昨日からの続きです
今回取り上げた「ポセイドンの涙」は、あるドキュメンタリー映画のタイトルです。
以前書いた記事に「navy171」さんが寄せてくださったコメントの中で、この映画について触れられていて、爾来ずっと気になっていたものでした。
下に掲載したのは、その映画のプロモーションのために作成された画像です。
大海原をバックに、憂いを帯びた表情で遠くを見つめる女性…
誰だかおわかりですよね。そうです、東京音楽隊のフルート奏者・目黒渚さんです。
もっとも、この当時はまだ横須賀音楽隊の「村上渚」さんですが…
古くからの海自音楽隊のファンの皆さんには周知のことなのだと思いますが、新米ファンの皆さんの多くは、初めて聞く話かも知れません。
実は、「navy171」さんがコメントをくださった記事というのが、目黒渚さんについて書いた記事でした。
「navy171」さんのコメント中、この映画に触れた部分を転載してご紹介します。
目黒さんについては注目すべき事があります。それは2014年3月に一部地域で公開されたドキュメンタリー映画「ポセイドンの涙」です。
これがどんな映画か、「J Ships 2015年4月号」の紹介記事から、これも長くなりますがそのまま引用します。
『東日本大震災で多くの被災者の救助活動にあたった海上自衛官と、被災者の心の絆を描いた感動の長編ドキュメンタリー。
宮城県塩釜市で被災した当時中学生の内海晴香さんは、避難生活の最中に輸送艦「おおすみ」艦内の入浴施設で、横須賀音楽隊の村上渚3曹と出会う。話が弾み、被災後初めて心の安らぎを得ることができた晴香さんは、この出会いで海上自衛官になることを決意する。かけがえのない出会いを果たし、震災後も最も信頼できる親友として交流を続けるふたり。忙しくてなかなか会うことができなかったが、約半年間の洋上任務に就くことになった村上3曹が、晴香さんに会うため約2年ぶりに被災地を訪れるー。さらに遺体捜索・収容や救援物資輸送など、災害派遣活動にあたった多くの海上自衛官たちの知られざる思いも明らかになってゆく。
防衛省海上幕僚監部の全面協力により実現した取材や、災害派遣活動を撮影した貴重な未公開映像などが満載で絶対に見逃せない一作だ。』
村上さんは当時志願して音楽隊を離れ「おおすみ」を拠点に被災者救援活動に参加されていたようですね。
この映画のポスターも村上さんが大きく映っており、登場者もナレーション榎木孝明氏に続いて横須賀音楽隊 村上渚3等海曹と一番にクレジットされています。
どうでしょう、どんな映画なのか観てみたくなったのではありませんか?
私もそうでした。
でも、2014年には全国の主要都市で上映されたこの映画が再び上映されるというような話は聞きません。どうしたら観ることができるのでしょう。そのままお蔵入りなのでしょうか…
YouTubeに、この映画の予告編がありました。
当時のことを訥々と語る被災者の話を聴きながら、大粒の涙が村上さんの目から溢れるシーンこそこの映画のテーマそのものなんだと思います。
「おおすみ」の入浴施設で村上さんと出会ったという晴香さんがカメラに向かって「家で生活したいなと思った」と語る様子を傍で聞いていた村上さんが、自分の口を手で押さえて嗚咽を堪えるシーンも大変印象的です。
村上さんだけでなく、何人かの海上自衛官の「それぞれの想い」が綴られるこの映画は、海上自衛隊という頼れる「ポセイドン」が、実はこうした生身の人間によって成り立っていることを描き出している作品なのだと思います。ポセイドンのイメージの裏側で、被災者への共感や自らの無力さにおののき、嘆き、苦しんで流す涙がどれほどあったことでしょう。
そこに焦点を当てたこの映画の再上映が実現しないものでしょうか…