海上自衛隊東京音楽隊の歌手である三宅由佳莉さんは、平成25年8月28日、ユニバーサルミュージックから、アルバム「祈り〜未来への歌声」でCDデビューされました。
それに先だち、同年7月17日、アルバムタイトル曲「祈り〜a prayer」のネット配信が始まるや否や、iTunesでのシングルダウンロード数１位を記録し、またアルバム自体も、オリコンチャートクラシック部門で初登場売り上げ１位にランキングされたのみならず、通算15週にわたり１位を獲得、その年のレコード大賞では企画賞を受賞するなど、大きな社会現象を引き起こしました。
CDデビューの前後を中心に、テレビやラジオからの出演依頼は引きも切らず、ユニバーサルミュージックの「三宅由佳莉」のページに残された活動の記録を読み返すと、この年の東京音楽隊と三宅由佳莉さんの活動は、メディア出演だけでも相当の数にのぼっており、このほかに通常の演奏活動を100〜120回こなしていたのかと思うと、嵐のような凄まじい日々であったろうと思います。
そんな日々のなかでも、やはり目を引くのは、この年の11月4日、フジテレビの「SMAP×SMAP」にゲストとして招かれた東京音楽隊と三宅由佳莉さんが、SMAPの皆さんと「祈り〜 a prayer」「オリジナルスマイル」の共演を行ったことでしょう。
三宅由佳莉さんは、平成23年11月27日にも、フジテレビの「ベビスマ」という番組に出演して、SMAPの皆さんの前で歌声を披露し、中居正広さんから「紅白出れる」と、また草薙剛さんからは「アンジェラアキもびっくり」という謎のコメントもいただいています。板割りで空手二段の腕前も披露しています。動画もどうぞ。
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ところで、解散後、何やら「SMAP」という名称が芸能界ではタブーになっているのか、まるでそんなグループは歴史上存在しなかったかのような扱いですね。いろいろ事情はあるにせよ、一つの時代を代表するビッグネームに対し、尋常の沙汰ではないと思います。
いずれにせよ、東京音楽隊が「SMAP×SMAP」という番組にゲスト出演し、「SMAP」というグループと共演したのは紛れもない「事実」ですので、遠慮なく書きます。
dailymotionにこの番組の動画がありましたので、ご覧になってください。
いまでも、音楽隊の使命について、十分な理解が得られているとは言い難い状態が続いているのをみれば、この番組が放映された頃については推して知るべしというところでしょう、「自衛隊の歌手」がアイドルグループの番組に出演して歌を歌うことに対する批判も少なくなかったと聞きます。
そういった批判については、いつも言わせて頂いているとおり、全く筋違いであり、どんな形にせよ、広く国民に向けて海上自衛隊の存在をアピールし、支持基盤の拡充に努めるのが音楽隊の使命なのです。
その辺は ↓ この記事をお読みください。
そのような使命を考えると、テレビ番組、特に、人気番組への出演は、最も効果的かつ効率的な広報手段でありますし、国民に広く受け入れられ、番組出演オファーの多い「歌姫」の存在は本当に大きな戦力だと思います。
ところが、この頃のことについて、三宅さんは釈然としない気持ちであったと語っておられます。自衛隊の活動の実態とはかけ離れたところで、自分がちやほやされて取り上げられることが、「上っ面だな」と感じ、ご自分の演奏活動の意味に疑問を感じたり、自分自身を見失いそうななったりと、激しい葛藤があったのだそうです。
「祈り」という曲に、被災者ではない自分が心を込めることで、かえって被災された方々の気持ちを傷つけるのではないかと葛藤された時と同じように、まっすぐな思いを持つ三宅由佳莉さんにとっては、苦しい日々が続いたことと思います。
SMAPの皆さんとの共演で、「祈り」に引き続き披露された、SMAPのヒット曲「オリジナルスマイル」は、ちょっと自信を失って元気がない人々への素敵な応援歌ですが、同時に辛い葛藤の日々を送っていた三宅由佳莉さん自身に向けて歌い聞かせているようにも聞こえます。
この番組への出演を機に、三宅由佳莉さんは、きっと、女神からもらった、ご自分の「オリジナルスマイル」を取り戻されたのではないでしょうか。
