前年の平成23年(2011年)は、まさしく文字通りに、日本国中に激震が走った年でした。三宅由佳莉さんにとっても、生涯忘れがたい年であろうと思います。
明けて、平成24年(2012年)は、”スター自衛官・三宅由佳莉” の揺籃期と位置付けられるのではないでしょうか。東京音楽隊の活躍とともに、三宅由佳莉さんの存在が徐々にではありますが、知られるようになってきました。まだまだ知名度はそれほど高くないけれど、各方面から注目されるようになっていきます。
そんな2012年をレビューしてみましょう。経年による、資料や情報の散逸、消滅が多くみられ、細部まで踏み込みきれなかったものが少なくありません。残念です。
02月19日(日)第51回定期演奏会
東京オペラシティコンサートホールにおいて第51回定期演奏会が行われました。ポスターには、第一部での演奏曲目と思われる2曲の曲名が記載されているのみで、三宅由佳莉さんが何を歌われたのかについての情報はありません。誰か教えてくれ(≧∀≦)
それどころか、三宅由佳莉さんの名前も載っていません。まだ、そういう時期だったということなのですが、なんか、却って新鮮な印象がありますよね。
この定期演奏会の情報を掲載した吹奏楽マガジン「バンドパワー」にも、
音楽の友社のコンサートガイド欄にも、三宅さんの名前は欠片すら見当たりません。
まさに、揺籃期っていう感じがして、ワクワクします。
02月25日(土)日大藝術学部剛柔流空手道部創部65周年を記念する会
三宅由佳莉さんは、日本大学藝術学部で声楽を学ばれる一方で、剛柔流空手道部に所属し、心身の鍛錬にも励まれました。そんな空手道部の創部65周年を記念する会が開かれましたが、三宅さんはその幹事の一人として事前の準備のほか当日の司会進行役を務められました。更に、開会冒頭の国歌独唱まで担われるなど、大活躍ですね。
国歌独唱の画像です。後ろ姿ですが、動画もありますので観てください。
現在、新造護衛艦の命名進水式で「君が代」を独唱される機会の多い三宅由佳莉さんですが、この式典にも、同じように厳かな雰囲気を与えてくれていますね。
それにしても、姿勢が実に美しい。
司会進行をされている様子です。また、現役部員への表彰式では、プレゼンターも務めていました。
会の様子を収めた動画がありますので、ご覧になってください。三宅さんの姿はほとんどありませんが、剛柔流空手同部の稽古の様子なども収められており、学生時代の三宅さんの姿が垣間見えるような気がします。
03月02日(金)、「自衛隊東京音楽まつり」
東京音楽隊は、文京シビックホールの大ホールで行われた「自衛隊東京音楽まつり」に出演しました。これは、この春の新規入隊・入校予定者に対する壮行会のような催しで、第1部では、入隊・入校予定者の決意表明などが行われ、第2部が東京音楽隊による演奏会という構成だったようです。
三宅由佳莉さんは、演奏会のMCを務められたほか、「Time to Say Goodbye」を披露され、入隊・入校予定者の皆さんを魅了されました。
下の写真の左端に写っているのが、MCの三宅由佳莉さんです。
この日のセットリスト
1:東京オリンピックマーチ
2:オブラディ・オブラダ
3:タイム・トゥー・セイ・グッバイ
4:キセキ
5:マンテカ
アンコール
6:軍艦マーチ
熊本県出身のシンガー・ソング・ライター「YAMATO」さんが、この演奏会に足を運ばれ、ご自身のブログに記事を残して下さったおかげで、トレースすることができました。YAMATOさん、ありがとうございます。
YAMATOさんの記事の一部を下に引用します。
「”三宅由佳莉”さんと言う女性隊員が歌った【タイム・トゥー・セイ・グッバイ】には感動!
司会をしながら、司会ぶりもプロのアナウンサーかと思うくらいでしたが、歌には、本当心掴まれたって感じでしたね。
実は、自分は声楽的な歌い方って、何か現実の生の泥臭さから逸脱している気がして正直あまり好きではないんですが、でも、本当、何故か心を掴まれましたね。
声が透明で、ある域を越えてしまっている本物だからでしょうね…。
自衛隊の印象がガラッと変わる気がしました。」
その気持ち、よーくわかります。
04月08日(日)、PARACUP2012に参加
三宅由佳莉さんは、東京音楽隊の先輩方とともにPARACUP2012に参加され、ハーフマラソンを完走されました。
大会に誘って下さった先輩はスピード重視の方だったので、自分は完走できるか不安で、別の先輩に相談したところ、「じゃ、仮装でエントリーしよう、楽しく走れるから」と言って下さったそうです。それでカエルさんなんですね。妙に似合ってます。
三宅由佳莉さんとPARACUPの関わりについて書いた記事がありますので、下に埋めておきます。
東京音楽隊地方公演ツアー2012
この年のツアーは、九州中心のようです。熊本、宮崎、大分での演奏会の情報が確認できていますので、今年(2018年)のツアーとよく似ています。ということは、鹿児島、山口、鳥取での公演もあったのかも知れませんが、まだ発見には至っておりません。
06月08日(金)ふれあいコンサートin大分
地元の音大とのコラボだったようで、このコンサートを聴きにいかれた方のブログ記事によると、聴きなれない曲ばかりだったそうです。そして、アンコールでようやく聴き慣れた曲「Stand Alone」が演奏され、三宅由佳莉さんの歌唱に感動したとのこと。
ブログ主様によれば、「元歌より素晴らし」かったそうです(╹◡╹)
06月11日(月)、ふれあいコンサートin高原
本来なら、2011年に予定されていた高原での公演ですが、震災への対応などで年度繰り下げ実施です。河邉一彦隊長の故郷での凱旋公演となりました。
下の写真は、演奏会の夜に催された、地元の支援者の皆さんとの懇親会の様子です。ご自分のブログにこの写真をあげて下さった方によると、東京音楽隊は、通常このような懇親会は行わないのだそうですが、やはり河邉隊長の郷里ということもあり、特別な配慮が払われたのではないかということでした。
三宅由佳莉さんが着用されている白い半袖のポロは、東京音楽隊の遠征中の練習着ではないかと思われます。2016年のバーゼルタトゥーの記録映像で、英海兵軍楽隊との合奏練習の際に皆さん着用されていました。
宴会の情報はありますが、肝心の演奏会のことはさっぱりです。
6月12日(火)、ふれあいコンサートin宮崎
地本の過去ログにコンサートの名称が残っているのみで、詳細はわかりません。ただ、今年(2018年)の準備状況をみると、基本的に熊本公演と同プログラムですので、この年も同様であったろうと思われます。
つまり、井澗昌樹さんの祝典序曲「祈りは翼となって」、真島俊夫さんの「ミラージュⅣ」・・・等のの演奏です。残念ながら、三宅由佳莉さんが歌われたと思われる曲についての情報はありません。
06月13日(水)、ふれあいコンサートin熊本
06月17 日(日)、キャンパスコンサート@くらしき作陽大学
このコンサートツアーは、三宅由佳莉さんの郷里である倉敷まで繋がっていました。
倉敷市の作陽大学で行われたキャンパスコンサートでは、2時間のプログラムの進行役を三宅由佳莉さんが務め、岡山弁を交えながらのMCに会場も大盛り上がりだったようです。三宅さんは、歌を3曲披露されたそうですが、曲目は不明です。
倉敷といえば、三宅由佳莉さんが所属していた「倉敷児童合唱団」がありますが、三宅由佳莉さんと共に同合唱団で活動されていたOGの方々、また現役合唱団員も多数、このコンサートに集まり、「倉児」OGの活躍に心を弾ませたことでしょう。
07月01日(日)、「3等海曹 三宅由佳莉」の誕生
三宅由佳莉さんは、7月1日、3等海曹に昇任されました。海士長に昇任後2年3ヶ月での昇任です。この頃から、三宅さんの名が、広く世間に知れ渡って行ったため、「3等海曹」という階級も、三宅さんと共に有名になりましたよね。
別記事で、三宅由佳莉さんも、そろそろ2等海曹への昇任が視野に入ってくると書きました。書きましたし、昇任していただきたいと思います。でも、どこかに3等海曹のままでいて欲しいという気持ちもない訳ではなく、ちょっと複雑な心境です。おそらく、親が子の成長を喜びつつ、寂しさを覚えるのと似た感覚かも知れません。
ところで、今回のように日曜日に昇任した場合どうなるでしょう。
自衛官の昇任に、辞令書の交付などはありません。事前に人事電報(人電)で発令されていますので、昇任日の午前零時をもって、自動的に新たな階級となります。
人電が出たところで、新階級章が交付されますので、前日に自分でせっせと縫い付けます。階級章の着用位置は服装規則で細かく規定されていますので、定規で測りながらの作業になります。音楽隊の場合、制服がたくさんあるので大変ですよね。ひょっとしたら業者に委託しているのかもしれません。
07月11日(水)水曜コンサート(赤坂新国際ビル)
この日に赤坂新国際ビルで水曜コンサートが行われたとの情報がポツリとあるだけで、画像も動画も見つかっていません。引き続き探します。
また、通常であれば、翌日には新宿三井ビルで「木曜コンサート」が行われるのですが、その情報は確認できていませんので、こちらも、引き続き捜索します。
09月07日(金)すみだトリフォニーホールにおける第46回定例演奏会
この演奏会では、歌劇「ラ・ボエーム」から、「冷たい手を」そして「私の名はミミ」つまり、詩人ロドルフォとお針子ミミの出会いのときめきの歌い交わしが演奏されました。下のリンクからは、三宅由佳莉さんの歌う「ミミ」がご覧になれます。
現在のところ、3等海曹の階級章をつけた、最初の画像がこれだということになります。出会ったばかりの詩人ロドルフォへのときめきに戸惑いながら自己紹介するミミの可愛らしい心情がよく表現されていると思います。この曲の終わり方が唐突な感じがするものですから、予習してこなかった方には「?」という感じだったのか、終曲から拍手までの間隔が長過ぎる感じがしました。
そして、「カンツォーネ・ディ・ブレッツァ」。おなじみの調べが三宅由佳莉さんの美声で歌い上げられます。「サンタ・ルチア」「オ・ソレ・ミオ」「フニクリ・フニクラ」。どの曲も、三宅由佳莉さんはとても楽しそうに歌っています。その気持ちが聴く側にも伝わりますよね。歌い終えた後の満面の笑顔が印象的です。
「フニクリ・フニクラ」は客席手拍子ありでもいいかなとも思いました。
河邉隊長は、三宅さんを、あくまでもソプラノ歌手として育てようとしておられたのがよくわかります。様々な楽曲への挑戦はさせながらも、演奏会では三宅さんのソプラノをフィーチャーした演目をちゃんと用意していた感じがします。
こちらに埋め込み画像もあります。
09月29日(土)ふれあいコンサートinステラシアター(河口湖ステラシアター)
このイベントは、2013年9月に予定されている第28回国民文化祭やまなし2013に向けたプレ事業として行われたものです。次年のステラシアターにおける東京音楽隊や三宅由佳莉さんの演奏については、「2013年レビュー」に譲りますが、プレ公演の概要は以下の通りです。でも、画像・動画はさっぱり見つかりません。
第28回国民文化祭やまなし2013プレ事業・吹奏楽の祭典プレ大会
【海上自衛隊東京音楽隊 ふれあいコンサート in ステラシアター】
日時 2012年9月29日(土)
開場 13:30~
開演 14:00~
場所 河口湖ステラシアター
全席自由(入場無料/整理券配布)
問合せ 0555-72-5588(河口湖ステラシアターまで)
当日、ステラシアターでは、音楽隊によるJ.デ=メイ/交響曲第一番「指輪物語」から第一楽章 魔法使いガンダルフ A.ロイド=ウェーバー/ミュージカル「オペラ座の怪人」ハイライトなど迫力のある演奏をお楽しみいただけます。
10月4日(木)横浜みなとみらいホールにおける第47回定例演奏会
この定例演奏会全体がどんな感じであったか、実はよくわかりません。でも、三宅由佳莉さんの歌唱に関しては、二つの動画が残されているため、大変ありがたいです。しかも、一つは「レ・ミゼラブル」からの「夢破れて(I dreamed a dream)」ですし、他方は「オペラ座の怪人」。ミュージカル女優を目指していた三宅由佳莉さんにとって、これほど幸せを感じる演目はないのではないでしょうか。
「夢破れて」は、翌2013年8月にリリースされ、大変注目された三宅由佳莉さんのデビューアルバム「祈り〜未来への歌声」にも収録され、三宅さんの代表的なレパートリーの一つとなりました。
バリトンの横山浩平さんとの共演となった「オペラ座の怪人」は、実に画期的な企画ではなかったかと私は思います。これは三宅由佳莉さんという専属のソプラノ歌手がいたからこそ実現したことでしょう。東京音楽隊が「オペラ座の怪人」を演奏できたことがとても重要だと思います。そしてその演奏がまた、素晴らしいものでした。
私が一番好きなのは、三宅由佳莉さんが独唱される「Think of me」です。ラ・ボエームの「ミミ」同様、とても可愛らしいときめきが、三宅由佳莉さんの歌唱でよく表現されているからです。でも「オペラ座の怪人」の中でどの曲がお気に入りか、これは人によって様々だと思います。
この時の「オペラ座の怪人」について書いた記事がありますので、よかったら覗いてみてください。
10月11日(木)公開、観艦式予行終了後の演奏
観艦式の予行を終え、東京湾に向け帰投しつつある「くらま」艦上で、演奏会が行われました。ヘリ格納庫内という、演奏するにはあまりにも劣悪な環境にもかかわらず、東京音楽隊が奏でる音は、力強く響き渡り、また、三宅由佳莉さんが歌う「Stand Alone」は、その立ち姿の凛々しさも相俟って、聴く者の心を揺さぶります。
この動画を上げて下さったroubil1さんが、「持っていったビデオカメラの電池は切れ、古いデジカメでの撮影なので手ブレやピンボケだらけですが雰囲気だけでも伝われば幸いです。」と仰っているとおり、画質も音質も、お世辞にも良い状態とは言えません。
でも、この動画を観るたびに思うのです。伝える側の想いが本物であれば、会場や録画条件などに、どれほどの意味があるのだろうかと。心は心を探ります、音質や画質ではないんです。
「くらま」側も三宅由佳莉さんの歌唱には相当の配慮をしているようで、三宅さんの歌唱が終わった直後に艦内マイクが入ります。航海中は、艦艇運用が最優先されますが、それでもギリギリまで艦内マイクを控えたことがよく伝わります。
つくづく、いい動画だと思います。roubil1さん、ありがとうございます。
10月13日(土)観艦式付帯演奏会(みなとみらいクイーンズ・スクエア)
観艦式付帯行事として、みなとみらいのクイーンズ・スクエアで行われた演奏会で、海上自衛隊の各音楽隊は、それぞれ趣向を凝らした演奏で聴衆を楽しませてくれました。東京音楽隊の演奏会では、三宅由佳莉さんがMCを務めながら、何曲かの歌を披露されました。中でも、この時に歌われた「Time To Say Good-bye」は、AMANO Jun-ichiさんがYouTubeにアップされた動画を通じ、伝説的な名唱として全国はおろか、世界中に伝わりました。このブログの読者の中にも、この動画に衝撃を受けた方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
何本かあるこの日の動画から一本を選ぼうと思ったのですが、どれも捨てがたいのでまとめて掲載します。それぞれ別の楽しみ方ができると思うからです。
上の動画と同じ演奏を、3階付近から撮影した動画です。視点が変われば、また違う魅力が見えてきますよね。周囲に集まった聴衆の多さもよくわかります。
三宅由佳莉さんのオープニングMCから、Time To Say Goodbyeまでの様子です。自己完結型シンガーですね。それにしても聴衆の数半端ないです。
11月16日(金)〜17日(土)、自衛隊音楽まつり
まずは、東京音楽隊のドリル演奏です。三宅由佳莉さんの出演はありませんが、いつも通り素晴らしい演奏ですので、ぜひご覧になってください。
三宅由佳莉さんが歌を披露されたプログラムだけを選んで編集した動画がありますので、ご覧になってください。まず、陸・空音楽隊の女性隊員とともに、「故郷」を美しく歌い上げました。また、フィナーレでは「想望」のヴォカリーズで会場全体を感動に包みます。「想望」の動画は、私がもっとも好きなものの一つです。
以前、「三宅ゆかりさんの独唱‥‥‥自衛隊音楽まつり(2)」で、「想望」についての私の想いを書いていますので、よかったら覗いてみてください。
この年の音楽まつり全体をご覧になりたい方は、下のノーカット版をどうぞ。
12月23日(日)、読売新聞朝刊のコラム欄「顔」で紹介された
【顔 三宅由佳莉さん(26) 自衛隊の「歌姫」】
そのままですが、下のブログに記事の写真と、記事内容について書かれていますので、そちらに飛んで読んでみてください。印象深い、ちょっといい記事だと思います。
hajimevision.blog.so-net.ne.jp
下のブログは、この日の読売新聞コラムの他にも色々な内容が詰め込まれています。とりあえず、この日の読売記事も載っているということで、ここに埋めておきます。
12月24日(月・祝)川口総合文化センターでの、第48回定例演奏会
川口総合文化センター"リリア"メインホール” で、クリスマス・イブのクリスマスコンサートが行われました。残念ながら、このコンサートの様子について書かれた記事等にはまだ巡り会えていません。引き続き捜索して行きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。時間の経過とともに消え行く情報。時間との戦いのような、このアニュアルレビュー作成ですが、今、しっかり押さえておかないと、本当に情報が永遠になくなってしまいます。
これから三宅由佳莉さんに「出会う」人々のためにも、きちんと整理しておいてあげたいと思っています。
曲がりなりにも、2012年までのレビューが終わりました。
いよいよ問題の2013年です。1本の記事で1年分を支え切れるのか、ちょっと自信がありませんので、ひょっとしたら2〜3本に分割するかも知れません。乞うご期待。