あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの思い出(2)

 まだまだ、暑い日が続きますが、朝夕はちょっとだけ秋の趣が感じられる気候になってきましたね。皆様、お変わりありませんか?コロナストレスに負けてませんか?

 さて、今回のタイトルですが、私は個人的に三宅さんと交流があるわけではありませんので、三宅さんとのやりとりなどの思い出ではもちろんありません。そして、(2)となっているのは、このブログを始めて1年も経たない2018年の5月に、同じタイトルで書いた記事があるからです。

www.capitandiaryblog.com

 現役時代には、音楽隊にも三宅由佳莉さんにも特段の注意を払っていなかった私ですが、退役後、その素晴らしさに気づいてから思い出してみると、現役時代にいくつかの思い出があることに気づき、それを綴ったものでした。

  本日、現役時代の品々などを整理している時に、思いもかけない発見があったものですから、(2)を書かすにはいられなくなったのです。

 クローゼットの中に長らく置きっぱなしになっていた箱があったものですから、それを取り出してみました。靴が入っているんだろうと思い開けてみたんです。

f:id:RetCapt1501:20210829180906j:image

  中には、現役時代にいただいたメダルやカフスセット、などの箱が入っていましたが、その奥に、これまで何度も目にしてきた、大変馴染みのあるCDのジャケットがあるのに気づき、正直狼狽えました。

 そうです、三宅由佳莉さんの事実上のメジャーデビューアルバムである「祈り〜未来への歌声」のCDなんです。

f:id:RetCapt1501:20210829180918j:image

 なぜ、狼狽えたかと言いますと、4年前からこのブログで三宅由佳莉さんのことをメインに記事を書き続けてきましたが、このデビューアルバムを購入していなかったからです。このブログにお集まりの皆様にとっては意外なことかもしれませんが、私はこのアルバムが欲しいとは思いつつ、何故なのかはわかりませんが、購入することができなかったのです。なんというか、いつかはこの手にしたいという目標として、自らにお預けを食らわせているような感覚と言ったら良いでしょうか。

 ともかく、自分が購入していないCDがなぜ、この箱の中に入っているのか。

 しかも、現役時代の品々に混じってここにあるのか。

 私が狼狽えた理由がお分かり頂けるかと思います。

 恐る恐る箱から取り出して見てみますと、封も切られていないセロファンの表面に一枚のステッカーが貼られています。

f:id:RetCapt1501:20210829182358p:plain

 「Mは、『三宅、海自歌姫』に思いを抱いて 永遠(とわ)に旅立ちました。

  謹呈 N・M」

 「あぁ!」

 私の脳裏に記憶が蘇りました。

 私が退官する1〜2年ほど前でしょうか、敬愛するN・M先輩から自宅に封書が送られてきました。開封してみますと、長年連れ添われた奥様が、外出から戻られた後に急性の疾病に襲われ、搬送先の病院での治療も虚しく他界されたとのお知らせでした。

 N・M先輩は、現役時代には同じ職域での交流もありましたし、退官後は、とある防衛関連企業の顧問として、より良い防衛装備品の開発・受注を通じて我が国防衛に資するため、期待をはるかに上回る活躍をされていましたし、私を含め、まだ現役だった幹部隊員を定期的に訪ねて下さり、部外の講演会などで見聞された情報などをわかりやすくまとめた資料や、OBならではのネットワークで収集された独自情報などを提供して下さっていました。

 そんなN・M先輩の奥様が急逝されたことは大変大きな衝撃でありましたが、それと同時に、N・M先輩のメッセージから深い感銘を受けました。

 訃報というものは、通常、淡々とした内容ですし、通夜・葬儀の日時を知らせることを目的に出されるものです。ところが、N・M先輩からのメッセージには、奥様を突然失った無念さ、突然発症された奥様を救えなかったことへの斬鬼と自責の思いが縷々綴られており、読む者の心を揺さぶる魂の叫びが感じられました。本当に奥様のことを愛しておられたことがひしひしと伝わってきましたし、今の自分の気持ちを伝えたい、伝えずにいられない、いや伝えねばならないという一途な思いが痛いほどわかる内容でした。

 そして、そのメッセージに同封されていたのが、三宅由佳莉さんのCDだったのです。

 後日、ある会合でご一緒させて頂いた際にお聞きしたのですが、生前の奥様は、三宅由佳莉さんの「祈り」に癒され、救われ、以後三宅さんの大ファンだったのだということでした。ですから、奥様が思いを寄せられていた三宅由佳莉さんのCDを知人の皆様に贈ることが、奥様の御霊の鎮めにもなると思われたようでした。

 当時、東京音楽隊三宅由佳莉さんに特段の関心を持っていなかった私でしたが、三宅さんが活躍しているということは聞いていましたので、N・M先輩のそんな話をお聞きして、三宅由さんのことを改めて「すごい歌手なんだな」と認識したように記憶しています。

 ただ、奥様への思いを込めたステッカーが貼られたセロファン開封することはできず、CDを聴くことはできませんでした。ちょうど、今住んでいる横浜のマンションへの転居時期だったこともあり、そのまま箱入りとなってしまったのだと思います。

 私が、YouTube三宅由佳莉さんの「祈り」と出逢い、心を掴まれるずっと前から、この CDは私のすぐ近くにあったことを知り、いや思い出し、なんとも不思議な縁を感じましたし、以前、何かの記事でも書いたとおり、三宅さんは、「必要とするときに、気づけはずっとそこにいてくれたことを知る」存在なのだなと改めて感じた次第です。