あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

水交会について

  今月は、プライベートでのヘビーな書き物をいくつか仕上げなくてはならないため、ブログを書く時間があまり取れません。ゆっくりペースでまいりますm(_ _)m

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 「水交会」という組織をご存知でしょうか。

 このブログでも、これまで何度か言及したことがあるのですが、一般的にはあまり知られていないと思われますので、記憶にないかもしれませんね。

 公益財団法人水交会は、海洋安全保障に関する調査研究や政策提言に取り組むとともに、海上自衛隊が行う諸活動への協力や先人の慰霊顕彰、地域社会活動への参加、諸団体との交流等を積極的に行い、もって国政の健全な運営の確保に寄与することを目的としています(水交会HP)。

 何やら堅苦しい文言ですが、平たく言えば、帝国海軍と海上自衛隊のOBにより、この国や海上自衛隊のために、やれることをやっていこう、という組織です。

 帝国海軍時代の将校クラブ「水交社」に淵源を持ちつつも、戦後、階級に拘らない海軍OBの任意団体「水交会」として設立され、後に海上自衛隊のOB組織「海上桜美会」と合同しました。2011年には公益財団法人として認可され、現在に至ります。

 この合同の最大の意義は、年々減少する帝国海軍OBから、靖国に祀られた英霊の慰霊顕彰事業を、海上自衛隊OBがしっかり引き継ぐ形になったことにあるのではないかと私は思います。

 そんな水交会へは、多くの場合、海上自衛隊を退官する際に入会手続きの案内があって、そのまま入会するのですが、時としてすれ違いとなり、退官時の入会に至らない場合があります。私もそんな「すれ違い」組でした。

 入会しなかったからといって、特段の不便もありませんので、そのまま3年が経過しようとしていた頃、水交会主催による靖国神社月例参拝の今年8月の回に、私が列席することになりました。なったのはいいのですが、「会員でなくていいの?」と気になったので確認すると、「別に構わない」とのこと。「ほんとかよ」と思いつつも、そのままでは気持ちの座りが悪いので、参拝に先立ち入会いたしました。

 月例参拝の様子は、すでに報告した通りです。

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 水交会に入会するとどうなるのか。別にどうもなりませんが、季節ごとに会誌「水交」が送られて来ます。こんな感じの冊子です。画面が歪んで見えるのは目の錯覚です∑(゚Д゚)

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 何ともいかめしい感じの会誌ですが、ずーっと昔からこのデザインは変わりません。コンテンツも、基本的には堅い内容ですが、普段接することのないような話が多いのでとても興味深いです。

 掲載記事などで、これは、と思ったものについては、今後、私なりに咀嚼して紹介していきたいと思っています。

 

    因みに、先ごろ届いた秋号に、東京音楽隊による東郷の杜音楽祭の案内が掲載されていましたので、応募しておきました。

    ひょっとすると、演奏会の様子を報告できるかも知れません。

三宅由佳莉さんの観閲行進(2018年)

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(leaderさんのご厚意により、写真の使用を許諾していただきました)

 以前、「三宅由佳莉さんの観閲行進」という記事を書きました。

 前回の自衛隊観閲式(2016年/平成28年)において、三宅由佳莉さんがスーザフォンという大きな楽器を担いで行進したことを取り上げたものです。

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 今年はどうなのかな、と気にしていたところ、昨日(2018年10月8日(月))の観閲式予行をご覧になった方々のTwitterで、三宅由佳莉さんを音楽隊の列中に見たという情報を目にしました。

 Twitterにアップされている動画からは識別することができなかったのですが、YouTubeにアップされた入場行進の動画の中に三宅さんを発見することができました。

 下の写真、矢印の先が三宅由佳莉さんだと思われます。

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 拡大してみると……間違いないですよね。

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 手にしている楽器は映像上確認することはできませんが、今回はフルートを携えての行進のようです。

 このシーンは、観閲行進ではなく、各部隊が観閲式の会場に入場するところです。

 ドラムロールに合わせて、4千名弱の観閲部隊が入場して行きますので、観閲行進とはまた違う意味で壮観です。

 そんな入場行進の様子をYouTubeに上げてくださった「schestaco kevin」さんの動画をご覧ください。13分頃から合同音楽隊の入場行進が始まります。

www.youtube.com

 さて、今回も三宅由佳莉さんは楽器を手に、行進に参加されています。

 前回記事でも書きましたが、これは三宅由佳莉さんのたっての希望なのだろうと思います。本来であれば、歌手である三宅さんには、マーチングバンドの中に居場所はありません。また、観閲部隊として、この式典に参加するのは、体力的にも精神的にも決して楽ではありません、というか相当厳しいものがあります。

 三宅さんは、二つの意味で観閲行進への参加を希望されているはずです。一つは自衛官として、この晴れの舞台に、観閲部隊の一員として立つ栄養に浴したいということ、そしてもう一つは、東京音楽隊の一員として、観閲部隊の厳しさを分かち合いたいということです。私には、その気持ちが痛いほどよくわかります。

 そして、生真面目な三宅さんのことです。「楽器を持って参加するからには」と、先回のスーザフォンにしても、今回のフルートにしても、練習を積んで実際に演奏されているに違いないと思います。やはり只者ではないですね。

潜水艦「おうりゅう」と、三宅由佳莉さんの「国歌独唱」

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【UpDated 9 Nov. 2018】

 先日(2018年10月4日)、海上自衛隊の潜水艦「おうりゅう」の命名進水式が、三菱重工神戸造船所で行われました。「そうりゅう」型潜水艦の11番艦となる同艦は、今後艦内設備や兵装などを整える艤装(ぎそう)工事に入り、2020年3月に竣工、海上自衛隊に引き渡されると同時に、自衛艦旗を拝受して国防の任に就くことになります。

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(そうりゅう型潜水艦)

 

 以前、自衛艦旗授与式か何かの記事でも書きましたが、艤装工事は、造船所の技師や職人さんたちと、海上自衛隊の「艤装員」たちとの共同作業となります。艤装員と言うのは、平たく言えば、その艦の最初の乗組員に予定されている人たちで、艤装員長が初代の艦長となります。

 「そうりゅう」型潜水艦は、在来型の「おやしお」型潜水艦と比べると、その外見上、大きな違いがあります。一つは、艦尾にある舵板です。在来型の潜水艦では、舵板が十字型になっており、縦になっている縦舵(じゅうだ)は水上艦と同じように艦の左右方向の姿勢をコントロールし、水平に取り付けられている横舵(おうだ)は上下方向の艦の姿勢をコントロールするものです。

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(おやしお型潜水艦)

 

 「そうりゅう」型ではこの舵板が十字ではなく、 X型になっています。こうすることにより、どの方向へのコントロールでも、各舵板が作り出す抵抗の合力を常に利用できるため、操舵効率が向上すると同時に、いずれかの舵板が損傷を受けた場合でも、他の舵板が代替できるため、抗堪性、冗長性に優れていると言えます。

 下の写真をご覧になれば、両者の違いが一目瞭然ですよね。もっともこれはプラモデルの写真です。舵より、奇妙な形状のスクリューの方に目が行くかもしれませんね。

 実物のスクリューの写真はありません、防衛秘密に指定されている筈だと思います。「筈」と言うのは、何が防衛秘密に指定されているか、と言うこと自体が秘密なので、関係者以外にはわからないからです。

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 姿を晒して戦う水上艦艇と異なり、所在そのものを秘匿する必要のある潜水艦では、あらゆる面で「静粛性」が追求されます。スキュード・プロペラと呼ばれるスクリューの特異な形状も、静粛性を追求した究極の姿になっているわけです。ただ、これを作るのは容易なことではありません。精密な切削加工ができる旋盤と、この形状を削り出すための複雑なプログラムが必要となります。

 冷戦真っ只中の1980年代に、東芝機械が、このスクリューの製造に使用可能な工作機械とソフトウェアを、ソ連(当時)に売却したことで、ココム(対共産圏輸出統制委員会)規定違反に問われ、米国からの大バッシングを受けた事件がありました。

 そんな代物ですから、上の写真で装備されているプロペラは、プラモデルメーカーの想像の産物と言うことになります。

 まぁ実際には、機械切削が行われた後、高い研削技術をもつ職人さんたちが時間をかけて磨き上げていくので、工作機械が渡っただけで「究極の」プロペラができると言う訳でもないようです。手間暇のかかるこのプロペラ、1つ7〜8千万円もするんだそうです。国防には金がかかりますね(╹◡╹)

 上の写真からわかることがもう一つあります。左側の「そうりゅう」型は、艦体が鱗状になっていますよね、これは吸音タイルが貼られているからです。海の中で、相手を探す主たる方法は「音」です。水上艦艇に装備された探信儀(ソナー)や、航空機が投下するソノブイは、パッシブモード(聴音)では、潜水艦自らが発生する各種の雑音を黙って聞いて敵潜水艦の概略の位置を把握しますが、攻撃前のアクティブモードでは、ソナーから探信音を打ち、潜水艦の艦体からの反射音で、その位置を局限します。この時の反射音を低減させる目的で艦体を覆っているのが吸音タイルと言うわけです。つまり、音に対するステルス性の向上が図られているのです。

 両型の外見上の大きな違いがもう一つあります。セイル形状です。セイルとは、船の帆のことですが、潜水艦の場合には、艦体の上に乗っかっているタワーのような部分を指します。潜水艦の艦橋です。水上航行中はここに艦長あるいは操艦を委任された哨戒長が立って艦をコントロールします。もちろん吹きっ晒しですから、過酷です。

 セイルの中程に左右に突き出た翼のようなものがありますが、これが潜舵(せんだ)と呼ばれるものです。先ほどの横舵とこの潜舵を巧みに操ることにより、潜水艦はその水中姿勢をコントロールしています。

 在来型である「おやしお型」(写真右)のセイルは、その前面(左が前です)が、艦体からほぼ直角に切り立っていますが、「そうりゅう型」(写真左)では、その前面(右が前です)は、フェアリングにより艦体から滑らかな曲線を描いています。

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 これも、水中航行時の水切り雑音の低減を図るのが目的です。

 話は逸れますが、写真左のそうりゅう型のセイル上に翻っている旗は、日の丸ではありません。「隊司令旗(甲)」と呼ばれ、この艦に「潜水隊司令」が座乗していることを示しています。写真の潜水艦「ずいりゅう」は、横須賀にある第2潜水隊群・第4潜水隊所属ですので、第4潜水隊司令が乗っているということがわかります。

 隊司令旗(甲)は、1等海佐が補職される隊司令の場合、また、隊司令旗(乙)は2等海佐が補職される隊司令の場合に使用されます。

 写真左が隊司令旗(甲)、写真右が隊司令旗(乙)です。

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 指揮官旗を掲揚するのは、隊司令だけではありません。艦長の場合は、「長旗」というものを、指揮官旗として常にメインマストに掲げています。つまり、この艦(艇)には、幹部自衛官が指揮官として配属されているということを示しています。

 海上自衛隊では、俗に、艦艇長になることを「長旗を揚(あ)げる」と言うことがあります。若手の艦艇幹部の間では、同期の中で誰が最初に「長旗を揚げる」のかが話題になったりします。掃海艇やミサイル艇などの場合は、1等海尉(海軍大尉)や3等海佐(海軍少佐)で艇長になりますので、同期の中で最初に「長旗を揚げる」可能性が高くなります。

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(長旗)

 

 艦長は、常に艦上にあることを前提としていますので、艦長が艦を離れるときに「艦長不在旗」というものをメインマストに掲揚し、艦長が帰艦すると、素早く「艦長不在旗」が降下されます。

 下の写真がその「艦長不在旗」です。当然この艦内には、現在艦長は「不在」です。

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 ところでこの「艦長不在旗」ですが、国際信号機の「第3代表旗」を使用しています。代表旗とは、旗りゅう信号を行う際、同じ文字を重複使用して、もう同じ旗がないという場合に、すでに使用した旗の代わりを務める旗です。第3代表旗は、3文字めの代わりということです。

 海上自衛隊の艦艇基地に行くと、各艦艇のメインマストに色々な旗が上がったり降りたりしていますし、それらが済々と行われることが、艦の威容の一部と考えられていますので、キビキビした旗の上げ下ろしも、見学の際の見所だと思います。

 また、脱線してしまいました(≧∀≦)

 「おうりゅう」の話でしたね。

 海上自衛隊には原子力潜水艦はありませんので、「おやしお」型も「そうりゅう」型も、ディーゼルエンジンで発電機を回して鉛蓄電池に充電、そしてこの鉛蓄電池の電力でスクリューを回転させて水中を機動しています。

 もちろん、外気のない海中でディーゼルエンジンを動かすことはできませんので、浮上するかシュノーケル深度で吸気ダクトを水上に露出し、外気を取り込みながらエンジンを駆動することになります。

 しかし、作戦海域でシュノーケリングを行うことは、敵に発見される危険があることから、潜水艦にとって、定期的な充電は命懸けということになります。しかも、鉛蓄電池は充電に時間がかかり、特に充電が進めば進むほど充電に要する時間が長くなるという問題を抱えています。ですので、艦の安全を考えれば、常にフル充電できない状態で作戦行動に従事せざるを得ないということになります。

 そこで、外気に頼らない外燃機関のAIPを導入したのが「そうりゅう」型なのです。

 ただ、AIPエンジンには、必要な時に大出力を出せなかったり、高速航行には対応できないなどの問題点もありました。

 今回進水した11番艦の「おうりゅう」は、それらの問題点を克服するため、AIPエンジンも鉛蓄電池も廃止して、そのスペースに、潜水艦用としては世界で初めてリチウムイオン蓄電池を搭載することになりました。「そうりゅう」型ではありますが、ある意味新型潜水艦と言っても良いのではないかと思います。

 リチウム蓄電池は、短時間にフル充電することが可能であるため、より効率のよい、かつ、より安全な作戦行動が可能になることが期待されます。

 

 そのような画期的な潜水艦「おうりゅう」の命名進水式に、三宅由佳莉さんの独唱による国歌「君が代」が流れたのは意義深いことではないかと思います。

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 産経と日経がそれぞれ動画をあげているのですが、風が強かったためか大変音質が悪く、三宅由佳莉さんの歌唱にフォーカスした動画を編集するのが躊躇われました。

 これまでの実績からみて、連休明けにも海上自衛隊の公式チャンネルに画質・音質ともに優れた動画がアップされるのではないかと予想していたところ、未だ公式にはアップされていない海自公式ビデオと思われる内容を含む動画がアップされました。不思議なことにわずか1日でその動画は消えてしまいましたが、私はたまたまそれをダビングしていたので、そのビデオを使った動画を編集することにしました。ただ、音質・画質の良い海自ビデオには、国歌の前1/3くらいまでしか収録されていません。

 そこで、海自ビデオの国歌独唱部分に産経ビデオを繋ぐことにして、産経ビデオの音声を過去の命名進水式での音源に入れ替える作業に取りかかりました。これまでも、命名進水式の動画を編集する際、カットされた国歌の部分を、他の式典での音源で補うことは何度も行ってきましたし、そのような編集をしても、三宅由佳莉さんの国歌は、違和感なく繋がりましたので、「さすがだな」と関心もしてきました。

 ところが今回、これまで同様、海自ビデオの国歌に他の音源(個人的に、最も完成度の高い君が代だと思っている、潜水艦「しょうりゅう」の命名進水式での音源)を繋ごうとしたところ、何と、音程が異なるのです。音楽的な説明は私にはできませんが、今回の君が代は、従来よりも少し音程が高くなっているようです。

 止むを得ず、今回の君が代全部を「しょうりゅう」音源に置き換えて編集し、昨日アップしました。ご覧になってください。

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 歌唱全体を別音源に入れ替えたのですから、この動画はフェイクには違いありませんが、式典における三宅由佳莉さんの独唱の様子を、より完成度の高い条件で記録するということに重きを置きましたので、ご容赦ください。

 さて、問題は、今回の君が代の音程がなぜ従来と異なるのかという点です。

 何のエビデンスもないことながら、私はこう考えました。

 何らかのイベントにおける国歌独唱のオファーが、三宅由佳莉さんにきているのではないか。そして、イベント主催者から指定された楽譜は、従来東京音楽隊が演奏してきた楽譜とは異なるのではないか。そのイベントは非常に重要なものであるが故に、三宅由佳莉さんは、新たな楽譜による君が代の独唱に取り組んでおり、部内の式典においてもそれを実践することにしたのではないか。

 先日、離任間際の小野寺前防衛大臣東京音楽隊を視察され、また、第58回定例演奏会をお忍びで鑑賞されたこととも関連があるのではないか。

 私が何を言いたいのかはお分かりだと思います。

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 もちろん、私の妄想に過ぎませんが、それにしても興味深い事実が続いているとは思いませんか?

 

 画期的な能力向上が図られた潜水艦「おうりゅう」の命名進水式における、三宅由佳莉さんの国歌独唱が、やはり画期的な大イベントへの嚆矢であって欲しいと願うのは、私だけではないでしょう。

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 2018年11月7日に、「おうりゅう」命名進水式の公式動画が海上自衛隊からアップされました。三宅由佳莉さんがこの日歌われた「本物の」君が代がフルで聴けますので、是非ご覧になってください。音程が少し高いのがわかると思います。

www.youtube.com

自衛艦旗とは何ぞや(旭日旗に係る議論に寄せて)

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 今月10日から、韓国の済州(チェジュ)島で行われる国際観艦式を前に、韓国政府が日本に対し、護衛艦自衛艦旗を掲揚しないように要請したとの報道が流れており、それに対する批判や反発のコメントなどもたくさん見かけます。

 この問題について、小野寺前防衛大臣や村川豊海上幕僚長が、記者会見で、自衛艦旗を掲げるのは国内法・国際法に則ったものとして、韓国側の要請には応じない考えを示したとも報道されています。

 私はものすごい違和感を感じます。

 そもそも、韓国政府の公表ぶりは、「各国の国旗のみを掲げるのが原則」「旭日旗への韓国国民の憂慮を軽減させる努力をしている」というもの、もちろん本音は「掲げないでくれたら、国内も収まるし、いいんだけどなぁ」ということでしょうが、「軍艦旗を掲揚しないでくれ」などという無礼が通るわけもないことは十分認識されているでしょうし、多分に国内むけのアナウンスでしょう。そんな非常識なことを、近代国家の政府が正面切って要請するはずがないと私は信じています。したがって、日本国政府として、なんらコメントする必要もない問題であり、大臣も海幕長も、記者レクのアイテムに、このような内容を入れているはずがありません。つまり、面白半分に韓国政府の真意を「忖度」した日本のマスコミが質問するから答えているだけのことでしょう。

 日本としては「そっちの問題だし、よろしくな」と言って放っておけば良いものを、わざわざ、「韓国政府が要請した」と報道することで、非常識の汚名を着せて韓国政府を愚弄するとともに、日韓両国民の間に、故意に溝ができるようにミスリードしているわけです。ワンパターンの構図に持っていければ、楽でしょうがないんでしょうが、この手抜き報道、ひどいもんですね。

 そういう意味では、日本のマスコミは自衛艦旗が一体どういう位置付けにあるのかを韓国政府よりも知らないと言うことなのかもしれません。

【10月6日追記】

 10月5日、海上自衛隊は、チェジュ島での国際観艦式への参加を取りやめました。この件に関してはまた別の記事で論考します。

 

 そんなこともあり、また、チェジュ島での国際観艦式に先立ち、この週末に自衛隊観閲式の予行(リハーサル)が行われることから、前回の観閲式における「旗の敬礼」についてレビューしつつ、自衛艦旗旭日旗)の位置付けについて、ちょっと見てみたいと思います。

 ところで、自衛隊には「旭日旗」が2種類あるのをご存知でしょうか。

 一つは、今のべてきた「自衛艦旗」ですが、もう一つは、陸上自衛隊の隊旗である「自衛隊旗」です。これが「陸上自衛隊旗」でないところに、最後の砦たる陸上自衛隊の矜持を感じます。

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 観閲式では、陸上自衛隊の徒歩行進部隊の指揮官車の後方に「自衛隊旗」を乗せた車両が続いて行進します。

 さて、観閲式では、様々な敬礼が行われますが、徒歩行進(つまりパレード)の際には、各部隊は、それぞれ部隊のシンボルである旗を伴って行進を行います。

 そして、観閲官(内閣総理大臣)が立つ観閲台の手前で、部隊が「頭右(かしらみぎ)」の敬礼をする際に、部隊の旗を前に倒すことで、「旗の敬礼」も行います。

 つまりこんな感じです。観閲部隊指揮官である第一師団長です。

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f:id:RetCapt1501:20181003233151j:plain「かしら〜」

f:id:RetCapt1501:20181003233214j:plain「みぎ!」

 

 防衛大学校学生隊の場合は、全体の指揮官である「学生隊学生長」の後ろに4名の幕僚が従い、さらにその後ろに校旗と旗衛隊が続きます。

 学生隊学生長が、儀礼刀(サーベル)を眼前に掲げ「かし〜ら〜」と予令。

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「みぎ!」の号令で、学生長はサーベルを右斜め下に差し出し、後方の幕僚は挙手の敬礼を、そしてさらに後方の校旗は前に倒され、旗の敬礼を行なっています。

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 このように、部隊の旗は、基本的に指揮官の後ろに従い、観閲台前で観閲官に「旗の敬礼」を行うのです。

 さて、部隊にそれぞれ旗があるのと同じように、観閲台の上に並ぶ最高級幹部にもそれぞれを表象する旗があります。先日、小野寺防衛大臣(当時)の東京音楽隊視察の際に「防衛大臣旗」について触れましたが、自衛隊最高指揮官である内閣総理大臣にも旗があります。

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 この7つの旗が、観閲式の際、観閲台の前に並びます。下の写真をご覧ください。

右から、内閣総理大臣旗、防衛大臣旗、防衛副大臣旗、統合幕僚長旗、陸上幕僚長旗、海上幕僚長旗、航空幕僚長旗となります。

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 各部隊が「頭右(かしらみぎ)」の敬礼を行うたびに、観閲台の上の観閲官は答礼しますが、7本の旗は動きません。

 陸上自衛隊の徒歩部隊が、指揮官車の後ろに旭日旗自衛隊旗)を従えて行進してきます。間もなく「頭右」の敬礼です。旭日旗に注目してください。

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 指揮官が敬礼するのに合わせ、旭日旗も前に倒され、「旗の敬礼」をしていますが、やはり7本の旗は動きません。

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 ただ、例外があります。下の写真では部隊用国旗が旗衛隊に守られながら行進してきています。国旗は、何しろ国の象徴ですから、観閲官に対して敬礼することはありません。そのまま観閲台の前を通過して行きます。

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 この時、観閲台の前に並ぶ7本の旗が、国旗に対し、「旗の敬礼」を行います。

 下の写真で、7本の旗が前に倒され、国旗に敬礼しているのがわかりますね。

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 さて、実は、7本の旗が敬礼する場面がもう一つあるのです。

 もう、お分かりですよね。そうです、7本の旗は、自衛艦旗に対しても敬礼します。

 自衛艦旗は、他の隊旗のように指揮官の後ろに従うのではなく、国旗と全く同じように、旗衛隊に守られながら単独で行進します。そして、観閲官に対する敬礼はせず、そのまま通り過ぎます。

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 自衛艦旗が観閲台に近づくと、7本の旗が上に掲げられ、

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そして、前に倒されて、自衛艦旗に対する敬礼が行われます。

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 観閲行進の際の「旗の敬礼」の作法と、国旗、自衛艦旗に対する7本の旗の敬礼についてご理解いただけましたでしょうか。

 では、その辺にフォーカスして短い動画を作ってみましたので、おさらいを兼ねて、動きのある旗の敬礼をお楽しみください。自衛艦旗に対しては、タクトを振っている東京音楽隊の樋口好雄隊長をはじめ、音楽隊の右翼で待機中の陸・空音楽隊長も挙手の敬礼を行っています。

www.youtube.com

 自衛艦旗は、国旗に準じて扱うこととされています。

 つまり、国旗なのです。

 ですから、冒頭の話ではありませんが、掲揚するかどうか、などと言う判断の対象になり得ないものなのです。そこをきちんと踏まえていないから、軽薄な議論や質問が出てくるのでしょう。

 自衛艦旗とは何ぞや。しっかりと認識したいものです。

 そして、来たる自衛隊観閲式を観に行かれる方は、行進部隊の「旗の敬礼」にもぜひ注目していただきたいと思います。

 

海上自衛隊東京音楽隊の第58回定例演奏会(2018年)

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 昨日(2018年9月29日(土))、海上自衛隊東京音楽隊の第58回定例演奏会を聴きに、三軒茶屋昭和女子大学人見記念講堂まで行ってまいりました。

 激しい雨も予想されていましたが、パラパラとした小雨程度で済んだのは幸いでした。私は例によって、渋谷駅の雑踏を避け、中目黒から徒歩で進出したのですが、今回、進出ルートについて、別記事で報告してみました。

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 さて、今回は全席指定ですので、早めに行って列に並ぶ必要はありませんが、ファン仲間の皆さんと情報交換する機会でもありますので、1500(ひとごーまるまる)の開場時間よりも前に、何人かで集まることにしていました。

 因みに、時刻の海自式読み方についてカッコ書きしてあるのは、ERIさんからのご要望にお応えしたものです。他にも、時刻や数字の読み方について興味をお持ちの方がおられると思いますので、今後、このような表記をさせて頂きます。

 さて、私たちは1345(ひとさんよんごー)に人見記念講堂前で落ち合うことになっていましたが、私が昭和女子大に到着したのは1257(ひとふたごーなな)。正門から入ろうとすると、守衛さんが近づいてきて「演奏会ですか?」と聞くので、「そうです」と答えると、「15時開場ですので、それまでは正門の外でお待ちください」…ええっ?入れてくれないの?この雨の中、正門の外で2時間も待てと、なんて非人道的な扱い!

 いや、それより、他のみんなに連絡して集合場所を考え直さなければ。皆さんにメールやらラインやらで連絡して、斎藤さんには携帯電話で直接「正門から入れないみたいです」と言うと、「え、もう入ってるよ」はぁ?どう言うこと?

 取り敢えず、正門前にみんな集まったので、「じゃ、しれっと入ることにしましょう」と、みんなで入って行くと、なんの問題もなく通れるじゃないですか。どう言うことなの?

 人見記念講堂の地下にある、プレリュードと言うカフェに入り、情報交換やら前回の水曜・木曜コンサートでの写真の披露やらで盛り上がりましたが、何故、私が守衛に止められたのかについて、斎藤さんの見解は「左手の小指に装具をつけてるからじゃないの?小指のない人だと思われたんだよきっと」え、そこか(≧∀≦)

 そうこうするうちに開場時間となりましたので、地上へ戻ります。人見記念講堂は、いまだに工事中で、7月同様、相変わらずの残念な見た目です。何の工事なんでしょう。単なる外装工事なら、何ヶ月もかかるはずもないので、耐震強化の工事かもしれませんね。

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 さっきまで人影もまばらでしたが、路上で交通整理が行われるくらい人が集まっています。今日も大盛況のようですね。前回の「インクルージョン・フェスティバル」での閑散とした「驚きの演奏会」が嘘のようです。

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 今回の演奏会では、以前からこのブログにコメントを寄せてくださっている皆さんの他に、最近Twitterで交流のある、「おかせ〜」さん、「ERI」さんともご挨拶することができました。演奏会に足を運ぶ楽しみがどんどん広がって行く気がします。

 入場して、すぐにホール入り口からステージを撮影してみました。なんか右の方が切れちゃって、音楽隊旗が入ってない(≧∀≦) 雑な撮影だな

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 ロビー(ホワイエと呼ぶべきなのでしょうか)には、海上自衛隊の広報用パネルがいくつか設置されています。この演奏会が、広報活動の一環であることを思い出させてくれる設えですね。

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 ここら辺りで、談笑したり掲示物をみたりしていると、ステージから音が聞こえてきました。ホール入り口に向かうと、プレコンサートが始まっているようです。トランペット奏者の谷口愛奈さんがMC役で、金管五重奏が行われていました。思わずスマホで撮影しようとすると、係の方が「ホール内での撮影はご遠慮ください」と、飛んでこられました。そうでした、撮影禁止を忘れてました。

 でも、ロビーにモニターが置かれていて、ステージ上の様子が流されていましたので、そちらを撮影してみました。こっちは制限がないんだな。

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 開演時間も押し迫ってきましたので、私は、指定された二階席へ上がります。今回、このブログにいつもコメントを頂く、「ゆきかぜ」さん、「いかづち」さん、「TAK-CHAN」さんが2階席でした。あと、終演後にわかったのですが「よっしー」さんも私の席のすぐ近くだったらしいです。ご挨拶ができず、残念でした(≧∀≦)

 私の席は、2階席前方中央に設けられた招待者席の後方でしたので、ステージまで距離があるのは仕方ありませんが、全体がよく見える、大変良い席でした。

 開演少し前に、白い制服に身を包んだ海上幕僚長が招待者席に向かうのが見えましたが、何と、小野寺五典防衛大臣エスコートをしているではありませんか。今回の演奏会は小野寺大臣臨席での開催だったんですね。でも、この件に関し、場内アナウンスは一切行われませんでしたので、公式の視察等ではなく、お忍びでの観覧と言うことなのでしょう。先日東京音楽隊を視察された流れなのかも知れませんが、大臣は最初から最後まで演奏会を鑑賞されましたので、形式的な立ち寄りなどではなかったのだと思います。まぁ、あの演奏を聴けば、途中で立ち去れるものではないとは思いますが。

 さて、場内にブザーが響き「間も無く開演となります、ロビーにいらっしゃる方はお席にお戻りください」とのアナウンスが流れて場内の照明が絞られていきます。

 いよいよ始まる、場内を埋め尽くした観客の息遣いから、そんな期待感が瞬時に広がって行くのがわかります。

 両袖から、隊員の皆さんがステージに現れると、盛大な拍手が沸き起こります。今日の服装は、定期演奏会で着用する東音限定のタキシードタイプの演奏服です。演奏会には、軍服タイプ(写真左)より、エレガントなこの演奏服(同右)の方が相応しいと思います。具体的には、肩章や袖の飾り刺繍のないすっきりとしたシックな服装です。

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 隊員の皆さんがそれぞれ着席したところで、左袖から大将の登場です。樋口隊長は今日も元気一杯ですね。喝采に迎えられて、指揮台へ、みんなを起立させて会場に向け深々とお辞儀をされます。いよいよ第一部が始まります。

 出だしは、昨年のここでの演奏会と同じく、「軍艦」からです。小田原公演でもこの曲から始まりましたが、いつものようなアンコール最終曲目としての「軍艦」もいいのですが、コンサートマーチとして出だしで勢いをつけるのにももってこいの曲です。

やはり、本家本元の「軍艦」は聞き応えのある素晴らしい演奏でした。

 ここで、今回のセットリストを紹介します。

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 演奏会のサブタイトルが「Jazz & Japan」となっているとおり、特に第1部はJazzを前面に押し出したプログラム構成です。

 「軍艦」の演奏が終わると、左袖から、皆さんお待ちかねの名MC、荒木美佳さんの登場です。荒木さんの喋りが楽しみで来られている方も多いんじゃないでしょうか、回を重ねるごとに、ますます磨きがかかって来ている気がしますね。

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 「改めまして、皆さんこんにちは〜!」

 おきまりの口上ですが、元気なこの一言で、一気に会場が盛り上がるのをいつも感じますし、演奏会を心から楽しむための素地を作っていただける気がします。荒木さんが多くの人から愛されているのもうなづけますよね。

 さて、荒木さんの紹介による2曲めは、デイヴィッド・R・ホルジンガー作曲の「スクーティン・オン・ハードロック」です。ハードロック通りを走り抜けると言う意味のタイトルをもつこの曲、私は初めて聞きましたが、クールです。ホルジンガーの住居の近くにあり、今は寂れてしまったハードロック通りの往年の賑わいを忍んだ作品とのことで、3つのパートから成る楽曲ですが、それぞれ趣が異なりメロディが耳に残ります。個人的には最後のパートがとても格好良く感じました。東京音楽隊の演奏は、本当にたくさんの顔をもつ多彩さが魅力だなぁと改めて思いました。曲はこんな感じです。

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 パートの合間に短い静寂がありますが、「フライング・アプローズ」もなく、とても素晴らしい演奏を堪能することができました。

 

 3曲目は「セント・ルイス・ブルース・マーチ」。ハンディ作曲のセントルイス・ブルースを、マーチに仕上げたグレン・ミラー楽団の名アレンジ、「ジャズと行進曲の融合と言えば」と荒木さんが強調したほどですが、よく耳にするこの曲を、そんな風に捉えてみたことはありませんでしたので、改めて、音楽の楽しみ方というものを教えてもらった気がしました。曲もお楽しみください。東京音楽隊と米第7艦隊軍楽隊の合同演奏です。

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 ここまでの演奏で、私が敬愛するベーシストの岩田有可里さんは、コントラバスウッドベースとして演奏されていました。弓を使ったコントラバス演奏も素敵ですが、指で弦を弾きながらのウッドベース演奏はまた格別です。とても良いベースラインが響いていました。やっぱり岩田さんカッコいいです。

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 4曲目からは、ジャズクラリネットの巨匠、北村英治さんをゲスト奏者としてお招きしてのスペシャルセッションに入ります。北村英治さんをゲストでお呼びできるところに、樋口好雄隊長の人脈の凄さを感じます。樋口隊長ご自身が大変なジャズの愛好家らしく、これまでもJazzyな色彩が見られることが多かったように思いますが、今後はさらにジャズを前面に押し出した演奏会が増えるのかもしれません。そんな動向も気になりますし、楽しみですね。

 このスペシャルセッションでは、荒木美佳さんがこのセッションの紹介をしている間、まずピアニストの太田紗和子さんが登場してグランドピアノにつき、ベーシストの岩田有可里さんが、コントラバスを寝かせ、ステージ中央に移動して、エレクトリック・アップライト・ベースにつきます。なんか、ジャズバンドをやるぜ、という脇の固め方です。

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 荒木さんの紹介で北村英治さんがステージに姿を見せるや、会場は割れんばかりの喝采に包まれました。凄いな、と驚きました。北村さんが登場したことで、演奏会の雰囲気がガラリと変わった感じがします。

 4曲目に北村英治さんを交えての演奏は「ムーンライト・セレナーデ」から始まります。落ち着いたアダルトな夕べのひと時を、優雅に演出してくれそうなこの曲、北村さんの、まるで歌うようなクラリネットの音色が、会場を魅了します。

 私の右隣に座っておられた年配の二人のご婦人が「衰えてないわねぇ!」と驚嘆しておられました。荒木さんの紹介によると、北村英治さんは既に80歳を超えておられるということですが、年齢を全く感じさせません。終始スタンディングでの演奏姿勢は、踊るように滑らかで、音がまた素晴らしい!

 曲もお楽しみ下さい。

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 5曲目として演奏されたのは、北村英治さんの作曲になる「さつきに寄せて」です。

 この曲ができた経緯について荒木さんが質問すると、北村さんは次のようなエピソードを紹介して下さいました。

 小学校の同窓会に参加した際、ある級友が、「最近さつきを育てているんだ」というので「なんだかいかにも年寄り臭いな」と言うと、「歳をとればみんな何かを育てたくなるものさ。丹精込めたさつきが一斉に咲きほころぶのを見ると心から嬉しくなる」そんな話を聞くうちに頭に浮かんだのメロディがこの曲なのだそうです。

 曲に起こして演奏して見ると、なかなか好評で、みんなが演奏してくれるようになったと、ちょっと謙遜しながら紹介されていましたが、素晴らしい曲です。

 北村英治さんのクラリネットソロも素晴らしいですし、フジコ・ヒロユキ2曹(聞きとりママ)のクラリネットソロと北村さんとのデュオも見所でした。この間樋口隊長は、指揮台の上でシェイカーを奏でるなど、観ているだけでも楽しい演奏でした。

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 この動画、北村さんご自身の出演ではないかと思うのですが、動画に一切の説明がないので確認はできません。ちょっと聞いてみてください。

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 そして、6曲め、第1部の最終曲として演奏されたのが、「SING SING SING」です。この曲は、今年の東京音楽隊の地方公演や、先回の人見記念講堂での演奏会、さらには小田原公演でも演奏されました。ただ、それらはメレンゲバージョンで、三宅さんと荒木さんの「魅惑の」コーラスが入る、スタンダードスタイルとは少し趣の異なる演奏でした。

 今回のこの曲は、スタンダードスタイルでの演奏です。ドラムの響きから入るこの曲、実に巧みに、私たちの音を楽しみたいという心の奥の欲求をぐいっと引き出してくれる、そんな曲です。思わず体が踊り出したくなりますよね。

 この曲では、東京音楽隊のトランペットソロ、クラリネットソロも光りましたが、なん言っても、ドラムの中村圭吾さんのソロがカッコよかったです。まさにこの曲はドラムが主役と言ってもいいですもんね。中村さんについては、改めて記事を書きたいと思っています。

 北村さんは、そんなソロ演奏を暖かく見守りながら、ステージ上で楽しんでおられるように見えました。その余裕と、本当に音楽を愛しているんだなと言う雰囲気がなんとも言えず素敵でした。存在感っていうのは、こういうことなんだなと思いました。 

 北村英治さんご自身が出演されている動画をご覧ください。北村さんのクラリネットがどんな感じなのかよーくわかります。

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 ここで、第一部が終わり、本当に割れるような大喝采の中、北村英治さんが左袖にはけて行かれますが、会場内の興奮は冷めやらず、大喝采が続きます。樋口隊長の手招きで、再び北村さんが登場、場内にはひときわ大きい拍手が響き渡ります。

 このまま第一部のアンコールがあるのではないかと思えるほどの大喝采でした。

 私の席の周りでも、口々に北村さんの演奏を絶賛する声が聞こえました。みなさん興奮されているのか、大きな声ばかりです。そうなるのも無理ないよな、と思えるステージでした。演奏が素晴らしいだけじゃないんです。共演している東京音楽隊や、観客席の全部をご自分の目で見据えて、会場全体が一体となれるよう巧みに盛り上げておられるのがよくわかりました。素晴らしい演奏家だと思います。ブラボー!

 興奮が最高潮に達したところで15分間の休憩に入りました。

 小野寺大臣が、海幕長エスコートで退席されます。

 おそらくですが、この休憩時間中に、小野寺大臣は東京音楽隊の楽屋を訪れ、直接激励の言葉を伝えられたのではないかと思います。

 

 そして、休憩も終わり第二部が始まります。

 第二部の口火を切るのは「ネイビート・ラプソディ」です。7月7日の3自合同演奏会で初演されて以来、各地の演奏会でも好評ですね。いつも思いますが、聴くたびに印象が異なるこの曲、素晴らしいと思います。

 未だ、お聴きになったことのない方にとっては、毎回、素晴らしい、格好良いという感想ばかり聞かされて、「いい加減曲を聴かせろ」という気持ちになっているかもしれません。でも音源ないんです(≧∀≦)

  ところで、今回は、作曲された片岡寛品さんが会場においでということで、荒木美佳さんからご紹介がありました。起立されてみなさんにご挨拶されたのだと思いますが、二階席からは見えませんでした。でも、会場がとても盛り上がりました。

 

 2曲目は、三宅由佳莉さんの歌になる「初恋」です。

 荒木さんによる曲紹介の終わりころに、左袖から静々と歩む三宅由佳莉さんが登場し、潮騒が響く中、ステージ中央に進みます。

 期待が膨らみます。この歌は、ア・カペラで始まりますが、やはり歌い出しで心を掴まれます。なんでなんでしょうか、こんな風に始まるはずだという自分のイメージが必ず裏切られるのは。三宅さんの歌は、想像力が届かないところにあるということなのでしょうか。でも、そんな裏切られ方がとても心地いいです。

 情感豊かにこの難しい曲を歌い上げる三宅由佳莉さんは、まさに会場を制圧していました。誰もがこの歌に酔いしれていたのではないかと思います。

 歌い終えて、しばらく静寂が会場を支配します。樋口隊長が振り返り三宅さんのことを紹介するような手振りをして初めて拍手喝采が巻き起こりました。

 他の曲の演奏の際には、曲が終わった瞬間に拍手が沸き起こるのに、三宅さんの、特にこのような「聴かせる」曲の場合、歌い終えても拍手が一切起きないんです。余韻を楽しませてくれ、とみんなが思っているからそうなるのだとしか説明のしようがありません。川越の合同演奏会の時もそうでした。みんな拍手をするのも忘れて呆然としているかのようでした。この演奏会で三宅由佳莉さんが歌われたのは実質的にこの1曲だけでしたが、みんなが満足できるような、素晴らしい歌唱だったと思います。

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 さて、ここからは昭和女子大附属中学校、昭和高等学校の吹奏楽部・コーラス部とのコラボステージに入ります。

 生徒さんたちとのコラボ形態は、昨年と同じですが、新しいメンバーも加わり、また新たなチャレンジになったのではないでしょうか。

 昨年ベースで見ると、前日の9月28日に、東京音楽隊と生徒さんたちの初顔合わせでの合同練習が行われたものと思われます。

 生徒さんたちにとって、東京音楽隊との合同演奏は夢のような体験でしょうし、一生忘れることのない思い出なんだと思いますが、ものすごいプレッシャーも感じているはずです。

 二階席から見ていると、そんな生徒さんたちへの東京音楽隊のみなさんの、労わりというか心遣いがよく見えます。とても良い光景でした。

 合同演奏の最初の曲目は、「ソーラン・ファンク」。これは先日のランチタイムコンサートで披露された曲ですが、北海道のソーラン節をファンキーなアレンジで楽しく聴かせてくれるナンバーです。

 中高コーラス部のコーラスライン三宅由佳莉さんが加わり、さらには川上良司さん、藤沼直樹さんら3人の男性隊員が法被姿で参加し、この曲を盛り上げます。

 出だしは、目黒渚さんのピッコロ独奏から始まり、次第に盛り上がっていきます。

 この曲では、生徒さんたちのコントラバスが3台並び、岩田さんはベースギターに付いていました。豪勢な編成ですね。先日のランチタイムコンサートでの動画を載せますので聴いてみてください。楽しいですよ。

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 続いての曲は、沖縄から「涙そうそう」と「花」です。

 東京音楽隊と、中高吹奏楽部の合同演奏の中、コーラス部と三宅由佳莉さんによるコーラスラインが歌を歌います。三宅さんは、ご自分の歌声でコーラス部の歌が聴こえなくなることのないよう、控えめに歌われていた印象です。生徒さんたちは、緊張して硬くなっている感じがしましたが、三宅さんが時折みんなの方のみて元気付けているように見えました。昨年はコーラスラインの中央に三宅さんがいたのですが、今年は最右翼に位置していました。何かわけがあったのでしょうか。その辺はわかりません。

 この曲ではコントラバスが4台立っていました。ますます豪勢です。

 

 そして最後の曲です。

 最後の曲の紹介の際、いつものように荒木美佳さんから「今この時も、目の届きにくい海の上、空の上で、この国を守るため、多くの海上自衛官が任務に付いています。この演奏会を通じて、そんな海上自衛隊を身近に感じていただければ幸いです」とのコメントがありました。二階席からではありましたが、もちろん先頭切って、大きな拍手をさせていただきました。今回も賛同の波が瞬く間に会場全体に広がったことをとても嬉しく思いました。

 最後の曲は、「チェリー・チェリー」。は?と思われるかもしれませんね。どんな曲なの? 実は「さくら さくら」の大盛り上がりバージョンです。ビックリするような楽しいアレンジでした。

 これこそ、ブラスで音を楽しむってことなんだな、と感じさせてくれる素晴らしい演奏でした。藤沼直樹さんのトランペットソロ、沢田勝俊さんのトロンボーンソロ、そして中村圭吾さんのドラムソロ、どれも格好良かったです。

 生徒さんたちの演奏、特にパーカッションパートのみなさんが、音楽隊の隊員の指示に従って、演奏したり前に出てきての手拍子リードを行ったりする姿が微笑ましく、とても温かみを感じる演奏でした。

 オリジナルの「さくら さくら」とは全く異なる、異世界を作り上げて会場を大いに盛り上げたこの「チェリー、チェリー」の演奏が終わり、大喝采の中、樋口隊長が左袖にはけて行かれます。

 もちろん拍手喝采は治りません、アンコールを求める大喝采です。

 荒木美佳さんが、「盛大な拍手にお応えして、お送りします。」と言った時、昨年のことを思い出すと、「校歌」なのかな?と思いました。案の定「昭和女子大中高吹奏楽部、コーラス部とのコラボということで、アンコール曲は、校歌」とアナウンス。

 昨年もそうでしたが、会場全体にどよめきがおきます。これにはふた通りの意味があると思います「なるほど、よく考えたな」という肯定派と、「なんで校歌なんだよ」という否定派です。私の右隣のご婦人方も「えー、なにそれ、私たちは海上自衛隊の演奏聴きにきてるのに、なんで校歌なの?」と仰っていました。

 演奏会の目的を考えれば、「校歌」は断然素晴らしい選択です。でも、そう取れない方も少なくありません。それでも昨年同様校歌が演奏されました。私は、とても面白い企画だなと思います。

 さて、聴きなれない校歌が終わり、再び樋口隊長がはけて行かれますが、なんとなく物足りなさを感じている聴衆の拍手喝采は収まりません。

 ここで荒木美佳さんが再び登場、「絶大なる拍手にお応えして、もう一曲お送りします」お、これは昨年なかった展開。でも「もう1曲」というサプライズは今年のトレンドかな? アンコール最終曲は「オーメンズ・オブ・ラブ」。昨年のこの演奏会ではプログラム楽曲として演奏されたものです。学校の吹奏楽部などでもよく演奏されるこの曲は、生徒さんたちとの合同演奏ということを考えれば、とても良い選曲だと思います。

 総勢83人の吹奏楽団による「オーメンズ・オブ・ラブ」は、迫力のある演奏で、ここの演奏会を締めくくってくれました。

 大喝采です。誰もが満足できる、ものすごく良い演奏会でした。

 

 昨年のこの会場での演奏会は、三宅由佳莉さんのファンになりたての私が初めて聴いた東京音楽隊の演奏会だったのですが、今回と同じように三宅由佳莉さんが歌われたのは実質的に1曲(「愛は花、君はその種子」)だけでした。報告記事にはとても満足したと書きましたが、本音を言えば、もっと三宅さんに歌って欲しかった、というものでした。

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 でも、今回の演奏会を聴いて、心底東京音楽隊の演奏の素晴らしさ、企画力の素晴らしさに気づかされました。三宅由佳莉さんの、たった1曲だからこそ、そこに込められた溢れる思いというものにも感動しました。

 そして、この1年で、私自身が、駆け出しの三宅由佳莉ファンから、東京音楽隊のファン、さらには音楽のファンに成長していることを実感いたしました。

 とても素晴らしい演奏会を披露してくださった東京音楽隊のみなさんに感謝の言葉もございません。本当にありがとうぎざいました。

 

 さて、余談です。演奏会が終わり、人見記念講堂の前の横断歩道を渡っている時、一台の黒いバンが通りがかり、警備の方が、「車が通りますので、道を開けてください」と、歩行者を誘導していました。何の車かなと思っていたのですが、あとで聞いた話だと、東京音楽隊長車らしいです。

 そんなに急いで会場を後にしたということは、ひょっとすると、演奏会を終始ご覧になっていた小野寺大臣や海幕長との懇親会がセットされていたのかもしれません。

 樋口隊長も大変ですね、でも東京音楽隊が部内外から注目され続けることは、ファンとして喜びでしかありません。

 国内のみならず、世界中での活躍を祈ってやみません。

 そして、その一助となれるよう、微力ながら応援をさせていただければと思います。

 

 まとまりのない報告になりましたが、演奏会の様子が少しでも伝われば幸いです。

東京音楽隊の演奏会に先立ち(中目黒から三軒茶屋へ)

    昨日は、東京音楽隊の第58回定例演奏会に行ってきました。

 とても良い演奏会でした。第二部が昭和女子中高吹奏楽部・合唱部とのコラボとなるなど、昨年の第56回定例と基本的には同じ流れなのですが、確実にグレードアップしたと感じました。細部については、現在執筆中で、本日アップする予定ですが、とりあえず演奏会場までの進出ルートについて報告しておきたいと思います。

 渋谷駅の雑踏が嫌いな私は、今日も例によって中目黒から徒歩で三茶の昭和女子大まで進出です(╹◡╹)

 中目黒駅の正面改札を抜けると、目の前は山手通りです。山手通り沿に左へまっすぐ行けば、国道246号線に突き当たるので、そこを左折してまっすぐ進み、三宿の交差点を超えて200メートルも行けば、左手に昭和女子大があります。

 でも、このルートではかなり遠回りになる(気がする)ので、住宅街を縫って斜めに進出します。実を言えば、この方法では、直線で斜めに突っ切ることにはならないため、実際の進出距離は先ほどのルートと変わらないか、下手をすると余計長くなります。

 計算結果はそうかもしれませんが、なんとなくショートカットをしている気分になると言うところが大事です。  幸せへの第一歩です。

 中目黒に到着したのが昼前だったので、まず腹ごしらえ。

 

 駅のすぐ脇にある「吉そば」かちょっと左側にある「吉牛」か、うーん、牛の勝ち!

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 久しぶりに吉野家の牛丼を食べて、山手通りを背にこの路地を奥へと向かい、途中から右に入って、右斜め遥か前方にある昭和女子大を目指します。

 

↓ 住宅街を縫って縫って進んでいくと、宿山(しゅくやま)交番前交差点に辿り着きます。右へ行くと山手通り、左へもう少し行くと蛇崩(じゃくずれ)交差点です。

 が、ここは、どちらへもいかず、引き続きまっすぐ路地を進みます。写真がちょっと傾くのが私の癖のようです(≧∀≦)

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↓ この路地をまっすぐ進んで行くと、正面に聳えるのは東山の国家公務員宿舎です。

 防衛省の宿舎もすぐ近くにあります。

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↓ 路地を抜けきったところで左を向くと、このような並木道がありますので、道沿いに歩いていきますね。

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↓ 歩いていると、左手に見えてくるのが防衛省自衛隊の東山宿舎です。以前は、4階建の古くて狭くて汚い宿舎が何棟も建っていたのですが、土地の利用法として非効率極まりないと言うことで、高層化が計られました。私は、高層化される前のボロ宿舎に入居していたことがあります。

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↓  さらにまっすぐいくと、正面に現れるのが自衛隊中央病院です。

 自衛隊員に対する診療を目的に置かれた自衛隊の機関ですが、現在では任務に支障のない限り、広く国民に開かれた医療機関としてどなたでも受診することができます。もちろん入院も可能です。

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↓ そして、門の脇にはこのような看板が掲げられています。

 自衛隊中央病院が置かれているのは、陸上自衛隊三宿駐屯地であり、衛生学校という教育機関も置かれていることがわかります。衛生学校とは、陸上自衛隊医官(医師である幹部自衛官)や看護官(看護師である自衛官)などに、教育を施す学校です。

 この門は駐屯地の裏門で、目黒区東山に所在します。変だお思いませんか?

 そうですね、三宿というのは世田谷区の地名です。なぜ、目黒区に三宿駐屯地があるのか。実は、駐屯地の中を両区の区境が走っており、裏門は目黒区東山ですが、向こう正面にある正門は世田谷区三宿になるのです。そう、正門の勝ち!

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↓ ここから右に向かい、この駐屯地を迂回していきます。

 この辺は、どこも並木道になっていて、静かな場所です。昼時には、タクシーが何台も駐車して仮眠をとっていたりします。

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↓ そして、突き当たりの道路を左折して歩いていきますと、左手に、三宿駐屯地の正門前の道路が現れます。200メートルほど先の左側に正門があります。そして右側に広がるのが「世田谷公園」です結構大きな公園で、休日には家族連れで賑わいます。

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 右へむきなおり150メートルほど行けば、バス通りに出ます。そこを渡って右折すると正面に見えてくるのが、三宿の交差点です。昭和女子大はもうすぐです。

 

↓ この写真は、7月23日の演奏会の際に撮影したものですが、ご参考に。

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↓ そして、この三宿交差点を左折してまっすぐ行けば、すぐ着きます。

 これも7月23日の写真です、この辺りは人通りも多く、傘さしながらの撮影が難しかったもんですから手抜きですみません(≧∀≦)

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 ↓ 到着(これも、チョンボです)。

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 今回は、プレ報告の一端として、中目黒から昭和女子大までのルートを、自衛隊中央病院の紹介も含めて書いてみました。あんまり内容のない記事ですみません(≧∀≦)

東京音楽隊の栄誉

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 先日、東京音楽隊のランチタイムコンサート(水曜)の記事を、スピンオフも含めて5本ほど書かせていただきました。とても素晴らしいコンサートでしたし、終演後の撤収作業まで拝見し、演奏家集団としてだけではなく、やはり海上自衛隊の部隊だな、という実感を持ちました。部隊の動きを見ていて、なんだか、現役の頃の感覚がちょっと蘇った気がしたのでした。

 さて、一年中多忙を極めるセントラルバンドの東京音楽隊です、この日もこの後何かスケジュールが入っているのだろうとは思っていましたが、東京音楽隊のホームページに、この日の大きなイベントが掲載されていました(回天さんからの情報提供です)。

 2018年9月12日(水)、海上自衛隊東京音楽隊は、小野寺五典防衛大臣の部隊視察を受けました。

 下の写真は庁舎前での出迎えの風景です。

 樋口隊長を最右翼に、幹部、海曹、海士の順に整列して大臣を迎えます。

 「頭右(かしらみぎ)」の敬礼をしているのですが、ちょっと解説したいと思います。先任伍長(右端に写っている、左胸に先任伍長徽章を着けている方)の右隣で敬礼しているのが「号令官」で、海曹士隊員に号令をかける幹部自衛官です。大臣が車を降りられたところから、号令官は「かしーらーー」と予令をはじめ、指揮官である樋口隊長が敬礼するのに丁度良いタイミングで「みぎ!」と号令します。この写真で見る限り、大臣車(フロント中央に5つ星のプレートが置かれています)と隊長の立ち位置までの距離が近そうですので、今回の場合は、大臣車が停車する前から予令をかけ始め、大臣が車を降りられると同時に号令がかかったのではないかと思われます。

 この号令で、海曹士隊員は直立不動のまま瞬時に首から上を右に向け、「頭の敬礼(かしらのけいれい)」を行います。海上自衛隊の場合、幹部自衛官に対しこのような号令がかけられることはありませんので、隊長以下の幹部自衛官は、号令にタイミングを合わせる形て個々に、大臣に対し挙手の敬礼を行います。

 そして、幹部も海曹士も、大臣が自分の前を通り過ぎる際に、大臣の動きに合わせて常に顔が大臣に正対するよう、徐々に左に向けていくことになります。これが出迎えの際の「頭の敬礼」の作法です。

 昼間のランチタイムコンサートでは、素敵な演奏家集団だった東京音楽隊が、海上自衛隊の部隊として整々とその威容を示している様が眼に浮かぶようです。

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 ちなみに、後方に見える旗は「大臣旗」で、部隊訪問時などに大臣の所在を示す象徴の旗として、常に旗手が護持し、大臣の後方に控えます。観閲式の際などにも常に大臣旗が大臣とともに移動しますので、今回の自衛隊観閲式に行かれる方はちょっと注目してみてください。

 今回の東音視察で旗手を務めたのは、ユーフォニウム奏者の青山3曹です。

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 さて、今回の大臣視察ですが、数ある大臣直轄部隊でも、音楽隊のような小規模な部隊が大臣視察を受ける機会は稀です。私も、長い現役生活の中で、所属部隊が大臣視察を受けるという経験はありませんでした。

 その意味では、今回、大臣に視察いただいたことは、東京音楽隊にとって大変名誉なことだと思います。やはり、平素の並々ならぬ活躍ぶりが評価されているということなのではないでしょうか。

 視察中、音楽隊の本務である音楽演奏の技量を、大臣に「報告」する機会もあったようです。小野寺大臣の郷里、宮城県ゆかりの作品を中心に5曲を披露されたようですが、細目や三宅さんの歌があったのかなどについては不明です。

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 そして、視察の締めくくりに、大臣から訓示をいただいている様子です。

 小野寺大臣が防衛大臣を勤められるのは、今回が2度目ですが、はっきり申し上げて、素晴らしい政治家でありますし、その前に素晴らしい日本人であると思います。

 政治家として有能なだけでなく、ことあるごとに、人としての器の大きさを感じさせてくれます。先行き不透明な国際情勢にあって、しっかりとした理念に基づき、地に足のついた政治活動を行なっておられる小野寺大臣は、正に日本の宝だと私は思います。

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 大臣訓示の内容は以下の通りです。東京音楽隊の平素の活動を高く評価し、緊張高まる周辺情勢の中、自衛隊と国民の架け橋として、さらなる活躍を期待するという内容です。

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 東京音楽隊のみなさん、大臣視察おめでとうございます。

 私も、今回の大臣視察を喜ぶとともに、また、新たな気持ちで東京音楽隊を応援していきたいと思います。