あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

今年の遠洋練習航海

 

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洋上を征く練習艦隊旗艦「かしま」

 海上自衛隊は毎年、遠洋練習航海部隊を編成して様々なコースでの遠洋航海を実施しています。その主たる目的は、江田島にある海上自衛隊幹部候補生学校を卒業し、幹部(ほとんどが3等海尉、一部の大学院卒の技術幹部は2等海尉)に任官したばかりの青年士官(実習幹部)に、集中的な艦艇実習を施すことにありますが、外国を訪問することにより、国際性を身につけさせ、また訪問各国との友好親善を促進すると同時に、我が国の国力、自衛隊の精強性をアピールすることもまた、重要な目的であろうと考えます。ある意味、遠洋練習航海部隊は、海上自衛隊の化身でありますし、日本国の化身でもあるわけです。この部隊が、遠洋練習航海部隊という編成上の名称の他「日本国練習艦隊」の名を冠しているのはそのためでしょう。

 したがって、この部隊には、海上自衛隊が有するあらゆる機能を付与する必要があります。すなわち、戦闘から奏楽付きのレセプションまで、あらゆることが自前でできる能力ということです。練習艦「かしま」の他、必ず第一線の護衛艦が随伴するのは、この部隊に最も峻厳な機能である戦闘能力を付与している意味合いがありますし、司令部に警務官(司法警察職員たる自衛官、警察手帳を持っています)が配置されているのは、我が国の領土と見なされる艦内での法執行機能の付与に他なりません。また、音楽隊が置かれているのは、最も柔和な機能である奏楽能力を付与していることになります(尤も、音楽演奏は戦闘場面での士気の鼓舞や、洋上慰霊祭等で厳かさを醸し出すなど、その機能は実に多様です)。

 最近はちっとも書いてませんが、私自身が実習幹部として遠洋練習航海に参加した際のエピソード等をシリーズで書いていた時期がありました。

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 今では遠洋練習航海部隊が訪問先から情報発信をしてくるので、黴が生えたような私の思い出話より、最新の情報の方が俄然インパクトがあるよね、というのがシリーズを中断した理由の一つでもありました。でも、古い話でも私自身が体験したことですし、興味を持って読んでくださる方もおられましたので、また書いてみようかな、とは思っていました。そこへ、水交会から出国行事へのお誘いがあったものですから、参加申し込みをしたのです。

 ところが、そこへ飛び込んだのが三宅さんが今年の遠洋練習航海部隊に参加するという大ニュースでした。もう、自分の思い出話とか書いてる場合じゃないな、と方針を大転換して、今年の遠洋練習航海部隊をフォローすることにしました。

 すでに、5月17日(金)にプレスリリースされた訪問予定国(港)の情報については、先行記事で報告したとおりです。

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 今回は、各国(港)の訪問スケジュールと、今どの辺で何してる?というあたりを報告してみたいと思います。

 訪問スケジュールは下の図のようになっており、本日現在、最初の寄港地であるハワイのパールハーバーへ向け航行中です。パールハーバーでの滞在は6月3日(月)〜6月6日(木)の4日間ですが、6月2日(日)にはパールハーバー港外に到着し、錨泊しつつ入港前の諸手続きや艦体の「化粧直し」を行います。従って、横須賀を出港してからパールハーバーまでの所要日数は12日ということになり、現在その3分の1の行程を消化しているはずですから、下図の矢印で示したあたりを航行中と思われます。

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 現在、艦隊が適用している時刻帯は、L(リマ)と推定され、日本標準時より2時間早い時刻となります。つまり、日本が正午なら、艦隊は14時ということです。

 正確に計測しているわけではなく、上の模式図から大雑把に把握しただけですので結構な誤差はあると思いますが、明日中には次の時刻帯であるM(マイク)に入り、3時間先行、そしておそらく明後日、5月27日(月)か28日(火)に日付変更線を通過すると思われ、艦隊の時刻が24時間バックし、日本標準時より21時間遅れとなります。

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 時刻帯のことについては、先行記事で紹介したものがありますので、興味のある方は訪ねてみてください。

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 いずれにしましても、日本近海を離れた時点から、周囲360度何もない世界、晴れた夜なら、満天の星空がこれでもかというほど降り注ぐ世界に艦隊はいます。ただのお客さんとして乗っているなら最高ですね。もっとも、大型の豪華客船とは違い、護衛艦はとにかくよく揺れます。乗艦経験の少ない者にとっては、最初の1週間くらいは相当に辛いかもしれません。でも、その辛さがシーマンとしての基礎を作ってくれます。

 みんな頑張れ、三宅さんも頑張れ、楽園ハワイが待っている(╹◡╹)

 

東京音楽隊を見学してきました

 湘南水交会の計画による東京音楽隊見学に参加してまいりました。

 とても楽しみだったものですから、集合時間の1時間半も前に用賀駅に到着してしまいました。

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 用賀駅で降りるのは初めてでしたが、全般に大変美しく整備されているのに驚きました。駅の周囲には昔ながらの商店街がや住宅街が落ち着いた佇まいを見せ、暮らしやすそうでいい街だなぁと思いました。

 時間がたっぷりあるので、昼食がてら、駅から伸びる道の一つを散策してみました。「ようが商店街 美術館通り」と表示されていましたが、美術館どこにあったのかな。

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 そうこうしているうちに、集合時間である1230(ひとふたさんまる)が近づいてきましたので、駅の改札口に戻ります。すでに10名ほどのメンバーが集まっていましたが、存じ上げない大先輩ばかりのようです。その中に1期先輩のMさん(元呉総監)を見つけちょっと安心しました。本当の紳士が甲冑を纏っているかのようなイメージのあるM先輩は、物腰も言葉も大変ソフトですが、確固たる信念の下に繰り出されるメッセージには愛国者・武人としての気概・気骨が溢れる大変魅力的な方です。私にとっては、久しぶりにM先輩にお会いできたことも、今回の見学の大きな成果でした。

 東京音楽隊から、第三種夏制服に身を包んで我々を迎えに来て下さったのは、音楽科長の本田航司2等海尉でした。そう、先日のランチタイムコンサートで躍動感溢れる指揮ぶりを披露して下さった、あの本田2尉です。

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 東音までは歩いて進出するものと思っていたのですが、暑い日でしたし、高齢者が多いことを考慮して下さったのか、マイクロバスが用意されていました。

 東音の敷地内に到着し、バスを降りますと、玄関前には当直士官と当直海曹が敬礼で出迎えて下さいました。もちろん初めての訪問でしたが、これまで多くの動画や写真で何度も見ているので、なんだか初めての気がしません。

 私とM先輩は最後にバスを降りたので13〜14人いる見学者の最後尾で建物に入ります。入ってすぐ右に当直室の窓があるのですが、中を見ると、サックス奏者の在川詩織さんが3種夏服姿でこちらを向いて座っています。そして、その脇に立つ戦闘服姿の岩田さんが在川さんと何やらやりとりしているのが見えました。たまたま岩田さんと目があったので、片手をあげてご挨拶。岩田さんもいつもの笑顔で会釈してくださいました。

 私たちは、その当直室の隣にある小さな会議室のようなところへ案内されましたが、鰻の寝床のように細長いその部屋に、長テーブルを囲むように置かれたソファーのうち、両脇の長いソファーには、すでに大先輩方が座っておられ、最後の3人は一番奥の上座に置かれた3つの一人がけソファーに座らざるを得ませんでした。で、M先輩に「どうぞ玉座へ」と真ん中の席を勧め、私はその右隣に腰掛けました。

 ここで、本田航司2尉から説明がありました。この後、1315(ひとさんひとごー)から、明後日の蒲郡での演奏会の最終リハーサルを行うので、それを見てもらうが、リハーサル中の写真・動画の撮影は控えてもらいたいとのこと。蒲郡で演奏会を行うのは今回が初めてであるため地元の期待が大変高く、東音としても期待に応えるため様々なサプライズを用意しているので、事前のネタバレが起きないよう細心の注意を払っているという事情を理解して欲しいとのことでした。私は動画撮影した場合には、蒲郡はもちろん、翌日の名古屋公演が始まる前には絶対にアップしないことを決めていましたが、この説明を聞いて、文字での公開も控えなければと改めて思いました。

 ですから、今回の見学報告に動画はありませんし、この記事では演奏内容に立ち入ることはしません。名古屋公演開始後に、蒲郡の演奏会と合わせ、演奏内容についての記事をアップしたいと思います。

 本田2尉によりますと、5月25日(土)つまり今日、上用賀を出発して蒲郡に入り、(おそらく午後から?)、地元蒲郡のジュニア吹奏楽団への演奏指導を行う予定とのこと、今頃演奏指導中でしょうか。

 そして、26日(日)に本公演を行い、名古屋へ移動。27日(月)には名古屋公演を行う段取りになっています。因みに両公演の演奏内容は同じではないそうです。

 更に、今年度の予定を次々と教えて下さったのですが、異常なほどの過密スケジュールに皆驚きました。後刻、本田2尉に「今日お聞きしたスケジュールは、ブログ等で公開しても構いませんか?」とお聞きしたところ、「一応公開可能なものしかお話ししていないので、問題はないと思いますが、例えば地方公演の予定などは、地元に公開されていないものも当然ありますので、情報に接した方からの問い合わせが殺到するであろう地方協力本部がてんてこまいになるかも知れません。その辺はご配慮ください」とのことでした。ということで、内容を精査した上で、「東京音楽隊の今後の予定」という記事を別仕立てで書きたいと思います。

 ただ、一つだけ特筆すべきことをここに書きます。年明けに予定されている定期演奏会は、なんと、今年同様サントリーホールで行われるそうです。他のホールに比べ、施設利用料は割高ですが、何といっても日本を代表する素晴らしい音響を誇る同ホールでの演奏会は、格段の集客力が期待できますし、また、演奏する隊員の士気を高める効果もあるとのことでした。今年の同のホールでの定期演奏会は、本当に素晴らしいものでしたし、次回の定期演奏会にも期待が高まります。当選すればの話ですけど(≧∀≦)

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 さあ時間です。私たちは、案内されるままに「奏楽堂」へ。一度は訪れてみたかったこのホール。ドアを抜けると巨大な空間が広がります。音楽隊の皆さんはすでに各自の席に着いています。入り口を入ってすぐ右に数人の隊員さんが控えていましたが、演奏会でのサプライズに深く関係するので、名前も含めこれ以上は申しません。

 隊員の皆さんは全員、戦闘服(迷彩服)に身を包んでのリハーサルです。実に見栄えがします。本番の演奏会もこれでいったらいいんじゃないかな。観客にすごく受けると思いますし、音楽隊の皆さんもその方がリラックスできるし。そうも行かないのかな。

 さて、観客席は、折りたたみ椅子が二列に並べられています。もちろん前の列に座りたいですけど、諸先輩を差し置いて、昨年入会したばかりの新参者が前席に座るのも気が引けます。そこで、M先輩に「Mさん、どうぞ玉座へ」と前列中央やや左側の席をお勧めし、私はちゃっかりその左隣に座ることができました。M先輩、大変お世話になりました。しかも、後からわかるのですが、この席が私にとってはこの上なく最高の席となりました。内容は書きたいけど、書けません(≧∀≦)

 これだけはいいかな?MCは、ハープの荒木美佳さんでした。久しぶりに聞く荒木節は今回も冴え渡っていました。河口侑也さんは、今回はクラリネット席で演奏に専念されていましたが、何というかとても溌剌とした、爽やかな良い表情をされていました。MC経験が自信となって滲み出るのかもしれません。

 第一部では4曲が披露され、15分間の休憩に入ります。ここで、本田2尉から「隊員と直接触れ合う機会は今しかないと思いますので、前半の演奏をお聴きになって気になった隊員がいましたらどうぞお気軽に声かけしてください。いや、無理にとは言いません」と笑いを取ります。普段の演奏会などで、このような隊員との触れ合いを促すアナウンスはありませんが、やはりそのような機会が大切だとの認識が音楽隊の側にあることを確信しました。以前赤嵜尚子さんとお話しさせて頂いた際にも「声かけされると、嬉しいし励みにもなります」と仰っていました。ファンの側にも、音楽隊員の側にも直接触れ合うことには少なからぬメリットがあるということだと思います。

 私も「気になっている」隊員さんがいましたので、そこへ行きました。え?言わなくてもわかっているから言わんで良い?言わせてくれ(≧∀≦)

 その隊員さんは、もちろんコントラバス奏者の岩田有可里さんです。

 今回のリハーサルでも、終始小気味よいベースラインを存分に堪能することができました。詳細を書けないのが残念ですが、素晴らしい演奏でした。

 お話ししている最中、岩田さんが私の背後を気にされているようでしたので、振り返ると、一人のご婦人が立っておられました。聞くところによると、昨年の自衛隊音楽まつりで「艦旗隊」のメンバーに選出された女性隊員の母上とのこと。そうでした、昨年の音楽まつりの際、たまたま遭遇した岩田さんから「今年は艦旗隊の指導に当たっていたので、旗持ちをやりました」とお聞きしたのを思い出しました。その際、岩田さんにお世話になったことへのお礼を伝えたかったとのことです。

 この方(MMさん)が、コントラバスを間にした、岩田さんとのツーショット写真を撮影してくださいました。ありがとうございました。

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 写真を撮って頂いた後は、音楽科長の本田2尉から、いろんな話を聞かせていただきました。現場の生の声をこんなにじっくりお聞きする機会はなかなかありませんので、私にとっては大変貴重な時間でした。本田2尉、お付き合いいただきありがとうございました。ますます東京音楽隊の魅力が見えてきました。

 他に目をやると、ハープの周りに人だかりができています。皆さんに取り囲まれているのはもちろん荒木美佳さんです。どんなやりとりがあったのかはわかりませんが、皆さんとても楽しそうでした。

 休憩時間もあっという間に終わり、第二部が始まります。

 第二部は、曲数も含めて内容は完全秘匿いたします。

 ただ、アンコールを含めた最終曲を演奏する前に、樋口隊長が、「本来なら、この後1曲やって終わりなんですけど、本日はサービスであと(ひみつ)曲やります」と仰ると歓喜の拍手が起きました。それは嬉しいですよね。おそらく、名古屋公演で演奏される曲なんだと思います。いつもサプライズとサービス精神の旺盛な東京音楽隊です。

 蒲郡、名古屋両公演に行かれる方で、この記事を読んで下さっている方がおられますでしょうか。内容は言えませんが、大いに期待して下さい。素晴らしい内容ですよ。

 リハーサルが終わり、全体の集合写真を撮ってくださいました。東音のホームページなどに時々掲載されている、鳥瞰写真です。東音のホームページに載ることはありませんが、水交会のホームページ(そんなものがあればの話ですが)や会誌「水交」に掲載されるかも知れません。私も奏楽堂の内階段を登った踊り場から、隊員の皆さんの写真を撮らせていただきました。

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  この後、2階の会議室(かな?)でコマンドブリーフィングを受けました。コマンドブリーフィングとは、見学者等に対し、当該部隊の概要などについて説明するもので、いわゆる部隊概要説明でしょうか。

 ブリーファーは、教育科長の渡辺1尉です。東京音楽隊は、海上自衛隊の音楽科員に対する基本教育を担っており、正式の教育課程である「海士音楽課程」と「海曹音楽課程」を担当しているのが教育科だそうです。教育レベルは高く、音大の大学院相当の教育が施されるそうです。音楽史(海軍軍楽隊の歴史も含む)、和声学、編曲法などを、部外の名だたる講師を招いてしっかりと学ばせているということでした。和声学や編曲法では、曲というものの成り立ちを十分に理解し、最終的には作曲や編曲ができるレベルまで持っていくとのこと。隊員の中には作曲・編曲を行う者がたくさんおり、演奏会など使用する曲も、クラシックをはじめ様々なジャンルの曲を吹奏楽用にアレンジして演奏しているのだそうです。

 ブリーフィングの内容はどれも興味深いものばかりでしたが、中でも私が「おっ」と思ったのが「パシフィックパートナーシップ2019」でした。パシフィックパートナーシップ(PP)は、私がまだ現役の頃から始まっていました。環太平洋諸国の中には、災害への脆弱性を抱える国や、そもそも社会インフラが十分に整備されていない国が少なくありません。そのような状態が社会を不安定にし、イスラム原理主義の浸透や、その他の様々な問題の原因になり得るとの認識のもと、米国が中心となって、海軍艦艇を域内各国に派遣し、医療支援(巡回診療のようなもの)や、施設・道路など、社会インフラの補修支援などを行ってきました。また、このような活動を平素から行っていることにより、実際に大災害等が発生した場合の各国海軍の連携が極めて円滑に行えるというメリットもあります。

 そんなPPですが、文化交流も必要だろうということで、今年3月から今月まで行われたPP2019では初めて軍楽隊も参加することとなり、東京音楽隊からホルン奏者の川上良司海曹長と、クラリネット奏者の清水恭子3等海曹が、20日間にわたり参加されたそうです。

 先日のランチタイムコンサートでご挨拶した際、川上良司さんが、やけに日焼けしているなと思ったのですが、連休中のバカンスではなく、連休返上で海外任務に就かれていたことを知りました。川上さん、清水さん、ご苦労様でした。

 あ、それから、遠洋練習航海部隊への隊員派出の説明の中で、「先日の出港行事の際に目にされた方もおられるかも知れませんが、今年の3月に横須賀音楽隊に転属となった三宅由佳莉3曹が、今回の遠洋練習航海部隊に乗組んでいます。いつどこに寄港するかについては情報提供できる段階ではないのですが、現在波と戦いながら東へ向け航行中と思われます」との説明がありました。

 コマンドブリーフィングが終わり、質問の時間に入りますと、参加者から次々と質問が飛び出し。皆さんの関心の高さが伺えました。

 その中から、いくつか拾ってまとめてみますと。

 現在の東京音楽隊の編成は70名体制、演奏者は52〜53名で、その他は経理補給関係の隊員、専従のドライバーなど、基地機能を担う隊員の他、音楽科員ながら演奏活動は行わない幹部自衛官という構成になっているとのことです。そのうち、音大・芸大卒は40名弱程度で、演奏者の7割以上を占めるとのこと。

 定年退職により欠員が生ずることがわかっているパートについて、毎年募集をかけるのですが、2〜3人の募集に対し、100人くらいが応募するような状態なのだそうです。30〜50倍の競争率です。皆さんのレベルが高いのも頷けますね。

 とても内容の濃い見学でしたが、見聞きしたことがたくさんありすぎて、とても一本の記事には書ききれません。相当絞ってもこんなに長くなってしまいました。

 あとはいつものスピンオフとして書いてみたいと思います。

 ちなみに、この記事は昨日帰宅したらすぐに書こうと思っていたのですが、見学チームの「反省会」が行われることになり、喜んで参加した結果、こんなに遅くなってしまいました。まだ頭が痛いです。

 どうでしょうか、リハーサルの動画を期待されていた方が多いかも知れませんが、そこは、東京音楽隊のサービス精神をより効果的にするための配慮ですのでご容赦ください。改めて演奏曲目等については記事を起こします。

用賀に向かいます

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 先日報告したとおり、本日は水交会湘南支部の史跡研修の一環として行われる海上自衛隊東京音楽隊見学に参加してまいります。

 ちょっと早めですが、今から出発します。

 これまで、数え切れないくらい記事で取り上げてきた東京音楽隊の、本拠地を初めて見学できるのは、私にとってこの上ない喜びです。

 いくつかの偶然が重なって、かろうじて参加が叶ったものですが、訪問する以上、しっかり見学させていただき、皆様に報告したいと思います。

 本日の進出ルートは、横浜から東急東横線で自由が丘まで、そこで東急大井町線に乗り換えて二子玉へ、更に東急田園都市線に乗り換えて用賀まで、東急線三本ハシゴの旅という感じです。

 もっとも、30〜40分で着いちゃいますけど。

 では、行ってまいります(╹◡╹)

嵐の中の鹿島立ち(その2)

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嵐の中、環太平洋巡行に旅立つ「かしま」

 前回の続きです。できることなら、昨日、一本の記事でまとめたかったのですが叶わず、記事を分割せざるを得ませんでした。

 さて、出国行事が終わり、梶本大介・海将補(練習艦隊司令官)が、防衛副大臣に出国報告をしました。とても良い内容だったと思います。

 次いで、横須賀音楽隊が演奏する行進曲「軍艦」に合わせ、任官したての全実習幹部と各艦乗員代表が一列縦隊で行進しながら会場を後にしました。そのまま各艦に乗艦します。その様子を収めた動画をご覧ください。梶本司令官の報告冒頭、自らを「日本国練習艦隊司令官」と称するところにもご注目ください。

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 私たちは会場の中で見送らざるを得なかったので、彼らが各艦に乗組む様子を見ることはできませんでしたが、防衛副大臣が会場を出られた後に、大勢の参列者がゆっくりと会場を後にし、階段で下に向かいます。

 私が所属する湘南水交会は、会の横断幕を掲げて集合写真を撮る段取りになっていましたので、横断幕を探していると、斎藤さんとばったり出くわしました。

 写真撮影を終え、斎藤さんと私は厚生棟の1階まで降り、人の流れに従って駐車場まで行くと、なんと駐車場内に横須賀音楽隊が整列して演奏の準備をしていました。あぁそうか、音楽隊の雨天の位置はこの駐車場だったのか。「雨天の位置」とは、様々な屋外での行事の計画にあたり、雨天の場合を想定して定められた整列場所のことを指します。でも、本来、両艦のすぐ近くの岸壁で演奏するはずの行進曲「軍艦」や「海を行く」最後の「蛍の光」などが、この距離と強風のため、両艦には届かないかも知れません。とても残念な気がしました。

 私たちが音楽隊のすぐ脇で岸壁の様子を見ていると、随伴艦である護衛艦「いなづま」から出港ラッパに続き、威勢のよい「出港よーい!」がかかりました。すかさず、横須賀音楽隊による行進曲「軍艦」の演奏が始まりました、私たちのすぐ隣です。こんな天候でもなければ、このポジションで聴くことはなかなかできないですよね。

 「いなづま」は厚生棟のすぐ目の前に係留していましたから、横音の演奏もよく聞こえたでしょう。

 問題は「かしま」です。総監部前に係留していた「かしま」は厚生棟からは相当離れていますので、横音の演奏が聞こえづらいということもあるのですが、その前に、「かしま」の出港ラッパや「出港よーい」の号令がこちらに聞こえない恐れがあります。横音の指揮官もそれが気になっていたらしく、何度も「かしま」からの微かな音に聞き耳を立てていましたが、最終的には少し「かしま」の方に近づいて号令を確認していました。そしてそれを確認したところで、小走りに戻ってきて「気をつけ」を令し、演奏が始まりました。

 「かしま」は係留索をほどき出港の態勢になっていきます。ここにいたのでは、ちゃんとした動画は撮れない。私たちは岸壁まで進出することにしました。もちろん傘など差してはいられません。「ずぶ濡れになって午後からの仕事どうすんだよ」という思いもちらっと脳裏をかすめましたが「ずぶ濡れでも仕事はできる。でもこの瞬間は今しかないぞ」ということで、岸壁に進出です。雨に負けるな俺のスマホ

 岸壁は、強風で横殴りの雨です。それでもスマホは頑張ってくれました。頑張れなかったのは私のほうです。途中で断念せざるを得ませんでした。最後まで撮れなかったのは残念ですが、三宅由佳莉さんのファンの皆様に、その乗艦の出港風景の一部だけでもご覧いただけるのは幸いです。

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 「登舷礼(とうげんれい)」のため、甲板上に整列した隊員が「帽振れ」をしているのも見えます。嵐の中の出港もまた、彼らの良い思い出となるでしょう。

 練習艦隊の皆さん、充実した5ヶ月となることをお祈りいたします。

嵐の中の鹿島立ち(その1)

 

 本日、海上自衛隊横須賀基地で執り行われた令和元年度遠洋練習航海部隊出国行事に行って参りました。予報通りの強い雨と、予想を超えた強風の中、横須賀基地正門前の受付にたどり着いた頃には、靴の中が水浸しになる有様でした。

 私は京浜急行汐入駅から、ヴェルニー公園経由、逸見岸壁に係留されている「かしま」と「いなづま」の撮影をしながら総監部へ向かったため、必要以上に濡れ鼠となってしまったのでした。逸見駅で降りればもっと近かったんですけど、ヴェルニー公園から撮影したかったので…

 出港の時を待つ「かしま」(手前)と「いなづま」(奥)です。晴れていれば、この大きな岸壁で行われる予定だった出国行事ですが、強い風雨のため、右側の写真の左奥の方に見えるカマボコ型の厚生棟3階にある体育館で行われました。岸壁での式典に備えて準備されていたテントも、強風で飛ばされないように解体されて置かれているのが分ります。

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 正門前に設けられた受付のテントの中で、所属団体(私の場合は水交会)と名前を伝え、事前に届けられている名簿と照合して、臨時の入門証を受け取るのですが、テントの下にもかかわらず名簿が雨でびっしょり濡れ、ページがめくれないような状態です。受付の皆さん、ご苦労様でした。受付の間にも、同期や顔馴染みの先輩、後輩など多くの知人と挨拶を交わすことができました。

 厚生棟に入ると、会場入りに備えて待機している大勢の実習幹部が1階から3階までの階段の右半分に二列縦隊でびっしり並んでいました。晴れの出国行事、好天の中、岸壁でやらせてやりたかったなと思いながら、彼らの脇を通り会場へ向かいます。2階の踊り場に出たところで、1期後輩の知人と立ち話をしていると、背中の方から「あれこれdiaryの方ですよね」という声が聞こえた気がしたので、振り向くと、立派な一眼レフカメラを首から下げた体格の良い方が歩み寄って来られました。お話を伺ったところでは、現役の陸上自衛官で、出国行事を見届けるために休暇を取って来られたとのことです。朝早くから来られ、先ほどまで、乗員の家族に混じって「かしま」に乗艦していたのだとか。

 「三宅さんにもお会いできて写真も撮らせていただきました」の一言で、図らずも確認が取れました。カメラのモニターで、その写真を見せていただきましたが、第三種夏制服に身を包んだ三宅さんは、とても元気そうで安心しました。

 その方とは、会場入りしてからもいろんな話で盛り上がり、行事が始まるまで楽しいひと時を過ごすことができました。

 さて、出国行事の様子を撮影しましたので、動画でご紹介します。

 まず、防衛副大臣に対する栄誉礼、防衛副大臣訓示、外務副大臣祝辞、そして海幕長訓示までの動画です。(埋め込みできましたので更新します)

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 とりあえす、今回はこの辺で。

遠洋練習航海部隊の鹿島立ち

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 本日午前、日本国練習艦隊(遠洋練習航海部隊)は横須賀港を出港し、約5ヶ月にわたる訓練航海の旅に出ます。

 海上自衛隊横須賀地方総監部地区の逸見岸壁において、本日1000(ひとまるまるまる)から1045(ひとまるよんごー)の間、出港行事が執り行われる予定です。私は水交会の一員としてこの行事に参加することになっています。大雨が予想されますが、我が国を代表して環太平洋諸国を歴訪する艦隊の鹿島立ちを見届けて参ります。

 いえ、今回出港行事に参加するのは、三宅さんが旅立たれるかも?ということとは関係なく、昨年入会した水交会から初めていただいた練習艦隊出港行事へのお誘いに応じたものです。図らずも、三宅さんのお見送りを兼ねることになるのかも知れません。

 今回の編成は、練習艦「かしま」(旗艦、基準排水量4,050トン)と護衛艦「いなづま」(随伴艦、基準排水量4,550トン)です。

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練習艦「かしま」艦番号3508

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護衛艦「いなづま」艦番号105

 

 さて、先ほどから、「練習艦隊」とか「遠洋練習航海部隊」と称していますが、何となくモヤモヤとした感じがするかも知れませんね。「どっちなの、はっきりしてよ!」と思われる方もおられるでしょう。ということで、ちょっと解説させていただきます。

 「練習艦隊」というのは法律(自衛隊法)で定められた防衛大臣直轄の編成部隊であり、常設の部隊です。その指揮官は練習艦隊司令官であり、現在は梶本大介・海将補がその任に就いています。練習艦隊は、練習艦隊司令部のほか、司令官直轄艦である練習艦「かしま」と第一練習隊(練習艦「しまゆき」「せとゆき」「やまゆき」)で編成されています。

 そして、今回随伴艦として参加する護衛艦「いなづま」は、海上自衛隊の中核をなす自衛艦隊(もちろん法律で定められた大臣直轄部隊です)隷下の護衛艦隊、第4護衛隊群、第4護衛隊に所属する第一線の戦闘艦です。

 こうしてみると、ともに法律で定められた組織に所属する練習艦「かしま」と護衛艦「いなづま」が一つの部隊を編成して練習艦隊司令官の指揮下に入るというのは法律に抵触することになりそうですよね。

 ところが、自衛隊法第22条には「特別の部隊」の編成に関する定めが置かれており、防衛出動などの自衛隊の「出動」、その他必要な場合には、防衛大臣は特別の部隊を編成することができることになっているのです。

 そして、本日出港する部隊は、防衛大臣がその条項に基づき特別に編成した「遠洋練習航海部隊(Overseas training Force / OF)という任務部隊(タスクフォース)なのです。そして、その指揮官(遠洋練習航海部隊指揮官)に、練習艦隊司令官が指定されているという仕組みになります。

 一昨日の記事で紹介した海自のプレスリリースに記載された指揮官の欄をご覧になると、その辺がお分りいただけるかと思います。

 

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 「〇〇司令官」や「〇〇司令」「〇〇隊長」というのは通常編成部隊の指揮官の称号ですが、任務部隊を編成した場合、その指揮官の呼称は「〇〇(任務)部隊指揮官」となります。もちろん、任務部隊指揮官に指定されたからといって、通常編成部隊指揮官としての職責が消えるわけではなく、二つの顔を持った指揮官として任務を遂行することになります。ですから、出港する部隊は遠洋練習航海部隊という特別に編成された任務部隊なのですが、その指揮官や司令部は練習艦隊司令官や練習艦隊司令部の職責を担ったままですので、遠洋航海にまつわる記事や話題には両方の部隊名称が混交するわけです。

 うまく説明できたかどうか心許ないところでありますが、何となくわかっていただけたなら幸いです。

 任務部隊については、また改めて記事を書きたいと思います。

 では、遠洋練習航海部隊の出港を見届けて参ります。

 

 



 

 

 

 

Surprise after surprise!

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  In last article I wrote it as a really big surprise that Yukari Miyake turned out to have been transferred to Yokosuka Band this March. Mariko Nakagawa was assigned as a successor to Yukari Miyake, and Miyake took place of her. 

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  And I also mentioned that being released from heavy responsibility of central band singer, Yukari Miyake's long time dream to join the Fleet Band attached to the Trainig Squadron may come true in the near future.

  Yesterday (19th May) it was turned out that Yukari Miyake probably has joined the Fleet Band this year. If so, she leaves Japan tomorrow on the training vessel "Kashima" and will visit many ports overseas until this October. It means that Yukari Miyake's fan overseas could have chances to enjoy her singing live.

  According to press release last friday by JMSDF, the Overseas training Force will visit U.S.(Pearl Harbor, Sandiego, Guam), Republic of Guatemala(Puerto Quetzal), Republic of Peru(Callao), Republic of Equador(Guayaquil), Mexico(Mazatlan), French Polynesia(papeete), Republic of Fiji(Suva), New Zealand(Auckland), Australia(Sydney), Papua New Guinea(Rabaul) and Republic of Palau(Koror). It is still unknown when the fleet will visit each port.

  Anyway Yukari Miyake's tour around the Pacific Ocean starts soon.