あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

東京音楽隊の栄誉

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 先日、東京音楽隊のランチタイムコンサート(水曜)の記事を、スピンオフも含めて5本ほど書かせていただきました。とても素晴らしいコンサートでしたし、終演後の撤収作業まで拝見し、演奏家集団としてだけではなく、やはり海上自衛隊の部隊だな、という実感を持ちました。部隊の動きを見ていて、なんだか、現役の頃の感覚がちょっと蘇った気がしたのでした。

 さて、一年中多忙を極めるセントラルバンドの東京音楽隊です、この日もこの後何かスケジュールが入っているのだろうとは思っていましたが、東京音楽隊のホームページに、この日の大きなイベントが掲載されていました(回天さんからの情報提供です)。

 2018年9月12日(水)、海上自衛隊東京音楽隊は、小野寺五典防衛大臣の部隊視察を受けました。

 下の写真は庁舎前での出迎えの風景です。

 樋口隊長を最右翼に、幹部、海曹、海士の順に整列して大臣を迎えます。

 「頭右(かしらみぎ)」の敬礼をしているのですが、ちょっと解説したいと思います。先任伍長(右端に写っている、左胸に先任伍長徽章を着けている方)の右隣で敬礼しているのが「号令官」で、海曹士隊員に号令をかける幹部自衛官です。大臣が車を降りられたところから、号令官は「かしーらーー」と予令をはじめ、指揮官である樋口隊長が敬礼するのに丁度良いタイミングで「みぎ!」と号令します。この写真で見る限り、大臣車(フロント中央に5つ星のプレートが置かれています)と隊長の立ち位置までの距離が近そうですので、今回の場合は、大臣車が停車する前から予令をかけ始め、大臣が車を降りられると同時に号令がかかったのではないかと思われます。

 この号令で、海曹士隊員は直立不動のまま瞬時に首から上を右に向け、「頭の敬礼(かしらのけいれい)」を行います。海上自衛隊の場合、幹部自衛官に対しこのような号令がかけられることはありませんので、隊長以下の幹部自衛官は、号令にタイミングを合わせる形て個々に、大臣に対し挙手の敬礼を行います。

 そして、幹部も海曹士も、大臣が自分の前を通り過ぎる際に、大臣の動きに合わせて常に顔が大臣に正対するよう、徐々に左に向けていくことになります。これが出迎えの際の「頭の敬礼」の作法です。

 昼間のランチタイムコンサートでは、素敵な演奏家集団だった東京音楽隊が、海上自衛隊の部隊として整々とその威容を示している様が眼に浮かぶようです。

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 ちなみに、後方に見える旗は「大臣旗」で、部隊訪問時などに大臣の所在を示す象徴の旗として、常に旗手が護持し、大臣の後方に控えます。観閲式の際などにも常に大臣旗が大臣とともに移動しますので、今回の自衛隊観閲式に行かれる方はちょっと注目してみてください。

 今回の東音視察で旗手を務めたのは、ユーフォニウム奏者の青山3曹です。

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 さて、今回の大臣視察ですが、数ある大臣直轄部隊でも、音楽隊のような小規模な部隊が大臣視察を受ける機会は稀です。私も、長い現役生活の中で、所属部隊が大臣視察を受けるという経験はありませんでした。

 その意味では、今回、大臣に視察いただいたことは、東京音楽隊にとって大変名誉なことだと思います。やはり、平素の並々ならぬ活躍ぶりが評価されているということなのではないでしょうか。

 視察中、音楽隊の本務である音楽演奏の技量を、大臣に「報告」する機会もあったようです。小野寺大臣の郷里、宮城県ゆかりの作品を中心に5曲を披露されたようですが、細目や三宅さんの歌があったのかなどについては不明です。

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 そして、視察の締めくくりに、大臣から訓示をいただいている様子です。

 小野寺大臣が防衛大臣を勤められるのは、今回が2度目ですが、はっきり申し上げて、素晴らしい政治家でありますし、その前に素晴らしい日本人であると思います。

 政治家として有能なだけでなく、ことあるごとに、人としての器の大きさを感じさせてくれます。先行き不透明な国際情勢にあって、しっかりとした理念に基づき、地に足のついた政治活動を行なっておられる小野寺大臣は、正に日本の宝だと私は思います。

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 大臣訓示の内容は以下の通りです。東京音楽隊の平素の活動を高く評価し、緊張高まる周辺情勢の中、自衛隊と国民の架け橋として、さらなる活躍を期待するという内容です。

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 東京音楽隊のみなさん、大臣視察おめでとうございます。

 私も、今回の大臣視察を喜ぶとともに、また、新たな気持ちで東京音楽隊を応援していきたいと思います。