あれこれdiary

海自OBによる偏見御免徒然あれこれdiary

三宅由佳莉さんの遠洋練習航海(第3レグ)

 サンディエゴに入港した我が練習艦隊の動向については、何らの情報発信もなく、幻艦隊の感がありますが、港内北部に博物館として係留されている空母「ミッドウェイ」と同じ桟橋に向かい合わせて入港したようだ、との未確認情報がネット上にありました。

 先回の記事「サンディエゴ」で、我が艦隊が入港する日の夜に「ミッドウェイ」のフライトデッキ(飛行甲板)上で、JUMPによる毎年恒例の行事「ビールと酒フェスタ」が計画されていることから、ひょっとしたら我が艦隊の乗員も招待されるのではないだろうか、と書きました。

retcapt1501.hatenablog.com

 一応、ミッドウェイが係留されている桟橋も海軍桟橋となっていますので、実習幹部への教育効果なども考慮すれば、我が艦隊がそこに係留した可能性は十分に考えられると思います。私が参加した大昔艦隊も、ニューヨークでは、記念艦として係留されている空母「イントレピッド」と同じ桟橋に係留し、皆、この空母を見学に行きました。

 という訳で、何らの情報も得られぬまま、艦隊のサンディエゴ滞在は終わり、現地時間16日0800の自衛艦旗掲揚後、次の寄港地である、グアテマラのプエルトケツァールに向け出港したのではないかと思われます。先日公式サイトに掲載された艦隊音楽隊の写真から、三宅由佳莉さんがシンバルを担当されていることがわかりましたよね。つまり、寄港中の毎朝の自衛艦旗掲揚時には、君が代と訪問国の国歌の吹奏にも加わっておられるということです。いずれ、動画で拝見する機会があるといいなと思います。

 因みに、現地時間の16日0800は、日本時間の本日(17日)0000に当たります。現在、艦隊が使用している時刻帯は「R(ロメオ)」で、米国内に6つある標準時のうち、西からハワイ、アラスカに次いで3番目「太平洋時間」となります。国土が広いから当たり前といえば当たり前ですが、同じ国の中でこんなに時間差があるのは不便でしょうね(≧∀≦)

 さて、第3レグは、今次航海で初めての沿海航路となります。

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 沿海航路ではありますが、全航程がメキシコの西海岸沖合となります。ご存知のとおり、距岸12マイル(海里)は沿岸国の領海になりますので、その中を航行するには色々と制約があります。もちろん、外国船舶であっても、事前通告なしに他国の領海内を航行する自由は認められていますが、「無害通航」である必要があります。つまり、ある目的地に向かって単に通過するだけという場合です。途中で停船したり、測量などの作業を行ったりすると、「無害通航」とは認められません。ヘリコプターなど航空機の発着も同じです。

 一方、軍艦に無害通航が認められるかどうかについては、長く議論が続けられていますが、未だに国際的なコンセンサスが得られるには至っておりません。日米英蘭など軍艦にも事前通告不要な無害通航権を認めるべきとする国もあれば、事前通告が必要とする国、事前の許可を要するとする国など、考え方はまちまちです。

 そのような現状は別にしても、メキシコがどの立場を採っているかに関わらず、我が艦隊の航行は、無害通航の条件を満たすことができないので、メキシコ領海内を通航するわけにはいかないでしょう。何しろ、訓練を目的に行動している艦隊なのですから。

 と言うわけで、メキシコの領海線から十分距離をとった沖合を航行することになると思います。

 さて、第3レグは、第2レグより若干短い航程となるはずですが、航海期間は第2レグよりも2日長い9日間となっています。その理由はわかりませんが、寄港先との日程調整や訓練計画の影響だと思われます。サンディエゴ出港後、米海軍との訓練も行われるかもしれませんし、音楽隊による訓練支援演奏もたくさん行われるのではないでしょうか。

 それにしても、艦隊が横須賀を出港してから、早いもで、間も無く1ヶ月となります。この分ですと、距離にして地球を1.2周するこの遠洋航海も、思いの外早く終わってしまうかも知れませんね。