いです。このエンブレムの3つの星は指揮官である第7艦隊司令官が海軍中将であることを示しています。現在の司令官は、今年9月12日付で就任したウィリアム・マーズ海軍中将です。

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 両肩に着けられているのが夏制服用の階級章ですが、金色の下地の上に錨のマークと星が3つあしらわれているのがわかりますよね。米海軍も海上自衛隊も、将官の階級章はこのように金色の下地を使用していることから、海自隊員の間では、将官(の階級)のことを一括りで「ベタ金」と呼んだりもします。敬意を伴う俗称であり、艦長のことを乗員同士の間で「オヤジ」と呼ぶのと似ているかも知れません。あ、書いててふと思ったのですが、女性の艦長のことも「オヤジ」って呼ぶのかな、まさかね(≧∀≦)

 海軍中将のことを英語で、Vice Admiral(ヴァイス・アドミラル)と言いますが、別名Three Stars Admiral(三つ星提督)とも呼ばれます。因みに海軍大将(Admiral)はFour Stars Admiral(四つ星提督)、海軍少将(Rear Admiral)はTwo Stars Admiral(二つ星提督)となります。

 自衛隊では「星」ではなく「桜」が使われていますが、将官については、やはり「三つ星(陸・海・空将)」とか「二つ星(陸・海・空将補)」と呼ばれることがよくあります。因みに、自衛官で大将に当たる「四つ星」をつけているのは、陸上幕僚長海上幕僚長航空幕僚長、そして最高位の自衛官である統合幕僚長、この4人だけです。


 

 西太平洋からインド洋までをその責任エリアとする第7艦隊司令官やその幕僚組織である第7艦隊司令部は、艦隊の旗艦であり指揮統制艦である「ブルーリッジ」(LCC-19)に乗り組んでいます。一応洋上司令部ではありますが、地球の1/3近いエリアに展開する艦隊の指揮は衛星通信を介して行われますので、わざわざ洋上の戦闘群と行動を共にする必要はありません。老朽艦ということもあり、横須賀に係留されていることが比較的多いようです。

USS Blue Ridge (LCC 19).jpg

 このブルーリッジは、毎年日本各地の港に入港しています。もちろん友好親善という目的もありますが、実際に入港することにより、それぞれの港で受けられるサービスを確認したり、周辺の社会インフラの情報をアップデートしたりもしていると思います。また、過去に米艦艇が入港したことのない港湾への入港実績づくり(チャレンジ)という目的もあるかも知れません。海軍艦艇の「チャレンジ」については、以前、関連記事を書きましたので、興味のある方はお読みください。

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 ブルーリッジが定係港である横須賀以外に入港する際には、自衛隊や地元の自治体、企業や関連団体などの関係者を多数招待しての艦上レセプションを開催しています。私も現役の頃、晴海に入港したブルーリッジに、某将官の代理として顔を出したことがありますが、上甲板のほぼ全部を会場として解放しての大規模なレセプションだったように記憶しています。

 そして会場の一角に、軍楽隊の演奏スペースが確保され、終始奏楽でレセプションを盛り上げていました。どこの所属なのかわかりませんでしたが、海上自衛隊の感覚で行くと音楽隊は基地機能を担う地方総監の隷下部隊ですから、横須賀の海軍基地を総べる在日米海軍司令官の隷下部隊なんだろうと思っていました。

 それはともかく、ブルーリッジ艦上の音楽隊には女性歌手の方がいて、いろんな歌で訪問客を楽しませてくれました。日本語の歌もあったと思います。バンドのメンバーも皆さん楽しそうで笑顔を絶やさず、おもてなしの心を感じました。

 大阪港に入港したブルーリッジの艦上レセプションに招待された方が作られた動画がありましたので埋めておきます。あいにくの雨模様だったようですが、レセプション全体の様子や音楽隊の演奏、女性歌手による歌なども収録されていますので、雰囲気がよくわかると思います。

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 さて、ブルーリッジの艦上レセプションに顔を出したこと自体、私はすっかり忘れていたのですが、今回この記事を書き進めるうちに記憶が蘇りました。あれが7艦隊バンドなんじゃん!

 先回の記事で、「横浜音祭り」のヨコスカ街なかミュージック連携ステージの全プログラムを楽しんできたことを報告しました。

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 横須賀に所在する自衛隊・米海軍の4つのチームがそれぞれのパフォーマンスを繰り広げたのですが、いずれも深く印象に残るプログラばかりでした。

 そして、その最後を飾ったのが、米海軍第7艦隊音楽隊のビッグバンド「パシフィック・アンバサダーズ」による演奏会でした。スマホで撮影した動画を貼っておきます。

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 この時、スペシャルゲストとして登場したのがキャスリン・ウィトベック(Kathryn Whitbeck)さんでした。

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Kathryn Whitbeck(photo by "MONSTER")

 スペシャルゲストと言っても、第7艦隊音楽隊に所属している女性歌手なのですが、「パシフィック・アンバサダーズ」のメンバーではないので、同バンドの演奏会としては「ゲスト」の位置付けというわけです。その彼女が披露した2曲め、「津軽海峡冬景色」には驚かされました。石川さゆりさんのオリジナルからの若干のアレンジはありましたが、綺麗な日本語で情感たっぷりに歌い上げ、会場を魅了しました。

 この時思い出したのが、メキシコのマサトランでの練習艦隊音楽隊の演奏会で、三宅由佳莉さんが「ベサメ・ムーチョ」をスペイン語で歌い始めた時の悲鳴にも似た聴衆の大歓声でした。

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 やはり、自分たちの母国語で歌ってもらうと嬉しいし、感動するのは、どの国でも同じなんだなと思います。だからこそ、三宅さんもKathrynさんも、歌詞をちゃんと諳んじているんですね。

 会場で何曲かの歌を聴かせていただき、Kathrynさんに、なんとも言えない魅力を感じました。会場に居合わせた方の多くが同じ感じだったのではないでしょうか。決して派手なパフォーマンスがあるわけでもないのに、忘れがたい強い印象を与える。なんだか三宅由佳莉さんに似ているような気がします。

 それにしても、軍服を着崩すというのはなかなか大胆ですね。驚きました。この写真も「モンスター」さんからの提供です。

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 「いかづち」さんが、彼女の動向に関する情報を色々と集めて送ってくださいましたが、ブルーリッジの訓練航海プログラムでフィリピンやタイ、インドネシアなどを訪問して現地での演奏会や学校訪問プログラムなどを通じて友好親善に大きく寄与しているようですし、訪問先のラジオ番組などへの出演オファーもあり、7艦隊の域内各国で人気の歌手のようです。「いかづち」さんが発掘してくださった写真や動画を下に貼っておきますね。

www.google.co.jp

 

  下の動画は、おそらくインドネシアを訪問した際にテレビ番組に出演したものではないかと思います。ブンガワン・ソロ、昔六本木に同じ名前のインドネシア料理店がありました。ランチは手頃な料金で提供されていたので、防衛庁(当時)が六本木にあった頃には時々食べに行ってましたが、今もあるのかな?

 Kathrynさんの歌、インドネシア語がうまいのかどうかはわかりようもないのですが、とても雰囲気づくりの上手な方だなぁと思います。

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 次の動画は、どうやらブルーリッジがフィリピンのマニラに入港するに先立ち、演奏会の開催を PRするための動画のようです。こちらはタガログ語での歌唱です。

www.youtube.com

 見た目はもちろん全然違うんですけど、なんか、やっぱり持っている雰囲気が三宅さんに似ている気がします。

 米海軍の音楽隊において、歌手隊員がどの程度いるのか、またどのようにして採用されていくのかなど、人事制度の細部はわかりませんが、いくつか読んだ記事などによれば、Kathrynさんはちょっと注目に値する存在のようです。

 今回の演奏会でも、上の動画でも、ポピュラーな曲ばかりが歌われていますが、実は彼女も本格的なソプラノ歌手なんです。

 彼女を完全フィーチャーしたアルバムも2枚ほど出されていますが、1枚は地声で歌った曲、そしてもう1枚はソプラノ曲が集められています。サンプルトラックを聴き比べると、まるで別人のようです。もちろん才能にも恵まれているのでしょうけれど、きっと努力の人なんだと思います。

store.cdbaby.com

 そして、自衛隊の音楽隊と同じように、第7艦隊音楽隊も、日本国内のいろいろなイベントへの出演依頼が多いようですし、定期演奏会のようなものも行なっているようです。

 近いところでは、12月18日(水)に横須賀芸術劇場において、海上自衛隊横須賀音楽隊とのジョイントコンサートが予定されています。Kathryn Whitbeckさんの歌声が聴けるかも知れませんし、ひょっとしたら三宅さんとのデュエットも? さぁどうなんでしょう。

 申し込み方法等は下のリンクからどうぞ。22日締め切りです。

www.yokosuka-arts.or.jp

 

横須賀音楽隊@横浜音祭り2019

 先に報告させていただいたとおり、11月3日に横浜のクイーンズスクエアで開催された、「横浜音祭り2019・ヨコスカ街なかミュージック連携ステージ」の全プログラムを楽しんで参りました。

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 早めに会場入りしたので、スマホでも撮影しやすい正面の最前列に座ることができました。今回の演奏会に、帰国間もない三宅由佳莉さんが出演されることはないであろうことは予想していましたが、三宅さんの大ファンである我がブログチームのリーガルアドバイザー(勝手に任命(≧∀≦))斉藤先生の姿がないことで確信しました。

 陸自高等工科学校のドリル展示に続き、防衛大学校吹奏楽部の演奏会を撮影しながら楽しんでいるさなか、右の方に目をやると、横須賀音楽隊の皆さんが楽器を搬入されているのが見えました。ちょっと気になりましたが、今は目の前の演奏に集中です。

 防衛大学校の演奏会が終わったところで、スマホを確認すると、「いかづち」さんからラインで、赤嵜尚子さんの写真と「ご挨拶!」とのメッセージが入ってました。

 「いかづち」さんは都合がつけば行くとは仰っていたのですが、遅れ馳せで来れたんですね。私は直接ご挨拶することはできませんでしたが、赤嵜さんのお元気そうな笑顔を拝見することができました。お元気そうではありますが、ちょっとお痩せになったのではないでしょうか。東音も横音も、皆さん痩せていかれるようで、なんだかちょっと心配です。 

 

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 休憩時間に入り、横須賀音楽隊の皆さんが会場設定のためにステージに入って来られました。向かって左端のマリンバ(かな?)席には赤嵜尚子さんの姿がありましたが、やはりちょっとお痩せになった印象です。

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 こちらに視線が向いた時に手を振ってみると気づいて下さいました。ちょっと緊張気味の表情からパッと輝く笑顔が、いつもながら素敵です。

 ステージでの調整も終わり、皆さんは一旦右袖に下がります。そして定刻の14時45分になると、イベントMCの高橋茉奈さんが横須賀音楽隊のプロフィール紹介をされ、いよいよ演奏会が始まります。

twitter.com

 演奏会の様子は、フル動画撮影を敢行しましたので、ご覧になって下さい。撮影途中で、私の指が撮影中止ボタンに触れたらしく、一部途切れてしまいました。すぐに気づいたので短時間ではありますが、ちょっと不自然な繋ぎのシーンがあります。また、渡辺彩乃さんが「かもめが翔んだ日」を歌われているシーンでは、ズームをかけた際に逆光補正で画面が突然暗くなるというアクシデントもありました。そんなこんなで、難あり動画ですが、ご勘弁のほど(≧∀≦)

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 指揮は、横須賀音楽隊長の長岡英幸・1等海尉です。今年の8月1日付で大湊音楽隊長から現職となられました。8月8日に鶴岡八幡宮で開催された「ぼんぼり祭り吹奏楽の夕べ』」で、初めてその指揮を拝見しましたが、力強くキレがあり「格好いい」の声も聞かれました。

 MCは、3等海曹・米満佳寿代さん(当初、字が違ってました、御免なさい (≧∀≦) )

 プログラムは以下の通りです。

①横浜音祭りファンファーレ(曲:ヤン・ファン・デル・ロースト)

横須賀市歌(曲:団伊玖磨

③アニメ「ワンピース」より、We are!

④同じく、We go!

かもめが翔んだ日(曲詞:伊藤アキラ) ヴォーカル=渡辺彩乃•3等海曹

⑥別れの曲(ボサノバ・バージョン)(曲:フレデリック・ショパン

⑦ゆずメドレー 〜With you 〜 虹 〜 夏色 〜

⑧マンボ・ジャンボ(曲:ペレス・プラード

アンコール 行進曲「軍艦」(曲:瀬戸口藤吉)

 

 演奏会の内容自体は、動画をご覧になっていただくのが一番ですので逐一触れることはしませんが、気づきの点について書いてみたいと思います。

 このブログをお読みになっておられる方は、メインで取り上げてきた東京音楽隊に馴染んで来られた方が多いと思います。私自身がそうです。まだ、横須賀音楽隊の皆さんのことをよく存じ上げないものですから、どうしても東京音楽隊から異動されたパーカッションの赤嵜尚子さんやトランペットの本田勲平さんに目が行ってしまいます。そこで「おや?」と思ったのが、この8月に異動されたフルートの目黒渚さんの姿がないことでした。

 どうされたのかな、と思っていたのですが、演奏会が始まり、MCの米満さんの語りを聞いた時に、「あぁそうか」と思いました。このところ続いている台風被害に遭われた方々へのお見舞いの言葉に続き、米光さんは、

「私たち海上自衛隊も被災地支援に全力を尽くし、我が隊からも、仮設入浴施設へ隊員を派出しております」

と仰ったのです。おそらくですけど、目黒さんは被災地に行かれているのではないでしょうか。以前、「ポセイドンの涙(2/2)」という記事で、東日本大震災後、目黒さんが仮設入浴支援に携わっておられたこと、そこで知り合った被災者の女性(当時中学生)との心の交流を軸にドキュメント映画が制作されたことなどを紹介しました。

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 ですから、今回も志願されて、被災者支援に当たられているのではないかと思ったのでした。実際のところは知る由もありませんが、そんな気がします。

 お名前はわかりませんが、トランペット奏者の方の慰問演奏の様子が横須賀地方総監部の公式ツイッターで紹介されていました。

 

 そして、ちょっと微笑ましいエピソードです。

 トロンボーン奏者兼歌手の渡辺彩乃さんが、「かもめが翔んだ日」を歌われる際、米満さんが「歌は『横須賀市港北区出身の渡辺彩乃3等海曹です」と紹介されました。私自身が港北区の住人なので、「横浜市だよね」とすぐに気づきましたが、渡辺さんも登場しながら米満さんの方を見て「横浜だよ〜」と言いたげでしたが、「まぁいいか」という表情で頷いていたのが微笑ましかったです。

 今年5月に下田で開催された「黒船祭り」での「サンセットコンサート」を「モンスター」さんがレポートして下さった際、トロンボーン奏者の渡辺彩乃さんが「瞳」を歌われたとの報告に接したのが、注目するきっかけでした。

 これまで、動画では何度も拝聴してきましたが、渡辺さんの歌を初めて生で聴くことができました。演奏のテンポはちょっとだけ速めだった気がしますが、力強く歌い抜かれ、聴衆を魅了されました。みなさん大きな拍手で応えていましたね。

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 渡辺彩乃さんは、「別れの曲」でトロンボーンのソロも披露されましたが、歌同様、力強い演奏でした。

 それにしても渡辺さん、港北区出身だったんですね。地元出身の方が大活躍しておられるのを知り、嬉しい限りです。

 

 マンボ・ジャンボでは、今回も赤嵜さんのコンボ(かな?)の演奏を聴くことができました。鎌倉での「ぼんぼり祭り」の演奏会で、ソロでフィーチャーされた際には、迫力ある演奏を、本当に目の前で拝見することができましたが、今回はかなり遠目で、姿もほとんど隠れてしまっていましたけど、力強い音を聴かせていただきました。

 今回ソロでフィーチャーされたのは、ドラムセット奏者の方でしたが、これでもかと繰り出される技の数々に皆さん唖然としている感じでした。

 

 他にも、ソロ演奏された方々のことを書きたいのですが、まだまだ把握できていないことばかりで、何かを書くにはもう少し時間がかかりそうです。

 

 横須賀音楽隊の演奏会が終わり、体を伸ばしがてら、赤嵜さんにご挨拶でもできればと一旦席を離れて通路に出たところで、一人の紳士から「あれこれDiaryのかぴたんさんじゃありませんか?」と声をかけられました。お話によると、最近このブログを読まれるようになったそうで、前日に投稿した今回の演奏会の記事がきっかけで足を運ばれたとのことでした。先日の海保とのジョイントコンサートでも、ブログ記事がリマインダーとして役立ったとのお話をいただきましたので、演奏会の前に紹介記事を書くのは効果があることを改めて認識させられました。

 ところで、今回お声かけいただいた方は、海自の6期先輩に当たる方でした。先輩OBの方にお読み頂いているのを知ったのは初めてのことでしたので、大変光栄に思いました。しかも、驚いたことに、今年の3月まで、私が勤めている職場の本社におられたとのこと。共通の話題で盛り上がりました。O先輩、お読み下さってますか?お声かけいただきありがとうございました。

 

 お帰りになるという先輩の背中を見送って、横須賀音楽隊の皆さまの方に足を向けて見たのですが、しっかり「結界」が張られていて、近づくこともできませんでした。

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 オープンスペースとはいえ、このような施設内の場合、普段よりも管理が厳しいのかなという感じがしました。その意味では、「いかづち」さん、よく赤嵜さんにコンタクトできましたね、さすがです(╹◡╹)

 

 横須賀音楽隊の生演奏を聴くのは、鎌倉ぼんぼり祭りに続き今回が2回目となりますが、真正面から演奏を見るのは今回が初めてです。

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 ようやく、横須賀音楽隊のことを書く土俵に、なんとか上がれたかな、という段階ですが、今後、少しずつ奥行きを増して行ければと思っています。

大磯に向かってます

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 今日は、大磯に行ってきます。

 あ、別に演奏会があるわけではありませんので、ご安心を(^^)   実は、水交会湘南支部の史跡巡り同好会の大磯研修があるのです。

吉田茂邸地区や、三井別邸地区などを散策し、吉田邸ではガイド付きのツアーなどもあるようです。

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 興味はあっても、このような企画がなければ、わざわざ出かけてまで観てこようとは思いませんが、先回の東京音楽隊研修も、その後の反省会を含め、とても楽しかったので、今回も手を挙げさせて頂いたという次第です。

横浜から、JRの東海道線、熱海行きの電車で進出中です。

 きっと、興味深い発見があると思いますので、改めて報告したいと思います。

 ではでは👋

 

横浜音祭り2019 ヨコスカ街なかミュージック連携ステージ

 11月3日(日)に、横浜の「みなとみらい」にあるクイーンズスクエアで行われた横須賀音楽隊の演奏会を聴きにに行ってきました。横浜市では、9月15日から11月15日までの2ヶ月にわたり、3年に一度の音楽大イベント「横浜音祭り2019」が市内全域で繰り広げられていますが、今回の演奏会は、横須賀市の取り組みである「ヨコスカ街なかミュージック」との連携ステージとして実現したものです。

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 この日のステージは、横須賀市内に所在する自衛隊・米海軍の部隊等から、4個部隊が次の順番で出演し、それぞれのパフォーマンスを披露しました。

 横須賀音楽隊の演奏会については、別途記事を書いておりますが、もう少し時間がかかりそうですので、今回は、このイベント全体をコンパクトな記事にまとめて報告したいと思います。

陸上自衛隊高等工科学校ドリル部によるファンシードリル展示

 前半は1・2年生による、個々の技の解説展示が行われ、後半は、このステージを最後に引退する3年生によるドリル展示が行われました。彼らの演技を生で見るのは初めてでしたが、非常に完成度が高く感心しました。リハーサル段階では、いくつものミスが目立ちましたが、一回のリハーサルできちんと修正してくるところが立派です。

 チームの足元にブルーのシートのようなものが見えますが、衝撃吸収マットだと思います。重たい小銃の銃床が何度も打ち付けられることになる床のタイルを保護するのが目的でしょう。演技の範囲がこのマット内に制約されることから、難しいドリルだったと思いますが、お見事でした。

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防衛大学校吹奏楽部による演奏会

 今回の演奏会では、バンドと客席の間のスペースを使ってのダンスパフォーマンスも披露されました。この写真でわかるでしょうか、3人の学生さんたちが踊ったのは、最近音楽隊の演奏会でも人気が高い「パプリカ」です。

 ゆっくりとしたテンポの曲ですし、どこか郷愁を誘うメロディラインであるにもかかわらず、前を向いて頑張っていこうという気持ちが静かに掘り起こされていく、不思議な曲です。ダンスの振り付けも、ブサかっこいいとでも言えばいいのかな、敢えてちょっとハズした感じがこの曲にとても良くハマりますね。会場では、子供達だけでなく、昔子供だった人も一緒に踊っていたようです。楽しい演奏会になりました。

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海上自衛隊横須賀音楽隊による演奏会

 先ほども言及したとおり、横須賀音楽隊の演奏会については、別記事を書いていますが、もう少しかかりそうですので、とりあえず下に動画を埋めておきます。

 このブログを始めてからしばらくは、東京音楽隊以外の海自音楽隊に目を向ける余裕もなかったのですが、今年に入ってから、よっしーさんからの報告がきっかけで、舞鶴音楽隊の名古屋港での野外ライブや大阪たそがれコンサートでの魅力溢れる演奏風景などを楽しむ機会がありましたし、赤嵜尚子さんの異動に伴い、ちょっと敷居の高かった横須賀音楽隊の演奏会にも顔を出しやすくなりました。そして、三宅由佳莉さんの遠洋練習航海参加を受けて、練習艦隊音楽隊までフォローすることができ、このブログの守備範囲も随分と広くなりました。

 その三宅由佳莉さんは、まだ現場には復帰されていないようですが、1ヶ月後に予定されている横音のクリスマスコンサートあたりで久々に歌声が聴けるのではないかと思います。

 今回は、横須賀音楽隊の洗練されたハーモニーを、心ゆくまで楽しむことができました。

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④米海軍第7艦隊音楽隊のビッグバンドによる演奏会

 7艦隊ビッグバンド「パシフィック・アンバサダーズ」のライブもまた、魅力溢れるステージでした。個性が立っていると言うか、一人一人の持ち味を最大限に引き出すような構成になっていて、ソロ演奏が多いのにも驚きました。

 今回は、「パシフィック・アンバサダーズ」のメンバーではありませんが、第7艦隊音楽隊に所属する女性歌手、キャスリン・ウィトベック(Kathryn Whitbeck)3等兵曹が、このビッグバンドのスペシャルゲストとして出演し、素晴らしい歌声を聞かせてくれました。中でも、綺麗な日本語で歌い上げた、石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」には、観客から大喝采が送られました。

 この演奏会についても、動画を交えた別記事を書こうと思っているのですが、ちょっと心許ないところもあるので、下に動画を埋めておきます。とりあえず、ご覧になってください。

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www.youtube.com

 

  いかがでしたでしょうか、横須賀音楽隊と第7艦隊ビッグバンドの動画はアップしたものの、高等工科学校のドリルと防大吹奏楽部については、ちょっと検討中です。アップした場合には、新たな記事を起こして報告したいと思います。

 素晴らしいイベント、素晴らしい一日でした。

東郷の杜音楽祭2019

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 先日来、何度か報告させて頂いたとおり、10月31日に開催された「東郷の杜音楽祭2019」を聴きに行って参りました。

 昨年に引き続きの鑑賞となりますが、明治通りの雑踏からル・アール東郷へ通じる隘路に一歩足を踏み入れると、いきなりの別世界が広がります。静謐な神域の一角とも言える敷地内には穏やかで心休まる雰囲気が漂っており、この演奏会が独特の格式を持つ理由が素直に理解できます。

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 受付を済ませて、勧められるままに会場入り口近くに並べられた椅子やソファの方へ歩み寄ると、演奏会場でよくお見かけする方々が何人かいらっしゃいました。その中に初めてお顔を拝見する方がおられたのですが、それが「シャラポワ」さんでした。ようやくお目にかかる事ができましたね。伺ったところによると、他の演奏会場で知り合われた東郷会の会員の方の同伴者として入場する機会が得られたそうで、午前中から会場設営などのお手伝いをされていたとのことです。ご苦労様でした。

  開場までの時間を、皆さんと談笑しながら過ごしていましたが、時折隊員の皆様が通って行かれます。声掛けをしてご挨拶される方もいらっしゃいましたが、隊員の皆様は、にこやかに丁寧な対応をされていました。

 突然、樋口隊長が現れた際には、皆一斉に立ち上がり、最大限の敬意を表しつつ、ご挨拶させていただきました。隊長はいつもと同じ満面の笑顔で、冗談を飛ばしながら一気に場の雰囲気を盛り上げてくださいました。ある年配の会員の方が、先日のフリートウィークで「いずも」に乗艦された際に撮影された写真を何枚か隊長に手渡された際には「今回の観艦式で、体験航海が行われたのは、あの1件のみですからね、とても貴重な写真ですね」と、すかさず付加価値を強調され、また私たち一人一人にその写真を見せてくださいました。なんというか、サービス精神の権化のような方ですね。

 さて、開場時間となり、中へと進みますが、こんな時もゆったりとした感じがするのは、この演奏会ならではだと思います。

 私が座ったのは、偶然にも昨年と全く同じ、最前列左から3番目の席でした。動画撮影にはもってこいの席です。

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 ただ、今年も撮影するかどうかには迷いがありました。今回、おそらくYouTubeに動画をアップしてくれそうな方が何人かおられたからです。私のスマホ動画を上げる価値があるのかどうか、ちょっと迷ったわけです。

 でも、偶然にも昨年と同じ席でしたし、定点観測的な面白みがあるかも知れないと思い、撮影を敢行することに致しました。それがこの動画です。フル動画ですので、約1時間かかります。お時間のある時に再生してみてください。

www.youtube.com

  フル動画があるのですから、演奏内容については逐一触れませんが、演奏会を通じて感じたことなどを書いてみたいと思います。

  今回の演奏会を一言で言うと、「藤沼直樹祭り」といった感じではないでしょうか、トランペットにしろボーカルにしろ、藤沼さんを前面に押し出した演奏会だったように思います。全国の藤沼ファンにとっては堪らない内容でしたね。

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 このブログを読んでくださっている藤沼ファンの一人「MIZUHO」さんからも喜びのコメントをいただきました。

  ちょっと、変わった写真を紹介しますね。

 先ほどご紹介した「シャラポワ」さんですが、同伴してくださった方が会場設営の役に当たっていたものですから、必然的にお手伝いをすることになったのですが、そのお陰で、外からではありますが、リハーサルの様子を見る機会があったそうです。その時に撮影した藤沼直樹さんなのですが、まるで樹木と一体化しているような不思議な写真になりました。

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 ところで、今回の東郷の杜音楽祭ですが、これまでと異なる点がいくつもあり、大変興味深く感じました。

 ベース担当の岩田有可里さんが、音楽まつりに共に出演する「艦旗隊」の指導のため参加されないことは、先の記事でも紹介したとおりなのですが、これまで、毎回出演してこられ、固定メンバーというイメージのある方々の姿が見えなかったのです。

 まず、川上良司さんですね。毎回、何曲かの歌を披露して下さるのですが、今回はおそらく別の任務に就いておられたのでしょう。そして川上さんが務めてこられた役回りを先ほど紹介したように藤沼直樹さんが果たされたわけですね。

 そして、太田紗和子さんです。曲目の関係でプレイヤーが抜けることはありますよね、先日の赤れんが演奏会でも、最後の「軍艦」が始まる前に太田さんと岩田さんはそっと楽屋の方に下がって行かれました。そういうことなのかな、それとも太田さんには別の任務が付与されたので、ピアノ伴奏を必要としないプログラム構成にしたのかもしれませんね。

 一番わかりやすいのは、MCの荒木美佳さんでしょう。動画をご覧になって「おや?」と思われた方も少なくないと思います。河口侑也さんでもなく、なんとパーカッションの中島佳奈恵さんがMCデビューされました。デビューと言っても、昨年の遠洋練習航海の際には練習艦隊音楽隊のMCを務めてらっしゃいましたから、場数は踏んでおられます。とは言え、海外と国内では観客の性質が随分異なるでしょうから、緊張されたことでしょう。でも、全国の中島ファンにとっては嬉しい企画だったのではないでしょうか。先ほどから名前の上がる「シャラポワ」さんも中島佳奈恵さんのファンとのことで、大喜びで写真を何枚も撮られていました。コラージュにしてみます。

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 そして、任務云々ではなく、異動の結果として出演していないレギュラーメンバーが、三宅由佳莉さんですよね。異動当初は、東音と横音が頭の中できちんと整理できずに戸惑うこともあったのではないかと思いますが、さすがに半年が経ちましたので、みなさん新体制には馴染んだのではないでしょうか。

 この演奏会でも、中川麻梨子さんは、その美しい歌声を3曲聴かせてくださいましたが、宮沢賢治の作詞作曲による、星めぐりの歌などは、まさに中川さんにぴったりの曲ではないかな、と思いました。

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 この写真は、最前列ほぼ正面に座ることのできた「モンスター」さんの撮影です。まっすぐ前を見据えたいい表情ですね。

 今回の演奏会では、昨年に比べ、終演後のファンとの交流の時間を十分とるという雰囲気ではありませんでした。おそらく、次の予定があるのだと思います。決して急かされるわけではないのですが、皆それとなく察して早めに会場を後にしようという認識が緩やかに共有されている、そんな感じでした。

 そんな感じではありましたが、私は中川さんにご挨拶したかったので、色々な方から話しかけられている中川さんが空くのを待ち、初めてご挨拶させていただきました。いつも拝聴していること、応援していることをお伝えするだけの、本当のご挨拶でしたが、これまでなかなか機会がなかったものですから、今回ようやく果たすことができてよかったです。

 このほか、トロンボーンの沼田紘之さんにもご挨拶することができました。いずれ機会があればとは思っていましたが、今回、会場を後にしようと廊下を歩いていたら、ちょうど私が楽屋のドアの前に差し掛かったところで突然沼田さんが出てこられたのでした。「あ、沼田さん!」と呼びかけると、「え?おれ?」というような表情でちょっと驚いておられたようでした。最近ソロ演奏の機会が多いし、注目していることをお伝えしたのですが、突然だったので、前々から聞きたかったことを聞くの忘れてました。また次の機会にしよう(≧∀≦)

 

 さて、今回の東郷の杜音楽祭は、キーパーソンがことごとく入れ替わった新しい顔の東京音楽隊による演奏会だったのですが、不思議なものですね、特に違和感もなく、とても自然に演奏を楽しむことができました。安定した力量を持つ、洗練された楽団だからなのでしょうし、継時的にその顔を変えながらも、コアの力量をしっかり守り向上させてきたからなのでしょう。そんな東京音楽隊の演奏を、これからも追っていきたいと思います。

 今回の演奏会に来られていた「海上自衛隊横須賀地方総監部 Gallery」さんが、ご自身のフェイスブックに当日の写真をたくさん掲載されていますので、下のリンクから訪ねてみてください。
www.facebook.com

 

 

 

 

リリーズ

 私は昭和二けた生まれです(うん、普通だね)

 令和生まれの人はまだほんの僅かですし、平成生まれは相当の勢力になっているはずですが、まだまだ昭和二けた生まれが日本の社会を動かす原動力となっています。

 いつでしたか「三丁目の夕陽」という映画がヒットし、昭和テイストがもてはやされた時期がありましたが、私が生まれたのはちょうどあの頃です。実は、東京タワーとは同級生なんです。向こうは私のことなんか知らないと思いますけど。

 昭和と言えば、歌謡曲が全盛の時代で、私が高校生の時くらいから、荒井由美松任谷由実)さんなど、いわゆるニューミュージックというジャンルで活躍される方が出始めましたが、防衛大学校に入校する時でさえ、歌謡曲は依然揺るがぬ王者の立ち位置を占めていました。

 ところで、防衛大学校で私が選択した語学はドイツ語でした。文系の学生は英語と第二外国語を学んでいましたが、理系は一つしか選択できなかったんです。以前別記事でも書きましたが、私は第二次世界大戦時のドイツ軍の戦車が大好きでしたので、その影響もありドイツ語を選択したのでした。

「ドイツ軍の戦車」の画像検索結果

 ドイツ語でドイツ語のことはDeutsch(ドイチュ)と言います。ん?なんだこれ、日本語で日本語のことを日本語と言いますと言っているようで変な文章だな。まぁいいか。

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 ドイツ語の教官は教授が一人だけで、あとは非常勤講師の先生が来られていました。この非常勤講師の先生が非常にユニークで、ドイツ語を研究する傍、音大で声楽も教えておられました。そんなこともあり、ドイツ語の授業中に、しょっちゅうドイツ語の歌を歌わされました。今でも諳んじている曲があります。以前、ビールのCMでも使われていたんじゃないでしょうか。

 「さぁ飲もうぜ兄弟!心配ごとなんか家に置いといて! 悲しみや痛みがなければ人生は冗談みたいなもんさ」という実に楽しい曲で、ビアホールなどで大合唱になることもあるらしいです。

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 そんな、ちょっと型破りな先生は、学習院出で学者の家系に連なる方ですが、決してお坊っちゃまではなく、多才で人間味があり、ちょっとワガママで、時には凄みを効かせることもある、まぁ、いわゆる魅力的な方でした。

 時々、私を含め何人かの学生を、自分が属するドイツ語の研究会に連れて行ってくれるのですが、いつも「制服を着て来い」と厳命されました。上智大学の正門を通る時には守衛さんが「なんだこいつら」的な顔をしてましたが、先生は「こいつらは大丈夫だから」と言ってました。何が大丈夫なんだよ、失礼な(╹◡╹)

 ある時、研究会に行く前に「新宿の書店に寄ってく」と仰せられるので、我々下僕も付いて行ったのですが、書店のフロアに向かうエレベーターの中で「実はな、この書店で、リリーズの娘がバイトしてるんだよ」と言うのです。なんだよ、それが目当てかよ。

 リリーズとは…歌謡曲全盛の昭和の時代に突然現れた、北海道夕張市出身の、清楚で可憐な双子のデュオです。私以上の世代には懐かしいアイドルですが、ちょっと下の世代には「はて?」な存在かも知れません。お若い方々には全くなんのことやらですね。

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 我々が、レジを済ませる先生の近くで待っていると、丁度シフト明けで帰るその方が「お先に失礼します」とレジの同僚に挨拶しながら通って行きました。大学生だったのかな、アイドル時代の可愛らしさとはまた違う、大人びた美しさを備えた知的な女性に成長されていました。

 先生は、「よしあの娘と一緒のエレベーターに乗ろう」と仰るので、我々は「出たよワガママ」と思いつつその願いを叶えるべく、すぐに後を追おうとしたのですが、先生は「まぁ、慌てるな、一息ついてから行こう」と仰るのです。怪訝な顔をする私たちの様子を楽しんでおられるようでした。そして、しばらくしてからエレベーターホールに行くと、なんとまだ彼女がいるではありませんか。

 そして、先生の思惑通り、彼女と一緒のエレベーターに乗り、すでに何度か言葉を交わしたことがある風の先生は二言三言、彼女と会話していました。

 エレベーターを降り、彼女と別れた後、先生は「女性はね、出かける前にはメイクを直すために必ずトイレに立ち寄るんだよ。お前たちは男ばっかりの生活だからそんなこと知らんだろ。ちゃんと覚えておけ」と仰いました。ええ、仰せの通り今でも覚えてますよ。でも、長い人生を歩んできましたが、この知識が役立ったことはただの一度もありません。本当に立派な教育者です(≧∀≦)

 さて、そのリリーズですが、デビュー2曲めの「好きよキャプテン」が大ヒットして、日本中がそれは大変な騒ぎになりました。渡辺プロに所属していましたが、ちょうど引退した同プロ所属の「ザ・ピーナッツ」の後継双子デュオとして育てて行こうという事務所の期待も大きかったようです、とても可愛かったですし。

 でも、そんな大人気のリリーズも、気がついたらいなくなってしまっていたのです。先生のちょっとした気まぐれのおかげで、彼女たちの現況の一端を知ることができ、ちょっとホッとしたのも確かです。

 彼女たちのアイドル時代がどんな感じだったか、動画で観てみましょう。

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 そして、この記事を書くために上の動画を探していたら、2016年4月6日に行われた東日本大震災復興支援イベントで歌われている動画を発見しました。場所がどこなのか、情報がありませんが、被災地の一つなのではないかと思います。熱烈なファンの応援も昭和テイストのままで、なんだかタイムスリップしたような感覚です。

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 なんと言いますが、とても素敵な齢の重ね方をしてこられたことがよくわかりますね。若々しいのもそうなのですが、何より、本当に楽しそうに歌うその表情です。

 動画の中で、私たちのCDも持ってきていると仰ってますから、芸能活動は続けてこられたのですね。なんだか嬉しくなりました。

 それにしても流石に双子ですね、息がぴったりです(╹◡╹)

 本当は、この記事は別のテーマのために書き始めたのですが、前置きの話題にするはずだったリリーズの動画が、どちらもあまりに素敵だったものですから、もうリリーズメインの記事にしちゃいました。

 書くはずだったテーマは、またいずれ(≧∀≦)