あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

悲痛な叫び

 ちょうど1ヶ月前、「自衛隊病院の活躍」という記事を書きました。

www.capitandiaryblog.com

 初期の感染者の多くを自衛隊病院が収容し、継続的なケアを通じてその大部分を退院できるまでに回復させていたことを河野防衛大臣ツイッターで知り、またそのツイートへの、ある血液内科医のリプで、そのことが初期の医療崩壊を防いだことも認識させられたからです。しかも、病院の職員にはただの一人も感染者が発生していないことから、正しい知識に基づき適切に対応すれば、感染はコントロールできると確信しました。

 ところがです、テレビを見ない私は直接的に確認している訳ではありませんが、ネット上に多く流れる情報から判断するに、マスメディアはそのような国民の安心に繋がるような事実を掘り下げて、感染拡大防止には何が必要なのかといった観点での報道はしないばかりか、いたずらに国民の不安を煽って楽しんでいる雰囲気が伝わってきました。

 特に、一時期トイレットペーパーなどの買い漁りが生じたのは、間違いなくマスメディアの「煽り」が原因です。そもそも品薄になどなっていないのに、国民を煽りに煽って買いだめに走らせるから、結果として一時的な品薄が「実現」した訳です。そんな状況を見ながら、自分たちの世論を自在に操れる特権に酔い「アホな連中だな」と嗤っていたのではないかと勘ぐりたくもなりました。トイレットペーパーの買い占めのイラスト

 

 韓国が積極的に行なっている「ドライブスルー方式」の多数検査を賞賛し、なぜ日本では行わないのかといった論調が声高に主張されていると聞くに及び、大変な違和感を感じました。政権に対する健全な批判というのは大切なものですが、政府が打ち出す方針というものは、思いつきやウケ狙いで行われている訳ではないのです。専門家集団の意見に基づいて、根拠のある意思決定が行われています。それでも、今回のように未知のウイルスが相手であれば、結果として適切さが欠ける部分もあるでしょう。だからと言って、なんの専門的知識も持たないコメンテーターが、好き勝手なことを言い放って国民を煽って良いことにはなりません。平時であれば、どんな筋違いな物言いも許されるでしょうが、今は有事です。対応を誤れば人命にかかわる重大事態なのです。

ニュース番組・ワイドショーのイラスト

 平素からの報道姿勢を仄聞するに、大手メディアは現政権を倒すためならば、どんなフェイクニュースでも「疑惑」として大々的に報道し続ける方針のようです。そこから判断するならば、今回のコロナ感染拡大は正に政権打倒の絶好の機会であると捉えているに違いありません。だからこそ、あえて政府の対策は間違っているから従う必要はないと言い、逆に感染の拡大に繋がるような煽り報道を行なっているのかも知れません。ツイッターなどでのつぶやきの中には、出演者らから伝わってくる「ワクワク感」が薄気味悪いといったものもありました。

 こうしたマスメディアに対する見方が間違っていないと確信させてくれる出来事がありました。神奈川県医師会・菊岡正和会長から神奈川県民へのお願いのメッセージです。

f:id:RetCapt1501:20200414104147p:plain

菊岡正和・神奈川県医師会会長

 

 多数の短いコメントが医師会ホームページに掲載されていますが、そのうちの一つを転載します。

ごまかされないで、間違った情報に この新しい未知のウイルスに、本当の専門家がいません。本当は誰もわからないのです。過去の類似 のウイルスの経験のみですべてを語ろうとする危うさがあります。そして専門家でもないコメンテーターが、 まるでエンターテインメントのように同じような主張を繰り返しているテレビ報道があります。視聴者の不安 に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心地よく響くものです。不安や苛立ちかが多 い時こそ、慎重に考えてください。 実際の診療現場の実情に即した意見かどうかがとても重要です。正しい考えが、市民や県民に反映さ れないと不安だけが広まってしまいます。危機感だけあおり、感情的に的外れのお話を展開しているその 時に、国籍を持たず、国境を持たないウイルスは密やかに感染を拡大しているのです。 第一線で活躍している医師は、現場対応に追われてテレビに出ている時間はありません。出演してい る医療関係者も長時間メディアに出てくる時間があれば、出来るだけ早く第一線の医療現場に戻ってきて、 今現場で戦っている医療従事者と一緒に奮闘すべきだろうと思います。

 かなり感情を抑えた文章になっていますが、現場の怒りに満ちた悲痛な叫びが聞こえるようです。

人工呼吸器をつけた人のイラスト(お年寄り・マスク)

 私は、医学の専門家集団であり、現実と戦い続ける医療現場の実情をよく把握している医師会が「わからない」という立場を明確にすることで、県民の心を引き締めると同時に、訳知り顔でいい加減な言葉を垂れ流している自称専門家や、専門家ですらないコメンテーターのデタラメぶりを浮き彫りにしたと思います。

 この菊岡会長のコメントは、他の地域の医師会などでも若干アレンジされながら転載されているようですので、神奈川県に限らず、全国lの医療現場が全く同じ懸念と憤りを感じているのだろうと想像します。

 他のコメントからも、現場の悲痛な叫びが切実に伝わってきます。特に、なぜ「ドライブスルー方式」が適切でないのかについてのコメントは、抜群の説得力をもっていますし、政府がこれを採用しなかった理由が完全に理解できます。

 菊岡会長のコメント集は以下のバナーから全てお読みいただくことができますので是非お読みいただきたいのですが…

kanagawa-med.or.jp

 読むのが面倒だと思われる方は、これらのコメントをまとめた解説動画がありますので、是非ご覧になってください。Fukumaru Channelという良質のニュース動画チャンネルで、私もよく拝見しています。

www.youtube.com

 私は、今回改めて、テレビを見ないことにした自分の判断が間違っていなかったことを実感しています。専門家が発信する信頼のおける情報に、自らアクセスできる現在、いい加減な態度であるならまだしも、特定の思想や目的をもって国民を扇動・洗脳しようとしている大手テレビ局の番組など見る必要はないし、見るべきではないというのが私の意見です。

 正しい情報に基づき、この危機を乗り越えて行きましょう。