あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

海上自衛隊東京音楽隊の第58回定例演奏会(2018年)

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 昨日(2018年9月29日(土))、海上自衛隊東京音楽隊の第58回定例演奏会を聴きに、三軒茶屋昭和女子大学人見記念講堂まで行ってまいりました。

 激しい雨も予想されていましたが、パラパラとした小雨程度で済んだのは幸いでした。私は例によって、渋谷駅の雑踏を避け、中目黒から徒歩で進出したのですが、今回、進出ルートについて、別記事で報告してみました。

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 さて、今回は全席指定ですので、早めに行って列に並ぶ必要はありませんが、ファン仲間の皆さんと情報交換する機会でもありますので、1500(ひとごーまるまる)の開場時間よりも前に、何人かで集まることにしていました。

 因みに、時刻の海自式読み方についてカッコ書きしてあるのは、ERIさんからのご要望にお応えしたものです。他にも、時刻や数字の読み方について興味をお持ちの方がおられると思いますので、今後、このような表記をさせて頂きます。

 さて、私たちは1345(ひとさんよんごー)に人見記念講堂前で落ち合うことになっていましたが、私が昭和女子大に到着したのは1257(ひとふたごーなな)。正門から入ろうとすると、守衛さんが近づいてきて「演奏会ですか?」と聞くので、「そうです」と答えると、「15時開場ですので、それまでは正門の外でお待ちください」…ええっ?入れてくれないの?この雨の中、正門の外で2時間も待てと、なんて非人道的な扱い!

 いや、それより、他のみんなに連絡して集合場所を考え直さなければ。皆さんにメールやらラインやらで連絡して、斎藤さんには携帯電話で直接「正門から入れないみたいです」と言うと、「え、もう入ってるよ」はぁ?どう言うこと?

 取り敢えず、正門前にみんな集まったので、「じゃ、しれっと入ることにしましょう」と、みんなで入って行くと、なんの問題もなく通れるじゃないですか。どう言うことなの?

 人見記念講堂の地下にある、プレリュードと言うカフェに入り、情報交換やら前回の水曜・木曜コンサートでの写真の披露やらで盛り上がりましたが、何故、私が守衛に止められたのかについて、斎藤さんの見解は「左手の小指に装具をつけてるからじゃないの?小指のない人だと思われたんだよきっと」え、そこか(≧∀≦)

 そうこうするうちに開場時間となりましたので、地上へ戻ります。人見記念講堂は、いまだに工事中で、7月同様、相変わらずの残念な見た目です。何の工事なんでしょう。単なる外装工事なら、何ヶ月もかかるはずもないので、耐震強化の工事かもしれませんね。

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 さっきまで人影もまばらでしたが、路上で交通整理が行われるくらい人が集まっています。今日も大盛況のようですね。前回の「インクルージョン・フェスティバル」での閑散とした「驚きの演奏会」が嘘のようです。

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 今回の演奏会では、以前からこのブログにコメントを寄せてくださっている皆さんの他に、最近Twitterで交流のある、「おかせ〜」さん、「ERI」さんともご挨拶することができました。演奏会に足を運ぶ楽しみがどんどん広がって行く気がします。

 入場して、すぐにホール入り口からステージを撮影してみました。なんか右の方が切れちゃって、音楽隊旗が入ってない(≧∀≦) 雑な撮影だな

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 ロビー(ホワイエと呼ぶべきなのでしょうか)には、海上自衛隊の広報用パネルがいくつか設置されています。この演奏会が、広報活動の一環であることを思い出させてくれる設えですね。

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 ここら辺りで、談笑したり掲示物をみたりしていると、ステージから音が聞こえてきました。ホール入り口に向かうと、プレコンサートが始まっているようです。トランペット奏者の谷口愛奈さんがMC役で、金管五重奏が行われていました。思わずスマホで撮影しようとすると、係の方が「ホール内での撮影はご遠慮ください」と、飛んでこられました。そうでした、撮影禁止を忘れてました。

 でも、ロビーにモニターが置かれていて、ステージ上の様子が流されていましたので、そちらを撮影してみました。こっちは制限がないんだな。

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 開演時間も押し迫ってきましたので、私は、指定された二階席へ上がります。今回、このブログにいつもコメントを頂く、「ゆきかぜ」さん、「いかづち」さん、「TAK-CHAN」さんが2階席でした。あと、終演後にわかったのですが「よっしー」さんも私の席のすぐ近くだったらしいです。ご挨拶ができず、残念でした(≧∀≦)

 私の席は、2階席前方中央に設けられた招待者席の後方でしたので、ステージまで距離があるのは仕方ありませんが、全体がよく見える、大変良い席でした。

 開演少し前に、白い制服に身を包んだ海上幕僚長が招待者席に向かうのが見えましたが、何と、小野寺五典防衛大臣エスコートをしているではありませんか。今回の演奏会は小野寺大臣臨席での開催だったんですね。でも、この件に関し、場内アナウンスは一切行われませんでしたので、公式の視察等ではなく、お忍びでの観覧と言うことなのでしょう。先日東京音楽隊を視察された流れなのかも知れませんが、大臣は最初から最後まで演奏会を鑑賞されましたので、形式的な立ち寄りなどではなかったのだと思います。まぁ、あの演奏を聴けば、途中で立ち去れるものではないとは思いますが。

 さて、場内にブザーが響き「間も無く開演となります、ロビーにいらっしゃる方はお席にお戻りください」とのアナウンスが流れて場内の照明が絞られていきます。

 いよいよ始まる、場内を埋め尽くした観客の息遣いから、そんな期待感が瞬時に広がって行くのがわかります。

 両袖から、隊員の皆さんがステージに現れると、盛大な拍手が沸き起こります。今日の服装は、定期演奏会で着用する東音限定のタキシードタイプの演奏服です。演奏会には、軍服タイプ(写真左)より、エレガントなこの演奏服(同右)の方が相応しいと思います。具体的には、肩章や袖の飾り刺繍のないすっきりとしたシックな服装です。

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 隊員の皆さんがそれぞれ着席したところで、左袖から大将の登場です。樋口隊長は今日も元気一杯ですね。喝采に迎えられて、指揮台へ、みんなを起立させて会場に向け深々とお辞儀をされます。いよいよ第一部が始まります。

 出だしは、昨年のここでの演奏会と同じく、「軍艦」からです。小田原公演でもこの曲から始まりましたが、いつものようなアンコール最終曲目としての「軍艦」もいいのですが、コンサートマーチとして出だしで勢いをつけるのにももってこいの曲です。

やはり、本家本元の「軍艦」は聞き応えのある素晴らしい演奏でした。

 ここで、今回のセットリストを紹介します。

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 演奏会のサブタイトルが「Jazz & Japan」となっているとおり、特に第1部はJazzを前面に押し出したプログラム構成です。

 「軍艦」の演奏が終わると、左袖から、皆さんお待ちかねの名MC、荒木美佳さんの登場です。荒木さんの喋りが楽しみで来られている方も多いんじゃないでしょうか、回を重ねるごとに、ますます磨きがかかって来ている気がしますね。

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 「改めまして、皆さんこんにちは〜!」

 おきまりの口上ですが、元気なこの一言で、一気に会場が盛り上がるのをいつも感じますし、演奏会を心から楽しむための素地を作っていただける気がします。荒木さんが多くの人から愛されているのもうなづけますよね。

 さて、荒木さんの紹介による2曲めは、デイヴィッド・R・ホルジンガー作曲の「スクーティン・オン・ハードロック」です。ハードロック通りを走り抜けると言う意味のタイトルをもつこの曲、私は初めて聞きましたが、クールです。ホルジンガーの住居の近くにあり、今は寂れてしまったハードロック通りの往年の賑わいを忍んだ作品とのことで、3つのパートから成る楽曲ですが、それぞれ趣が異なりメロディが耳に残ります。個人的には最後のパートがとても格好良く感じました。東京音楽隊の演奏は、本当にたくさんの顔をもつ多彩さが魅力だなぁと改めて思いました。曲はこんな感じです。

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 パートの合間に短い静寂がありますが、「フライング・アプローズ」もなく、とても素晴らしい演奏を堪能することができました。

 

 3曲目は「セント・ルイス・ブルース・マーチ」。ハンディ作曲のセントルイス・ブルースを、マーチに仕上げたグレン・ミラー楽団の名アレンジ、「ジャズと行進曲の融合と言えば」と荒木さんが強調したほどですが、よく耳にするこの曲を、そんな風に捉えてみたことはありませんでしたので、改めて、音楽の楽しみ方というものを教えてもらった気がしました。曲もお楽しみください。東京音楽隊と米第7艦隊軍楽隊の合同演奏です。

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 ここまでの演奏で、私が敬愛するベーシストの岩田有可里さんは、コントラバスウッドベースとして演奏されていました。弓を使ったコントラバス演奏も素敵ですが、指で弦を弾きながらのウッドベース演奏はまた格別です。とても良いベースラインが響いていました。やっぱり岩田さんカッコいいです。

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 4曲目からは、ジャズクラリネットの巨匠、北村英治さんをゲスト奏者としてお招きしてのスペシャルセッションに入ります。北村英治さんをゲストでお呼びできるところに、樋口好雄隊長の人脈の凄さを感じます。樋口隊長ご自身が大変なジャズの愛好家らしく、これまでもJazzyな色彩が見られることが多かったように思いますが、今後はさらにジャズを前面に押し出した演奏会が増えるのかもしれません。そんな動向も気になりますし、楽しみですね。

 このスペシャルセッションでは、荒木美佳さんがこのセッションの紹介をしている間、まずピアニストの太田紗和子さんが登場してグランドピアノにつき、ベーシストの岩田有可里さんが、コントラバスを寝かせ、ステージ中央に移動して、エレクトリック・アップライト・ベースにつきます。なんか、ジャズバンドをやるぜ、という脇の固め方です。

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 荒木さんの紹介で北村英治さんがステージに姿を見せるや、会場は割れんばかりの喝采に包まれました。凄いな、と驚きました。北村さんが登場したことで、演奏会の雰囲気がガラリと変わった感じがします。

 4曲目に北村英治さんを交えての演奏は「ムーンライト・セレナーデ」から始まります。落ち着いたアダルトな夕べのひと時を、優雅に演出してくれそうなこの曲、北村さんの、まるで歌うようなクラリネットの音色が、会場を魅了します。

 私の右隣に座っておられた年配の二人のご婦人が「衰えてないわねぇ!」と驚嘆しておられました。荒木さんの紹介によると、北村英治さんは既に80歳を超えておられるということですが、年齢を全く感じさせません。終始スタンディングでの演奏姿勢は、踊るように滑らかで、音がまた素晴らしい!

 曲もお楽しみ下さい。

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 5曲目として演奏されたのは、北村英治さんの作曲になる「さつきに寄せて」です。

 この曲ができた経緯について荒木さんが質問すると、北村さんは次のようなエピソードを紹介して下さいました。

 小学校の同窓会に参加した際、ある級友が、「最近さつきを育てているんだ」というので「なんだかいかにも年寄り臭いな」と言うと、「歳をとればみんな何かを育てたくなるものさ。丹精込めたさつきが一斉に咲きほころぶのを見ると心から嬉しくなる」そんな話を聞くうちに頭に浮かんだのメロディがこの曲なのだそうです。

 曲に起こして演奏して見ると、なかなか好評で、みんなが演奏してくれるようになったと、ちょっと謙遜しながら紹介されていましたが、素晴らしい曲です。

 北村英治さんのクラリネットソロも素晴らしいですし、フジコ・ヒロユキ2曹(聞きとりママ)のクラリネットソロと北村さんとのデュオも見所でした。この間樋口隊長は、指揮台の上でシェイカーを奏でるなど、観ているだけでも楽しい演奏でした。

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 この動画、北村さんご自身の出演ではないかと思うのですが、動画に一切の説明がないので確認はできません。ちょっと聞いてみてください。

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 そして、6曲め、第1部の最終曲として演奏されたのが、「SING SING SING」です。この曲は、今年の東京音楽隊の地方公演や、先回の人見記念講堂での演奏会、さらには小田原公演でも演奏されました。ただ、それらはメレンゲバージョンで、三宅さんと荒木さんの「魅惑の」コーラスが入る、スタンダードスタイルとは少し趣の異なる演奏でした。

 今回のこの曲は、スタンダードスタイルでの演奏です。ドラムの響きから入るこの曲、実に巧みに、私たちの音を楽しみたいという心の奥の欲求をぐいっと引き出してくれる、そんな曲です。思わず体が踊り出したくなりますよね。

 この曲では、東京音楽隊のトランペットソロ、クラリネットソロも光りましたが、なん言っても、ドラムの中村圭吾さんのソロがカッコよかったです。まさにこの曲はドラムが主役と言ってもいいですもんね。中村さんについては、改めて記事を書きたいと思っています。

 北村さんは、そんなソロ演奏を暖かく見守りながら、ステージ上で楽しんでおられるように見えました。その余裕と、本当に音楽を愛しているんだなと言う雰囲気がなんとも言えず素敵でした。存在感っていうのは、こういうことなんだなと思いました。 

 北村英治さんご自身が出演されている動画をご覧ください。北村さんのクラリネットがどんな感じなのかよーくわかります。

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 ここで、第一部が終わり、本当に割れるような大喝采の中、北村英治さんが左袖にはけて行かれますが、会場内の興奮は冷めやらず、大喝采が続きます。樋口隊長の手招きで、再び北村さんが登場、場内にはひときわ大きい拍手が響き渡ります。

 このまま第一部のアンコールがあるのではないかと思えるほどの大喝采でした。

 私の席の周りでも、口々に北村さんの演奏を絶賛する声が聞こえました。みなさん興奮されているのか、大きな声ばかりです。そうなるのも無理ないよな、と思えるステージでした。演奏が素晴らしいだけじゃないんです。共演している東京音楽隊や、観客席の全部をご自分の目で見据えて、会場全体が一体となれるよう巧みに盛り上げておられるのがよくわかりました。素晴らしい演奏家だと思います。ブラボー!

 興奮が最高潮に達したところで15分間の休憩に入りました。

 小野寺大臣が、海幕長エスコートで退席されます。

 おそらくですが、この休憩時間中に、小野寺大臣は東京音楽隊の楽屋を訪れ、直接激励の言葉を伝えられたのではないかと思います。

 

 そして、休憩も終わり第二部が始まります。

 第二部の口火を切るのは「ネイビート・ラプソディ」です。7月7日の3自合同演奏会で初演されて以来、各地の演奏会でも好評ですね。いつも思いますが、聴くたびに印象が異なるこの曲、素晴らしいと思います。

 未だ、お聴きになったことのない方にとっては、毎回、素晴らしい、格好良いという感想ばかり聞かされて、「いい加減曲を聴かせろ」という気持ちになっているかもしれません。でも音源ないんです(≧∀≦)

  ところで、今回は、作曲された片岡寛品さんが会場においでということで、荒木美佳さんからご紹介がありました。起立されてみなさんにご挨拶されたのだと思いますが、二階席からは見えませんでした。でも、会場がとても盛り上がりました。

 

 2曲目は、三宅由佳莉さんの歌になる「初恋」です。

 荒木さんによる曲紹介の終わりころに、左袖から静々と歩む三宅由佳莉さんが登場し、潮騒が響く中、ステージ中央に進みます。

 期待が膨らみます。この歌は、ア・カペラで始まりますが、やはり歌い出しで心を掴まれます。なんでなんでしょうか、こんな風に始まるはずだという自分のイメージが必ず裏切られるのは。三宅さんの歌は、想像力が届かないところにあるということなのでしょうか。でも、そんな裏切られ方がとても心地いいです。

 情感豊かにこの難しい曲を歌い上げる三宅由佳莉さんは、まさに会場を制圧していました。誰もがこの歌に酔いしれていたのではないかと思います。

 歌い終えて、しばらく静寂が会場を支配します。樋口隊長が振り返り三宅さんのことを紹介するような手振りをして初めて拍手喝采が巻き起こりました。

 他の曲の演奏の際には、曲が終わった瞬間に拍手が沸き起こるのに、三宅さんの、特にこのような「聴かせる」曲の場合、歌い終えても拍手が一切起きないんです。余韻を楽しませてくれ、とみんなが思っているからそうなるのだとしか説明のしようがありません。川越の合同演奏会の時もそうでした。みんな拍手をするのも忘れて呆然としているかのようでした。この演奏会で三宅由佳莉さんが歌われたのは実質的にこの1曲だけでしたが、みんなが満足できるような、素晴らしい歌唱だったと思います。

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 さて、ここからは昭和女子大附属中学校、昭和高等学校の吹奏楽部・コーラス部とのコラボステージに入ります。

 生徒さんたちとのコラボ形態は、昨年と同じですが、新しいメンバーも加わり、また新たなチャレンジになったのではないでしょうか。

 昨年ベースで見ると、前日の9月28日に、東京音楽隊と生徒さんたちの初顔合わせでの合同練習が行われたものと思われます。

 生徒さんたちにとって、東京音楽隊との合同演奏は夢のような体験でしょうし、一生忘れることのない思い出なんだと思いますが、ものすごいプレッシャーも感じているはずです。

 二階席から見ていると、そんな生徒さんたちへの東京音楽隊のみなさんの、労わりというか心遣いがよく見えます。とても良い光景でした。

 合同演奏の最初の曲目は、「ソーラン・ファンク」。これは先日のランチタイムコンサートで披露された曲ですが、北海道のソーラン節をファンキーなアレンジで楽しく聴かせてくれるナンバーです。

 中高コーラス部のコーラスライン三宅由佳莉さんが加わり、さらには川上良司さん、藤沼直樹さんら3人の男性隊員が法被姿で参加し、この曲を盛り上げます。

 出だしは、目黒渚さんのピッコロ独奏から始まり、次第に盛り上がっていきます。

 この曲では、生徒さんたちのコントラバスが3台並び、岩田さんはベースギターに付いていました。豪勢な編成ですね。先日のランチタイムコンサートでの動画を載せますので聴いてみてください。楽しいですよ。

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 続いての曲は、沖縄から「涙そうそう」と「花」です。

 東京音楽隊と、中高吹奏楽部の合同演奏の中、コーラス部と三宅由佳莉さんによるコーラスラインが歌を歌います。三宅さんは、ご自分の歌声でコーラス部の歌が聴こえなくなることのないよう、控えめに歌われていた印象です。生徒さんたちは、緊張して硬くなっている感じがしましたが、三宅さんが時折みんなの方のみて元気付けているように見えました。昨年はコーラスラインの中央に三宅さんがいたのですが、今年は最右翼に位置していました。何かわけがあったのでしょうか。その辺はわかりません。

 この曲ではコントラバスが4台立っていました。ますます豪勢です。

 

 そして最後の曲です。

 最後の曲の紹介の際、いつものように荒木美佳さんから「今この時も、目の届きにくい海の上、空の上で、この国を守るため、多くの海上自衛官が任務に付いています。この演奏会を通じて、そんな海上自衛隊を身近に感じていただければ幸いです」とのコメントがありました。二階席からではありましたが、もちろん先頭切って、大きな拍手をさせていただきました。今回も賛同の波が瞬く間に会場全体に広がったことをとても嬉しく思いました。

 最後の曲は、「チェリー・チェリー」。は?と思われるかもしれませんね。どんな曲なの? 実は「さくら さくら」の大盛り上がりバージョンです。ビックリするような楽しいアレンジでした。

 これこそ、ブラスで音を楽しむってことなんだな、と感じさせてくれる素晴らしい演奏でした。藤沼直樹さんのトランペットソロ、沢田勝俊さんのトロンボーンソロ、そして中村圭吾さんのドラムソロ、どれも格好良かったです。

 生徒さんたちの演奏、特にパーカッションパートのみなさんが、音楽隊の隊員の指示に従って、演奏したり前に出てきての手拍子リードを行ったりする姿が微笑ましく、とても温かみを感じる演奏でした。

 オリジナルの「さくら さくら」とは全く異なる、異世界を作り上げて会場を大いに盛り上げたこの「チェリー、チェリー」の演奏が終わり、大喝采の中、樋口隊長が左袖にはけて行かれます。

 もちろん拍手喝采は治りません、アンコールを求める大喝采です。

 荒木美佳さんが、「盛大な拍手にお応えして、お送りします。」と言った時、昨年のことを思い出すと、「校歌」なのかな?と思いました。案の定「昭和女子大中高吹奏楽部、コーラス部とのコラボということで、アンコール曲は、校歌」とアナウンス。

 昨年もそうでしたが、会場全体にどよめきがおきます。これにはふた通りの意味があると思います「なるほど、よく考えたな」という肯定派と、「なんで校歌なんだよ」という否定派です。私の右隣のご婦人方も「えー、なにそれ、私たちは海上自衛隊の演奏聴きにきてるのに、なんで校歌なの?」と仰っていました。

 演奏会の目的を考えれば、「校歌」は断然素晴らしい選択です。でも、そう取れない方も少なくありません。それでも昨年同様校歌が演奏されました。私は、とても面白い企画だなと思います。

 さて、聴きなれない校歌が終わり、再び樋口隊長がはけて行かれますが、なんとなく物足りなさを感じている聴衆の拍手喝采は収まりません。

 ここで荒木美佳さんが再び登場、「絶大なる拍手にお応えして、もう一曲お送りします」お、これは昨年なかった展開。でも「もう1曲」というサプライズは今年のトレンドかな? アンコール最終曲は「オーメンズ・オブ・ラブ」。昨年のこの演奏会ではプログラム楽曲として演奏されたものです。学校の吹奏楽部などでもよく演奏されるこの曲は、生徒さんたちとの合同演奏ということを考えれば、とても良い選曲だと思います。

 総勢83人の吹奏楽団による「オーメンズ・オブ・ラブ」は、迫力のある演奏で、ここの演奏会を締めくくってくれました。

 大喝采です。誰もが満足できる、ものすごく良い演奏会でした。

 

 昨年のこの会場での演奏会は、三宅由佳莉さんのファンになりたての私が初めて聴いた東京音楽隊の演奏会だったのですが、今回と同じように三宅由佳莉さんが歌われたのは実質的に1曲(「愛は花、君はその種子」)だけでした。報告記事にはとても満足したと書きましたが、本音を言えば、もっと三宅さんに歌って欲しかった、というものでした。

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 でも、今回の演奏会を聴いて、心底東京音楽隊の演奏の素晴らしさ、企画力の素晴らしさに気づかされました。三宅由佳莉さんの、たった1曲だからこそ、そこに込められた溢れる思いというものにも感動しました。

 そして、この1年で、私自身が、駆け出しの三宅由佳莉ファンから、東京音楽隊のファン、さらには音楽のファンに成長していることを実感いたしました。

 とても素晴らしい演奏会を披露してくださった東京音楽隊のみなさんに感謝の言葉もございません。本当にありがとうぎざいました。

 

 さて、余談です。演奏会が終わり、人見記念講堂の前の横断歩道を渡っている時、一台の黒いバンが通りがかり、警備の方が、「車が通りますので、道を開けてください」と、歩行者を誘導していました。何の車かなと思っていたのですが、あとで聞いた話だと、東京音楽隊長車らしいです。

 そんなに急いで会場を後にしたということは、ひょっとすると、演奏会を終始ご覧になっていた小野寺大臣や海幕長との懇親会がセットされていたのかもしれません。

 樋口隊長も大変ですね、でも東京音楽隊が部内外から注目され続けることは、ファンとして喜びでしかありません。

 国内のみならず、世界中での活躍を祈ってやみません。

 そして、その一助となれるよう、微力ながら応援をさせていただければと思います。

 

 まとまりのない報告になりましたが、演奏会の様子が少しでも伝われば幸いです。