本日、今上陛下御即位に伴う政府主催行事の最後を飾る「祝賀御列の儀」が滞りなく執り行われました。本来、「即位礼正殿の儀」の当日に行われる予定であったところ、被災者のこと、被災者救援のことを慮られた両陛下のご意向をも斟酌した上で、延期とされていただけに、なんとなくホッとした感じがします。
これでもか、と言うほどの好天にも恵まれましたので、沿道に繰り出された方もおられるかもしれませんね。
私は、パレード全体が見たかったのでテレビの中継で拝見しました。両陛下とも終始柔らかい笑顔を湛えながら、沿道で歓声をあげる多くの国民に手を振り続けておられましたね。
御列が赤坂御所の正門に向け、権田原交差点を右折するあたりでしたか、皇后陛下が目頭を拭われるシーンもありました。決して順調とは言い難かった皇太子妃殿下時代の様々な事どもがあったにせよ、今こうして、国民統合の象徴として即位された今上陛下とともに、多くの国民から寄せられる絶大なる敬愛の念を強く感じ取られ、思わず感極まられたのではないかと思います。
両陛下をお乗せしたオープンカーに随伴する皇宮警察の、決して派手すぎることはないけれども煌びやかな護衛車列の済々とした動きもまた、祝賀御列の感動を印象深くしてくれました。
さて、その皇宮警察ですが、警視庁の組織ではありません。正式には「皇宮警察本部」という警察庁に付置された機関であり、隊員も警察官ではなく皇宮護衛官と呼称します。階級や職務権限は警察官のそれを準用していますが、警察官ではない司法警察職員なのです。自衛隊の警務官と同じような立場になります。階級構成は警察官と同じなのですが、「皇宮〜」が前置され、例えば「皇宮警部補」となります。
興味深いのは、皇宮警察本部の英語名称です。「Imperial Guard Headquarters」とされており、普通に訳すと「近衛司令部」になります。おそらくですが、戦後帝国陸軍が廃止されるに伴い、皇居の警備・皇族の警護に当たっていた近衛師団も当然廃止されたわけですから、その役割を担う組織を内務省(現警察庁)に置いたということではないかと思います。つまり、皇宮警察は近衛師団なのです。1000人足らずの規模ですから、より正確には近衛連隊でしょうか。
ですから、本日の御列の儀でも、両陛下が皇居を発たれる際と、赤坂御所に到着された際の君が代吹奏は、近衛連隊である皇宮警察本部音楽隊が行いました。
自衛隊の部隊はどうかというと、御列が宮城前広場に出たところで、陸上自衛隊中央音楽隊の吹奏と、302保安警務中隊による着剣捧げ銃の敬礼を行いました。
また、沿道では自衛隊を初めとする国や東京都に所属する音楽隊が、計6箇所で、新祝典行進曲の吹奏を行いました。
そして、赤坂御所正門前で、そのトリを務めたのが我が海上自衛隊東京音楽隊の皆さんでした。
テレビ中継では、東京音楽隊のみなさんが演奏しているのはわかりましたが、カメラが追うのは当然両陛下のオープンカーですので、みなさんの様子などは全くわかりませんでした。
でも、海上自衛隊公式ツイッターが写真をアップしてくれましたので、あぁこんな感じだったのかと納得した次第です。もちろん、演奏しているシーンはありませんけど。
下は、権田原交差点方面から赤坂御所正門前まで行進する東京音楽隊です。
こちらは、待機中の様子ですが、やはりいつもより緊張されている感じがしますね。
様々な任務をこなす音楽隊ですが、皇室関係の行事で演奏する機会は、そう多くはないと思います。天候にも恵まれましたし、感動的で思い出深い任務となったのではないでしょうか。
ちなみに、防衛記念賞には「国家的行事に関する業務従事者」というものがあり、今回の祝賀御列の儀はこれに該当するのではないでしょうか。部隊が申請し、承認されれば、この行事に任務として参加した隊員には装着資格が与えられることになると思います。
こんなやつです。
今度、東京音楽隊の皆さんの常装姿を見る機会があった際には、その辺にも注目されてみてはいかがでしょうか。
東京音楽隊のみなさん、そして、全ての参加者のみなさん。皆さんの済々とした演奏や動作が、この歴史的な儀式に素晴らしい花を添えたことは間違いありません。ご苦労様でした、そしてありがとうございました。
次の大イベントは自衛隊音楽まつりですね、楽しみにしています。落選組なので行けないですけど(≧∀≦)